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「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題

2024 7/26
経済(働き方、生産・消費、産業・技術)
人権
2023-8-112024-7-26
「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題

昨年公開された『メイド・イン・バングラデシュ』という映画を知っているでしょうか?大手アパレルブランドの工場が立ち並ぶバングラデシュの首都ダッカを舞台に、過酷な労働環境と低賃金に立ち向かう女性たちの姿を描いたヒューマンドラマです。衣料品工場で働く主人公の女性は、不当な扱いを受け続ける劣悪な労働環境に苦しむ同僚たちとともに労働組合を結成するべく立ち上がります。

「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題
映画『メイド・イン・バングラデシュ』より

1日1600枚ものTシャツを縫っても、彼女たちの給料はそのTシャツ2、3枚分にしかならないという衝撃の事実を突きつけられます。この作品は、10代からバングラデシュの労働闘争に関わってきたダリヤ・アクター・ドリが実際に経験した話をもとに作られており、ストーリーの95%が実際の話なのです。「1日10時間以上、週6日働いて、賃金はよくて1カ月14,000円ぐらい」と映画の脚本についてのインタビューでダリヤが述べています。

目次

バングラデシュの劣悪な労働環境は今も変わらない

事実、ダッカでは、2013年4月24日に衣料品工場の入る商業ビル「ラナプラザ」が崩壊し、1,100人以上の死者と2,500人以上の負傷者が出た大惨事が起きました。「ラナプラザの悲劇」と呼ばれるこの事故から、バングラデシュが抱える劣悪な労働環境問題が世界に知れ渡ることとなりました。ビルの老朽化により、崩壊が起きる危険性があるため、ビルの使用中止の警告が出されていたにも関わらず、オーナーがそれを無視し続け、衣料品工場の責任者も違法な時間外労働を強制していたため、悲惨な大事故へと繋がってしまったのです。

「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題
ビルが崩壊したダッカの「ラナプラザ」の事故現場

事故の約1カ月後には「バングラデシュにおける火災および建物の安全性に関する協定(the Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」(通称アコード)が策定され、「H&M」「ザラ(ZARA)」の親会社であるインディテックス(INDITEX)など欧州を中心とする200社以上のアパレル企業が署名しました。アコードの目的は、悲惨な事故を繰り返さないことなどで、縫製工場の建設や火災対策の安全基準が定められましたが、バングラディシュの状況は改善されたのでしょうか?

アパレル産業で働く人たちのための労働条件改善に取り組む「Fair Wear Foundation」の活動

「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題

1999年、オランダの首都アムステルダムで設立された財団「Fair Wear Foundation(以下、FWF)」の監査によると「ラナプラザの悲劇」以降、進展は見られるものの大きな課題はまだ残されていると述べています。バングラデシュは2016年時点で、衣料品生産において中国に次いで世界2位を占めており、大手ファストブランドにとって非常に重要な生産国となっています。しかし、衣料品工場で働く人々の給料は中国の5分の1に当たると言われています。

このような劣悪な環境を改善させるために「FWF」では、労働慣行規範の実施に加えて、建物と火災の安全性とジェンダーに基づく暴力という2つのリスクの高いトピックに重点を置いて活動しています。「FWF」は、衣料品ブランド、工場、労働組合、NGO、政府などと協力し、アジア、ヨーロッパ、アフリカの11生産国における衣料品労働者の労働条件改善に取り組む非営利団体です。メンバーである32のブランドがバングラデシュに位置する229の工場から商品を調達しており、日本でも人気のACNE STUDIOSやGANNIといった北欧ブランド、サステナブルなデニムに定評のあるドイツのCLOSEDなど、現在134のブランドがメンバーになっています。

実際にはどのような活動が行われているのでしょうか?

