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関係人口とは?交流人口・定住人口との違いや具体例、関係を育てる方法を解説

2026 8/10
リジェネラティブツーリズム
サステナブルツーリズム 持続可能な観光 関係人口
2026-8-19
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「関係人口とは、観光客や移住者と何が違うのか」「どのような人が関係人口に含まれるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

関係人口とは、特定の地域に住んでいなくても、その地域や住民と継続的かつ多様な形で関わる人のことです。観光客のように一度訪れるだけではなく、再訪、地域活動への参加、地域産品の購入、仕事、寄付、情報発信などを通じて、特定の地域との関係を続ける点に特徴があります。

ただし、関係人口は必ずしも将来の移住者を意味しません。地域外に暮らしながら、長期間にわたって地域を応援する人も含まれます。

本記事では、関係人口の意味や具体例、交流人口・定住人口との違い、注目される背景、国内事例、地域や自治体が関係人口を育てるためにできることを解説します。

目次

関係人口とは?意味と具体的な関わり方

関係人口は、住民票の有無や地域を訪れた回数で決まるものではありません。特定の地域との関係が継続しているか、どのような方法で関わっているかに着目した概念です。現地を訪れず、購入や寄付、仕事、情報発信などで地域を支える人も含まれます。

関係人口に含まれる人の具体例

関係人口の具体例として、次のような人が挙げられます。

  • 気に入った地域を繰り返し訪れる人
  • 祭りや地域イベントの準備・運営を手伝う人
  • 農林水産業の体験やボランティアに継続参加する人
  • 副業やプロボノで地域の事業者を支援する人
  • 地域産品の継続購入やふるさと納税で応援する人
  • オンラインで地域の仕事や情報発信に関わる人
  • 二地域居住をしながら地域活動や事業に参加する人

観光客として訪れ、再訪や活動参加を重ねるなかで関係人口になることもあり、訪問頻度や関わりの深さは人によって異なります。

関係人口・交流人口・定住人口の違い

3つの人口概念は、地域との関係が継続しているか、地域に生活基盤を置いているかという点で異なります。

区分意味関わり方居住の有無具体例
交流人口観光や出張などで一時的に地域を訪れる人一時的な場合が多いなし観光客、出張者、イベント来場者
関係人口特定の地域と継続的かつ多様に関わる人継続的だが濃淡がある必須ではないリピーター、地域活動の参加者、副業人材
定住人口地域に住み、日常生活を送る人生活を基盤とした継続的な関わりあり地域住民、移住者

交流人口は一時的に地域を訪れる人、関係人口は再訪や活動、仕事、購入などを通じて関係を続ける人です。定住人口は、その地域に生活基盤を置く人を指します。

関係人口が注目されている背景

関係人口が注目される背景には、地方の人口減少や高齢化、地域活動の担い手不足があります。農林水産業、祭り、自然環境の管理、文化継承などを、地域住民だけで維持することが難しい地域もあります。

これまでの地方創生では、移住や定住の促進が重視されてきました。しかし、移住には仕事、住居、家族、教育など、さまざまなハードルがあります。地域に関心や愛着があっても、すぐに生活拠点を移せるとは限りません。

そこで、移住するかどうかにかかわらず、地域外の人が無理のない形で関係を続ける関係人口が注目されています。観光や学び、仕事、ボランティアを入口に地域の人と接点を持ち、再訪や活動参加につなげることで、地域づくりに関わる人の裾野を広げられます。

関係人口が生み出す経済効果

関係人口が地域にもたらす価値は、旅行中の支出だけにとどまりません。ふるさと納税や地域産品の継続購入、情報発信、将来的な移住など、関わりが続くほど効果が積み重なります。

継続的な関わりが地域内の消費を支える

関係人口の経済的価値は、1回の旅行消費額だけでは測りきれません。観光分野の研究では、リピーターは初回訪問者より1回あたりの消費額が低い傾向にある一方、訪問回数が多いため、年間の累計消費額は大きくなりやすいとされています。

さらに、ふるさと納税や地域産品の継続購入、ワーケーション、二地域居住などを通じて、地域との経済的な接点が続きます。単発の観光消費を積み重ね、地域経済を継続的に支える点が特徴です。

情報発信が新たな来訪や事業を呼び込む

関係人口は、地域の魅力をSNSや口コミで伝える「非公式アンバサダー」としての役割も担います。自ら愛着を持って通い続ける地域の魅力をSNSや口コミで発信する行動は、広告予算を投じたプロモーションよりも受け手に信頼されやすく、新たな来訪者を呼び込むきっかけになります。

