SDGs探究学習に取り組むとき、「どんなテーマを選べばよいのか」「身近な課題でもよいのか」「どのように進めればよいのか」と悩む人は多いでしょう。SDGs探究学習では、国際的な課題だけでなく、学校生活や地域、家庭の中にある身近な問題もテーマにできます。
本記事では、SDGs探究学習の意味や進め方、テーマを選ぶポイント、具体的なテーマ例をわかりやすく解説します。探究学習のテーマを決めたい生徒はもちろん、授業づくりに悩む先生にも役立つ内容です。
SDGs探究学習とは?

SDGs探究学習とは、SDGsに関わる社会課題をテーマに、自分で問いを立て、調べ、考え、解決策や行動につなげていく学習です。
SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、持続可能な社会を目指す17の目標を指します。貧困、教育、ジェンダー、環境、平和など、世界や地域に関わる幅広い課題が含まれています。[1][2]
一方、探究学習とは、自分で問いを立て、情報を集め、整理・分析し、発表や実践につなげる学びです。[3]単に情報を調べてまとめるだけでなく、「なぜそうなっているのか」「自分たちに何ができるのか」を考える点に特徴があります。
つまりSDGs探究学習は、SDGsが示す社会課題と、探究学習の進め方を組み合わせた学びです。

SDGsと探究学習は相性がよい
SDGsには、環境・貧困・教育・地域・平和など、探究の入口になるテーマが多く含まれています。たとえば、学校の食品ロスや地域のごみ問題も、SDGsの目標と結びつけて考えることができます。
また、SDGsは「自分たちに何ができるか」を考えやすい分野です。調べた内容をもとに、学校での取り組みや地域への提案につなげやすいため、探究学習のテーマとして扱われることが多くあります。
SDGs探究学習の進め方|基本の4ステップ

SDGs探究学習は、以下の4ステップで進めると整理しやすくなります。文部科学省の学習指導要領でも、探究の過程は「課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」の流れで示されています。
- 課題を見つける
- 情報を集める
- 整理・分析する
- まとめて発表・実践する
1. 課題を見つける
まずは、身近な違和感や困りごとから課題を見つけます。学校、地域、家庭、ニュースなどに目を向けると、テーマのヒントが見つかります。
このとき、「食品ロスをなくすには?」のような大きなテーマよりも、「自分の学校で出る給食の食べ残しを減らすには?」のように内容を絞ると、調査や発表につなげやすくなります。
2. 情報を集める
テーマが決まったら、インターネットや書籍、新聞、自治体資料などを使って情報を集めましょう。食品ロス・環境・防災・福祉などのテーマでは、国や自治体が公開している資料も参考になります。
また、アンケートやインタビューを行うと、自分たちならではの調査になります。情報を使うときは、発信元が明確か、データが新しいか、信頼できる資料かを確認しましょう。
3. 整理・分析する
集めた情報は、そのまま並べるだけでなく、原因、影響、解決策などに分けて整理しましょう。複数の資料を比較したり、アンケート結果をグラフにしたりすると、考察しやすくなります。
たとえば、学校の食品ロスを調べる場合は、「どの場面で残食が多いのか」「なぜ残してしまうのか」「どのような工夫ができるのか」に分けて考えると、発表内容がまとまりやすくなります。
4. まとめて発表・実践する
最後に、調べた内容や考えた解決策を、プレゼンテーションやポスター、動画、レポートなどにまとめます。発表では、「なぜそのテーマを選んだのか」「どのような方法で調べたのか」「何がわかり、何を提案するのか」を順序立てて整理すると伝わりやすくなります。
提案だけで終わらせず、学校や家庭でできる小さな実践につなげると、単なる知識にとどまらない「生きた学び」へと変わります。
またアワードやコンテストへの応募も、学びを広げるのに効果的です。文部科学省は、探究的な学習活動に関する全国発表の場や、SDGsをテーマとするコンテストへの参加を学習活動の一例として挙げています。
SDGs探究学習のテーマを選ぶポイント

