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Green Key授賞式2026 | 国内ホテルで進むサステナブル経営の実践

2026 3/11
サステナブルツーリズム
グリーンキー サステナブルツーリズム ニュース 企業事例 持続可能な観光
2026-3-12
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サステナビリティへの取り組みは、いまや観光産業における新たな競争力として注目されている。そうした流れの中、2026年2月17日、京都にて国際的なサステナブルホテル認証「Green Key(グリーンキー)」の授賞式が開催された。

Green Keyは、サステナビリティに取り組む宿泊施設を認定する国際認証制度である。授賞式では、日本国内のGreen Key取得施設が節水・廃棄物削減・フードロス削減・地域連携といったさまざまなグッドプラクティスを発表した。

本記事では、Green Key授賞式2026の概要と受賞施設のグッドプラクティスをもとに、サステナブルな宿泊施設経営の実践と課題について解説する。

目次

Green Key(グリーンキー)とは?

画像提供:一般社団法人JARTA

Green Keyは、宿泊施設や観光施設を対象としたサステナブルな宿泊施設の国際的な認証制度である。[1]

デンマークを拠点とする非営利団体「国際環境教育基金(FEE)」が運営しており、2026年1月時点で、世界90カ国・8500以上の施設が認証を取得。サステナブルな宿泊施設を選ぶ際の、信頼できる指標のひとつといえる。

認証を取得するには、環境マネジメントや節水・省エネ、廃棄物削減、地域社会との連携といった複数の分野で厳格な基準を満たす必要がある。一度取得して終わりではなく、毎年の書類確認と、定期的な現地審査を通じて継続的な改善を求められる点が特徴だ。

Green Keyの認証基準や取得プロセスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧いただきたい。

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環境に配慮した宿泊施設を目指す|Green Keyグリーンキー 国際的なサステナブル認証であるGreen Key(グリーンキー)取得は、環境に対する取り組みだけでなく、サービスの質の向上やブランド力の強化に繋がります。観光業界でサステナブルな認証として高い評価を得ています。

Green Key授賞式2026の概要

2026年2月17日、京都にて「第2回 Green Key授賞式・シンポジウム」が開催された。2月17日は「Global Tourism Resilience Day(世界観光レジリエンスの日)」にあたり、観光産業の持続可能性を世界的に考える節目の日である。[2]

主催は、責任ある旅行のあり方を推進する一般社団法人JARTA(Japan Alliance of Responsible Travel Agencies)が務めた。

画像提供:一般社団法人JARTA

プログラムは4部構成で、グッドプラクティスの発表から授賞式まで、実践と対話を重視した内容であった。

Green Key取得施設一覧

2026年2月1日時点で、日本国内でGreen Keyを取得しているのは以下の29施設だ。

画像提供:一般社団法人JARTA

授賞式では、各施設がGreen Key取得に向けた取り組みや、とくに効果のあったグッドプラクティス、実践を通じて感じた課題などを発表した。

Green Key取得施設から学ぶサステナブルなホテル経営の実践

画像提供:一般社団法人JARTA

Green Key取得施設のグッドプラクティスからは、以下のような5つの共通した視点が見られた。

  • 環境配慮と経営改善の両立
  • 節水と顧客満足度のバランス
  • 廃棄物削減による新たな価値の創出
  • フードロス削減のための運営上の工夫
  • 地域との共生

どれも「環境のために我慢する」のではなく、顧客満足度や収益性とのバランスを意識しながら取り組まれている点が特徴的だ。各施設の取り組みには、事業規模や顧客層に合わせて活用できるアイデアが数多く詰まっている。

「環境配慮」はコストではなく、経営改善につながる

環境配慮の取り組みは、アプローチによってはコスト削減と経営改善につながる。

「環境対策にはお金がかかる」というイメージを持つ方も多いが、Green Key取得施設の取り組みは、その認識を変えるものであった。

たとえばシェラトン鹿児島では、空調システムにインバーターを導入することで、環境配慮とコスト削減を同時に達成している。

空調システムの稼働率は以前より上がったにもかかわらず、電力消費量を毎月約10%削減することに成功。同施設の月間電力使用量は約33万kWhにのぼるため、約3万kWh分の電気料金を抑えられた計算だ。

また、イビススタイルズ京都ステーションでは、客室清掃にエコ清掃スタイルを導入した。[3] 3日に1度だけフル清掃を行い、それ以外はごみの回収とタオル交換のみに絞ることで、水・燃料の使用量を大きく削減している。結果として、昨年度のGOP(営業総利益)は大きく向上し、従業員への還元にもつながったという。

