北海道リジェネ旅 ~帯広編~

今回は、北海道の主要都市の一つである帯広市にフォーカスします。帯広市は、農業を主要産業とする十勝地方の中心にあります。その帯広市がどのような取り組みを行っているかをご紹介するとともに、帯広に旅行される際のおすすめスポットをお伝えします。
帯広市の取り組み
帯広市は、自然と共生する地域づくりを目指し、様々な取り組みを進めて来ました。その中から、今回は3つと取り組みをご紹介します。
①環境モデル都市
帯広市は、平成20年7月、国が初めて選定した「環境モデル都市」の一つに認定されました。環境モデル都市は、低炭素社会の実現に向け、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの大幅な排出削減などに取り組む都市となります。また、高い目標を掲げ、先駆的な取り組みを展開し、環境分野におけるモデル都市として全国の自治体や企業などをリードする役割を求められます。
そこで帯広市は「帯広市環境モデル都市行動計画(2019年度~2023年度)」を策定しました。本計画は、温室効果ガス排出削減目標とその達成に向け、低炭素社会の実現を目指す取り組みを示したものです。この計画に基づき、地球温暖化防止と活力あるまちづくりを両立させ、持続可能な低炭素社会の構築に向けた取り組みを進めてきました。
②ゼロカーボンシティ
令和4年6月には、地球温暖化対策に関する国内外の動向等を踏まえ、2050年に二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明しました。
さらに、令和6年3月には、これまで環境モデル都市として積み上げてきた実績を基盤とし、国や北海道の取り組み、社会情勢や取り巻く環境を踏まえ「持続可能な脱炭素社会」の実現を目指し、帯広市ゼロカーボン推進計画を策定しました。ゼロカーボンに向けた取り組みを推進することで温室効果ガスの排出を抑制し、関連する産業の振興やエネルギーの自立による防災力の強化、住宅や建築物の質の向上による快適な住空間や職場環境の確保など、地域が抱える様々な課題の解決への貢献を目指します。
③おひさまソーラーネット帯広
太陽光発電を設置したことによる二酸化炭素削減効果を有効に活用するため、その効果を取りまとめる団体「おひさまソーラーネット帯広」を平成24年2月に創設しました。取りまとめた二酸化炭素削減効果はJ-クレジット制度によりクレジット化・売却し、売却代金を帯広市環境基金に繰り入れることにより、市内における地球環境の保全及び地球温暖化対策の推進に寄与する事業等に活用します。
おひさまソーラーネット帯広がクレジットの売却などにより得た収入は、帯広市環境基金に全額積立します。令和6年度売却代金は、1,176,095円にもなりました。2025年現在、入会資格を満たす会員の募集をしています。
帯広でリジェネ旅 ~遊ぶ、食べる、泊まる~
ここでは、帯広でリジェネ旅をする際に遊ぶ、食べる、泊まるの項目に分けて紹介します。
①いただきますの心を育むグリーン・ツーリズム
日本のグリーン・ツーリズムは、農山漁村余暇法にて「緑豊かな農村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動」と定められています。十勝地方では、専業農家が多く多忙なこともあり、農業が主要産業であるにもかかわらず、グリーン・ツーリズムが浸透してきませんでした。そこで、農家の代わりに畑を案内するガイド業を立ち上げたのが「いただきますカンパニー」です。
「いただきますカンパニー」は畑を会場として、コーヒーなどの軽飲食を楽しむことができる「畑カフェ」からスタートし、畑をガイドと一緒に歩いて、そこで採れたものを食べることができる「農場ピクニック」を行うようになりました。農場ピクニックでは、農家さんに代わって畑ガイドが十勝の農業を楽しく案内し、美味しい農作物を味わうことができるのが特徴です。
同社では他にも、農家さんが普段行なっている農作業や農業資材を使った競技をチーム対抗で競いあう「農業運動会アグリンピック」や、普段は絶対に入ることの出来ない“草ばんば”の会場で実際にレースができる「人間ばんばレース」など、都会では味わうことができない様々な企画が用意されています。修学旅行や企業研修など、楽しく見る・知る・触れる体験をすることができます。
また、帯広・十勝地域で明治時代以降に使用された農機具を約150点展示し、農業機械の発展について理解を深めることができる施設「とかち農機具歴史館」は、帯広市から管理委託を受けています。百余年に及ぶ十勝・帯広の農業において、栽培に使用した農機具を、「人力〜畜力〜機械化」といった時代の変遷が分かるように展示していたり、他の資料館には少ない昭和30年代以降の機械化が進んだ農機具を多数展示していたりすることが特徴です。
