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デジタルノマドの人物像を比較分析|4つのコミュニティに見る最新傾向と誘致戦略

2025 8/08
デジタルノマド
インバウンド デジタルノマド 持続可能な観光
2025-8-27
デジタルノマドの人物像を比較分析|4つのコミュニティに見る最新傾向と誘致戦略

多くの自治体や企業の担当者は、デジタルノマドを「若く、独身で、ITスキルが高く、物価の安い場所を転々とする人々」という一面的なイメージで捉えがちです。

しかし、世界で3,500万人に達するデジタルノマド市場は既に多様化が進んでおり、地域との関わりを重視し、長期滞在を好む「スロマド」のような新しい層も登場しています。[1]

本記事では、Nomad List、A Brother Abroad、Flatio、そしてロンリープラネット&Fiverrという4つの異なる調査データを比較分析します。地域や企業が「本当に連携すべきパートナー」を見極めるための実践的な方法を紹介します。

目次

デジタルノマドの多様性を理解する重要性

従来のデジタルノマドに対する固定観念は、実際の市場動向と大きくかけ離れています。

Nomad Listの調査では平均年齢32歳で30代がコア層となっている一方、Flatioの調査では25%が40代以上であることが判明しています。[2][3]

また、A Brother Abroadの調査では76%が白人で男性が多数を占める傾向がある一方、地域によってはより多様な属性を持つノマドが存在しています。[4]

この多様性を理解することは、受け入れ戦略の策定において極めて重要です。

知っておくべきポイント地域が取れる具体的な対応策
家族連れのノマドが存在する教育環境の整備
子育て支援の充実
家族向け住居や施設の提供
IT以外の職種のノマドも多い多様な産業との連携機会の創出
地域産業とのマッチングイベント開催
ノマドの多様なニーズ(例:医療、交通など)医療機関や交通インフラの案内
生活サポート窓口の設置
短期・長期滞在の両方が存在する柔軟な住居
オフィス提供
短期・長期向けサービスの用意
地域コミュニティとの交流を求める傾向がある地域イベントや交流会の開催
地元住民とのネットワーク構築支援

このように、ノマドワーカーの実態を把握することで、地域はより効果的かつ包括的な受け入れ体制を整えることができます。

従来のイメージと現実のギャップ

デジタルノマドに対する一般的なイメージは「若い男性のプログラマーが東南アジアの安い国を転々とする」というものですが、実際のデータは大きく異なります。

Nomad Listの統計によると、確かに男性が94%を占めていますが、Flatioの調査では性別比がより均等に近づいています。

職業についても、ソフトウェア開発者が多い一方で、マーケティング、コンサルティング、デザインなど多様な分野にわたっています。

年収についても幅広く、Nomad Listでは年収中央値が85,000ドル(約1,300万円 以下、2025年7月時点の為替レート 1ドル=約150円で換算)である一方、実際には年収25,000ドル(約380万円)未満の層も6%存在します。

地域別に見ると、米国人ノマドが44%を占める一方、英国、ドイツ、カナダなど多様な国籍の人々がこのライフスタイルを選択しています。

このような多様性は、地域が受け入れ戦略を立てる際に、より幅広い選択肢と可能性を提供してくれるでしょう。

4つのコミュニティの特徴比較

本記事では、Nomad List、A Brother Abroad、Flatio、そしてロンリープラネット&Fiverrという4つの異なる調査データを比較分析します。

コミュニティ主な特徴・対象層滞在傾向・価値観その他のポイント
Nomad List有料会員制
活発な交流・経済力あるノマドが多い
短期~中期滞在
都市選び・ネットワーク重視
コミュニティイベントやフォーラムが盛ん
A Brother Abroad英語圏中心
伝統的なデジタルノマド像(若年層~30代以降まで幅広い)
旅と仕事の自由・コスト重視英語圏での調査、従来型ノマドの実態を反映
Flatio中期賃貸プラットフォーム利用者
長期志向のノマドが多い
1ヶ月~1年程度の中長期滞在柔軟な賃貸契約
ビザ対応
家族や企業利用も多い
ロンリープラネット&Fiverr「スロマド(Slowmad)」など新しい層に注目
家族・カップル・多世代が含まれる[5]
長期滞在
地域コミュニティとの深い関わり重視
旅行と仕事の両立
地域社会との交流や持続性を重視

