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バルセロナのオーバーツーリズムの実態とは?原因や対策を紹介

2025 3/03
サステナブルツーリズム
サステナブルツーリズム 各国の事例 持続可能な観光
2025-2-122025-3-3
バルセロナのオーバーツーリズムの実態とは?原因や対策を紹介

美しい建築と豊かな文化で知られるバルセロナが、深刻な「オーバーツーリズム」問題に直面しています。人口160万人の街に年間1,560万人もの観光客が押し寄せ、住民生活に大きな影響を与えています。

2024年7月には「バルセロナは売り物じゃない」と訴える市民デモが行われ、世界的な注目を集めました。しかし、この問題は観光客数の制限だけでは解決できません。

本記事では、バルセロナのオーバーツーリズムの実態と原因を探り、行政・住民・観光業者が一体となって取り組む解決策を紹介します。観光と地域社会の調和。バルセロナの挑戦から、その可能性を考えていきます。

目次

オーバーツーリズムとは

観光地が抱える深刻な問題として、近年注目を集めているのが「オーバーツーリズム」です。これは、観光客の急増により、地域住民の生活の質や観光客自身の体験の質が著しく低下する現象を指します。

この問題は、2016年にSkift社が「オーバーツーリズム」という言葉を生み出して以来、世界的な課題として認識されるようになりました。

国連世界観光機関(UNWTO)は、デスティネーションの物理的・経済的・社会文化的環境を損なうことなく、同時に受け入れ可能な観光客数を超えた状態と定義しています。

具体的には、以下の3つの状況が重なった時に発生します。

  • 訪問客が地域の許容量を超えて増加し、特定の季節に集中する場合
  • 観光客による騒音や渋滞などの悪影響が住民の許容範囲を超える場合
  • 観光施設の急増による地域の物理的・経済的な変化が著しい場合

このような状況は、単なる観光客数の問題ではありません。その地域の受け入れ能力と観光による影響のバランスが崩れることで発生します。そのため、解決には観光客数の制限だけでなく、地域全体での包括的な対応が必要とされています。[1]

スペイン・バルセロナのオーバーツーリズムの実態

バルセロナは、その魅力的な地中海性気候と独特の文化で世界中から注目を集める観光都市です。

2023年の観光客数は、バルセロナ市だけで約1560万人、バルセロナ県全体では約2600万人に達しました。[2] この数字は、バルセロナの人口160万人と比較すると、いかに多くの観光客が訪れているかが分かります。

特に夏季のピーク時期には、サグラダファミリアやランブラス通りなどの人気スポットで深刻な混雑が発生しています。

住民生活への影響

バルセロナの住民は、観光客の急増による生活環境の悪化に直面しています。

最も深刻な問題は住宅危機です。2023年6月時点で、バルセロナの家賃は前年比18%も上昇し、多くの住民が経済的な圧迫を受けています。観光客向けの短期賃貸物件が増加したことで、地域住民向けの長期賃貸物件が減少し、住宅不足が深刻化しているのです。

地元住民からは「街が完全に観光客向けになってしまった」という声が上がっています。

日常生活に必要な商店が観光客向けの土産物店やレストランに置き換わり、地域コミュニティの崩壊も懸念されています。また、深夜まで続く騒音や路上でのマナー違反など、生活環境の悪化も大きな問題となっています。

環境への影響

観光客の大量流入は、バルセロナの環境に深刻な影響を及ぼしています。特に夏季には、エアコンの使用増加による電力消費の急上昇や、水資源の過剰消費が問題となっています。

また、クルーズ船の寄港による大気汚染も深刻で、市は2023年に特定のターミナルへの入港制限を実施せざるを得ない状況に追い込まれました。ビーチエリアでは、観光客による廃棄物の増加や海洋汚染が問題化しています。

また、観光客の移動に伴う交通渋滞の増加は、大気汚染の悪化や騒音公害をもたらしています。これらの環境問題は、地域の生態系にも悪影響を与えています。

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文化・歴史的遺産の毀損

バルセロナでは、年間1000万人を超える観光客が訪れることで、都市の文化的な本質が大きく変容しています。

特に旧市街地では、地域住民向けの伝統的な商店が観光客向けの土産物店やレストランに置き換わり、地域本来の生活文化が徐々に消失。この変化により、住民の日常生活に必要な店舗が減少し、地域コミュニティの持続可能性が脅かされています。

この変化は単なる商業施設の変更だけでなく、地域コミュニティの在り方にも影響を及ぼしています。特にゴシック地区では、かつての文化的・芸術的な雰囲気が薄れ、観光客向けの画一的な空間へと変貌しています。

バルセロナのオーバーツーリズムの原因

バルセロナの観光客数は、2023年にはバルセロナ市だけで約1560万人、バルセロナ県全体では約2600万人に達しました。この数字は、人口160万人の都市にとって極めて深刻な状況を示しています。

観光客の急増は、グローバル化による移動の容易さ、デジタル技術の発展、そして街の魅力的な観光資源が相まって引き起こされました。

さらに、観光インフラの整備が観光客の増加に追いついていないことも、問題を一層深刻化させています。

グローバル化がもたらした観光客の急増

デジタル技術の発展は、バルセロナへの観光客増加を加速させる大きな要因となっています。モバイルアプリやオンライン予約システムの普及により、世界中の旅行者が簡単に旅行を計画し予約できるようになりました。

特にSNSの影響は顕著で、サグラダファミリアやゴシック地区などの観光スポットの写真が拡散され、さらなる観光客を呼び込む結果となっています。

また、Airbnbなどの民泊プラットフォームの台頭も、観光客増加の重要な要因です。これらのプラットフォームは、従来のホテル滞在よりも手軽で、現地の生活を体験できる宿泊オプションを提供しています。