環境対策を「コスト」ではなく「投資」として捉え直すことが、サステナブルな経営への第一歩といえる。

節水の鍵は「顧客満足とのバランス」

節水はGreen Key取得における重要な要素だが、多くの施設が「水圧と顧客満足のバランス」に悩んだと語る。各施設のグッドプラクティスからわかるのは、データと検証を重ねることの重要性だ。

アロフト大阪堂島は、最初に水量の調整だけに注力した結果、さまざまな問題が発生したと話す。

具体的には、同施設の設備特性として、シャワーとトイレを同時に使用するとトイレの水圧が低下することや、洗面台のお湯の温度が高くなりすぎるといった課題があった。

そこで、水圧計を導入し、客観的なデータに基づいて水圧や温度の調整を実施。その結果、顧客満足度を損なうことなく、節水の実現に成功している。

また、メルキュール京都ステーションでは、検証を通じてシャワーの最適な水量を模索。シャワーの水量を毎分7リットル以下に設定すると顧客からの不満が増えることを特定し、顧客満足度と節水を両立した。

環境配慮と顧客体験は、対立するものではない。現場での丁寧な検証と改善の積み重ねが、両立への道を開く。

廃棄物削減は新たな循環を生み出す

Green Key取得施設では、捨てるものを「資源」として捉え直す取り組みが広がっている。

コートヤード・バイ・マリオット福井では、全客室にウォーターサーバーを導入し、使い捨て飲料容器の使用を廃止した。さらにネスプレッソと連携し、通常なら廃棄されるコーヒーカプセルの回収にも取り組んでいる。

ホテルアンテルーム那覇では、竹製歯ブラシを回収してチップ化し、農家の土壌改良材として提供する仕組みを整備した。チップを提供した農家から食材を仕入れることで、廃棄物がホテルのレストランへとつながる循環型経済を実践している。

また、メルキュール札幌では、旅行者が客室に置いていったスキーウェアを、NPO法人と連携して寄付する仕組みを整えた。スキー目的で北海道を訪れるインバウンドが多い一方、帰国時にウェアを置き去りにするケースが多発していたためだ。

さらに、メルキュール札幌は、プラスチック削減のために廃止した使い捨てシェーバー約5,000個も同様のNPO法人を通して寄付。廃棄コストの削減と地域貢献を同時に実現している。

フードロス削減は運営改革から生まれる

フードロスの削減は、食材の見直しだけでなく、運営体制の見直しからも達成できる。

メルキュール京都ステーションでは、朝食ビュッフェの提供において、シェフが事前に予約ゲストの属性を確認し、余剰が出そうな食材やメニューを見極めながら提供量を調整している。

例えば、アジア圏のゲストが多い場合は生サラダの消費量が増える傾向があるため、予約状況に応じて料理の量をきめ細かく調整。この取り組みにより、フードロスの削減とゲスト満足度の両立を実現している。[4]

さらに、可食部が残った場合は従業員食堂で提供し、保存できるものは従業員用の冷蔵庫で管理する仕組みを整備した。従業員が食べた後の廃棄量を計測したところ、以前の10分の1程度まで抑えられたという。

残った食材を従業員に提供する取り組みは、コートヤード・バイ・マリオット福井など、他の宿泊施設でも見られる。食品廃棄を減らすだけでなく、従業員の食費負担を軽減する効果も生まれており、環境と従業員の双方にメリットをもたらしている。

ホテルの役割は「施設」から「地域の一員」へ

Green Key取得施設の取り組みは、ホテルの敷地内にとどまらず、地域全体の環境や社会を支える方向へと広がっている。

モクシー東京錦糸町では、地域の企業や町会と連携した街の清掃活動を実施。また2025年に行われた、施設のソフトリノベーションに合わせて地産地消メニューの開発も行っており、地域農業の支援につながっている。

イビス大阪梅田では、近隣公園の緑化活動や河川の清掃活動を継続的に実施。館内で確保しにくい自然環境を周辺エリアで補うという発想のもと、地域の自然環境保全に積極的に関わっている。

こうした取り組みが示すのは、宿泊施設が「泊まる場所」から「地域の一員」へと変わりつつあるという事実だ。

ホテルが地域に根ざした存在になることで、宿泊施設としての枠を超えた、社会的な存在意義が生まれる。地域と手を取り合うことで生まれる価値こそが、これからのホテル経営の強みになるのかもしれない。