こうした特性を活かし、長野県伊那市では、都市部の人が地域活動に継続して参加できる仕組みづくりが進められてきました。また、徳島県神山町でも、高速通信環境や古民家を生かしたサテライトオフィス誘致を通じ、IT企業やクリエイターとの接点を広げています。

移住・定住につながる関係を育てる

移住者のなかには、観光客として地域を訪れたあと、関係人口として関わる期間を経て定住に至る人も多くいます。長野県軽井沢町や北海道東川町でも、地域イベントへの参加、二地域居住、ワーケーションを入口に移住へ進んだ例が報告されています。

また、関係人口は、観光客と移住者の中間にいる存在というだけではありません。情報発信やコミュニティ形成の担い手であると同時に、将来の移住・定住の母集団としても機能します。

つまり、関係人口を増やす取り組みは、地域経済の活性化と、人口減少時代の持続的な地域づくりの両方を支える基盤となるのです。

国内における関係人口創出の事例5選

関係人口を生み出す方法は、地域が持つ資源や課題によって異なります。ここでは、教育、通年型観光、森林、文化、地域プロジェクトを入口に、地域外の人との継続的な関係を育てている5地域の事例を紹介します。

島根県海士町|「島留学」で若者と地域をつなぐ

海士町の人々
画像提供:AMA Holdings

隠岐諸島の離島・海士町は、高校生向けの「島留学」や社会人向けの「島体験」プログラムを通じ、関係人口の拡大に先進的に取り組んできました。

一度地域を訪れた若者の多くは、その後も年に複数回足を運び、漁業や農業、観光に関わる活動を体験しながら、地域との関係を深めています。こうした観光を起点とする継続的な交流から移住に至る流れは、「観光が移住の入口になる」モデルとして全国から注目されています。

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長野県白馬村|冬季観光から通年型の関わりへ広げる

長野県白馬村
画像出典:グリーンシーズン | Hakuba Valley

かつて冬季スキー客に依存していた白馬村は、アウトドアアクティビティや農業体験、移住体験プログラムを通年展開することで、特定季節に集中しない「観光人口」の育成に成功しつつあります。

欧米系外国人居住者やデジタルノマドの受け入れとも組み合わせ、関与の深い来訪者が村の経済と文化を支える構造が生まれています。

岡山県西粟倉村|森林を軸に参加の入口をつくる

西粟倉村の百年の森構想図解
画像出典:百年の森林構想 – 西粟倉村役場

西粟倉村は、「百年の森林構想」を軸に、森林整備、木材加工、林業体験、地域ベンチャーへの参画など、多様な関わりの入口を設けています。

視察や体験から、事業への協力、サテライトオフィスの設置、起業、移住へつながるケースも生まれており、地域資源の保全と、新しい仕事や人の流れを結び付けている点が特徴です。

北海道東川町|「写真の町」が文化的なつながりを育てる

東川町国際写真フェスティバル
画像出典:写真の町 東川町

東川町は、1985年の「写真の町宣言」以降、写真文化を生かしたまちづくりを続けています。「写真甲子園」や毎年夏に開催される「東川町国際写真フェスティバル」などを通じて、学生や写真家、写真愛好家が町を訪れる機会を生み出してきました。

写真という共通の関心をきっかけに、「好きな場所に通い続ける」人が参加や再訪を重ねることで、観光消費にとどまらない文化的なつながりが育まれています。

愛媛県大洲市|地域プロジェクトへの参加機会をつくる

大洲カンパニー
画像出典:大洲カンパニー

大洲市の「大洲カンパニー」は、市が公式に展開する関係人口づくりのプラットフォームです。単なる観光ではなく、古民家再生、農業体験、郷土料理づくり、肱川の自然活動、地域イベントの企画運営など、多様なプロジェクトへの参加機会を提供し、参加者が地域住民と交流しながらまちづくりに関わる仕組みを構築しています。

