平和と自然が息づく広島で。未来につながる滞在「サステナブルホテル」5選

広島は、「平和を学ぶ場所」として世界中から多くの人が訪れる街です。
しかし、それだけではありません。美しい瀬戸内海に囲まれた自然、新鮮な食材を活かした食文化、そして環境に配慮した宿泊施設が増えていることから、「サステナブルな旅先」としても注目を集めています。
せっかく広島に滞在するなら、未来につながる選択をしてみませんか。ホテル選びを少し工夫するだけで、旅を楽しみながら環境や地域にも貢献できます。
今回は、広島でおすすめしたいサステナブルなホテルを5つご紹介します。
広島が「サステナブルな旅先」として選ばれる3つの理由
広島は「平和を学ぶ場所」として世界的に知られていますが、同時に自然や食文化、そして環境への配慮が息づく地域でもあります。
観光を楽しみながら未来につながる体験ができるのが広島の魅力です。
- 広島の平和と歴史を学べる
- 瀬戸内海の新鮮な恵みを地産地消で楽しめる
- 宿泊中に市の環境施策から生まれたホテルのエコ体験ができる
広島の平和と歴史を学べる

広島は、平和と歴史を自分ごととして学べる旅先です。
市内中心部にある原爆ドームは、世界遺産として登録され、当時の惨状を今に伝えています。また、平和記念資料館では、被爆者の証言や遺品が展示されており、訪れる人が「戦争を繰り返さない」という強い思いを持てる場となっています。
このような学びの場を訪れることは、単なる観光ではなく「持続可能な未来」を考えるきっかけにもなります。修学旅行や海外からの訪問者も多く、世代や国を超えて平和の大切さを分かち合える――それが広島ならではの魅力です。
こうした体験は広島の歴史を未来へ伝える文化継承であり、旅行者自身が地域の文化を尊重しながら未来を考える、責任ある旅につながっていきます。
瀬戸内海の新鮮な恵みを地産地消で楽しめる
広島では、地産地消を通じて新鮮でおいしい料理を味わえると同時に、環境と地域の双方に配慮した選択ができます。
たとえば、牡蠣の生産量は全国トップクラスで、冬には焼き牡蠣や土手鍋など、旬の味を多彩な料理で楽しめます。広島レモンは皮まで食べられる安心品質で、ドリンクやスイーツに爽やかな酸味を添えます。
地域の漁港や農家から直接仕入れる「地産地消」は、輸送距離を縮めることでCO2炭素の排出を抑えられるだけでなく、鮮度の高い料理を提供できる点が大きな魅力です。
さらに、生産者を支える仕組みでもあり、規格外の野菜や魚を無駄にせず調理する工夫も広がっています。
旅行者は、新鮮な味覚を楽しみながら、地域経済と環境保全の両方に貢献できるのです。
宿泊中に市の環境施策から生まれたホテルのエコ体験ができる
広島では、行政の取り組みや支援をもとに、旅行者が滞在中に気軽にエコ体験ができる環境が整っています。
県の「第4次広島県環境基本計画」は、CO2の削減・資源循環・生物多様性保全を柱に事業者の取り組みを後押ししており、ホテルは食品ロス削減や再生素材アメニティの導入などを進めています。[1]
あわせて「ひろしま観光立県推進基本計画」では持続可能な観光を支える仕組みが示され、ホテル業界も清掃や設備管理に環境配慮を取り入れています。[2]
こうした取り組みにより、宿泊者は特別な準備をしなくても次のような体験を通じて環境配慮に参加できます。
- 食品ロス削減(小皿化や来店状況に応じた補充、フードシェアの活用)
- 再生・代替素材のアメニティ(籾殻配合歯ブラシ、バンブーファイバー食器 など)
- エコ清掃による資源使用の削減(連泊時のリネン交換の見直し など)
広島で選びたいサステナブルホテル5選
広島湾や瀬戸内の自然、そして平和の歴史に寄り添いながら、独自のエコな取り組みを行うホテルが広島には数多くあります。その中から、サステナブルなホテルを5つ厳選しました。
グランドプリンスホテル広島