「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題
  1. 雇用は自由に選択されます
  2. 結社の自由と団体交渉権
  3. 雇用における差別はありません
  4. 児童労働の搾取禁止
  5. 生活賃金の支払い
  6. 合理的な労働時間
  7. 安全で健康な労働条件
  8. 法的拘束力のある雇用関係

以上、8つの労働基準法を設けて、購買慣行、工場との関係、労働者のための取り組みが実施されているか、毎年監査が行われています。

また、ドイツの「The Partnership for Sustainable Textiles(PST)」と提携し、クレーム処理システムを通して、労働者が地元のクレーム処理担当者に電話、またはテキストメッセージで苦情を申し立てることができるシステムを設けています。苦情の内容を確認した上で、ブランドに転送され、問題のある工場に連絡がいき、労働者に対する救済策を見つけています。また、苦情を申し立てた人の身元を保護すると同時に、労働者代表や労働組合などの他の利害関係者にも手を差し伸べ、必要に応じて法的措置を講じるサポートを提供しています。 苦情に関しては、「FWF」のウェブサイト上で匿名形式で公開される仕組みとなっています。

「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題

同システムはまだ導入されたばかりであり、第一弾としてインドとベトナムではすでに実施されていますが、バングラデシュ、トルコ、東ヨーロッパ諸国ではこれから行われる予定とのことです。一刻も早い導入が求められますが、苦情を訴えた人がひどい仕打ちを受けたり、ブランドや工場が協力を拒むようなことがあれば意味がありません。100%の匿名性と問題がきちんと解決されるまで完璧に管理する必要性があると考えます。

「FWF」はオフィシャルサイトで以下のようなコメントを公表しています。

「8つの労働基準を実施することに専念していますが、一夜にして実現することではないと知っています。アパレル産業は複雑で、グローバルで、断片的で、透明性の低い業界です。つまり、FWFのメンバーブランドでも自分たちだけで物事を解決することはできません。他のすべてのブランドもまた、歩み寄る必要があるのです。そして、地方自治体、工場、労働組合も同様です。この業界には、まだ100%フェアなサプライチェーンは存在しません。だから、FWFも完璧ではありませんが、優れた代替手段として必要なのです。毎年、何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを私たちがチェックし、それを公表しています。また、工場に寄せられた苦情についても透明性を保っています。ブランドの活動を公にすることは勇気のいることですが、衣料品業界の改善を望むなら、透明性を高めることが唯一の道なのです」

「Fair Wear Foundation」から知るアパレル産業で働く人たちの人権問題
映画『メイド・イン・バングラデシュ』より
ダッカの衣料品工場で働く女性たち

バングラデシュでは、ジェンダーに起因する暴力も蔓延している問題の一つになっています。「FWF」では、経営者、監督者、労働者を対象に、ジェンダー問題と職場のハラスメントに関する職場教育プログラム(WEP)研修セッションを追加することを求めています。労働者が安全に懸念を表明するために利用できる「FWF」のクレーム相談窓口を労働者と管理職に認識させることを目的としており、各セッションの終わりには、反ハラスメント委員会も設置される仕組みとなっています。この委員会は労働者が工場内でサポートを受けられる場所を提供し、工場の経営者に対して労働者の権利を擁護する手助けを行うものです。

世界のアパレル産業では約7500万人の労働者が働いており、その約85%が女性であると言われています。この巨大な産業は、長年に渡り多くの課題や問題を抱えています。低賃金、不安定な雇用条件、セクシャル・ハラスメントやジェンダーに基づく暴力の発生、安全衛生違反、労働組合を結成して条件について懸念を表明することができないこと、そして、強制労働や児童労働が行われていることなどが挙げられます。

現在、このような事実と数字は世界に広く知られ、頻繁に報道されており、「FWF」やサステナブルなブランドとして最も知られているパタゴニアが加盟している「Fair Labor Association 公正労働協会」をはじめとする専門的な団体の需要が高まっています。労働環境に関しては、日本も多くの問題を抱えています。長時間労働 、過剰なストレス、ハラスメントやいじめ、高齢化による技能不足などに加え、コロナ禍による失業や物価高騰による貧困化などが挙げられます。文化や宗教こそ違えど『メイド・イン・バングラデシュ』は、対岸の火事ではないと危機感を感じずにはいられません。

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