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観光DXの核心「観光型MaaS」とは?持続可能な観光を実現する仕組みと最新事例

2026 5/15
リジェネラティブツーリズム
オーバーツーリズム サステナブルツーリズム 企業事例 持続可能な観光 観光型Maas
2026-5-19
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現在の観光産業は人口減少に伴って二次交通の維持が困難になっていたり、特定の地域に観光客が集中するオーバーツーリズムが発生していたりと、さまざまな問題を抱えています。観光産業が直面するこれらの課題を打破する切り札として、今「観光型MaaS(マース)」が注目されています。

観光型MaaSは、表面的な移動手段のデジタル化にとどまるものではありません。交通・宿泊・体験を一元化することで、旅行者の利便性向上と、データ駆動型の戦略的な観光経営(観光DX)を同時に実現する、次世代の社会インフラです。

本記事では、観光型MaaSの定義からビジネス実装におけるメリット、そして持続可能な観光地経営(サステナブルツーリズム)を加速させる最新事例までを解説します。

目次

観光型MaaSとは?

MaaS(Mobility as a Service)とは、従来バラバラだった鉄道、バス、タクシー、シェアサイクルといった多様な移動手段を、IT技術によって「一つのサービス」として統合する概念を指します。目的地までの検索、予約、決済を一気通貫で行える仕組みであり、移動を所有(自家用車)から利用へとシフトさせる次世代のインフラです。

このMaaSの仕組みを、観光振興や地域課題の解決に特化させたものが「観光型MaaS」です。[1]

日常的な移動を支える一般的なMaaSに対し、観光型MaaSの最大の特徴は、移動手段の提供のみならず、観光施設の入場券、飲食店での決済、宿泊予約といった「目的地での消費活動」までをデータでつなぐ点にあります。これにより、移動という手段と、観光という目的をシームレスに融合させ、旅行者には利便性を、地域には回遊性の向上やマイカー利用の減少による環境負荷の低減といったメリットをもたらします。

MaaSの5段階レベル

MaaSの発展段階は、スウェーデンのチャルマース工科大学が提唱した「5段階のレベル」によって定義されます。 国内のプロジェクトの多くは「レベル2」から「レベル3」の実装フェーズへの移行期にあるのが現状です。

レベル統合の段階具体的な内容・サービス形態
レベル0情報の独立各交通機関が個別に時刻表や運行情報を提供している状態。
レベル1情報の統合経路検索アプリ(Google Mapsなど)で、複数の手段を組み合わせた最適ルートが表示される状態。
レベル2予約・決済の統合複数の移動手段の予約や支払いが一つのアプリで完結する状態。
レベル3サービスの統合交通だけでなく、観光体験や宿泊を含めた定額制(サブスクリプション)やパッケージ料金が提供される状態。
レベル4政策の統合都市計画や環境政策と連動。データに基づき、地域全体の交通・観光資源が最適化される最終段階の状態。

事業者の視点に立てば、自社のサービスがどのレベルを目指すのかを明確にすることが重要なポイントです。限定的な「デジタルチケットの販売(レベル2)」に留まるのか、あるいは「地域全体の体験価値をパッケージ化したサービス(レベル3)」を目指すのかといった視点が事業の成否を分けます。

なぜ今、観光型MaaSが求められるのか

国内外の旅行需要の回復に伴い、観光産業は再び活況を見せています。一方で、人手不足やインフラの老朽化、特定の観光地への集中といった構造的な課題が顕在化しています。これらの課題を解決し、持続可能な観光経営を実現する解決策として、観光型MaaSの実装が求められています。

オーバーツーリズムの解消

特定のエリアや時間帯に観光客が集中するオーバーツーリズムは、地域住民の生活環境を脅かすだけでなく、観光体験の質を著しく低下させます。

観光型MaaSは、リアルタイムの混雑状況に応じた「ダイナミック・プライシング(変動料金制)」の導入や、代替ルート・周辺スポットへの誘導をデジタル上で可能にします。人流を戦略的にコントロールして地域全体のキャパシティを最適化することは、満足度の維持と環境負荷の軽減を両立させる有効な手段といえるでしょう。

