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UNESCOとRelais & Châteauxの連携にみるフランス食文化と生物多様性

2026 5/02
リジェネラティブツーリズム
ガストロノミー ユネスコフランス料理 ユネスコ世界自然遺産 企業事例 各国の事例 持続可能な観光
2026-5-12
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私たちが日々楽しむ「食事」は、自然環境と人々の営みによって支えられています。しかし現在、環境変化や生産の効率化が進む中で、生物多様性や地域に根ざした食文化の維持が課題となっています。

こうした課題に対し、UNESCOとRelais & Châteaux(ルレ・エ・シャトー)は連携し、食文化を通じて生物多様性を守るための取り組みを進めています。

本記事では、そのうちの一つに焦点を当て、料理人による食材選択や調達の実践が、生産や地域環境にどのような影響を与えているのかを見ていきます。あわせて、その背景にあるフランスの食文化にも触れながら、料理と生物多様性の関係を具体的に捉えていきます。

目次

UNESCOとRelais & Châteauxによる生物多様性保護の取り組み

UNESCOとRelais & Châteauxの提携は、単なる理念の共有や広報活動ではありません。UNESCOがもつ科学的な知見と、Relais & Châteauxが世界中にもつ料理人のネットワークを融合させ、実際のレストランにおける食材のサプライチェーンを根本から改善することを目的としています。

UNESCOの公式発表によれば、このパートナーシップの核心は、料理人を「生物多様性の守り手」として進化させることにあります。[1]現在、世界各地で4つのパイロットプロジェクトを始動。そのすべての活動の根底には、Relais & Châteauxが掲げる “Biodiversity starts on our plates”というメッセージがあります。「生物多様性は、日々の食卓から守られていく」という意味です。

具体的には、UNESCOの専門家が生物圏保存地域や世界遺産における科学的知見を提供し、それに基づいて持続可能な食材調達の実践が各地で検証されています。[2]

料理人がどのような食材を選び、どのようなルートで調達するか。その一つひとつの選択は地域の生態系に影響を与えます。この事実を改めて共有することで持続可能なガストロノミーの新たな形を提示しています。

無形文化遺産としてのフランス料理

2010年に「フランスの美食術」は、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。ここで高く評価されたのは、特定のレシピの素晴らしさだけではありません。その背後にある食文化が認められたのです。

食文化とは具体的に、食事の構成や作法、会話を楽しむ習慣、世代を超えて受け継がれる伝統など一連の社会的・文化的な営みを指します。

料理ではなく「食文化」が登録された理由

フランスの美食術がユネスコに登録された最大の理由は、食事の時間や作法そのものにあります。それらは人々の社会的な絆を深める重要な文化的実践であると認められたためです。

フランスの美食術の根幹にあるのは「共有の精神」です。フランスにおいて、食事は栄養摂取のためだけの手段ではありません。家族や友人が集まり、同じテーブルを囲むことで、世代間の対話を促しコミュニティの結びつきを再確認する場です。

また、フランスでは、「誰と一緒に食べるか」という人とのつながりがとても大切にされています。そうした食事を共にする文化(共食)が根付いており、それが美食の伝統を支えています。[3]

食文化を支える地域の食材と季節性

フランス料理では、地域で育まれた食材と季節の移り変わりが重視されています。食材はその土地の気候や土壌、地形などの影響を受けて育ちます。

このような自然環境の総体は「テロワール」と呼ばれ、料理の味や個性を決める重要な要素です。たとえば、同じぶどうでも産地が異なればワインの味わいが大きく変わるように、食材にも土地ごとの特徴が表れると考えられています。[4]

また、フランスでは「旬」の概念も欠かせません。季節に合った食材を使うことで、食材が最も持ち味を発揮する状態で料理を提供できるからです。

春にはアスパラガスや子羊、夏にはズッキーニやトマトを使ったラタトゥイユ、秋から冬にかけてはジビエ(野生肉)などが食卓に並びます。[5]

さらに、地域ごとの食材を活かした料理もフランス料理の魅力です。北フランスではチーズやチコリ、ブルターニュ地方では海の恵みを活かした料理は、その土地の自然や暮らしと深く結びついています。[6]

このように、フランス料理は地域の環境と季節の中で育まれてきました。土地ごとの食材と旬を大切にする考え方が、食文化全体を支えているのです。

匠の技が支える食文化の継承

フランスの食文化は、地域の食材や季節性だけでなく、それらの価値を引き出す「匠の技」によって支えられています。食材の扱い方や火入れ、味の組み立てには、長い時間をかけて培われた技術と感性が必要です。

こうした技は料理人だけでなく、生産者の間でも受け継がれています。土地の特性を理解し、自然と向き合う知恵があってこそ、質の高い食材が生まれるためです。

フランスの食文化は、食材・自然・人の技が結びつき、継承されているのです。

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三ツ星レストランが守る「サヴォアフェール」

フランスの食文化において欠かせない概念の1つが、「サヴォアフェール」です。これは、単なる技術だけでなく、経験や感覚、判断力を含んだ「実践的な知恵」を指します。この知恵を高い次元で体現しているのが、名門三ツ星レストラン「メゾン・ピック」です。

メゾン・ピックでは、食材の選定から調理、盛り付け、サービスに至るまで、あらゆる動作が磨かれ、共有されています。[7]

地域の食材を尊重し、その個性を最大限に引き出す繊細な感性も長年の研究によって受け継がれてきた重要な知恵のひとつです。[8]

メゾン・ピックが守る「サヴォアフェール」とは、伝統的な技術を守ることにとどまりません。時代に合わせて技術を進化させ、次世代へ繋ぐ継承のプロセスです。この「形のない知恵」を尊び、更新し続ける精神性こそが、フランス料理を無形文化遺産の登録へ導いた真の要因といえます。