SDGs探究学習のテーマを選ぶときは、次の5つのポイントを意識すると進めやすくなります。
- 自分ごととして考えられるテーマを選ぶ
- 身近な課題からSDGsにつなげる
- 調査や実践ができるテーマにする
- テーマは広すぎず具体的にする
- SDGsの目標とのつながりを確認する
テーマは、関心のある課題、調査できる課題、SDGsと結びつく課題の3点から考えると選びやすくなります。テーマに迷ったときは、日常の「当たり前」を疑ったり、自分の好きなこととSDGsを掛け合わせたりすると、独自性のある問いを見つけやすくなります。
自分ごととして考えられるテーマを選ぶ
SDGs探究学習では、自分の生活や経験と関係のあるテーマを選ぶことが大切です。興味のあるテーマであれば、情報収集や考察を続けやすく、「なぜこの課題を調べたいのか」も説明しやすくなります。
たとえば、ファッションが好きなら衣服の大量廃棄、スポーツに関心があるならジェンダー平等や地域交流など、好きなことからSDGsにつなげることも可能です。
反対に、関心が薄いテーマを選ぶと、調査が浅くなりやすいため注意が必要です。まずは、自分が日常生活で疑問に思ったことや、改善したいと感じたことから考えてみましょう。
身近な課題からSDGsにつなげる
身近な課題から始めると、調査対象を見つけやすく、具体的な提案にもつなげやすくなります。
SDGsというと、貧困や気候変動など世界規模の問題を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、SDGsは発展途上国だけでなく、日本などの先進国にも関係する普遍的な目標です。
そのため学校のごみ問題、地域の高齢化、通学路の安全、食品ロス、制服やジェンダーなども、SDGsにつながるテーマになります。
また、テーマを考えるときは「当たり前」を疑ってみることも有効です。「なぜ学校には制服があるのか」「なぜ食品ロスはなくならないのか」「なぜ環境によい商品は価格が高い傾向があるのか」と考えると、探究につながる問いが生まれます。
調査や実践ができるテーマにする
テーマを選ぶときは、実際に調べたり、行動に移したりできるかも確認しましょう。インターネットで調べるだけでなく、アンケート、インタビュー、観察、比較調査などができるテーマにすると、内容に深みが出ます。
よくある失敗は、興味のあるテーマを選んだものの、資料が少なかったり、自分たちで調査できなかったりすることです。テーマを決める前に、どのような資料があるか、誰に話を聞けるか、どこで観察できるかを考えておくと安心です。
テーマは広すぎず具体的にする
「地球温暖化をなくすには?」「貧困をなくすには?」「世界を平和にするには?」といったテーマは大切ですが、そのままでは範囲が広すぎて、調査や提案が難しくなります。
たとえば、「地球温暖化をなくすには?」ではなく、「自分の学校で電気使用量を減らすには?」「自分の住んでいる地域のプラスチックごみを減らすには?」のように、場所や対象を絞ると探究しやすくなります。大きな社会課題ほど、身近な具体例に落とし込むことが重要です。
SDGsの目標とのつながりを確認する
テーマを決めたら、どのSDGs目標と関係しているのかを確認しましょう。たとえば、食品ロスは「つくる責任つかう責任」だけでなく、貧困、飢餓、気候変動など複数の目標と関係する場合があります。
ただし、無理にSDGsへこじつけると、発表の説得力が弱くなります。選んだテーマがどの目標につながるのか、なぜその目標と関係があるのかを、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
SDGs探究学習におすすめのテーマ例