地方交通の維持と観光の共生

地方では人口減少によって利用者が減り、地方の公共交通ネットワークの維持が難しくなっています。

観光型MaaSを導入することで、観光客が地域のバスや鉄道などの公共交通機関を利用しやすくなり、地域の交通事業者の収益改善につながります。

さらに、AIオンデマンド交通(AIが需要に応じてルートや運行時間を柔軟に調整する交通サービス)などを組み合わせれば、観光客の利便性向上と地域住民の移動手段確保を両立するモデルも構築可能です。これは、地域公共交通を持続可能なものにするための不可欠な戦略といえます。

デジタルネイティブ世代への対応

現在の、そしてこれからの主要なターゲット層は、スマートフォンでの情報収集や行動に慣れているデジタルネイティブ世代です。

彼らにとって、紙のチケット購入や現金払い、複数のアプリを使い分ける手間は、旅の大きな離脱要因となります。そのため「検索・予約・決済・チケット提示」をシームレスに完結させる観光型MaaSは、もはや付加価値ではなく、選ばれる観光地・サービスであるための必須条件へと変化しつつあります。

観光型MaaSの3つのメリット

観光型MaaSの導入は、一過性のユーザー利便性の向上にとどまらず、提供側の経営構造や環境負荷の低減にも大きなインパクトを与えます。ここでは「旅行者」「地域・事業者」「環境」の3つの視点から、その具体的なメリットを解説します。

1.【旅行者】移動のストレスを解消し「観光体験」を最大化

旅行者にとって最大のメリットは、移動に伴う「迷いや手間」と「時間的ロス」の削減です。

慣れない土地での経路検索や、事業体ごとに異なる決済手段への対応といったストレスを排除することで、旅行者の意識を移動の不安から観光の楽しみへと集中させることが可能になります。また、シームレスな予約・決済環境は、予定になかったスポットへの立ち寄りや体験の追加予約をうながし、旅全体の満足度を底上げします。

2.【地域・事業者】データを活用した観光経営(観光DX)の実現

事業者側における最大の恩恵は、これまで把握しづらかった旅行者の行動データが可視化されることです。

アプリを通じて「誰が・いつ・どのルートで移動し・どこで消費したか」という一連の行動データを収集・分析できるようになります。

さらに、需要予測に基づくスタッフ配置の最適化や、新たな観光ルートの開発なども可能に。このように、データを活用した意思決定が進むことで、より効率的で精度の高い観光地運営につながります。

3.【環境】持続可能な観光(サステナブルツーリズム)の推進

環境負荷の低減は、現代の観光地運営で避けて通れない重要なテーマです。

観光型MaaSは、自家用車やレンタカーから、環境負荷の低い公共交通機関やシェアサイクル、EVバスへのシフトを強力に後押しします。また、効率的な配車システムによる空車走行の抑制や、デジタルチケット化によるペーパーレスの推進など、移動の効率化がそのまま脱炭素への貢献に直結する点も見逃せません。こうした取り組みは、ESG投資やサステナブルな旅を重視するグローバルな市場ニーズに応えることにもつながります。

観光型MaaSの課題と解決策

観光型MaaSは移動・観光・消費を一体的につなぐことで利便性向上や地域活性化に大きなメリットをもたらす一方、実際の導入・運用においては、さまざまな課題が存在します。特に、多くの事業者や関係者が関わることから、調整や運用面でのハードルが生じやすい点には注意が必要です。持続可能な事業とするためには、以下の3点に対する現実的な解決策が求められます。

  • 収益性の確保
  • 事業者間の連携の壁
  • ITリテラシーのハードル

収益性の確保

MaaSプラットフォーム単体での手数料ビジネスだけでは、システムの開発・維持費をまかないきれないケースが少なくありません。

解決策としては、交通決済だけでなく、「周辺店舗からの送客手数料」「広告配信」「データ外販」など、多層的な収益モデルの構築が必要です。特に、持続可能な観光運営を目指す自治体では、補助金に依存しすぎない仕組みづくりが求められます。

