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オランダの「トニーズチョコロンリー」児童労働撲滅に取り組む

2025 2/07
社会(ヘルス、まちづくり、ジェンダー)
オランダ 人権
2023-3-232025-2-7
児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

みなさんも一度は口にしたことのある美味しくて甘いチョコレート。しかし、実はそのチョコレートが、児童労働といった人権侵害によって生産されていたとしたらどう思いますか?チョコレートの原料であるカカオ豆の生産地では、未だ多くの児童労働が問題となっています。

日本でも販売されているTony’s Chocolonelyのチョコレートは、「100%奴隷労働のないチョコレートを作る」というミッションを掲げているオランダ発のチョコレートメーカーです。アムステルダムにある本店を訪問しました。店内の様子についてもお伝えします。

目次

カカオ農園の人権侵害について

チョコレートの原料は、カカオ豆です。カカオ豆の主要生産国は、コートジボワール、ガーナ、インドネシア、ナイジェリア、エクアドルといった、いわゆる開発途上国の国々です。カカオ豆が育つためには、平均気温が最低18度、最高32度であること、湿度が70-80%であること、年間降水量が1,500 – 2,500mmといった条件を満たす必要があります。これらの条件を満たしている地域は、赤道の南北20度、いわゆる亜熱帯の地域で、「カカオベルト」と呼ばれています。

カカオベルト
引用:ダンデライオン・チョコレートのチョコレート豆知識

日本では、安くて美味しいチョコレートが簡単に手に入ります。しかし、カカオ豆の生産背景には、実は深刻な児童労働が存在しています。シカゴ大学の外郭研究機関NORCは、アメリカ労働省の国際労働局(ILAB)からの委託を受け、2020年に「Assessing Progress in Reducing Child Labor in Cocoa Growing Areas of Côte d’Ivoire and Ghana」という研究報告を発表しました。レポートでは、世界のカカオ生産の約7割を占めるコートジボワールとガーナだけでも、危険な労働を余儀なくされる18歳未満の児童労働者は、156万人に上ると発表されました。

児童労働に立ち向かうTony’s Chocolonely

Tony’s Chocolonely社は、このカカオ豆の生産地で起こっている問題にショックを受けたオランダ人ジャーナリストのTeun(トニー)氏によって2005年に創業されました。

彼の想いについてはこちらをご覧ください。

Tony’s Chocolonelyは、「100%奴隷労働のないチョコレートを作る」というミッションを実現させるため、5つの調達原則に基づいてビジネスを行っています。同社は、5つの原則全てを実行することが大切であり、1つとして欠けてはならないとしています。

5つの原則は以下の通りです。

  1. 追跡可能なカカオ豆
  2. 買取価格を高く設定する
  3. 農家の地位向上
  4. 長期的な関係構築
  5. 高い品質と生産性

追跡可能なカカオ豆

Tony’s Chocolonelyで使用されるカカオ豆は、追跡可能です。同社は、パートナー協同組合であるコートジボワールのKapatchiva、Ecojad、Socoopacdi、ECAM、そしてガーナのABOCFAからカカオ豆を直接購入しています。

つまり、Tony’s Chocolonelyで扱うカカオ豆はこの協同組合のいずれかの豆であると断言できます。また、カカオ豆がいつ輸送され、どの協同組合から輸送されてきたのかを確実に把握するためのビーントラッカーというモニタリングツールも開発しています。

買取価格を高く設定する

Tony’s Chocolonelyは、カカオ豆を購入する際、プレミアム料金(割増金)を上乗せして支払っています。なぜなら、一般的な買い取り価格では、カカオ農家の貧困の連鎖を断ち切ることができないからです。

カカオ農家は、Tony’s Chocolonelyのプレミアム料金(割増金)に加えて、協同組合から一般的な支援も受けています。

農家の地位向上

Tony’s Chocolonelyは、協同組合に協力しながら、カカオ農家に対して出資・支援を行っています。同社は、カカオ農家に対して専門的な農場の運営方法を教え、農家同士が信頼関係を築けるように支援します。カカオ農家同士の信頼関係が構築され、生産資材をまとめて購入すれば値下げ交渉が可能です。

ガーナでもコートジボワールでも、年次総会は毎回大きな盛り上がりを見せており、参加したTony’s Chocolonelyの代表者もカカオ農家の現状を深く理解し、プレミアム料金が有効活用されていることを実際に感じることができると言及しています。