ドローム/アルデシュのテロワールと地域農業

食文化は職人の技や知恵によって支えられています。しかし、それらの価値を根底から支えているのが「テロワール」、すなわち土地の自然環境です。

フランス南東部に位置するドロームとアルデシュは、自然環境に支えられたテロワールを持つ地域です。両地域はローヌ川を挟み山岳地帯と地中海性気候の影響を受け、多様な農業と食材が育まれてきました。[9]

ドロームでは、気候や土壌の特徴を活かした農業が発展しています。特産品である白ニンニクは、石灰質や粘土質の土壌、強い日差しと風といった自然条件のもとで育ちます。これらの環境が、甘みとほどよい辛みを持つ独特の風味を生み出しているのです。

一方のアルデシュでは、山間部の地形を活かした農業が特徴です。特に栗の生産はAOC(原産地統制呼称)にも認定された特産品です。

チーズやワイン、オリーブなども生産されており、農家や料理人が連携しながら地域の魅力を発信しています。こうした取り組みは「ガストロノミー街道」として観光にも活かされており、農業と食文化が一体となった地域づくりが進められています。[10]

このように両地域では、自然環境と人の営みが結びつくことで独自のテロワールが形成されてきました。

地域農業は食文化そのものを支える基盤となっているのです。

料理文化が守る生物多様性

食文化は、地域の自然環境や生態系と深く結びついています。私たちが何を、どのように食べるかという、食材の選択や消費の在り方は、農業や生産される品種の多様性にも影響を与えます。

フランスでは古くから「テロワール」の概念のもと、地域の食材や伝統が重視されてきました。さらに近年UNESCOやRelais & Châteauxが連携し、シェフと地域の生産者を結びつける取り組みが進められています。

その結果、在来種の保護や持続可能な食材の活用といった動きが広がっています。

在来種や伝統食材を守る料理人

フランスでは、料理人が在来種や伝統食材の保護に重要な役割を果たしています。大量生産や効率化が進む中で、古くから受け継がれてきた品種や地域固有の食材は失われつつあります。しかし一部の料理人たちは、こうした食材の価値を見直し、積極的に料理に取り入れているのです。

在来種の野菜や家畜は、収穫量や効率の面では改良品種に劣るかもしれません。しかしそれらが持つ、味や香りといった品質の高さが評価されることがあります。実際に、フランスではこうした在来種や地域固有の品種が見直され、味わいや個性を重視して栽培される例も見られます。

また、近年のフランス料理では、地元の食材や伝統的な農産物を積極的に取り入れる動きが広がっています。料理人が地域の食材を選択し、それを料理として提供することは、結果としてそれらの食材の価値を高めることにつながると考えられているためです。

このような背景から、料理人が在来種や伝統的な食材を扱うことは、食文化の継承に寄与するだけでなく、生物多様性の保全としての側面を併せ持っているのです。[11]

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料理から始まる持続可能な食の未来

料理人の役割は、食材を調理することにとどまらず、その選択を通じて生産や流通のあり方に影響を与える点にあります。

UNESCOとRelais & Châteauxの連携に見られるように、料理人の役割は変化しています。現在の料理人は、生物多様性や持続可能性に配慮した食材調達を実践する主体として位置づけられています。。

地域で生産された食材や環境負荷の少ない農産物を選択することは、その生産方法の継続を後押しすることになります。また在来種や伝統的な食材が料理として提供されることで、それらの価値が可視化されます。結果、消費者の関心や需要の高まりにつながるのです。

こうした変化は、生産者による継続的な栽培や生産の後押しになります。

ドロームやアルデシュのように自然環境に根ざした農業が行われている地域では、料理人と生産者の強固な信頼関係こそが食文化の質を決定づけます。地域の食材を活かした料理は、単に味覚的な価値だけでなく、その土地の環境や文化的背景を伝えるストーリーとして提示されるためです。

このように、料理を起点とした食材選択や調達の実践は、私たちが未来に向けてどのような豊かな食卓を残していくかという、持続可能な食の在り方を形作る取り組みとして展開されています。

まとめ

UNESCOによる無形文化遺産としての評価が示すように、食は単なる栄養摂取の手段ではありません。それは、地域の歴史や人々の関係性を含んだ文化的実践です。

ドロームやアルデシュに見られるテロワールに根ざした農業や、在来種・伝統食材の活用は、自然環境と食文化が密接に結びついていることを示しています。さらに、Relais & ChâteauxとUNESCOの連携に象徴されるように、料理人の食材選択は、生産や流通のあり方にも影響を与える重要な要素となっています。

こうした関係性を踏まえると、食文化は環境や生態系と切り離されたものではなく、相互に支え合う存在にあるといえます。料理を通じて地域の食材や文化を尊重することが、結果として生物多様性の保全や持続可能な社会の実現につながっていくと考えられます。

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参考文献

[1] UNESCO and Relais & Châteaux Announce a Partnership To Protect Biodiversity

[2] UNESCO-Relais & Châteaux Partnership

[3]ともに食べるということ 福田育弘著 – 日本経済新聞

[4]ワインから食、人へ広がる「テロワール」の考え方とは | ELEMINIST(エレミニスト)

[5]季節ごとの特徴と代表的なフランス料理 2

[6]躍動するフランスの美食文化 レストラン | Taste France Magazine

[7]Groupe Pic, ambassadeur de la haute gastronomie française

[8]Restaurant Pic Valence : Un voyage culinaire inoubliable

[9]A Taste of the Drôme

[10]Ardèche Hermitage at the heart of the Gastronomy Valley

[11]Chefs Are Going Green | Taste France Magazine

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