こうした活動を通じて、大洲を「第二のふるさと」と感じる人々を増やし、再訪や移住、地域事業への参画につながる持続的な関係性の構築を目指しています。

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関係人口を増やすために地域ができること

関係人口を増やすには、地域を知ってもらうための発信に加え、「また訪れたい」「関わり続けたい」と感じられる仕組みが必要です。

ここでは、体験の設計、来訪の合間の交流、関わりを可視化する仕組みという3つの観点から、地域が取り組めることを紹介します。

再訪するたびに関わりを深められる体験を用意する

関係人口を育てるには、初回訪問者向けの体験だけでなく、2回目、3回目の来訪者が地域をより深く知れる機会が欠かせません。たとえば、種まきから収穫まで複数回にわたって参加する農業体験や、地域の職人から継続的に技術を学ぶワークショップが考えられます。

訪れるたびに新しい役割や発見がある設計にすることで、再訪の目的が生まれ、地域との関係が深まります。

デジタルで来訪の合間もつながる

訪問と訪問の間にも交流を続けることで、旅行者と地域との関係が途切れにくくなります。具体的には、ニュースレターで地域の近況を伝えるほか、SNSグループやオンラインイベントを通じて、住民や参加者が交流できる場を設ける方法が効果的です。

次の訪問まで接点を保つことは、地域への関心を育て、イベントへの再参加や地域産品の購入など、新たな行動を促すきっかけになります。

関わりの深さを可視化し、次の参加につなげる

訪問回数や滞在日数、地域産品の購入、活動への参加状況などを可視化・評価する仕組みは、再訪の動機づけにつながります。近年は、関わりの深さに応じて特別な体験や新たな役割に参加できる「パスポート」制度を取り入れる地域も増えています。

関係人口の拡大は、地域の「ファンコミュニティ」を育てることとほぼ同義です。一過性の集客から、長期的な関係性のデザインへ。この発想の転換こそが、持続可能な地域観光の核心となります。

関係人口とリジェネラティブツーリズム(再生観光)の接点

リジェネラティブツーリズム(再生観光)の観点から見ると、関係人口はとても重要な存在です。

観光客が地域を一度訪れて帰るだけでは、その地域の自然や文化、コミュニティは「消費」の対象になりがちです。しかし、繰り返し地域を訪れ、地域の人々と関係を築く関係人口は、その土地の魅力だけでなく課題や変化にも目を向けるようになります。

そして、環境保全活動への参加、地域イベントの支援、地場産品の購入や情報発信などを通じて、地域の価値を住民とともに育て、再生していく主体へと変わっていきます。

本来、リジェネラティブツーリズムが目指すのは、旅行者が訪れる前よりも地域がより良い状態になることです。そのためには、旅行者と地域の間に継続的な関係が欠かせません。「旅人が地域の再生に貢献する」という理想は、一度きりの観光では実現しにくく、何度も足を運び、地域に愛着を持つ関係人口の存在によって現実味を帯びます。

こうした考え方は、JSTS-D(日本版持続可能な観光ガイドライン)やGSTCが策定した国際基準、GDS-Indexが重視する「地域社会への貢献」「文化・自然資源の保全」「地域住民との協働」といった理念とも重なります。

関係人口への理解を地域活性化につなげよう

人口減少が進む時代において、地域の未来を支えるのは移住者だけではありません。観光客でも定住者でもない、地域と継続的な関係を築く関係人口も、地域の社会・経済・環境を支える大きな力となります。

移住でも一度きりの観光でもない「第三の関わり」を積み重ねることが、これからの持続可能で再生的な地域づくりの基盤となるのです。

関係人口に関するよくある質問(FAQ)

関係人口の意味を理解すると、どのように地域との関わりを始めればよいのか、国内にどれほどの関係人口がいるのかも気になるところです。ここでは、関係人口のなり方や国内の人数について、よくある疑問に回答します。

関係人口になるにはどうすればよいですか?

関係人口になるために、移住や特別な登録は必要ありません。まずは気になる地域を訪れ、その後、地域産品の購入、ふるさと納税、イベントやボランティアへの参加、副業、情報発信、オンライン交流など、自分が続けられる方法で地域との継続的なつながりを保ちましょう。

日本の関係人口はどのくらいいますか?

国土交通省の2023年度調査では、全国の18歳以上のうち、関係人口は約2,263万人と推計されています。全体の約22%にあたり、現地を訪れる「訪問系」が約1,884万人、地域産品の購入やオンライン交流などを行う「非訪問系」が約379万人です。[1][2]

参考文献

[1] 報道発表資料:全国の「関係人口」は18歳以上の2割強!「地域との関わりについてのアンケート」調査結果の公表 – 国土交通省

[2] 関係人口の実態把握

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