デジタルノマドと一括りにせず、その多様性を理解することは、受け入れる地域や企業にとって大切です。活発な交流を求める短期滞在者、腰を据えて暮らす長期滞在者、そして地域との持続可能な関係を重視するスロマド。

さまざまな層のニーズを踏まえることで、自地域がアピールすべき独自の魅力や、今後強化すべき受け入れ体制の方向性が見えてくるでしょう。

この比較をもとに、自地域のターゲット層や受け入れ体制の方向性を明確にすることができます。

Nomad Listコミュニティの人物像分析(2025年6月27日現在)

Nomad Listは世界最大のデジタルノマドコミュニティの一つで、3万人以上の有料会員を抱えています。このコミュニティの分析からは、比較的高収入で活発なノマドの実態が見えてきます。

平均年齢は36歳で、30代がボリュームゾーンを形成していますが、20代から40代まで幅広い年齢層が参加しています。男性が94%を占める特徴的な構成となっており、これは有料コミュニティという性質も影響していると考えられます。

職業については、ソフトウェア開発者が最も多いものの、フルタイム勤務が38%、スタートアップ創業者が18%、フリーランスが18%と多様な働き方が見られます。

年収の中央値は85,000ドル(約1,300万円)で、100,000〜250,000ドル(約1,500万〜3,900万円)の層が35%を占めるなど、比較的高い経済力を持つ層が多いことが特徴です。

このコミュニティは、経済的に余裕があり、長期的な視点でノマド生活を続けている安定した層と言えるでしょう。

高収入・高学歴層の特徴

Nomad Listコミュニティの最大の特徴は、その高い経済力と教育水準にあります。

年収250,000ドル(約3,900万円)以上の層が9%存在し、平均年収は124,127ドル(約1,900万円)に達しています。

教育水準も高く、90%が高等教育を受けており、そのうち54%が学士号、34%が修士号、3%が博士号を取得しています。これは一般的な労働人口と比較して非常に高い教育水準です。

居住形態については、59%がホームオフィスで働き、15%がコワーキングスペースを利用。興味深いことに、67%が独身である一方、33%が交際中であり、家族構成も多様化していることがわかります。

政治的志向については、男性の46%、女性の72%がプログレッシブ(進歩的)な価値観を持っており、持続可能性や社会的責任に関心が高い層が多いことが示されています。

このような特徴は、地域が受け入れ戦略を立てる際の重要な指標となるでしょう。

ライフスタイルと価値観

Nomad Listメンバーのライフスタイルは、仕事と個人的な価値観が強く結びついています。

食事については、男性の76%、女性の57%が肉食であり、ベジタリアンやヴィーガンも一定数存在します。健康意識が高く、ハイキング、フィットネス、ランニングなどのアウトドア活動を好む傾向があります。

これは地域の自然環境や健康的なライフスタイルを提供できる場所に対する関心の高さを示しています。

滞在期間については、平均6ヶ月間同じ場所に滞在する傾向があり、これは短期観光とは明確に区別される長期滞在型の特徴を示しています。

また、52%が無宗教である一方、28%がスピリチュアリティに関心を持つなど、従来の宗教にとらわれない価値観を持つ人が多いことも特徴的です。

このような価値観の多様性は、地域が多文化共生や包容的なコミュニティづくりを進める上で重要な要素となるでしょう。

英語圏コミュニティ(A Brother Abroad)の実態

A Brother Abroadが実施した4,000人を対象とした調査は、英語圏を中心とした国際的なデジタルノマドコミュニティの実態を明らかにしています。

この調査では、世界のデジタルノマド人口を3,500万人と推計し、年間市場規模を7,875億ドル(約121兆円)と算出しています。属性については、76%が白人で、男性50.19%、女性49.81%とより均等な性別分布を示しており、Nomad Listのコミュニティとは異なる特徴を見せています。

