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リジェネラティブツーリズム(再生型観光)とは?注目される理由や実践ポイントを解説

2026 8/10
リジェネラティブツーリズム
サステナブルツーリズム リジェネラティブツーリズム 持続可能な観光
2026-8-12
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「環境や地域に配慮した旅をしたいけれど、具体的に何をすればよいのだろう」「観光は地域にとって、どのような形が望ましいのだろう」と考えたことはないでしょうか。

リジェネラティブツーリズム(再生型観光)とは、観光による環境や地域社会への負荷を抑えるだけでなく、旅を通じて自然環境や文化、地域の暮らし、経済をより良い状態へ導くことを目指す考え方です。

本記事では、リジェネラティブツーリズムの意味をはじめ、サステナブルツーリズムやレスポンシブルツーリズムとの違い、注目されている背景、旅行者や観光事業者、地域の関係者が実践できる取り組みを解説します。

旅を一方的な消費で終わらせず、地域の再生やより良い未来につなげるために、どのような関わり方ができるのかを見ていきましょう。

目次

リジェネラティブツーリズム(再生型観光)とは

リジェネラティブツーリズムとは、旅を通じて地域を訪問前よりも良い状態にすることを目指す観光のあり方です。

観光を単なる事業として捉えるのではなく、自然、文化、地域社会、経済が相互に関係する活動として考える点に特徴があります。

「リジェネラティブ」が意味する再生・回復

「リジェネラティブ(Regenerative)」には、「再生する」「回復させる」といった意味があります。

そのためリジェネラティブツーリズムでは、旅行者や観光事業者が、地域の回復や発展に自ら貢献していくことで、環境の回復や文化の継承、新たな交流などポジティブな変化が生まれる状態を目指します。

たとえば、傷んだ自然環境が回復する、地域文化の新たな担い手が育つ、住民が地域への誇りを取り戻すといった変化が挙げられます。

大切なのは、外部の人が一方的に地域を変えることではありません。地域が望む将来像に向けて、自然、文化、社会、経済が継続的に回復・発展していく仕組みを、地域内外の関係者がともにつくることです。

観光を地域の再生につなげる

リジェネラティブツーリズムでは、旅行者が単に満足感を得るだけでなく、旅を通じて地域の人や自然とつながり、旅行者自身の意識や行動が変わることを重視します。

そして、変化した旅行者が自然保全活動に参加したり、地域産品を購入したりすることで、その行動が地域や自然の再生へとつながっていくのです。

リジェネ旅が発行する『インパクトガイドブック』では、この流れを「つながる」「変わる」「再生する」「広がる」の4段階で整理しています。リジェネラティブツーリズムの考え方について、より深く学びたい方はぜひこちらもご覧ください。

「リジェネ旅」のインパクトガイドブックとは

「旅という手段を使って、地域や社会をより良くしたい」
そう願うすべての人のために、旅がもたらすポジティブな影響を体系的にまとめたガイドブックを作成しました。

本資料では、旅の影響を「環境・社会・経済・文化」の4つの分野に分類。
さらに、変化が生まれるプロセスを「つながる→変わる→再生する→広がる」の4ステップで整理しています。

専門知識がなくても、旅が持つ本来の力を構造的に理解し、具体的なアクションに繋げることができる一冊です。

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リジェネラティブツーリズムとサステナブル・レスポンシブルツーリズムの違い

「リジェネラティブツーリズム」と似た考え方に、「サステナブルツーリズム」や「レスポンシブルツーリズム」があります。いずれも、地域や環境を大切にする視点は共通していますが、重点を置く対象や、目指す変化に違いがあります。

考え方主な目的
サステナブルツーリズム観光による負荷を抑え、地域が持続的に存続できる状態を保つ
レスポンシブルツーリズム旅行者や事業者などが、自分の行動と影響に責任を持ち、地域に配慮した行動を取る
リジェネラティブツーリズム観光を通じて地域の回復や再生をうながす

サステナブルツーリズムとの違い

サステナブルツーリズムは、観光による環境や社会、経済への影響に向き合い、その地域が持続的に存続していくことを目指す考え方です。地域の人々の暮らしと旅行者の楽しみの両方を大切にしながら、中長期的に観光地を守り、育てていきます。[1]

一方、リジェネラティブツーリズムは、悪影響を抑えるだけでは終わりません。地域が抱える課題の解決を目指し、旅を学びや交流、新たな価値を生む体験へ変えていきます。

レスポンシブルツーリズムとの違い

レスポンシブルツーリズムは、旅行者や観光事業者が、自分の行動とその影響に責任を持ち、地域への配慮を大切にする旅の形です。環境への負担を減らす、地域文化を尊重する、地域の暮らしや経済に貢献するといった行動を重視します。[2]

