サッカー観戦と観光をセットに。静岡県藤枝市が推進するスポーツツーリズム

静岡県藤枝市がサッカー観戦を目的とした人の流れと消費活動をセットにした地域経済活性化を目指した「蹴球都市藤枝 Next100 スポーツツーリズムプロジェクト」を実施中です。同プロジェクトは藤枝市制施行70周年、そしてサッカーのまちとして100周年を迎えた2024年に開始されました。
サッカー王国として知られる静岡県には現在Jリーグ所属クラブが4つあります。清水エスパルス、ジュビロ磐田、アスルクラロ沼津、そして藤枝市を本拠地とする藤枝MYFCです。
藤枝MYFCは2023年シーズンからJ2に昇格しました。翌2024年にはホームスタジアムである藤枝総合運動公園サッカー場のバックスタンドが完成し、J1昇格の基準となる1万人の収容が可能になっています。しかし、2024年のホームゲーム平均入場者数は3,165人。[1]J2平均の半分にも及びません。収容率31.5%という現状を今後いかに改善していくかがクラブ喫緊の課題です。
入場者数が増えるということは、試合観戦を目的とした人々の移動が増え、それに伴う経済効果も上がることを意味します。サポーターたちは試合チケットを購入するだけでなく、飲食や交通費、グッズ購入などにも出費します。特に、アウェイのサポーターが遠方から訪れる場合は、さらに宿泊費や観光支出も加わるため、地域の経済活動が活性化するからです。
藤枝市の上プロジェクトでは株式会社ナビタイムジャパンが観光DXを支援しています。同社ウェブサイトの発表によると、「生成AIを活用したチャットツールを用いて、来場者予測等の情報共有や、試合当日の混み具合等による対策レコメンドを行い、事業者の効果的な施策展開をサポート」するとのこと。
利用者側は、ナビタイムジャパンが「ぴあ」と共同運営するアプリ「ユニタビ」を活用して、地域グルメや観光に関する情報を得ることができます。ユニフォームを着て、旅をする。それがアプリ名の由来です。
藤枝市はすでに試合観戦者に対する宿泊助成制度やレンタカー宿泊プランなどを実施していています。こうした取り組みを具体化するには地元企業とのパートナーシップが重要不可欠な要素になります。
地域密着型のプロスポーツであることを組織の理念に置くJリーグには現在60クラブが所属しています。J1,J2,J3それぞれに20クラブずつが全国各地に広がり、そのなかには人口約14万人の藤枝市と同様な中小都市も少なくありません。
今までもこれからも、クラブと自治体、そして地域企業が協力し、より効果的な地域経済振興策を展開することで、サッカー文化の発展と地域の活性化がさらに進むことが期待されます。藤枝MYFCと藤枝市の試みはその新たなモデルケースとなり得るでしょうか。