探究学習で「どんなテーマにすればいいのかわからない」と悩む高校生は少なくありません。興味のあることはあっても、課題研究として成り立つのか、発表しやすいのか迷うこともあるでしょう。
高校の探究学習では、学校生活や地域課題、心理学、医療、環境問題など、さまざまなテーマを扱えます。大切なのは、テーマ例をそのまま使うのではなく、自分の疑問や学校・地域の状況に合わせて問いに変えることです。
本記事では、高校生におすすめの探究学習テーマ例を分野別に紹介し、テーマ例を自分なりの問いに変える考え方も解説します。
高校生の探究学習ではどんなテーマが選ばれている?

高校生の探究学習では、睡眠やスマホ、SNS、学校生活のような身近なテーマから、地域活性化、環境問題、医療、国際理解のような社会と関わるテーマまで幅広く選ばれています。
高校の探究学習で大切なのは、ただ情報を調べてまとめることではありません。自分で問いを立て、資料調査やアンケート、観察などを通して考えを深めることです。2022年4月から本格的に始まった「総合的な探究の時間」では、生徒が自分の在り方や生き方と結びつく課題を見つけ、解決に向けて考える学びが重視されています。[1]
そのため、探究学習のテーマは「興味があるか」だけでなく、「自分で調べたり、考えを深めたりできるか」も意識して選ぶことが大切です。身近な疑問と社会とのつながりを意識すると、興味をもって探究できるテーマが見つけやすくなります。
高校生におすすめの探究学習テーマ例

ここでは、高校生におすすめの探究学習テーマ例を分野別に紹介します。気になるテーマがあれば、自分の学校生活や地域、進路に合わせて具体化したり、問いを変えたりしてみましょう。同じテーマでも、問いの立て方によって探究の方向性は変わります。
身近な生活に関する探究学習テーマ例
身近な生活に関するテーマは、自分の経験と結びつけやすく、高校生でも取り組みやすい分野です。学校生活や通学、睡眠、スマホの使い方などは、友人へのアンケートや自分の記録をもとに調べられます。
テーマ例は、次のとおりです。
- 高校生の睡眠時間と授業中の集中力には関係があるのか
- スマホの使用時間は学習時間にどのような影響を与えるのか
- 朝食を食べる習慣と集中力には関係があるのか
- 通学時間の長さは生活リズムにどう影響するのか
- 部活動と勉強を両立しやすい時間の使い方とは何か
- 高校生が使いやすい自習スペースとはどのような場所か
毎日の生活にある疑問も、問いに変えれば探究テーマになります。
心理学に関する探究学習テーマ例
心理学に関するテーマは、高校生の関心が高く、自分ごととして考えやすい分野です。人の気持ちや行動、友人関係、SNSとの関わりなどは、身近な場面から考えられます。
テーマ例は、次のとおりです。
- 第一印象はどのような要素で決まるのか
- 高校生の自己肯定感はSNSの使い方と関係があるのか
- 褒められ方によって学習意欲は変わるのか
- 集中しやすい音楽と勉強効率には関係があるのか
- 色や香りは人の気分にどのような影響を与えるのか
- 人はなぜ流行に影響されるのか
ただし、心の悩みや自己肯定感などのテーマで、友人や知人への調査を行う場合は、質問の仕方に配慮が必要です。個人が特定される質問や、答える人がつらくなる質問は避け、無理に回答を求めないようにしましょう。
地域探究・地域活性化に関するテーマ例
地域探究は、学校のある地域や自分が住む町を題材にしやすい分野です。商店街、観光、防災、公共交通、高齢化など、身近な地域にも探究のきっかけは多くあります。
テーマ例は、次のとおりです。
- 地域の商店街を活性化するには何が必要か
- 高校生が参加しやすい地域イベントとはどのようなものか
- 地元の観光地を若い世代に知ってもらうにはどうすればよいか
- 地域の空き家にはどのような活用方法があるか
- 高齢者が暮らしやすい地域にするには何が必要か
- 地域の公共交通を利用しやすくするにはどうすればよいか
地域の資料を調べたり、実際に現地でフィールドワークを行ったりすると、発表の説得力が増します。
言葉・文化・メディアに関する探究学習テーマ例
言葉や文化、メディアなどは、国語、英語、社会、情報といった科目と関連性が深く、調査や考察がしやすい分野です。
テーマ例は、次のとおりです。
- 若者の読書離れは本当に進んでいるのか
- 方言は地域の文化としてどのような役割を持つのか
- 高校生に伝わりやすい広告表現とは何か
- SNSの言葉づかいは人間関係にどう影響するのか
- ニュースの見出しによって受け取る印象は変わるのか
- 観光地の魅力はどのような言葉で発信されているのか
個人の感じ方や受け取り方の違いを比較しやすいため、同級生など、身近な人だけでも十分な調査が行えるテーマです。
科学・環境・テクノロジーに関する探究学習テーマ例
科学や環境、テクノロジーなどは、実験や観察にもとづいたリアルなデータが手に入りやすい分野です。身近な生活や学校の中にある疑問から始めやすく、結果を数値や記録としてまとめやすい点も特徴です。テーマ例は、次のとおりです。
- 植物の成長に光の色は影響するのか
- 食品の保存方法によって傷み方は変わるのか
- 水質の違いは地域の環境と関係があるのか
- AIは高校生の学習にどのように役立つのか
- 気温や湿度は集中力に影響するのか
- 学校で使う電気を減らすにはどのような工夫ができるのか
実験を行う場合は、安全にできるか、学校で道具を用意できるかを確認しましょう。
国際理解・多文化共生に関する探究学習テーマ例
国際理解や多文化共生のテーマは、日本と海外を比べたり、地域に暮らす外国人との関わりを考えたりできる分野です。英語や社会科の学びともつなげやすいでしょう。
テーマ例は、次のとおりです。
- 日本と海外の高校生の学校生活にはどのような違いがあるのか
- 訪日外国人観光客に伝わりやすい地域案内とはどのようなものか
- 多文化共生のために学校でできることは何か
- 海外の環境対策から日本が学べることは何か
- 英語で地域の魅力を発信するにはどのような表現が必要か
- 日本の学校文化は海外からどのように見られているのか
国際問題を広く扱うより、自身が通っている学校や地域と結びつけると調べやすくなります。
医療・健康・美容に関する探究学習テーマ例
医療、健康、美容は、高校生にとって身近で関心を持ちやすい分野です。睡眠、食生活、ストレス、肌の悩みなど、自分の生活とつなげて考えられます。
テーマ例は、次のとおりです。
- 食生活の乱れは高校生の体調にどう関係するのか
- 医療情報をSNSで調べるときの注意点は何か
- 美容に関する情報はどのように広がっているのか
- ストレスと肌荒れにはどのような関係があるのか
- 高校生が健康的な生活を続けるには何が大切か
健康に関する内容は、思い込みで断定しないことが大切です。公的機関や医療機関など、信頼できる資料を使いましょう。
SDGs・社会課題に関する探究学習テーマ例
SDGsや社会課題に関するテーマは、高校生にはあまり関わりのないテーマのように感じるかもしれません。しかし、食品ロス、ごみ、ジェンダー、防災、エネルギーなど身近な課題に置き換えれば、高校生活の中でも考えられます。
テーマ例は、次のとおりです。
- 学校で食品ロスを減らすにはどうすればよいか
- プラスチックごみを減らすために高校生ができることは何か
- ジェンダー平等は学校生活の中でどのように考えられるか
- 災害に強い地域づくりに高校生はどう関われるか
- エシカル消費は高校生にどのくらい知られているのか
- 海洋プラスチック問題を地域で考えるには何ができるか
大きな社会課題も、自分の学校や地域に関連付けると探究しやすくなります。
高校生がテーマ例を選ぶときのチェックポイント