インバウンド増加が変化を後押し──国内客とのバランスが鍵

Green Key取得施設の多くは、インバウンド比率が70〜90%に達している。インバウンドの増加は、宿泊施設がサステナブルな取り組みを進める大きな追い風となっている。

とりわけ、欧米の旅行者はサステナビリティへの関心が高く、環境配慮の取り組みを肯定的に受け止める傾向が強い。

HOTEL THE FLAG Shinsaibashiでは、リユースボトルの貸出を実施しており、欧米ゲストからの反応は非常に良好だという。サステナビリティへの取り組みが顧客に「我慢」を強いるものではなく、むしろ満足度の向上につながることを示す好例だ。

一方で、国内客の比率が高い施設では、同様の取り組みが必ずしも好意的に受け取られるとは限らない。たとえば、イビススタイルズ京都四条では、日本人ゲストが約40%を占めており、清掃頻度の変化や水圧の調整に対してゲストコメントが寄せられるケースもあったという。

2026年時点において、サステナブルな宿泊スタイルへの理解は、国内ではまだ途上にある。顧客属性を把握したうえで、環境配慮と顧客満足度のバランスを丁寧に設計することが、国内の宿泊施設には求められるだろう。

最大の課題は「設備」ではなく「組織文化」

多くのGreen Key取得施設が共通して挙げた最大の課題は、設備の老朽化でも予算不足でもなく「従業員全体への意識共有」であった。

サステナブルな取り組みは、一部のスタッフだけが理解していても機能しない。施設一丸となって実践できる組織文化をどう築くかが、各施設の大きなテーマとなっている。

従業員への意識共有を進めるため、ウェスティンホテル東京では、毎日のオペレーション会議でGreen Keyに関する話し合いを必ず行っているという。Green Key基準の読み上げやホテルでの取り組み内容の再確認、スタッフ同士の意見交換を日常業務の中に位置づけることで、意識の定着を図っている。

また、ザ・リッツ・カールトン大阪では、管理職中心だった取り組みを一般スタッフへと広げるよう取り組んでいると話す。従業員スペースの掲示板に、Green Keyの基準13項目や施設としての取り組みを掲示し、四半期に1度の全従業員イベントでも知識や取り組みの共有を行っている。

宿泊施設のサステナブル経営とは、設備への投資やオペレーションの見直しであると同時に、組織文化の変革でもある。持続可能な取り組みを行うためには、現場の一人ひとりが「自分ごと」として関わる仕組みづくりが欠かせない。

サステナブルホテルは新たな競争力となる

サステナビリティへの取り組みは、CSRの枠を超えた経営戦略と言える。

Green Key取得施設の事例が示すように、サステナブルな取り組みは、以下のような競争力を高める可能性を持っている。

  • コスト削減
  • 顧客満足の向上
  • ブランド価値の強化
  • 地域との関係構築

節水や省エネの工夫は光熱費の削減に直結し、フードロスの削減は食材コストの圧縮に効果的だ。

また、Green Key認証の取得自体も、サステナビリティへの関心が高い顧客層に対して、有効なアピールとなる。「認証を持つホテル」というブランド価値は、価格競争とは異なる軸で選ばれる理由をつくり出す。

サステナブルな経営は、環境と社会と収益性を同時に育む、新しいホテル経営の形といえるだろう。

観光は「消費」から「持続可能なまちづくりを支える力」へ。Green Keyが示す転換点

観光はこれまで「訪れて、消費して、去る」という一方向の営みであった。しかし、Green Key取得施設の存在は、ホテルが地域や環境をより持続可能な形へと導くことができる可能性を示している。

節水・省エネ・フードロス削減・地域連携といった取り組みは、どれも環境負荷を減らすと同時に、経営改善や顧客満足度、地域との信頼関係の構築につながる。

サステナビリティは「余裕があればやること」ではなく、これからのホテル経営に不可欠な視点へと変わりつつある。Green Key取得施設の事例を参考に、サステナブルな経営への第一歩を踏み出してみてほしい。

参考文献

[1] グリーンキー – JARTA

[2] Global Tourism Resilience Day | United Nations」

[3] NEWS | イビススタイルズ京都ステーション

[4] 環境に配慮する取り組み – Mercure Kyoto Station

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