リジェネラティブツーリズムでも、こうした責任ある行動は欠かせません。ただし、リジェネラティブツーリズムでは、行動の有無だけでなく、その結果地域にもたらされた変化にも焦点を当てます。

具体的には、次のような視点を重視します。

  • 地域の商品を買うだけでなく、それが雇用の創出や文化の継承につながったか
  • 自然の保全活動に参加するだけでなく、実際に環境が回復したか

このように、単なる行動にとどまらず、地域をより良くするための長期的な成果までを追求するのが、リジェネラティブツーリズムの特徴です。

なぜリジェネラティブツーリズム(再生型観光)が注目されているのか

リジェネラティブツーリズムが注目されている背景には、年々深刻化する観光による悪影響や地域への負荷があります。

観光は地域に仕事や交流を生む一方で、自然への負荷や混雑、利益の地域外への流出を引き起こすことがあります。近年は、こうした問題を抑えるだけでなく、観光を地域の回復や発展に役立てる考え方が求められているのです。

気候変動やオーバーツーリズムへの対応が求められている

旅行には、移動によるCO2の排出、水やエネルギーの消費、ごみの発生といった負荷が伴います。また、旅行者が特定の場所や時期に集中すると、過度な混雑や騒音が発生するほか、自然環境を傷つけたり、地域住民の暮らしに深刻な影響が及んだりすることがあります。

こうした背景から、これまでの「観光による悪影響を減らす」という考え方から一歩進み、課題を根本から解決する「リジェネラティブツーリズム(再生型観光)」が求められるようになりました。

観光の「量」から「質」への転換が進んでいる

これまでの観光では、来訪者の数や経済効果といった「量」の拡大が成果として重視されてきました。しかし、いくら来訪者が増えても、観光による利益が地域外へ流れ、住民の暮らしや文化が疲弊すれば、地域の豊かさにはつながりません。

そこで近年、重視されているのが、地域との深いつながりや地域への貢献、旅を通じた学びといった「質」を重視した観光です。

地域の人と交流し、土地の背景を知る。地域の宿泊施設や飲食店を利用し、地元産の食材や地域のガイドを選ぶ。旅の後も再訪や地域産品の購入を続ける。こうした質を重視した観光は、旅行者と地域との継続的な関係を育み、地域の事業者や住民を長期的に支える力となります。

リジェネラティブツーリズム(再生型観光)を形づくる4つのインパクトとは

リジェネラティブツーリズムの実践は、以下の4つのインパクトを生み出します。

  • 環境:自然環境を守るだけでなく回復させる
  • 社会:地域の暮らしとつながりを育てる
  • 経済:観光の利益を地域内で循環させる
  • 文化・心:地域の文化を深く学び、誇りと継承につなげる

これら4つの分野は、それぞれが独立しているわけではありません。互いに深く結びつき、ポジティブな連鎖を生み出します。

自然環境を守るだけでなく回復させる

環境へのインパクトでは、自然を傷つけない配慮に加え、さらに豊かな状態へ自然を回復させることを目指します。

そのためには、在来種や生態系を守る、資源を繰り返し使う、環境再生の取り組みに積極的に参加するといった行動が求められます。たとえば、ごみの徹底した分別や、移動手段の工夫によるCO2の削減、植林や自然調査といった活動への参加など、多様なアクションで関わることができます。

地域の暮らしとつながりを育てる

社会へのインパクトで重視するのは、観光によって地域の暮らしを守りながら、人と人とのつながりを育むことです。そのためには、混雑や騒音、ごみ、公共サービスへの負担を抑えると同時に、観光の恩恵を雇用や収入、住民が活躍できる機会として地域に還元する必要があります。

こうした好循環を生み出すには、計画段階から住民が話し合いに参加し、地域の実情に合ったルールや運営方法を整えることが大切です。

観光の利益を地域内で循環させる

観光で大きな経済効果が生まれても、仕入れや運営を地域外に頼れば、旅行者が使ったお金は地域に還元されません。以下のような手段で、観光で得た収益を地域に残すことが大切です。

  • 食品や工芸品には地元産の食材や材料を使う
  • 宿泊施設や交通手段は地域の事業者を利用する
  • 地域に住む人にガイドを担当してもらう

また、こうして得た観光収益を自然保全、文化継承、人材育成などへ再投資する仕組みも重要です。

地域の文化を深く学び、誇りと継承につなげる

文化・心へのインパクトでは、旅行者が地域の文化を表面的に楽しむだけでなく、その背景にある歴史や人々の思いに触れることを大切にします。文化の意味を理解したうえで体験することが、地域への敬意や感謝を育てます。

