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ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション

2024 7/22
経済(働き方、生産・消費、産業・技術)
アパレル産業 ドイツ ファッション 企業事例
2024-1-52024-7-22
ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション

ドイツ・ハンブルクを拠点とする「CLOSED(クローズド)」は、1978年にデニムブランドとしてスタートしました。のちに、デニム以外のフルラインを展開するアパレルブランドに発展し、ドイツ全国からヨーロッパ諸国に多くの店舗を構えています。

「100%エコレーベルではない」と公言しつつも、設立当初から積極的に地球環境に優しいものづくりに取り組んできました。”Step by step a little better “をモットーに掲げ、40年以上に渡り、伝統的な職人技術、素材や商品開発、市場に近いヨーロッパでの生産にこだわり(15%はアジア)尽力しています。

目次

エコデニムのパイオニア的存在「A BETTER BLUE」の誕生

2018年に登場したエコデニムライン「A BETTER BLUE(ア・ベター・ブルー)」は、エコデニム市場に画期的な変化をもたらし、のちにパイオニア的存在として認知されるようになりました。設立当初からパートナーシップを結ぶイタリアの老舗デニムメーカー「CANDIANI(カンディアーニ)」 と同じく、イタリア拠点のランドリー会社「Everest(エベレスト)」との共同開発によって、これまでなかった新しいエコデニムを誕生させることに成功しました。

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション
カンディアーニ社

カンディアーニ社は1938年創業のミラノの老舗デニムメーカーであり、環境保護地区に認定されています。ヨーロッパで最も環境に優しい織物工場として称されており、「CLOSED」のデニムには持続可能な方法で管理されている農園から収穫したオーガニックコットンを40%使用。他にも、「TENCEL™REFIBRA™”(テンセル リフィブラ )」と呼ばれる不要となった衣服からアップサイクルした綿くずと持続可能な森林から採集された木材パルプをミックスして作られた新しいリヨセル繊維も使用しています。

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション
イタリアのピオンビーノ・デーゼに拠点を構えるエベレスト社

エベレスト社は、自社が所有している水処理プラントで化学薬品を使用せずに環境に優しい洗濯工程を開発しており、水をほとんど必要とせず、化学薬品を一切使用しないデニム洗い工程を行っています。デザインの軸となる加工においては、サンドペーパーやサンダーを用いて表面を削ってダメージを付け、人工石や研磨材を洗濯機に挿入して洗うことにより、ストーンウォッシュに仕上げています。

カンディアーニ社によるイノベーションはこれにとどまらず、2019年には世界初となる堆肥化可能なストレッチ繊維「COREVA™(コレバ™)」を開発し、「CLOSED」はこれをストレッチデニム生地としてジーンズとジャケットに使用。「COREVA™」は、化石燃料由来の合成素材エラスタンに依存している従来のストレッチ素材とは異なり、マイクロプラスチックを放出しません。数ヶ月以内に生分解されるだけでなく、実際に堆肥となり土壌を肥やすことも実験により証明されており、それにより世界で初めて土に還るジーンズが誕生したのです。

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション

毎年、何十億着もの衣服が製造され、その多くは数回しか着用されずに捨てられています。さらに、これらの衣服の71%は化石燃料由来の合成素材で作られており、製造中の汚染を増加させるだけでなく、廃棄される際に環境への有害物質の放出を増加させています。これは長年に渡り、アパレル業界で問題視され続けている環境汚染問題の一つです。「COREVA™(コレバ™)」を使用しているデニムブランドにはDENHAMやディーゼルなどがあります。カンディアーニ社は、パートナーシップを結ぶデニムブランドと協力し、廃棄される衣服が地球に良い影響を与える世界を目指しているといいます。

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション
「COREVA™(コレバ™)」を使用して作られた「CLOSED」のストレッチジーンズ

「CLOSED」を代表する人気アイテムのジーンズは、金属製のジッパー、ボタン、スタッズはコロゾボタンに置き換えられ、木材パルプをベースにしたテンセル™糸で縫製されています。また、従来のジーンズにあしらわれているレザーパッチは使用せず、その代わりに分解可能な素材であるヴィナチュール™を使用し、ケアラベルにはオーガニックコットンを使用しています。