長期的な関係構築

Tony’s Chocolonelyは、カカオ農家と5年以上提携を継続しています。Tony’s Chocolonelyのプレミアム料金が一時的なものではなく、今後も受けられることを確信してもらうためです。これにより、カカオ農家は自分たちの農場に長期的な投資ができます。

例えば、カカオ農家は、収穫物の質を上げるため、新しいカカオの苗を購入し、農機具や研修に投資することができます。

また、Tony’s Chocolonelyは、カカオ農家と長期的な関係を構築しながら児童労働や農家の権利向上などの問題に取り組むプロジェクトも行っています。

高い品質と生産性

Tony’s Chocolonelyは、カカオ豆の買い取り価格を高く設定するだけでなく、生産性の向上にも力を入れています。協同組合の支援を受ける優良農家であれば、1ヘクタールあたり800キロのカカオを生産できるはずです。

しかし、この目標が達成可能と思われるカカオ農家でも、この目標値の3〜4割程度しか生産できていないのが現状です。また、カカオ豆の品質は低く、輸出基準に達していないケースがほとんどです。

Tony’s Chocolonelyのプレミアム料金は、カカオ農家の収穫量向上を促すものです。プレミアム料金で支払われる追加的な資金によって、肥料改善やカカオの木を適切な時期と方法で剪定したり、新しい苗木の購入をすることできます。カカオ豆の品質が向上すれば、生産性を2倍にすることも可能です。

こうした生産性の向上は実現可能であり、比較的早く実現できると考えていますが、一朝一夕で達成できるとは思っていません。だからこそ、カカオ農家とは最低でも5年間は連携します。

ポップで可愛いデザインの裏にあるメッセージ

児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

Tony’s Chocolonelyのチョコレートは、日本でも販売されているので見たことがある方は多いかもしれません。チョコレートの味ももちろんですが、パッケージの可愛さも多くの人を惹きつけています。

包み紙の裏面には、チョコレート業界の現状や企業理念などが記載されています。包み紙を開けると、不揃いなデザインのチョコレートバーが入っています。多くのチョコレートは綺麗な形に割ることができますが、Tony’s Chocolonelyのチョコレートには不均等な割れ目が入っています。この不揃いな形は、「チョコレート業界の不平等」を表しており、細かいところにもストーリーが込められています。

アムステルダムにある本店へ行ってきました!

児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

オランダのアムステルダムには、Tony’s Chocolonelyの本店があります。大きな目印や看板はないので、地図がないと入り口を見逃してしまいます。

児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

店内に入ると、巨大なチョコレートのオブジェが目に飛び込んできます。壁一面には全種類のTony’s Chocolonelyチョコレートが置かれており、レバーを引くと好きな商品を取り出すことができます。商品の取り出し口にはアレルギー表記がされているので、アレルギーがあっても安心です。

私が訪問した日は、残念ながら故障して作動していませんでしたが、本店ではオリジナルのチョコレートを作ることも可能です。チョコレートの種類や入れる具材、パッケージの色や文字まで選べるそうです。

児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

日本に置かれているTony’s Chocolonelyのチョコレートは、一般的なラインアップしか置かれていません。しかし、Tony’s Chocolonelyの本店には、「ありがとう」や「お誕生日おめでとう」といったオランダ語のメッセージが書かれた商品も販売されています。

児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

また、オランダの企業とコラボした商品も販売されています。こちらは、アイスクリームを販売するBen & Jerry’s社との限定コラボチョコレートです。

児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

店内には、Bebeという男の子の写真と言葉が綴られたパネルが展示されています。文章を読むと、Bebeが10歳頃から父のカカオプランテーションの手伝いをし、学校に行けていないこと。自分に子どもが生まれたら、カカオ農園で働かず学校へ行って学んでほしい、というリアルな声を目にすることができます。

児童労働撲滅を目指すオランダのチョコレートメーカー|トニーズチョコロンリー

最後に

私の出身である山口県は、都道府県別のチョコレート消費量が全国1位です。私や母も人の家にお邪魔する時や人を家に呼ぶ時にチョコレートを購入することが多いです。

フェアトレードといった認証の取得は、必ずしも十分ではありませんが、知ることで行動にも変化が現れると信じます。今回、お土産用にTony’s Chocolonelyのチョコレートをたくさん購入しました。早速、美味しいチョコレートを頂きながら、なぜ同社のチョコレートの割れ目は不均等なのか、といったストーリーを私からも伝えながら、友人や家族に世界で起こっている児童問題について伝えたいと思います。

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