サンディエゴ・パドレスが球団初の「グリーン・グローブ賞」受賞。MLBで広がる持続可能性への取り組み

4月21日、メジャーリーグベースボール(MLB)公式ウェブサイトはサンディエゴ・パドレスが2025年度の「グリーン・グローブ賞」に選出されたと発表しました。同賞はMLB各球団の環境保護への取り組みを評価するものです。2008年から始まり、パドレスは初めての受賞となりました。
2024年シーズンにおいて、パドレスは本拠地球場であるぺトコ・パークで廃棄物の95%以上をリサイクルやコンポストなどで埋立地への廃棄を回避する「廃棄物転換率」を達成し、前年から転換量を46%増加させました。さらにペトコ・パークでは、エネルギー効率の向上を目的としたさまざまな設備投資が行われています。例えば、冷凍庫の高効率化、HVACシステムの最適化、エネルギースター認証の製氷機の導入、厨房設備の省エネ制御などが実施されています。
これらの取り組みにより、パドレスはMLB全体の持続可能性向上に貢献し、他球団の模範となる存在となっていることが評価されました。
他にも、ミルウォーキー・ブルワーズは2023年と比較してエネルギー使用量を16%削減したことでパワーピッチ賞、シアトル・マリナーズは2023年と比較して水使用量を26%削減したことでH2Oホームラン賞、そしてコロラド・ロッキーズは、雨水管理プログラム、再利用可能なカップ、持続可能性教育の導入など、革新的な持続可能性への取り組みが評価され、エコ・スラッガー・イノベーション賞を、それぞれ受賞しました。

伝統的に、MLBは環境に優しいスポーツとは言えませんでした。広大な駐車場が渋滞と大気汚染を引き起こし、スタンドには大量のゴミが発生し、ナイター照明は多大な電力を消費する。そんなイメージが根強くあります。さらに言えば、チームの遠征に使われるプライベートジェットは現在もっとも盛大にCO2を排出する移動手段ではないでしょうか。
しかし、MLBは近年になって持続可能性向上への取り組みを強化し始めています。特に、2024年に環境サービス企業WM(旧Waste Management)と公式持続可能性パートナーシップを締結して以来、その取り組みは一層本格化しています。
WMは、全30球団に対して廃棄物削減、温室効果ガス排出管理、リサイクル促進などの包括的なコンサルティングサービスを無償で提供しています。これにより、各球団は地域のインフラやニーズに応じたカスタマイズされた戦略を策定・実行できるようになりました。

2025年4月時点で、MLB全30球団がLED照明を導入し、29球団がファン向けの自転車やスクーターの駐輪場を設置、27球団がウォーターリフィルステーションを設置しています。さらに、25球団がコンポスター(生ごみ処理機)を導入し、24球団が余剰食品寄付のプログラムを実施しています。
MLB全体では、2024年のオールスターとワールドシリーズにおいて75トン以上の廃棄物を埋立地から転換し、余剰食品を地域の団体に寄付するなどの取り組みを行いました。
ところで、大谷翔平選手の大活躍のおかげで日本でも大人気のロサンゼルス・ドジャースは未だにグリーン・グローブ賞に選ばれたことがありません。同じ米国西海岸のライバル球団であるサンフランシスコ・ジャイアンツは9年連続を含む計14回、マリナーズは2回、そして2025年はパドレスも受賞したことと比較すると、この分野では大きく立ち遅れています。CNBCのレポートによると、ドジャーズの2024年度収益は約7億ドルでニューヨーク・ヤンキースに次いでMLB2位。ぜひ、その莫大な利益を持続可能性への投資にも回すことを期待します。

