企業研修において、「内容が退屈で学びが定着しない」「受講者が受け身になってしまう」といった悩みを抱える企業は少なくありません。
そこで近年注目されているのが、ゲームや体験型プログラムを取り入れた「面白い企業研修」です。研修の楽しさを大切にしつつも、参加者の主体性を引き出し、実務への行動変容をうながすためのアプローチです。
本記事では、最新の事例をもとに、面白い企業研修がなぜ成果につながりやすいのか、その特徴と成功のポイントについて解説します。
企業研修に「面白さ」が求められる理由

今の時代に求められる「自ら考え、協力して動ける人材」を育てるため、企業研修は座学から「体験・実践型」へと進化しています。
そのなかでいま注目なのが、ゲームやフィールドワークを取り入れた「面白い企業研修」です。面白さを入り口にして主体性を引き出し、学んだことを実際の行動へとつなげる「仕掛け」として活用されています。
主体性を引き出せるため
従来の講義型研修では、受講者が受け身になりやすいという課題がありました。一方で、ゲームやシミュレーションを取り入れた「面白みのある研修」では、自ら情報を集め、考え、判断しながら進める場面が数多く生まれます。
与えられた知識を覚えるだけではなく、自分で意思決定する経験を積むことで当事者意識が高まり、学習への没入度も高まるためです。
学習内容が定着しやすいため
ゲームやクイズ、シミュレーションなどの面白い仕掛けがあると、受講者は研修に関心を持ち、主体的に参加しやすくなります。また楽しみながら判断や試行錯誤を重ねることで、学んだ内容を具体的な経験として振り返れる点も特徴です。
SDGsやサステナビリティのような抽象的なテーマも、カードゲームなどを通じて疑似体験すれば、自分の仕事と結びつけて理解できます。面白さは、学びを印象に残し、実務へ活かすためのきっかけになります。
コミュニケーションが活性化するため
面白い企業研修は、参加者同士の会話を生み出すきっかけにもなります。ゲームや共同作業では、情報共有や相談をしながら課題に取り組むため、座学よりも自然に対話が生まれやすくなります。
普段は接点の少ない部署や役職のメンバーでも、共通の目標や楽しさを共有すれば、発言や意見交換への心理的な負担を減らすことが可能です。研修の面白さを対話の入口として活用すれば、相互理解や信頼関係を深める機会にもつながります。
チームビルディングにつながるため
面白い企業研修の多くは、一人で完結するのではなく、チームで課題に挑戦する形式を採用しています。共に試行錯誤して課題を乗り越えるプロセスのなかで、お互いの得意分野や考え方への理解が深まり、強い信頼関係が生まれます。
とくに、外に出るフィールドワークやゲームを使った研修では、普段の仕事では気づきにくい「チームの隠れた強みや課題」がはっきりと見え、組織全体の力を高めるきっかけになるのです。
面白い企業研修の最新事例6選

近年の企業研修で大きなトレンドになっているのが、ゲームやフィールド体験などの要素を取り入れた「面白い企業研修」です。
単なる「実践型」にとどまらず、思わず夢中になるような「面白さ」の仕掛けがあるからこそ、受講者の主体性が引き出され、深い学びへとつながります。
1. 謎解き・脱出ゲーム型研修(ゲーミフィケーション)
謎解きや脱出ゲームの要素を取り入れた研修は、近年注目を集めている企業研修プログラムの一つです。参加者はチームで協力しながら課題解決に取り組み、限られた時間の中で情報を整理し、意思決定を行います。
この手法が成果につながりやすい理由は、「情報共有の重要性」を体感できる点にあります。謎解き型研修では、参加者それぞれが異なる情報を持ちながら課題に向き合うため、コミュニケーション力や課題解決力、チームワークの向上につながるのです。
具体的例としては、株式会社ハートクエイクが提供する謎解きチームビルディング研修「消えた提案書の謎」などがあります。[1]

