MENU
  • リジェネラティブツーリズムについて
  • カテゴリー別
    • リジェネラティブツーリズム
    • 社会
    • 環境
    • 経済
  • イベント
  • 用語集
  • 企業、自治体、DMO、観光事業者の皆様へ
  • メルマガ登録
  • English
お問合せ
リジェネ旅
  • イベント
  • 事業者の皆様へ
  • メルマガ登録
  • English
リジェネ旅
  • イベント
  • 事業者の皆様へ
  • メルマガ登録
  • English

「運ぶ」から「つながる」へ。琴平バスが仕掛ける、新しい「滞在」の形

2026 6/09
リジェネラティブツーリズム
サステナブルツーリズム 企業事例 取材 持続可能な観光 琴平町 香川県
2026-6-19
  1. ホーム
  2. リジェネラティブツーリズム
  3. 「運ぶ」から「つながる」へ。琴平バスが仕掛ける、新しい「滞在」の形

香川県に位置する「こんぴらさん」の門前町、琴平町。古くから多くの旅人を迎え入れてきたこの町で今、地域の未来を見据えた新たな観光の形が生まれつつある。その中心にいるのが、2026年で創業70周年を迎える「琴平バス」だ。

同社は、従来の「移動手段の提供」という交通事業者の枠を越え、コワーキング&ホステル「コトリ」を通じたデジタルノマドの誘致や、地域貢献と宿泊枠を交換する独自のポイント経済など、地域に価値を残す仕組みを次々とデザインしている。

その原動力は、現在の琴平が抱える観光への課題感と、祖父の代から受け継がれる「時代の要請に応え続ける(サムシング・ニュー)」という挑戦のDNA。そして、数百年続く老舗がひしめく琴平ならではの「次の世代へ町というバトンを渡す」という意識だ。

琴平を「一生に一度の観光地」から「何度でも訪れたくなる滞在地」へと変容させる琴平バスの取り組みから、リジェネラティブ(地域再生)な観光のヒントを探る。

琴平バス株式会社代表取締役である楠木泰二朗(くすのき たいじろう)さん
画像提供:琴平バス株式会社

楠木泰二朗(くすのき たいじろう)さん
1977年10月2日生まれ

  • 琴平バス株式会社 代表取締役
  • 株式会社コトバス・コミュニケーションズ 代表取締役
  • 株式会社コトバスMX 取締役
  • 日本ご当地タクシー協会 理事長
  • シェアリングエコノミー協会 香川統括
  • 日本デジタルノマド協会 幹事

「移動・観光」を軸に、民間主導で地域課題の解決に取り組む。高速バス事業を基盤に、デジタルノマド向け滞在拠点「Kotori Coworking & Hostel」や、AIオンデマンド交通「琴平mobi」、「うどんタクシー」などを展開。観光地・琴平町を「一生に一度」から「何度も訪れたくなる町」へ転換することを目指し、関係人口創出と共創型で持続可能な地域づくりを推進している。日本サービス大賞 地方創生大臣賞、かがわ21世紀大賞 受賞。趣味はうどん屋巡り。

創業70年、琴平バスが受け継ぐ「挑戦のDNA」

海沿いに並ぶ2台のコトバス
画像提供:琴平バス株式会社

─── まずは、琴平バスの事業概要やこれまでの歩みについて教えていただけますか?

楠木さん:琴平バスは2026年で創業70周年を迎える会社です。祖父の代から始まり、私が3代目となります。社名の通りバス事業がメインで、高速バスと観光バスが大きな柱です。

それ以外にも、琴平町周辺をエリアとしたタクシー事業や、そこから派生した地域交通の取り組みとして「琴平mobi(コトヒラモビ)」というAIオンデマンド交通を展開しています。これらが当社のモビリティ事業です。

また、コロナ禍以降は「コトリ コワーキング&ホステル」という、私たちが「コリビング」と呼んでいる宿泊事業も新たに始めました。

ほかにも、オンラインバスツアーやうどん屋さん巡り専用タクシー「うどんタクシー」、最近では地域OTA(体験、アクティビティ、交通の予約・決済ができる、地域限定のオンライン旅行予約プラットフォーム[1])の「KOTOHIRA TRAVEL(コトヒラトラベル)」といった事業もスタートさせています。移動と観光を軸に、事業を通じた地域課題解決に幅広く取り組んでいます。

─── 過去の取り組みを拝見すると、1980年代ごろには麻雀卓が設置された貸切バスや、応接間を備えたバスなども運行されていたそうですね。

楠木さん:はい、それは祖父の代の取り組みですね。その精神が今も根付き「少し違ったことをやる」「他とは変わったことをやる」「新しいことにチャレンジする」という文化が、会社全体に息づいています。

なぜ「移動」のプロが「滞在」を作るのか? 