しかし、この急速な普及は住宅市場に大きな影響を与え、2016年以降、約9,700件の違法な観光用アパートが閉鎖される事態となりました。

観光地としての圧倒的な魅力

バルセロナの観光的魅力は、建築、文化、自然が見事に調和している点にあります。特にアントニ・ガウディの建築群は世界的な注目を集め、サグラダファミリアやカサ・バトリョ、グエル公園などの建造物は、ユネスコ世界遺産に登録されています。

これらの建築物は、独特の有機的なデザインと芸術性で、年間数百万人の観光客を魅了し続けています。

地中海性気候と美しいビーチも、バルセロナの大きな魅力です。年間を通じて穏やかな気候と、28のブルーフラッグビーチを有する海岸線は、世界中の観光客を引きつけています。

さらに、カタルーニャ料理の豊かな食文化も重要な観光資源となっています。タパスやパエリアなどの伝統料理は、美食の街としてのバルセロナの評価を高める存在です。

観光インフラの限界と管理体制の不備

バルセロナの観光インフラは、急増する観光客数に対応しきれていません。

特に問題なのは、サグラダファミリアやランブラス通りなどの人気スポットへの観光客の一極集中です。一日に最大35,000人もの観光客が特定のエリアに集中することで、深刻な混雑が発生しています。

観光客管理システムの未整備も大きな課題です。2023年には、ホテルと観光用アパートの合法的な宿泊施設数が約125,000床に達しましたが、それに加えて約50,000床の違法な宿泊施設が存在していると報告されています。

この状況に対し、市は2028年までに全ての観光用アパートのライセンスを取り消す計画を発表しましたが、その実効性については疑問の声も上がっています。

バルセロナのオーバーツーリズム対策

バルセロナは観光客の急増による様々な課題に直面していますが、行政、住民、観光業者が一体となって解決に向けた取り組みを進めています。

2023年から2025年にかけて、市は16の目標と48の具体的なアクションを含む包括的な観光戦略を展開。[3]この戦略は、観光による経済的利益と住民の生活の質のバランスを取ることを目指しています。

行政の取り組み

バルセロナ市は、観光客による影響を軽減するため、複数の革新的な政策を導入しています。2024年10月からは観光税を大幅に引き上げ、五つ星ホテルの宿泊者に対して1泊あたり6.75ユーロの課税を実施。この税収は、インフラ整備や持続可能な観光の推進に活用されています。

観光戦略の展開により、30%以上の観光客が市中心部以外のエリアを訪れるようになり、観光収入の地域分散化に成功しています。

さらに、2028年までに全ての観光用アパートのライセンスを廃止する計画を発表し、住宅供給の確保と家賃高騰の抑制を目指しています。クルーズ船に関しても、特定のターミナルへの入港制限を実施。環境負荷の軽減を図っています。

また、市は「Barcelona, our home. And yours.」というキャンペーンを展開。観光客のマナー向上を促進しています。[4]

ほかにも「Check Barcelona」アプリの導入により、観光客はサグラダ・ファミリアなどの主要観光地の混雑状況をリアルタイムで確認できるようになりました。その結果、混雑時には別の観光スポットへの誘導が可能になっています。

住民の取り組み

バルセロナの住民たちは、観光問題に対して積極的な行動を起こしています。2024年7月には、150以上の活動家グループが集まり、大規模な抗議デモを実施しました。

「バルセロナは売り物じゃない」というスローガンを掲げ、観光産業の在り方に一石を投じています。

特筆すべきは、「観光衰退のための近隣協議会(ABDT)」の活動です。この組織は、単なる観光反対ではなく、持続可能な観光の実現を目指して政策提言や教育活動を行っています。

地域コミュニティでは、伝統的な祭りや文化イベントを通じて、観光客と地域住民の交流を促進する取り組みも行われています。

観光業者の取り組み

観光産業も持続可能な観光への転換を促進。多くのホテルや飲食店がBiosphereやEcostarsなどの環境認証を取得し、エネルギー効率の改善や廃棄物削減に取り組んでいます。

地域の小規模な家族経営ホテルでは、観光客に対してより本物の体験を提供し、地域文化の保護と経済発展の両立を図っています。

ツアーオペレーターは、混雑の緩和と観光体験の質の向上を目指し、少人数制のガイドツアーやオフシーズンの観光プランを積極的に提案。

また、環境に配慮した交通手段の利用や、地域の伝統工芸品の購入を推奨するなど、持続可能な観光の普及に努めています。

まとめ|バルセロナのオーバーツーリズム問題と今後の展望

バルセロナでは、人口160万人の都市に年間1,560万人もの観光客が押し寄せ、深刻な問題が発生しています。住宅危機、環境問題、文化的アイデンティティの喪失など、多岐にわたる課題に直面しています。

こうした状況に対し、バルセロナでは包括的な観光戦略を展開中です。観光税の引き上げ、短期賃貸規制、クルーズ船の寄港制限など、具体的な対策を実施しています。

注目すべきは、行政や住民、観光業者が一体となって持続可能な観光モデルの構築を目指している点です。文化遺産の保護と観光の両立を図る取り組みは、他の観光都市の参考になるでしょう。

また、バルセロナの挑戦は、観光による経済的利益と住民の生活の質のバランスをどう保つかという、現代の観光都市が直面する普遍的な課題への答えとなるのではないでしょうか。

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参考文献

[1]「オーバーツーリズム(観光過剰)」?

[2] Destination Barcelona ends 2023 with 26 M tourists and an economic impact of direct spending of 12,750 M euros

[3]SUSTAINABLE TOURISM STRATEGY

[4]Responsible tourism | Meet Barcelona | Barcelona City Council




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