テーマ例を見て気になるものが見つかったら、授業や発表に合う形にできるか確認しましょう。ここでは、紹介したテーマ例を使う前に確認しておきたいポイントを整理します。
授業内で調査できるテーマか確認する
高校の探究学習では多くの場合、限られた授業時間の中で調査から発表まで終えなければなりません。そのため、テーマを選ぶときは「授業内で調べられるか」「発表までにまとめられるか」を確認することが大切です。
探究学習は、課題を設定し、情報を集め、整理・分析し、まとめて表現する流れで進めます。[2]限られた時間の中でこの流れを進めるには、ある程度テーマの範囲を絞る必要があります。
たとえば「環境問題」だけでは範囲が広すぎますが、「学校でプラスチックごみを減らす方法」なら、調査対象が明確です。加えて、自分で資料を集められるか、校内でアンケートを取れるか、先生に相談しやすいかなどを確認しておくと、探究学習を進めやすくなります。
リアルなデータや信頼できるデータが集まりそうなテーマを選ぶ
説得力のある探究学習にするには、信頼できるデータを数多く集める必要があります。アンケートや観察を通して、十分な資料が集まりそうかを、事前に確認しておきましょう。
たとえば「睡眠時間と授業中の集中力」「SNSの利用時間と自己肯定感」「地域イベントへの参加意識」などは、同級生へのアンケートからリアルなデータを得やすいテーマです。
自分で集めたデータを取り入れることで、インターネットや書籍にはないリアルな情報が含まれた、説得力のある探究学習になります。
調査の方向性が見える問いにできるかを確認する
テーマ例を選ぶときは、何を調べるのかが具体的にイメージできるかも確認しましょう。「心理学」「美容」「地域活性化」などの大きな分野名のままだと、何を調べるのかが漠然としてしまいます。
たとえば美容に関するテーマにしたいなら、「美容情報はSNSでどのように広がっているのか」とすれば、調べる対象や方向性が具体的になります。
同じように、「地域活性化」なら「高校生が地域イベントに参加しやすくするには何が必要か」、「AI」なら「AIは高校生の学習をどのようにサポートできるのか」などと問いを絞ると、調べる内容が明確になります。問いが具体的になるほど、調査や考察につなげやすくなり、結果として発表内容も整理しやすくなります。
探究学習の高校生向けテーマ例を参考に、自分だけの問いを見つけよう
高校生の探究学習テーマは、難しいものを選ぶ必要はありません。睡眠・SNS・学校生活など、身近な疑問からでも探究テーマは作れます。
大切なのは、テーマ例をそのまま使うのではなく、自分の日常や学校、地域の課題と結びつけて具体化することです。「なぜ気になるのか」「何を明らかにしたいのか」まで考えると、自分らしい探究テーマに近づきます。
探究学習は、正解を探すだけの学びではなく、自分が何に関心を持ち、どのように社会と関わっていきたいかを考える機会でもあります。
本記事を参考に、自分らしい探究学習のテーマを見つけましょう。
「リジェネラティブ(再生)」や「サステナブル(持続可能)」な視点は、これからの社会を担う子どもたちの学びに不可欠な要素です。
株式会社アスエクでは、単なる見学や修学旅行にとどまらず、地域のリアルな課題解決を通じて生徒たちの「自ら問いを立てる力」を育む、実践的な探究学習プログラムを提供しています。
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参考文献