旅を通じて得た学びや感謝が、再訪や応援につながるとき、文化は未来へ受け継がれ、地域の誇りも育っていくでしょう。

リジェネラティブツーリズム(再生型観光)を実践する3つのポイント

リジェネラティブツーリズムを形にするには、旅行者や観光事業者、地域住民などさまざまな主体が、それぞれの役割を理解し、協力することが大切です。

以下の3つの視点からリジェネラティブツーリズムを実践するためのポイントを解説します。

  • 旅行者:地域のルールを学んでから訪れ、現地での行動やその後の応援を通じて地域に寄り添うこと
  • 観光事業者:地域の未来を考えた旅行プランを作り、自然や文化に利益を還元していくこと
  • 地域・行政など:みんなが話し合える場を作り、豊かな町づくりをリードすること

旅行者ができること

旅行者はまず訪問前に、できるだけ地域について学びましょう。文化や歴史、暮らしの様子を理解することは、リジェネラティブツーリズムの第一歩となります。

そして現地では、地域の宿や店、交通、ガイドを選び、地域の人の話に耳を傾けることが大切です。

より積極的に地域課題に関わるなら、植林、清掃、文化継承など、地域が必要としている活動へ参加する方法もあります。

旅を終えた後は、地域産品の購入や寄付、再訪、情報発信などを通じて、地域と継続的な関係を築きましょう。

観光事業者ができること

観光事業者に求められるのは、「売れる観光商品」を一番に考えるのではなく、「地域が実現したい未来」を認識することです。

そして、その未来から逆算し、旅行者にどのような体験や行動を提供し、地域にどのような成果を残すかを設計します。その際、地域内での調達や雇用を増やしたり、収益の一部を自然保全や文化継承へ還元する仕組みづくりも欠かせません。

また、自社の事業が地域や行政が掲げるビジョンに対して、どう貢献できているかを定期的に見直すことも大切です。

地域・行政・DMOができること

地域、行政、DMOができるのは、住民を含めた地域全体が目指す将来像を共有し、観光をその実現手段として位置づけることです。そのために、住民、事業者、専門家、そして旅行者が継続的に話し合える場をつくり、役割や地域のルールを決めていく必要があります。

また、取り組みの成果は、旅行者数や消費額だけで判断してはいけません。自然環境の回復状況や、住民の満足度、関係人口の増加数など、複数の指標を組み合わせて確認します。

地域ごとの自然、文化、課題に合わせ、対話と改善を続けることが重要です。

日本で進むリジェネラティブツーリズム(再生型観光)の取り組み

日本でも、リジェネラティブツーリズムは少しずつ広がっています。

たとえば、島根県海士町では、島の自然や文化を学べる滞在拠点と、教育や地域産業を結びつけた地域づくりが行われています。また、愛媛県大洲市では、歴史的な町家を宿泊施設や店舗として再生し、観光による収益を町並みや伝統文化の継承へつなげています。

両地域に共通するのは、地域独自の価値を観光の中心に置き、行政、民間事業者、住民などが協力している点です。

リジェネラティブツーリズム(再生型観光)で観光を地域の再生につなげよう

リジェネラティブツーリズムは、自然を守り、観光による負荷を減らすだけの考え方ではありません。旅の体験を、自然環境の回復、地域経済の循環、住民のつながり、文化や心の継承へ結びつける新たな旅の形です。

そのためには、旅行者や住民、観光事業者、行政、DMOが協力し、地域の回復と再生に取り組む必要があります。

次に旅へ出るときは、何を楽しむかと同時に、自分の訪問が地域に何を残せるかを考えてみてください。その問いから、地域の未来に参加するリジェネラティブな旅が始まります。

リジェネラティブツーリズムに関するよくある質問(FAQ)

リジェネラティブツーリズムについて理解を深めるため、関連する観光の考え方や活用方法について、よくある質問に回答します。

リジェネラティブツーリズムとグリーン・ツーリズムの違いは何ですか?

グリーン・ツーリズムは、農山漁村に滞在し、自然や文化に触れ、地域の人々との交流を楽しむ観光です。一方、リジェネラティブツーリズムは対象地域を農山漁村に限定せず、観光を通じて自然環境や文化、地域社会、経済により良い変化を生み出そうとする考え方です。

リジェネラティブツーリズムはインバウンド観光にも活用できますか?

活用できます。その際は、地域の文化や暮らしのルールを訪日外国人旅行者へ分かりやすく伝え、地域の事業者や住民が企画・運営に関われる体験を設計することが大切です。

さらに、地域内からの調達や適正な対価の支払いを組み込めば、観光収益の地域内循環にもつながります。

参考文献

[1] 観光庁|日本版持続可能な観光ガイドライン

[2] 責任ある旅行者になるためのヒント

リジェネラティブツーリズム
サステナブルツーリズム リジェネラティブツーリズム 持続可能な観光
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