GSTC新基準とは?ホテル・ツアーオペレーター向けスタンダード改定のポイント(2025年12月発表)

グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)は、ホテルおよびツアーオペレーター向けの業界基準(GSTC Industry Standard)の第4回改訂を完了し、2025年12月30日に発表しました。
これまでホテルとツアーオペレーターは一つの基準でまとめられていましたが、今回の改訂により、以下の2つに分かれました。
・GSTCホテル基準(GSTC Hotel Standard)
・GSTCツアーオペレーター基準(GSTC Tour Operator Standard)
この改訂により、GSTCが定める基準は次の5つとなります。
・デスティネーション基準
・ホテル基準
・ツアーオペレーター基準
・MICE基準
・アトラクション基準
さらに、飲食サービス事業者向けの基準も、今後発表される予定です。
各基準の詳細は、以下のページから確認できます。
https://www.gstc.org/the-gstc-industry-standard-revision/
今回の改訂の主なポイントは次の通りです。
・ホテルとツアーオペレーターの基準を明確に分離
・測定可能な指標(定量的な評価)の導入
・指標の解釈をより分かりやすくするためのガイドライン強化
GSTCの基準は、観光が自然環境や文化を守りながら、地域社会や経済にも貢献していくための指針として位置づけられています。
GSTC新スタンダードが示す、これからの旅の基準
観光は、どこまで「良いもの」と言えるのでしょうか。自然を守りながら、地域の文化を大切にし、経済にも貢献する。そうした理想はこれまでも語られてきたが、その実態を測る“ものさし”は、必ずしも明確ではありませんでした。
しかし今、その状況に変化が生まれています。
GSTCは、ホテルおよびツアーオペレーター向けの基準を改訂し、新たなスタンダードを発表しました。この動きは、これからの観光のあり方を考えるうえで、ひとつの重要な転換点となるでしょう。
「ひとつ」から「ふたつ」へ
これまでGSTCの業界基準は、ホテルとツアーオペレーターを一つの枠組みで扱っていました。しかし、今回の改訂で、その基準は明確に分けられています。
・ホテル向けの基準
・ツアーオペレーター向けの基準
それぞれの現場の違いを踏まえ、より実態に合った形へと見直されたと言えます。
観光は、ひとつの形では成り立ちません。宿泊、移動、体験など、それぞれに異なる役割や責任があります。今回の改訂は、そうした違いをあらためて整理し、観光の現場に即した基準へと進化させた点に大きな意味があります。
「語る」から「測る」へ
今回の改訂で特に重要なのが、「測定可能な指標」の導入です。
どれだけ環境に配慮しているのか。地域にどんな価値を生んでいるのか。それを、できる限り“見える形”で示していく。これは、観光の世界においても、「ストーリー」から「エビデンス」へと軸足が移りつつあることを意味しています。
ただし、それは単に数値化することが目的ではありません。何を大切にしているのか。どこにインパクトを生み出しているのか。それを、誰もが理解できる形で伝えるための手段としての「指標」なのです。
世界で広がる“共通言語”
現在、GSTCの基準は以下の5つに整理されています。
・デスティネーション(地域)
・ホテル
・ツアーオペレーター
・MICE(イベント・会議)
・観光施設(アトラクション)
さらに、飲食分野の基準も2026年に追加される予定です。これは、観光のあらゆる領域において、サステナビリティを共通の言語として扱おうとする動きでもあります。どの国でも、どの地域でも、同じ視点で「良い観光とは何か」を考えるための基盤。その役割をGSTCが担おうとしています。
観光は、誰のためのものか
GSTCの基準が示しているのは、単なるチェックリストではありません。それは、観光が本来持つべき役割を問い直すものでもあります。
自然を守ること。
文化を尊重すること。
地域に価値を残すこと。
そして、観光を通じて人と地域の関係性が深まること。観光は、ただ消費されるものではなく、未来に何かを残していく営みでもあります。
私たちは何を基準に旅を選ぶのか
今回の改訂は完成ではなく、変化の途中にあるひとつの節目に過ぎません。基準は数年ごとに見直され、世界の動きに合わせてアップデートされていきます。つまり、観光のあり方そのものも固定されたものではなく、変化し続ける存在です。
新しいスタンダードが示された今、問われているのは私たち一人ひとりの選択でもあります。どんな宿に泊まるのか。どんなツアーに参加するのか。その選択が、地域や環境にどのような影響を与えるのかを少し想像してみる。その積み重ねが、これからの観光の未来を形づくっていくのです。
観光の「ものさし」が変わり始めている今、私たちはどんな旅を選び、どんな関係性を築いていくのでしょうか。