2. ビジネスシミュレーション・カードゲーム研修
ビジネスシミュレーション・カードゲーム研修は、経営者やプロジェクト責任者の立場を疑似体験しながら意思決定を学ぶ研修です。参加者は限られた予算や時間、人材といった経営資源の中で選択を繰り返し、その結果をゲーム形式で体験します。
この手法が成果につながりやすい理由は、意思決定の結果が可視化される点にあります。実際の業務では、判断の良し悪しが分かるまで時間がかかることも少なくありません。一方、シミュレーション型研修では、自分たちの選択が組織や業績にどのような影響を与えるのかを短時間で体験できます。
たとえば、株式会社IKUSAが提供する「あそぶ社員研修」では、ビジネスゲームを活用しながら課題解決力やロジカルシンキングを養うプログラムを展開。[2]

参加者同士が議論を重ねながら意思決定を行うことで、主体性やチームワークの向上につなげています。
3. サステナビリティ体験型研修(SDGs・ESG・脱炭素)
サステナビリティ体験型研修は、SDGsやESG、脱炭素といった社会課題を、座学ではなく体験を通じて学ぶ研修です。近年はサステナビリティ経営への関心の高まりを背景に、多くの企業で導入が進んでいます。
この手法が注目されている理由は、社会課題を「自分ごと化」しやすい点にあります。SDGsやESGは重要なテーマである一方、言葉だけでは事業との関係性をイメージしにくい側面があります。そこでカードゲームやシミュレーションを活用し、企業活動と環境・社会課題のつながりを体験的に学ぶプログラムが増えています。
たとえば、キヤノンシステムアンドサポート株式会社では、新入社員研修にミテモ株式会社の「2030SDGsカードゲーム」を導入しています。[3]

参加者は経済・環境・社会のバランスを考えながらプロジェクトを進め、自らの意思決定が社会全体に与える影響を体験。SDGsを単なる知識ではなく、自分ごととして捉える機会につなげています。
4. アウトドア・フィールド型チームビルディング研修
アウトドア・フィールド型研修は、屋外や非日常的な環境を活かし、チームで課題解決に挑む体験型プログラムです。オフィスを離れることで役職の壁がなくなり、フラットな意見交換が生まれやすくなります。
たとえば、株式会社IKUSAの「チャンバラ合戦」を用いた研修では、チームで戦略を練りながらミッション達成を目指します。[4] 限られた条件下で役割分担と意思決定を繰り返すため、単なる遊びに終わらず、実務に役立つ連携力が身につく点が特徴です。

楽しさをともないながら、現場に近い協働体制を再現し、組織力を底上げできる手法として活用が広がっています。
5. DX・データ活用シミュレーション研修
「DX・データ活用研修」は、実際のデータを使って試行錯誤しながら、データ活用の重要性を体験できるプログラムです。
ビジネスの現場では、勘や経験だけに頼ると判断を誤るおそれがあります。この研修の特徴は、自ら仮説を立ててデータを分析し、行動を選ぶ過程から「データに基づく判断」の重要性を実感できる点です。
DX・データ活用研修の例としては、NECのワークショップが挙げられます。[5] 参加者が課題の発見からデータ分析、解決策の検討までを体験し、「どのデータを使えば判断の質を高められるか」を実践的に学べる内容です。

こうした経験を通じて「データはただの数字」という認識が変わり、研修後もデータを根拠に考える習慣の定着につながります。
6. 社会課題フィールド研修
社会課題フィールド研修は、地域や社会課題の現場に入り、一次産業や地域づくりに携わる人々と関わりながら学ぶ体験型研修です。資料や統計だけでは見えにくい現場の制約、関係者の立場、意思決定の背景に触れることで、参加者は自社の事業と社会とのつながりを捉え直せます。
たとえば、社会課題に関する情報発信・スタディツアーなどを行う株式会社リディラバの「フィールドアカデミー」では、企業人材が自治体や地域事業者と協働し、社会課題の解決に取り組みます。[6] 単なる視察で終わらず、現場での対話や実践を通じて課題の構造を理解する点が特徴です。