コトリコワーキング&ホステルの入口
画像提供:琴平バス株式会社

─── 長年モビリティ事業を中心にされてきた琴平バスが、コリビング事業を始められたきっかけは何だったのでしょうか?

楠木さん:理由はいくつかありますが、まずは琴平町の地域課題を解決したいという思いがありました。「一生に一度はこんぴらさん」と言われる場所から「何度でも訪れたくなる町」を目指そうと考えたのです。

コロナ禍以前の2019年には、約260万人もの旅行者が琴平町を訪れていました。しかし、そのうち8割ほどは日帰りや数時間程度しか立ち寄らず、宿泊する旅行者の比率は全体の2割弱というのが現状です。[2] 階段を登ってお参りして帰るだけの方も多く、極端な話、旅行消費額がゼロということもあり得ます。

一般的に、日帰りと宿泊では経済効果に3倍の差があるといわれている。そのため、いくら多くの旅行者が訪れても、宿泊を伴わなければ地域経済は十分に潤わないのが現実だ。

さらに、当時の宿泊日数は平均で1.13泊(2016年実施の来訪者調査/「琴平町観光基本計画」より[3])と、ほとんどの方が1泊のみです。そこで地域の計画として、宿泊比率を高め、複数泊から中長期滞在へと伸ばしていく方向性を地域の事業者みんなで議論しました。

デジタルノマドをターゲットに定めた理由

コトリ コワーキング&ホステルで作業する二人の男性
画像提供:琴平バス株式会社

─── 中長期滞在をうながすために、どのような旅行者をターゲットに設定されたのでしょうか?

楠木さん:どういう人たちが中長期滞在をしてくれるだろうと考え、私たちは「デジタルノマド」と呼ばれる人たちに着目しました。そして「琴平をデジタルノマドの聖地にする」という目標を掲げたのです。

デジタルノマドとは、PCやスマートフォンなどを活用し、場所に縛られずに働く人々のことだ。彼らは単なる旅行者ではなく、地域に一定期間「暮らす」ように滞在するため、宿泊施設だけでなく飲食店やコワーキングスペースなど、地域全体への経済波及効果が期待できる。

楠木さん:私自身、ビジネス面でも宿泊業に大きな可能性を感じていました。コロナ禍で始めたオンラインバスツアーが話題となり、さまざまな地域にお呼びいただく中で、宿泊のサブスクリプションサービスを展開している方と出会いました。

その仕組みがとても面白いと思い、自分も会員になって、九州のゲストハウスを転々としながらオンラインで仕事をする「ノマドワーカー」を実際に体験してみたのです。

─── ご自身の体験から、どのような気づきがあったのでしょうか?

楠木さん:ゲストハウスの中で、オーナーさんも交えて年齢に関係なく交流できたことがとても刺激的でした。

旅館やホテルとは異なり、オーナーを通じて地域の人々と深くつながることができる。こうした宿のあり方に魅力を感じたのも、宿泊業をやってみたいと感じた理由の一つです。

走りながら旗を立てる。「誰よりも早く」へのこだわり

コトリ コワーキング&ホステルの内観
画像提供:琴平バス株式会社

─── 宿泊業は未経験からのスタートだったそうですが、とくにハードルが高かったのはどのような点ですか?