そのため、宿泊税などの観光関連財源をシステム維持に充てるなど、地域全体のインフラとして継続的に予算を組み込む設計も考えられます。

事業者間の連携の壁

鉄道、バス、タクシーなど、既存の各事業者が個別に予約・決済システムを保有している場合、データの連携や利益配分のルール作りが難航します。

解決策としては、共通のAPI(異なるシステムを連携するためのインターフェース)を整備し、システム同士を接続しやすくすることが有効です。あわせて、特定の企業が主導するのではなく、地域DMOや協議会などが中立的な立場で調整役を担い、データ活用によるメリットを関係者全体で共有できる仕組みを整えることが重要です。

ITリテラシーのハードル

サービスを利用する高齢層の旅行者や、サービスを提供する現地の小規模な飲食店・商店にとって、デジタルツールの操作はハードルとなることがあります。

解決策としては、利用者側にはアプリのインストールが不要なWebブラウザ型(PWA)や、LINEなど既存のサービスを活用した仕組みを提供することが有効です。店舗側についても、専用端末を導入しなくても二次元コードで決済が完結するなど、運用負担の少ない仕組みを整えることで、導入のハードルを下げることが求められます。

観光型MaaSの最新活用事例|次世代観光DXの現場

理論的な枠組みを超え、国内ではすでに実社会への実装とデータ活用が進んでいます。地域特性に応じた3つの代表的なモデルを紹介します。

日光MaaS(栃木県)

NIKKO MaaS(日光マース)公式サイトのトップページ
画像出典:NIKKO MaaS(日光マース)フリーパスのご案内

日光MaaSは東武鉄道を中心に、自治体、環境省、そしてNTTドコモビジネスが連携し、環境負荷低減と地域経済の活性化を両立させている国内屈指の成功事例です。[2]

鉄道・バスのデジタルフリーパスに加え、歴史的建造物の入場券、EV・PHV(プラグインハイブリッド車)のカーシェア、シェアサイクルなどをスマートフォンで一括して予約・決済できる仕組みを構築。特に、国立公園であり脱炭素先行地域でもある奥日光では、クリーンエネルギー車両との連携を強化し、環境に配慮した観光スタイルの実現につなげています。

また、NTTドコモの「モバイル空間統計」を活用した人流データの分析により、潜在顧客に向けた精度の高いデジタルプロモーションを展開。その結果、湯西川エリアのチケット売上が前年度比600%に増加し、プロモーションのPV数も当初想定の5倍以上を記録するなど、集客と収益の大幅な向上を実現しました。

さらに、いろは坂など特定エリアへのマイカー流入の抑制による渋滞緩和や、観光客の分散化によるオーバーツーリズムの軽減にもつながっています。

九州MaaS(広域連携)

九州MaaS公式サイトのトップページ
画像出典:【公式】九州MaaS ~ 九州がまるっとつながる

九州MaaSは、九州地方の行政や事業者などが協働で進める、国内最大規模の広域連携モデルです。[3]「九州はひとつ」という理念のもと、行政と民間が一体となって推進しています。

JR九州や西日本鉄道をはじめ、九州7県全域のバス・フェリー・タクシーなど多様な交通手段と、観光・商業施設といった生活サービスをデジタル上で一体化。地域の商店や観光施設で使えるクーポンの発行など、「移動」と「消費」を組み合わせたサービス展開も進められています。

さらに、TSMC(台湾の半導体大手企業)の進出によって増加している台湾からのビジネス客や観光客に対しても、移動手段や観光情報をスムーズに提供できる環境を整備。これにより、増加する来訪者を各地域へ分散させ、観光消費の拡大や広域観光の促進につなげる役割を果たしています。

オホーツク観光MaaSプロジェクト(北海道)