広島湾に臨むランドマーク的存在として知られるグランドプリンスホテル広島。豊かな自然と都市の魅力を一望できる立地にありながら、サステナビリティの分野でも積極的な取り組みを続けています。[3]
環境配慮を認められた「サクラクオリティグリーン」認証取得
グランドプリンスホテル広島は、国内外の宿泊施設を対象にした第三者認証「サクラクオリティグリーン」を取得しています。
これは、省エネや廃棄物削減といった環境への取り組みを評価する制度であり、認証を受けた施設は一定の基準を満たしている証です。旅行者にとっても、安心して環境配慮型の宿泊を選べる目安となります。[4]

規格外食材を活かした料理提供
館内レストランでは、形や大きさの理由で市場に出回りにくい規格外の食材を積極的に活用しています。
味や品質には問題がなく、新鮮で栄養価の高い食材を楽しめるのが特徴です。こうした取り組みは、食品ロス削減と地域農業の支援の両方につながっています。[5]
平和と歴史を学べるオリジナルサイクルツアー

ホテルでは、宿泊者向けに自転車で市内を巡るオリジナルサイクルツアーを用意しています。
原爆ドームや平和記念資料館といった世界的な史跡を訪ねる体験は、移動のCO2排出を抑えると同時に、平和と歴史を深く学ぶ貴重な機会となります。
エコな移動と学びを組み合わせたツアーは、広島ならではのサステナブルな体験です。
ANAクラウンプラザホテル広島

広島市中心部に位置し、観光にもビジネスにも便利なロケーションにあるANAクラウンプラザホテル広島。国際的ブランドならではの上質な滞在を提供しながら、環境に配慮したホテル運営にも力を入れています。[6]
食品廃棄物の削減に向けた取り組み

ホテル内レストランのキッチンには、食品廃棄物を自動で追跡するツール「WINNOW」が導入されています。[7]
このシステムは調理過程で発生する廃棄物の種類や量をデータ化し、無駄の多い部分を可視化できるのが特徴です。得られたデータをもとに仕入れや調理方法を改善することで、食品ロスを大幅に削減することが可能になります。
バンブーファイバーを使用した食器の採用

ホテル内では、従来のプラスチック食器に代わり、一部でバンブーファイバーを用いた食器を採用しています。
竹は成長が早い再生可能な資源であるだけでなく、生産過程でのCO2排出が少なく、焼却処分時にダイオキシンが発生しない点でも環境に優れた素材です。
こうした日常的に使うアイテムから環境負荷を下げる工夫は、旅行者にも実感しやすい取り組みです。
省エネ設備の導入で環境負荷の軽減
ANAクラウンプラザホテル広島は、所属するIHGホテルズ&リゾーツの方針に基づき、エネルギー使用量の管理と削減に取り組んでいます。
各ホテルは、使用エネルギー量がブランド地域平均を下回ることを目標とし、エネルギーデータを共有するシステムを構築。従業員が日常業務の中で省エネを意識することで、小さな工夫が積み重なり、大きな成果につながっています。
広島ワシントンホテル

繁華街・八丁堀にほど近く、観光にもビジネスにも便利な広島ワシントンホテル。宿泊者に快適な滞在を提供しながら、日常的なサービスの中で環境に配慮した工夫を積み重ねています。[8]
籾殻バイオマス素材を使用した歯ブラシでプラスチック削減

客室で提供される歯ブラシには、籾殻を利用したバイオマス素材が採用されています。
籾殻はお米を精米する際に大量に出る副産物で、これを有効活用することでプラスチックゴミを約35%削減。
使い捨てアメニティに工夫を凝らすことで、宿泊者が無理なく環境負荷の少ない選択ができるように配慮されています。[9]
連泊時の「エコ清掃」による資源の節約
連泊時には、希望に応じてタオルやリネンの交換を省く「エコ清掃」を導入しています。
これにより洗濯に伴う水や洗剤の使用を削減でき、エネルギー消費の抑制にもつながります。宿泊者の協力がそのまま環境保全の一歩となる仕組みです。
朝食ビュッフェで食品ロス削減の実践
朝食ビュッフェでは、食品ロス削減のためにいくつもの工夫をしています。
営業時間終了30分前には料理を小さな器に盛り替え、来店状況に応じて補充量を調整。さらに、余った料理はフードシェアリングサービス「TABETE」を通じて近隣の人に販売し、廃棄を防いでいます。
旅行者は食事を楽しみながら、こうした取り組みに自然と参加できるのです。
HOTEL CYCLE(ONOMICHI U2)