②地元民に愛される帯広グルメ
帯広を代表するグルメの一つに「インデアンカレー」があります。1968年開業以来、地元民に愛され、今では観光客にも人気のお店になっています。メニュー表を見ると、インデアンや野菜、ハンバーグ、エビなどと記載されているため、ルーは1種類と思っている方もいらっしゃるようですが、実はメニューによってルーが異なります。ルーは、牛肉と数十種類のスパイスが特徴で辛さ控えめの「インデアンルー」、ビーフのエキスと玉ねぎで旨味と甘味がある「ベーシックルー」、じゃがいもや人参など野菜がたっぷり入った「野菜ルー」の3種類あり、自分の好きなルーでオーダーすることができます。例えば、「エビ」はもともとベーシックルーですが、「インデアンエビ」と注文すれば、インデアンルーで提供されます。ちなみに筆者は「インデアンカツ、カツは後乗せ」とお願いし、カツを最後に乗せてもらうのが一番好きなメニューです。
また、これだけルーにこだわったお店なので、地元でもファンが多く、ルーだけでもお持ち帰りできるようになっております。その際、お鍋などの容器を持参すると、容器代無しで持ち帰ることができます。50名以上のイベントなどには、鍋ごと届けてくれます。新たな容器を使用せず、環境に優しい取り組みです。
③帯広で泊まりたいホテル
帯広市には多数のホテルがあり、温泉やサウナ、朝食などそれぞれ特徴があります。今回は、帯広駅からは少し離れたところにありますが、静かでサウナも人気な「森のスパリゾート 北海道ホテル」をご紹介します。1899年に前身の「北海館」が誕生し、1世紀を超える時を経て、2015年のリニューアルの際に、現在の名称へ生まれ変わりました。
「北海道を代表するホテルに」という志のもと、シェフやソムリエなど多くのプロ人材を擁し、農業王国と呼ばれる十勝らしく、地元の食材を使ったメニューも提供されます。
温泉は、世界的にも希少で、北海道遺産にも認定されている「モール温泉」です。モール温泉とは、炭化が進んでいない泥炭や亜炭層から湧出するため、植物性の有機物を多く含み、飴色でとろとろとした手触りが特徴で、入浴すると肌がすべすべになるように感じます。北海道ホテルの湯口から出るお湯は源泉100%で、ここ一帯のモール温泉の中でも、最も濃い色をしています。サウナは、十勝で初めて、本場フィンランド式のロウリュを取り入れたり、壁に施した白樺にモール温泉をかけるウォーリュを開発したりするなど、リラックス効果を高める工夫がされています。また、水風呂は清流日本一にもなった札内川の伏流水を使用しており、肌あたりもなめらかに感じます。温泉、サウナ、水風呂と自然の恩恵をたっぷりと受けることができます。
2025年現在、近畿日本ツーリストの旅行サイトから、カーボンオフセットなeco旅プランを予約することができます。このプランには、1日に一人が排出するCO2量に相当する5kgのカーボンオフセット費用が宿泊代金に含まれており、旅行に係るCO2排出量の一部の削減に取り組むことができます。
まとめ
今回、北海道は十勝地方の中心にあたり、農業王国とも呼ばれる帯広市の取り組みをご紹介しました。アクティビティやグルメ、ホテルにも帯広らしい様々な特徴がありますので、ご興味お持ちいただいたところへ、リジェネ旅として出かけてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
- 帯広市|「環境未来都市」構想
- 20250331_4th-vision1.pdf
- 帯広市ゼロカーボン推進計画| 帯広市ホームページ 十勝
- おひさまソーラーネット帯広| 帯広市ホームページ 十勝
- 帯広市環境モデル都市行動計画(2019年度~2023年度)| 帯広市ホームページ 十勝
- 平成19年度第1回「オーライ
- いただきますカンパニーについて – いただきますカンパニー
- 北海道におけるグリーンツーリズムの歴史といただきますカンパニーの取り組み2016.pdf
- インデアンカレーのメニュー | 各種大会、イベント、会合等には鍋ごとお届。カレーショップインデアン
- モール温泉のご案内|ご宿泊|【公式】森のスパリゾート 北海道ホテル
- 森のスパリゾート 北海道ホテル / 【カーボンオフセットでエコな旅!】2025年上期:持続可能なecoな旅 北海道 ツイン / / 禁煙 / 朝食付 【近畿日本ツーリスト】