こうした越境学習は、普段の業務や組織の役割を客観視し、自分の判断軸を見直す機会になります。
面白い企業研修を成功させる4つのポイント

研修の「面白さ」は、あくまで手段です。成果を高めるためには、面白さに加えて以下の設計が不可欠です。
- ゲーミフィケーションを目的とセットにする
- 現場体験と接続したプログラムにする
- 振り返りのプロセスを組み込む
- 行動変容をゴールに置く
まず重要なのは、ゲーミフィケーションを単なる盛り上げ要素として扱わないことです。ゲーム性や競争構造は参加意欲を高める一方で、目的と切り離されると娯楽で終わってしまいます。どのような行動変化や意思決定力を育てるのかを明確にしたうえで設計することが前提となります。
次に、学びを現場と接続する視点が欠かせません。研修内での理解にとどめず、実際の業務や社会課題と結びつけることで、受講者は「自分の仕事ならどう活かすか」という具体的な思考に移行できます。
さらに、体験を振り返るプロセスも重要です。研修中に得た気づきを言語化し、業務にどう活かすかを整理することで、経験は単なるイベントではなく学習として定着します。
そして最終的に、行動変容をゴールに据えることが不可欠です。理解度や満足度ではなく、受講後の行動がどう変わったかを評価軸に置くことで、研修の効果が高まります。
リジェネ旅が提供する「地域とつながる」企業研修

上記で挙げた「現場体験」や「社会課題との接続」を実践する選択肢の一つとして、リジェネ旅では地域とつながる企業研修を提供しています。
これは地域・自然・産業の現場をフィールドとして活用し、サステナビリティを体験的に学ぶものです。単なる見学ではなく、実際の地域課題や現場のリアルに触れることで、参加者の視点や行動を根本から変える力があります。
「リジェネラティブ(再生)」や「サステナブル(持続可能)」な視点は、これからの企業経営に不可欠な要素です。
株式会社アスエクでは、単なる視察にとどまらず、地域のリアルな課題解決から自社のサステナビリティを問い直す、実践的な研修を提供しています。
持続可能な組織づくりと次世代への価値還元の第一歩を、ともに踏み出してみませんか?
研修内容の確認やご相談は、以下よりお問い合わせいただけます。
成果につながる「面白い企業研修」で、知識から体験の時代へ
企業研修は今、大きな転換期を迎えています。
これまでは「座学で知識を得る」スタイルが一般的でした。しかし近年は、実際の社会課題に触れ、自分たちで解決策を考える「体験型」の研修が求められています。
そして研修には「ただ楽しい」だけでなく、「社会を良くする」という手応えが必要です。社員が心から納得して取り組めるプログラムを作れるかどうかが、これからの企業成長の鍵を握ります。
今回ご紹介した手法やポイントを参考に、貴社の目的に最適な「成果につながる研修」を設計してみてください。楽しさと学び、そして社会的な意義が結びついたとき、研修は組織の成長を加速させる大きな力となるでしょう。
面白い企業研修に関してよくある質問(FAQ)
面白い企業研修に関して、効果や実務との関係に疑問を抱く方もいるでしょう。以降では、そうした疑問に回答します。
面白い企業研修を導入するときの注意点は?
「面白さ」を目的にしてしまうと、研修がイベント化してしまう点に注意が必要です。ゲーム性や体験要素はあくまで手段であり、行動変化やスキル定着といった成果につなげる設計が前提になります。
また、研修後にそのまま終わらせず、日々の仕事の中でどう活かすかを言語化する時間を設けることが重要です。これがないと、印象は残っても実務に結びつかない研修になりやすくなります。
面白い企業研修は新入社員研修にも使える?
面白い企業研修は、新入社員研修と相性が良く、とくに効果が出やすい領域です。座学中心よりも理解しやすく、チームでの動き方や基本的な仕事の進め方が早く身につくためです。
一方で、楽しさが強く出すぎると「レクリエーション研修」と誤解される可能性もあるため、学習目的とのバランス設計が重要です。
参考文献
[1] 【導入事例】「消えた提案書の謎」トランスコスモス株式会社様
[3] 2025年度新入社員研修 研修事例・ワークショップ事例|キヤノンシステムアンドサポート株式会社 – ミテモ株式会社