電子チケット「網走&小清水&知床ぐる旅パスポート」のイメージ画像
画像出典:株式会社未来シェア

網走市・小清水町・斜里町といった広大なエリアにおける「ラストワンマイル」の解消と、観光客の利便性向上を目指す先進的な広域連携モデルです。[4]

網走バス、JAL、JR北海道、斜里バスの4社が連携し、対象エリアとサービスの拡大が進められています。共通の電子チケット「網走&小清水&知床ぐる旅パスポート」を使えば、JR釧網本線や各地の路線バス、AIオンデマンドバス「どこバス+plus」を一つのデジタルツールでスムーズに利用可能です。また、AIオンデマンドバスの運行範囲が女満別空港まで広がり、空港から主要な観光スポットへのアクセスもしやすくなりました。

さらに、交通空白地帯の解消に加え、JALによる「手荷物当日配送サービス」の導入など、手ぶらで観光できる環境づくりも進行中です。

このようにデジタル技術を活用することで、交通の便が悪い地域でも「乗りたい時に乗りたい場所へ行ける」持続可能な交通網が生まれつつあります。運転手不足といった地域の深刻な課題を解決しながら、旅行者の満足度も高めるこの仕組みは、知床半島を含む広大な観光エリア全体の魅力向上にもつながっています。

観光型MaaSに関するよくある質問(FAQ)

観光型MaaSを効果的に活用するには、その本質や発展プロセスの理解が重要です。「そもそもMaaSとは何か」という基礎知識から、2026年現在の日本における導入レベルまで、ビジネスの現場で頻出する疑問に回答します。

そもそもMaaSとは何?

MaaSは2014年、フィンランドのヘルシンキで提唱された概念が発祥とされています。その後2015年に開催された国際会議ではMaaS推進のための国際団体が設立され、「自家用車と同等、あるいはそれ以上に快適な移動を公共交通で実現する」というビジョンのもと、北欧から世界へ広がりました。[5]

従来の交通が事業者ごとの縦割りサービスであったのに対し、MaaSはユーザー中心の横断的サービスへの転換を意味します。観光型MaaSは、この思想を観光分野に適用し、移動(Mobility)と目的地での消費(Experience)をデータで統合したモデルです。

日本のMaaSのレベルは?

国内では現在、多くの地域が予約・決済を統合した「レベル2」の実装を終え、交通と商業(観光・医療・不動産等)の連携という日本版MaaS独自の展開を見せています。

2026年現在は、国が推進するスマートシティの枠組みの中で、交通データと都市OSを連動させる「レベル4」の先行モデルが各地で登場。例えば、トヨタが主導する実証都市「Woven City」や、福島県会津若松市のスマートシティプロジェクトでは、交通だけでなくエネルギーや行政サービスのデータを統合し、都市全体の最適化を目指す取り組みが進められています。

単なる技術的な統合にとどまらず、人口減少下での公共交通の維持やカーボンニュートラルといった、社会課題解決と表裏一体で進化しているのが日本版MaaSの特徴です。

まとめ|観光型MaaSが切り拓くサステナブル・リジェネラティブツーリズムの未来

観光型MaaSは、利便性のみを追求するシステムではありません。地域に点在する観光資源をつなぎ、人流を最適化することで、環境保護と経済の活性化を両立させる「観光DXの基盤」としての役割を担っています。

今後は、マイナスをゼロにするサステナブル(持続可能)な視点に加え、MaaSがもたらす人流データや収益を地域へ還元し、地域をより豊かに再生させるリジェネラティブ(再生型)な観光への貢献が期待されています。デジタルとリアルの融合による新しい旅の形は、今後さらに注目されていくでしょう。

参考文献

[1]MaaSとは? 具体例付きでメリットや課題、利用法を大学教授が解説

[2]日光市の観光MaaS | ドコモのプロジェクト事例 | 事業を知る

[3]九州MaaSについて | 九州がまるっとつながる

[4]JAL、JR北海道、斜里バスが連携し、 2025年度「オホーツク観光MaaSプロジェクト」を実施します

[5]MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス) について

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