楠木さん:当時は分からないことだらけだったので全てが大変でしたね。今振り返ると、当時は「デジタルノマド」の認知度もまだまだ低く、手探りで進めていました。

ただ、日本でもデジタルノマドビザの新設が予定されているなど、新しい波が生まれつつある状況でもありました。そんな黎明期ともいえるタイミングで琴平のような小さな町が彼らを誘致するには、とにかく「誰よりも早く旗を立てる」しかありません。

田舎のバス会社である私たちが、オンラインバスツアーで注目されたのも「誰よりも早く始めた」ことが最大の要因だと捉えています。コリビング事業に関しても、地域として一番に参入することが何より大事だと考えて取り組んできました。

「孤独」を解消するコミュニティの力 | 琴平をデジタルノマドの聖地へ

3名の男性と2名の女性が笑顔で香川県琴平町を散策する様子
画像提供:琴平バス株式会社

─── 琴平町がデジタルノマドの聖地となり得る可能性や魅力は、どのような部分にあるとお考えですか?

楠木さん:琴平は、受け皿としてのポテンシャルがとても高い町だと強く感じています。とくに「小さな町の中に、顔が見えるコミュニティがある」という点は、ありそうでない独自の強みだと思っています。

私自身、一緒に活動している地域の仲間たちとしょっちゅう集まっていますし、集まる理由も大したことではなかったりします。そうした日常的なコミュニティの存在が、デジタルノマド誘致において非常に有効です。

8平方キロメートルの「顔が見える」生活圏

身軽に世界を飛び回るデジタルノマドだが、自由なライフスタイルの裏には「孤独」という切実な問題が潜んでいる。定住先を持たずに地域を転々とする生活は、ともすれば社会的なつながりを希薄にしてしまうからだ。

楠木さん:ノマドワーカーへのインタビューで共通して出てくるキーワードが「孤独」です。数カ月滞在しても誰ともつながりができず、一人ぼっちだったらどうしようという不安を彼らは常に抱えています。

そのリスクを下げるために、彼らはコミュニティのあるコリビングを選びます。琴平の場合、まだデジタルノマドが爆発的に集まっているわけではありませんが、既存のローカルコミュニティが代わりの受け皿になっているのが最大の武器です。

─── 施設内だけでなく、地域そのものがコミュニティとして機能しているのですね。

楠木さん:実際に滞在した旅行者からも「こんなに地域の日本人と交流できて、友達になれると思っていなかった」という声をいただきます。琴平は面積が8平方キロメートルほどの小さな町で、観光エリアであればほとんど歩いて生活できます。

参道を歩いていれば友達や知り合いばかりで、予定していなくても誰かに出会える。そんな距離感の近さが、デジタルノマドにとって大きな魅力になると感じています。

世界とつながる琴平。チェンマイから広がる波紋

─── 滞在した方々が地域に溶け込むことで生まれた、プラスの変化はありますか?

楠木さん:はい、滞在したデジタルノマドの方が琴平をとても気に入ってくれて、自発的に発信してくれる流れが生まれています。

現在、タイのチェンマイにあるコリビング施設「Alt_(オルト)」と提携しているのですが、そこから来てくれた旅行者が、チェンマイに戻ってから「琴平はとてもいい場所だった」と周囲に広めてくれているのです。

タイのチェンマイにあるこリビング施設「Alt_(オルト)」
画像出典:Alt Coliving & Coworking for Digital Nomads in Thailand

別のエリアからAlt_(オルト)を訪れた日本人が、現地のコミュニティで「日本から来た」と話したところ「じゃあ琴平を知っているか?」と言われたそうです。数ある日本の地域の中で、こうしたコミュニティのなかでは琴平の知名度がとても高かったというエピソードには驚かされました。

こうして実際に滞在した方が地域の魅力を広めてくれているのは、本当にありがたいことです。

100年先を見据えた「リジェネラティブ(地域再生)」への挑戦

琴平の事業者が居酒屋で話し合う様子
画像提供:琴平バス株式会社

─── デジタルノマドの誘致など、新しいことに取り組む際、地元の事業者や住民の方々を巻き込むために工夫されている点はありますか?

楠木さん:まず、琴平の人たちは新しいことに対して非常に「ノリが良い」という気質があると感じています。

その上で何より大きいのは「一生に一度ではなく何度も訪れたくなる町」「観光地から滞在地への転換」という共通のゴールを地域で持っていることです。

共通の目標があるからこそ「自分の事業ならこの部分で協力できるよ」といった共創の関係が自然と生まれます。なので、何か特別な工夫をしているつもりはありません。

─── 以前、リジェネ旅でインタビューさせていただいた「五人百姓 池商店」の池龍太郎さんから、楠木さんが地域の若手事業者を集めた飲み会を主催されているとお聞きしました。この飲み会は、どのようなきっかけで始まったのでしょうか?