世界規模の問題だけでなく、自分たちの生活に関わる疑問や困りごとも、SDGsにつながる探究テーマになります。ここでは、SDGs探究学習で取り組みやすいテーマ例を、学校生活・家庭・地域・環境・国際問題の5つに分けて紹介します。[4]
| 分野 | テーマ例 |
|---|---|
| 学校生活 | ・学校の食品ロスを減らすには? ・給食や学食の食べ残しを減らす方法 ・学校内でプラスチックごみを減らすには? ・制服のジェンダーレス化は必要か? ・生徒が安心して過ごせる学校環境とは? ・通学時のCO2排出を減らす方法は? |
| 家庭・生活 | ・家庭の食品ロスを減らすには? ・家で使う水の量を減らす工夫 ・電気をむだにしない生活とは? ・エコバッグは本当に環境によいのか? ・使わなくなったものを再利用する方法 ・買い物でできるSDGs行動とは? |
| 地域課題 | ・地域の空き家を活用する方法 ・高齢者が暮らしやすいまちづくり ・地域の防災力を高めるには? ・地元商店街を持続可能にする方法 ・観光と地域住民の暮らしを両立するには? ・地域のごみ分別ルールをわかりやすくするには? |
| 環境 | ・地域の川や海岸のごみを減らすには? ・身近な自然や生き物を守るためにできること ・紙ストローとプラスチックストローの違い ・コンポストで生ごみを減らせるか? ・学校や家庭で節電を進める方法 ・暑さ対策とまちづくりの関係 |
| 国際問題 | ・途上国の教育格差をなくすには? ・フェアトレード商品はなぜ必要なのか? ・世界の水不足と私たちの生活の関係 ・児童労働を減らすためにできること ・気候変動が貧困に与える影響 |
気になるテーマが見つかったら、自分の学校・家庭・地域で調査できる形に置き換えて考えてみましょう。
SDGs探究学習に関するよくある質問

SDGs探究学習に取り組む際に、よくある質問をまとめました。学習の進め方や、学年別のテーマ選びに迷ったときの参考にしてください。
探究学習とはどういう学習法ですか?
探究学習とは、生徒が自分で問いを立て、情報を集め、整理・分析し、発表や実践につなげる学習法です。答えを覚えるのではなく、課題を見つけて解決に向けて考える力を育てることを目的としています。
高校の地域探究学習のテーマの例は?
高校の地域探究学習では、以下のような内容がテーマとして扱われることが多いです。
- 観光と住民生活の両立
- 地域の空き家活用
- 高齢者が暮らしやすいまちづくり
- 商店街の活性化
リジェネ旅では、近年多くの地域で問題になっているオーバーツーリズムや、持続可能な地域づくりに関する記事も多数あるので、ぜひ参考にしてください。
内部リンク
中学生のSDGs自由研究のテーマは?
中学生のSDGs自由研究では、家庭や学校で観察・記録できるテーマがおすすめです。たとえば、以下のようなテーマが考えられます。
- 家庭の食品ロス調査
- ごみ分別ルールの比較
- 給食の食べ残し調査
調べた結果に加えて、「何がわかったか」「自分にできる行動は何か」まで書くと、探究としてまとまりやすくなります。
まとめ|SDGs探究学習は身近な課題から始められる
SDGs探究学習は、SDGsに関わる社会課題を自分ごととして考える学びです。国際的な大きな問題だけでなく、学校の食品ロス、地域の高齢化、家庭のごみ問題など、身近な課題も探究テーマになります。
大切なのは、テーマを広げすぎず、自分たちが調査できる形に具体化することです。そのうえで、情報を集め、原因を考え、解決策や行動までつなげると、深みのある探究学習になります。
テーマに迷ったら、まずは生活の中の疑問や困りごとから考えてみましょう。学びをさらに広げたい場合は、ぜひ発表やアワードにも挑戦してみてください。
「リジェネラティブ(再生)」や「サステナブル(持続可能)」な視点は、これからの社会を担う子どもたちの学びに不可欠な要素です。
株式会社アスエクでは、単なる見学や修学旅行にとどまらず、地域のリアルな課題解決を通じて生徒たちの「自ら問いを立てる力」を育む、実践的な探究学習プログラムを提供しています。
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参考文献