尾道の港町に建つ「HOTEL CYCLE(ONOMICHI U2)」は、サイクリストを歓迎するホテルとして知られています。
築70年の倉庫をリノベーションした建物は、瀬戸内の景観と調和しながら、新しいライフスタイルを提案しています。[10]
自転車で楽しむエコな移動体験

館内にそのまま自転車で入れる造りになっており、チェックインから客室まで愛車と一緒に過ごせます。
しまなみ海道をはじめとするサイクリングルートを楽しむ拠点として人気が高く、移動自体がCO2排出を抑える「エコな観光」につながります。
古い倉庫を活かした滞在

ホテルの建物は、昭和初期に建てられた港湾倉庫をリノベーションしたものです。
新築ではなく既存の建物を活用することで、資源の節約と地域の歴史的景観の保全を両立。旅行者は、尾道ならではの港町文化を感じながらサステナブルな滞在を体験できます。
瀬戸内食材を使ったレストラン
館内の「The RESTAURANT」では、瀬戸内の新鮮な魚介や野菜を炭火でグリルし、素材本来の味わいを引き出した料理を提供しています。
朝は自家製パンや地元野菜のサラダバー、昼はピザ窯で焼いたピザや旬のパスタ、夜は魚介のパエリアやグリル料理など、多彩なメニューが楽しめます。
地元食材を活用することで輸送によるCO2排出を抑え、生産者を支える地域循環型の食文化を実現。旅行者は一皿ごとに瀬戸内の恵みとサステナブルな取り組みを体感できます。
広島ガーデンパレス

広島駅から徒歩数分という便利な立地にある広島ガーデンパレス。快適な滞在を提供するだけでなく、地域とつながるユニークなサステナブルな取り組みを行っています。[11]
コーヒーカスを再利用・販売

館内で提供されるコーヒーから出るカスは、乾燥させて「特製コーヒー消臭剤」として販売されています。
消臭剤の定番である活性炭に比べ、約5倍の脱臭効果があるとされており、廃棄物を価値ある商品に生まれ変わらせた好例です。
また、雑草抑制や虫除けなどにも再利用できるため、家庭でも役立つサステナブルアイテムとして支持を集めています。[12]
地域と旅行者をつなぐ朝市の開催

ホテル敷地内では、広島市東区役所と連携し、福祉事業所がつくる自主製品を販売する朝市が開かれています。
ここでは「ウェルフェアトレード」の考え方を取り入れ、生産者の努力や価値を正しく評価した適正価格で販売。
旅行者は新鮮な食材や製品を購入できるだけでなく、障がいのある人の社会参加や地域経済の活性化にも貢献できます。
防災に役立つ備蓄水の取り組み
万一の災害時に備え、客室ごとに飲料水を備蓄しています。
大地震などの際でも、1人あたり最低3日分(9リットル)、ホテル全体では1人あたり10リットルの水が確保できる体制を整えています。
さらに賞味期限が近づいた水は宿泊者に提供。食品ロス削減にもつながり、防災と環境配慮を両立しています。
まとめ
広島には、旅そのものをより豊かにしてくれるサステナブルなホテルが数多くあります。
平和を思い続ける土地ならではの文化、瀬戸内の自然が育んだ食の恵み、そして人と地域をつなぐ温かな取り組みがあります。
こうしたホテルを選ぶことは、快適な滞在を楽しむだけでなく、地域や未来を守る行動にもつながります。
次の広島旅行では、自分に合ったサステナブルホテルを選んでみてください。その選択が、旅をいっそう思い出深いものにし、これからの観光をより良い形へと進めていくはずです。


参考文献
[2] 広島県「ひろしま観光立県推進基本計画(令和5年度〜令和9年度)」
[4] グランドプリンスホテル広島「サクラクオリティグリーン認証」