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション

このように、メインとなる生地だけでなく、縫製や付属に至るまで徹底したサステナビリティーを貫きながら、研究と開発、改良と改善を繰り返しながら究極のものづくりを目指しています。他にも、石川県を拠点とする合成繊維メーカー小松マテーレが開発した「ONIBEIGE(オニベジ)」というタマネギの皮、オリーブ、竹をアップサイクルし、植物色素で染色する技術や米国セントポールに本社を置く3M™(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社)が開発した100%リサイクルされたルースフィル繊維シンサレート™フェザーレスを中綿に加工して使用しています。

2022年に「CLOSED」が実施したサステナブル活動

「CLOSED」は、アパレルブランドの枠を超えたトータル的なサステナビリティーを徹底しており、オフィシャルサイトでも発表されている2022年の主な活動だけでも多岐に渡ります。例えば、2022年春夏コレクションでは58.4%、2022年秋冬コレクションでは67.2%のオーガニックコットン使用、オーガニック・カシミヤを50%使用。2022年より、消費者が使用済みの衣類からリサイクルしたコットンを導入し、オーガニック・ウール、リサイクル・ウール、リサイクル・リネン、リサイクル・エラスタンを前シーズンより多く使用。リサイクルすることで廃棄処分される衣類を減らし、二酸化炭素の排出量を削減し、バージン素材を生産するために必要な水などの資源の節約に繋がることを提唱しています。

また、中国のサプライヤー2社と決別し、リトアニアの新たなサプライヤーとパートナーシップを結び、アウターウエアの生産の一部をルーマニアとトルコのパートナーへと移行。サプライヤーを決める条件に労働条件が重要視されており、低賃金の国やファストファッション・メーカーを生産しているサプライヤーを避けています。ファストファッションの対極にある商品を作ることを目標としており、何年も着られる高品質の衣服を作っていることが理由に挙げられます。

2021年よりメンバーとなったフェアウェア財団(​​Fair Wear Foundation)から「A BETTER BLUE」のジーンズへ、二酸化炭素排出量を相殺するためのエコ活動の寄付がありました。同財団は、工場、労働組合、NGO、政府と協力し、フェアなファッションを実現するために活動しており、衣料品産業が労働者の安全で尊厳のある適切な賃金のある雇用の権利を衣料産業が支援する世界を目指しています。

ドイツはサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法(Lieferkettensorgfaltspflichtengesetz)を準備中。2023年1月に施行されるこの連邦法は、従業員数3,000人以上の企業に対して、サプライチェーンにおける人権や環境分野のデューデリジェンス(注意義務)の遵守が義務づけられることになっています。「CLOSED」の従業員数は現在400人であり、この法律の遵守義務はありませんが、すでに体制を整え始めることを視野に入れています。

2024年春夏コレクションに、モノグラムプリントのデニムシリーズが登場

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション
「CLOSED」2024年春コレクション

2024年春コレクションは、パリを拠点に活動するイギリス人写真家兼アーティストのサラ・ムーンにインスパイアされたパリとロマンスがテーマ。モノグラムプリントを全面にあしらったアイコニックなデニムシリーズを筆頭に、パリのグラフィティ・アーティスト、アントワン・ホルフィーを起用し、ペイントスプレーを施したデニム、ジャージーウェア、ニットなどが登場する予定です。

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション
「CLOSED」2024年夏コレクション

2024年夏は、ミラノのシックな街並みとアマルフィ海岸の美しいスタイルやヴェネツィア生まれの写真家でアーティストのロレンツォ・ヴィットゥリの色彩豊かな作品からインスピレーションを得ています。フレッシュなカラーが加わり、”la dolce vita “にインスパイアされた新しいプリントも登場。

ドイツ発CLOSEDが提唱するファッションの枠を超えたイノベーション
「CLOSED」2024年夏コレクション

「CLOSED」は老舗ブランドであり、大手アパレル企業であるからこそファッションの枠を超えたソーシャルグッドな活動を実現させることができるのは周知の事実ですが、設立当初からの長年に渡る地道な活動は世界に周知させるきっかけとなり、影響を受け、後に続くブランドも登場しているのではないでしょうか。特に、コロナ禍における世界中の動きは一変し、ヨーロッパにかなりの遅れを取っていた日本においてもサステナビリティーに対する思考が驚くほど変わりました。単なるトレンドではなく、私たちが生きるこの地球において今すぐに実行しなければならない最重要事項の一つであることは世界のニュースを見れば分かることでしょう。今に始まったことではありませんが、世界が足並みを揃えて動き出す時がようやくやってきたのだと感じます。

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