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総務省の新制度「ふるさと住民登録制度」が再生型観光を後押しする

2026 4/23
リジェネラティブツーリズム
サステナブルツーリズム ニュース 持続可能な観光
2026-4-22026-4-23
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2026年3月27日、総務省は「ふるさと住民登録制度」ガイドライン(Ver.1.0)を公表した。[1] 観光から一歩踏み込み、地域の「担い手」として継続的に関わる人々を公的に可視化するこの仕組みは、旅を通じた地域再生「リジェネラティブツーリズム(再生型観光)」の考え方と深く共鳴する。

目次

ふるさと住民登録制度創設の背景 | 「来て、消費して、去る」観光からの転換

全国的な人口減少が加速する中、農業や林業、地域コミュニティの運営など、地方が直面する担い手不足は深刻さを増している。一方で、コロナ禍を経て、移住ほどの決断はできなくても「特定の地域と深く関わりたい」と考える都市生活者は着実に増えている。

総務省が今回示したガイドラインは、こうした「関係人口」を単なる統計上の概念にとどめず、制度として可視化・認定し、地域の担い手確保や活性化につなげることを目的としている。

リジェネラティブツーリズムとは、訪れた地域を「消費」するのではなく、生態系や地域社会・文化の再生に貢献する旅のあり方を指す。その核心にあるのは、旅行者と地域との間に生まれる「継続的で双方向の関係性」だ。今回の制度はまさにその関係性を公的インフラとして整備しようとするものであり、両者の方向性は一致している。

ふるさと住民登録制度の仕組み | ベーシックとプレミアム 2つの関わり方

画像出典:「ふるさと住民登録制度」ガイドライン【Ver.1.0】

ふるさと住民登録制度はアプリを通じて誰でも利用でき、登録の深さによって「ベーシック登録」と「プレミアム登録」という2つの区分が設けられている。

ベーシック登録は、関心のある自治体を登録ボタン一つで登録できる、間口の広い仕組みだ。登録数に制限はなく、自治体からの観光・イベント情報や地域ニュース、担い手募集情報などが届くようになる。まずは地域を「知る」「気にかける」入口として機能する。

プレミアム登録は、より深い関与を希望する人のための認定制度だ。必須要件は「年3回以上、自治体が指定する担い手活動を実施すること」。農業ボランティアや清掃活動、まちづくりへの参画、副業・兼業による地域事業への関与など、活動の種類は多岐にわたる。登録できる自治体は最大3団体(域内市区町村がある都道府県はカウント外)に限られ、関わりの「深さ」を担保する設計になっている。

また、年間10日以上の長期滞在を行うプレミアム登録者については、二地域居住者として登録証に明示できる仕組みも設けられており、「定住」と「訪問」の間に位置する新たな居住スタイルへの制度的サポートが始まる。

ふるさと住民登録リ制度が持つ3つの可能性

ふるさと住民登録制度は、単なる関係人口を増やすための施策にとどまらない。観光事業者や地域づくりを担う人々にとって、これまでの「一時的な観光」を「継続的な地域貢献」へと進化させる強力な後押しとなる。

1. 旅の「継続性」を制度が保証する

リジェネラティブツーリズムにおいて、単発の訪問では地域への貢献が表面的にとどまりやすいという課題は常に指摘されてきた。年3回以上の担い手活動を要件とするプレミアム登録は、この継続性を制度的に担保する点で画期的だ。

同じ田んぼで季節ごとに農作業を手伝い、同じ漁港で漁師の仕事を少しずつ理解し、同じ集落の運動会や雪下ろしに参加し続ける。そうした積み重ねの中でこそ、旅行者は「よそ者」から地域の「仲間」へと変わっていく。ガイドラインが「地域に活気をもたらし、発展につながる」と述べる関係人口の質的向上とは、まさにこの変容のプロセスに他ならない。

2. 「担い手活動」の多様性が、旅の形を広げる

指定可能な担い手活動の範囲は広い。イベント企画・運営、農業ボランティア、草刈りや雪下ろしといった生活インフラの維持、RMO・自治会・NPOへの参加、観光PR大使や審議会委員としての役職活動まで、各自治体が地域のニーズに応じて柔軟に指定できる。

これはリジェネラティブな旅の実践においても重要な意味を持つ。旅行者が持つスキルや関心(農業、デザイン、教育、医療、テクノロジーなど)を地域課題の解決に接続できるかどうかが、旅の地域貢献度を大きく左右するからだ。「私にできることで、この地域の役に立てる」という実感が、旅を消費から再生へと転換させる。

3. サポート施策が「住む」と「訪れる」の境界を溶かす

プレミアム登録者には、交通費・宿泊費補助やワーキングスペース利用料補助、公共施設の住民並み利用、さらには空き家改修費補助など、多様なサポート施策が提供されうる。ガイドラインはこうしたサポートを「住所地を離れた拠点のない地域で活動するうえでのディスアドバンテージの解消」と位置づけている。

この設計は、リジェネラティブツーリズムが長年求めてきた「旅行者が地域に根を張れる環境」の整備と重なる。ホテルに泊まり観光地を巡るだけでなく、地域の空き家に滞在し、地元の人々と食卓を囲み、その土地の課題に汗をかく。そうした旅の形を後押しする公的インフラが、ついに動き始めようとしている。

ふるさと住民登録制度の活用 | 自治体・民間事業者の共創

ふるさと住民登録制度ガイドラインは、民間事業者との連携も想定している。プレミアム登録者に対し、登録者本人の同意のもとでサービスを提供する事業者へ情報を共有するシステム連携も今後整備される予定だ。リジェネラティブツーリズムを実践する旅行事業者、農泊・里山体験を提供する地域事業者、あるいはワーケーション施設の運営者にとって、プレミアム登録者はまさにコアターゲットとなりえる。

自治体にとっても、この制度は「担い手を外から呼び込む」だけでなく、関係人口の量と質を可視化する経営資源になる。ベーシック登録者の属性データや関心事項のアンケート結果を分析することで、地域への関心層の傾向を把握し、より効果的な情報発信や担い手プロジェクトの設計につなげることができる。

「旅行者」が「住民」になる社会へ

システムは令和8年(2026年)度中に稼働予定であり、令和9年度までに参加する自治体は運用経費の負担を求められない。特別交付税措置も創設され、関係人口拡大に取り組む自治体への財政支援も手当てされる。

「ふるさと住民登録制度」は、旅のあり方を問い直す制度的な一歩だ。旅行者が地域の課題を我が事として受け取り、技術と時間と情熱を地域のために使う。そうした関係性の積み重ねが、人口減少という構造的な課題に向き合う地域に、長期的な再生の芽をもたらすだろう。リジェネラティブ・ツーリズムを実践しようとする人々にとって、この新制度は強力な追い風となる。

参考文献

[1]「ふるさと住民登録制度」ガイドライン【Ver.1.0】

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