楠木さん:2021年の2月に、全国を飛び回っている友人を呼んで勉強会を開催したのが始まりです。当時はコロナ禍で時間ができたこともあり「遊びに来て、ちょっと何か話してよ」くらいのノリでした。

そうした会を何度か重ねるうちに、お互いが「何をやりたいか」を理解し合うようになり、誰かが何かを始める際には「この部分なら協力できる」という自然な連携が生まれ、ともに面白いことを企てていったのです。

数百年続く老舗から学んだ「バトンを渡す」意識

五人百姓池商店の池龍太郎さんが観光客を案内する様子
画像提供:琴平バス株式会社

─── 琴平の事業者の皆さんは、町全体を良くしていこうという意識がとても高いように感じますが、その理由は何なのでしょうか?

楠木さん:みんな商売人であり事業主ですので、自分の事業はもちろん大切です。しかし瞬間的な利益よりも、継続的な成長や未来にバトンを渡していく意識が町全体として強いのだと思います。

琴平には、300年以上の歴史を持つ「八千代」という旅館や、780年以上続く「池商店」など、何代も続いている会社やお店が数多くあります。当社は2026年で創業70周年を迎えますが、100年以上続くのが当たり前の琴平では「最近来た会社」という感覚です。

そうした町だからこそ、長い歴史の一部を自分が担っているという感覚が自然と芽生えてきます。

自分の事業が長く続いていくためには、町そのものが良くならなければ成り立ちません。なので直接的な利益を追い求めるだけでなく、町に対してコミットする姿勢が他の地域よりも強いのだと思います。

私自身、そうした先輩方から刺激を受けており「自分の代だけで考えるのではなく、もっと長い視点を持たなければ」と常に考えさせられています。

サステナビリティという言葉が広く使われるようになるずっと前から、日本の老舗企業には「次世代へ継承する」という哲学が根付いている。自社の利益だけを追求するのではなく、地域全体のエコシステムを守り育てる姿勢こそが、真のリジェネラティブ(地域再生)の根幹といえるだろう。

移動の常識を塗り替え、独自の経済圏を築く | 琴平バスの「次なる挑戦」

夕暮れ時のこんぴらさん参道
画像提供:琴平バス株式会社

─── 琴平に中長期滞在者を増やすために、今後新しく取り組みたいアイデアはありますか?

楠木さん:現在「二地域居住」の推進にも取り組んでいます。第二の居住先として琴平を選んでくれる中長期滞在者を増やしたいと考えたからです。それに関連して「琴平デジタル町民」という、トークンエコノミーの仕組みを実験的に始めました。

たとえば若い起業家やアーティストなどを地域に誘致しようとする際、移動交通費や滞在コストがネックになります。

琴平デジタル町民は、そんな「行きたいけれどお金がなくて行けない」という課題を解決するための仕組みです。琴平での地域貢献活動を通じて「サンクスポイント」を貯め、そのポイントを宿の空室やバスの空席の利用に充ててもらうことで、お金を介さない価値交換を目指しています。

閑散期の空室や空席という「余剰リソース」を、地域の課題解決を手伝ってくれる人々への「報酬」として活用する。法定通貨に依存しない独自の経済圏を作ることで、旅行者と地域との間に「支援し合う」という新しい関係性が構築される。

─── 琴平での「地域貢献活動」とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

楠木さん:分かりやすい例でいうと、参道に「竹あかり」を並べるイベントがあります。

琴平は1泊2食付きが基本スタイルの温泉旅館が多いので、夜に町を出歩く人が少なくなりがちです。そこで、夜の参道に出てきてもらう理由を作り、居酒屋やバーでの消費をうながすために企画しました。

