2025年に持続可能性の戦略転換を企業が迫られている理由

2025年1月から2期目が始まったドナルド・トランプ米国大統領の影響力が米国社会のみならず、世界中のさまざまな分野に及んできています。非合法移民の強制送還やカナダとメキシコに対する新たな関税についてのニュースが大きな注目を集めていることに加え、前政権が推進してきた持続可能性への取組を方向転換させる政策が続々と打ち出されています。
風力発電を始めとするクリーン・エネルギーの開発を削減し、自動車のEV化などの気候変動対策目標を撤回し、はては連邦政府機関での紙ストロー導入を中止してプラスチック製ストローに戻すことを命ずる大統領令までもが発令されました。
そうした変化を背景に、多くの企業が自然環境対策や多様性への取組に大きな戦略転換を迫られているなか、持続可能性に関するビジネスとテクノロジーを専門とするTrellis Group (旧 GreenBiz Group)が「2025年に持続可能性の戦略をどう設定するべきか」と題するレポート(副題:衝撃と反動の時代に成長する)を公式ウェブサイトで発表しました。読者ターゲットである企業担当者たちの混迷ぶりが窺えます。
レポート著者らは30人以上の「持続可能性に関する最高責任者」(CSO)か、それに準ずる担当者にインタビューを行ったと述べています。それらの企業はほとんどが米国かヨーロッパに拠点を置くグローバル大企業とのこと。日本の企業がそこに含まれているかどうかは明らかではありません。
レポートは41ページにも及び、その内容は多岐にわたります。冒頭にある、全体を要約した「エグゼクティブ・サマリー」章(それでも2ページあります)では、企業の利益、地球環境、そして人々の幸福をバランスよく最適化するために、持続可能性の危機管理(STM)を効果的に行うことが企業にとって最重要課題であることを強調しています。STMを実践している企業は、持続可能なイノベーション (83%)、エネルギー削減 (44%)、信頼性のあるサプライチェーン管理 (40%) の成功率が高く、同業他社を上回っている、とのことです。
レポート著者らは企業に対して、CSOとその配下チームの企業内部での役割と位置を再定義することを提案し、新たな戦略を策定するためのステップを詳細に説明しています。そして結論では「STM を採用することで、企業はより良い世界を実現しつつ、持続可能性における増大する対立を抑制し、ビジネスを強化する戦略的管理規律へと発展させることができます」という壮大な一文で締めくくっています。