金刀比羅宮表参道を「竹あかり」でライトアップする「琴平×まんのう 竹あかりプロジェクト」の様子
画像提供:琴平バス株式会社

楠木さん:しかし、竹あかりを作ったり並べたりするには人手が必要です。そこで、そうした作業を手伝ってくれる方にポイントを付与し、滞在費に充ててもらっています。

─── デジタルノマドの方々にも、この仕組みは活用できそうですね。

楠木さん:はい。今は日本人向けにスタートしていますが、ゆくゆくは滞在するデジタルノマドに対してもこのポイントを活用したいと考えています。

現在の日本の制度では、活動に対して直接お金を支払うことが難しいケースもあります。しかし、彼らがワークショップなどを開いてくれた際に、感謝の気持ちをポイントで表すことは可能です。そういった活用を近い将来実現していきたいですね。

常識を覆す「四国×北陸」夜行バス路線の狙い

─── 最近、北陸へ向けたバスの運行も始められたと伺いました。なぜ大都市ではなく、地方都市同士を結ぶ路線にしたのでしょうか?

楠木さん:私たちが得意としているのは中長距離の夜行バスですので、そのノウハウを活かして北陸エリアへの運行をスタートさせました。

現状、四国と北陸を結ぶ交通の便は非常に限られています。両エリアをダイレクトに結ぶ交通網の整備は、双方にとって大きな利便性向上につながると考えました。

ただ、今すでにある「移動のニーズ」だけで判断すれば、地方都市同士を結ぶ路線をビジネスとして成立させるのは厳しいのが現状です。 

だからこそ、この路線を始めるにあたって、両エリアの人々が相互に行き交う「新たな移動需要」を私たち自身が生み出していく必要があります。そのために地域と地域をつなぐ取り組みを、バスの運行とセットで進めています。

地方間の移動は潜在的な需要が見えにくく、採算の観点から交通インフラの整備が後回しにされやすい。しかし、直行ルートが誕生することで、これまで存在しなかった観光やビジネスの交流が生まれる可能性を秘めている。「需要がある場所に交通を通す」のではなく「交通を通すことで需要を創出する」という発想の転換である。

─── 経済的な面を考えると、誰もが簡単に踏み出せる領域ではない大きな挑戦ですね。

楠木さん:ある新聞で取り上げられた際、他のバス事業者の方から「需要があるとは思えない」とコメントされてしまいました。普通に考えたら、そう思うのでしょう。

しかし、まだ誰もやっていないことに挑戦する「サムシング・ニュー」が会社のコアバリューなので、あえてそういったチャレンジをするのが琴平バスらしいところだと思っています。そして、それが社会から求められている私たちの価値だと信じて取り組んでいます。

【結び】 「風の人」を受け入れ、共に歩む地域の未来

海沿いに停車するコトバス
画像提供:琴平バス株式会社

─── これからの琴平において、旅が地域を再生していくために大切なことは何だとお考えですか?

楠木さん:コロナ禍以前の琴平は、旅行者を歓迎する一方で、ここで何か新しい事業やプロジェクトをやろうとする人に対しては、少し排他的な雰囲気がありました。これは、全国の歴史ある観光地にはよくある課題かもしれません。

しかし、新しい風を拒否してしまうことは、地域が時代から取り残される要因になると思います。だからこそ、外の人を地域に巻き込んでいく機能が非常に重要です。

地域づくりにおいて「風の人、土の人」という表現がよく使われますが、風の人(外の人)を積極的に受け入れて「一緒にやろうよ」と巻き込んでいく。そこが、最近の琴平で最も大きく変わった部分であり、今後も大切なことではないかと思っています。

─── 最後に、全国の観光事業者や交通事業者、自治体など、持続可能な観光に取り組む方に向けてメッセージをお願いします。

楠木さん:私たちは、まださまざまなチャレンジをしている過程にあり、他の地域の方々と交流し、お互いに対話することで多くの気づきを得ています。この記事を読んでくださった全国の事業者の方々にも、ぜひ一度、琴平へ足を運んでいただきたいですね。

その際は単なる物見遊山の観光ではなく、旅行者が本当に地域に関わり、自分も地域の中で何らかの役割を持てるような旅を期待しています。

参考文献

[1]観光庁「観光DX」 NEXT TOURISM SEMINAR 「OTA等サービスの活用」

[2]PLUS ULTRA 〜挑戦者たちの足跡〜

[3]琴平町観光基本計画

リジェネラティブツーリズム
サステナブルツーリズム 企業事例 取材 持続可能な観光 琴平町 香川県