平均年齢は40歳で、最も多い年代は30代が47%を占めていますが、47%のデジタルノマドは30代です。

学歴については、修士号取得者が37%、学士号が26%と高学歴層が多い傾向があります。働き方は自営業者が83%、会社員は17%と自営業者の割合が圧倒的に多いです。

年間平均支出は22,500ドル(約350万円)で、これは地域経済への貢献度を測る重要な指標となります。

国籍と地域分散の傾向

A Brother Abroadの調査では、デジタルノマドの国籍分布において米国人が31%と圧倒的多数を占めていることが明らかになっています。

続いてポルトガル8%、ドイツ7%、ブラジル4%、フランス3%の4カ国で、世界中のデジタルノマドの国籍の51%を占めています。残りの49%は、その他35カ国に居住しています。興味深いのは、彼らの移動先の選択基準です。

直近の滞在先はメキシコが14%で最も多く、続いてタイ、ポルトガルが人気。調査対象となったデジタルノマドの平均旅行期間は6.1年で、85%が1年以上旅を続けています。66%のノマドが1都市に3〜6ヶ月滞在することを好み、これは地域にとって安定した中期滞在者としての価値を示しています。

また、孤独感の解決策として地域コミュニティとの関わりを重視する傾向があります。

経済活動と消費パターン

A Brother Abroadの調査では、デジタルノマドの経済活動の詳細が明らかになっています。月平均支出は1,875ドル(約28万円)で、これには宿泊費、食費、交通費、コワーキングスペース利用料などが含まれています。

職種については、マーケティングが15%以上を占め、IT開発、デザイナー、ライター、eコマースなど多様な分野にわたっています。地理的裁定(ジオアービトラージ)を活用する傾向があり、先進国の収入を途上国で使うことで生活費を抑えています。

しかし、生活コストだけでなく、地域の医療体制、インターネット環境、生活の質なども重要な選択要因となっています。

68.5%がアパートやホテルを利用し、45.1%の月額支払額が301〜700ユーロ(約5万〜11万円 以下、2025年7月時点の為替レート 1ユーロ=約170円で換算)の範囲にあることから、中級クラスの宿泊施設を好む傾向が見られます。

このような消費パターンは、地域の宿泊業界にとって安定した収益源となる可能性を示しています。

中期賃貸利用者(Flatio)の特性

チェコの中期賃貸プラットフォームFlatioが実施した調査は、より長期滞在を志向するデジタルノマドの実態を浮き彫りにしています。1,200人の回答者を対象としたこの調査では、従来のノマドイメージとは異なる特徴が明らかになりました。

最も注目すべきは、25%が40代以上であり、年齢層の多様化が進んでいることです。また、31.5%がフルタイム勤務の従業員である点も、フリーランス中心という従来の認識を覆しています。

滞在期間については、より長期志向の傾向が顕著に現れています。男女比は55.3%と44%でより均等に近く、30代が30〜39歳で52.6%、18〜29歳が22.4%、40代未満が75%で40代以上が19.7%という年齢構成となっています。

国籍については、米国が37.4%、英国が12.3%、ドイツが5.6%と続いており、ヨーロッパ系が73.9%を占めています。

長期滞在志向の背景

Flatioの調査で明らかになった長期滞在志向の背景には、デジタルノマドの価値観の変化があります。

コスト(46.6%)が目的地選択の最重要要因である一方、81.9%が地域住民への影響を考慮しており、持続可能な旅行への意識の高さが示されています。これは従来の「安さ重視」から「社会的責任重視」への転換を表しています。

宿泊に関する最大の不満は「適切な宿泊施設を見つけること」(39.8%)であり、これは長期滞在に適した環境整備の必要性を示しています。

職業については、フリーランスが35%、会社員が31.5%、起業家が13.6%となっており、より多様な働き方の人々がこのライフスタイルを選択していることがわかります。

年収は3万1000ユーロ(約527万円)以上が49.2%、3万ユーロ(約510万円)以下が21.3%で、経済的背景も多様化しています。

地域貢献意識の高まり

Flatioの調査で特に注目すべきは、デジタルノマドの地域貢献意識の高まりです。81.9%が地域住民への影響を考慮しており、これは単なる消費者ではなく、地域コミュニティの一員としての責任感を持っていることを示しています。

また、55.4%が静かな環境での仕事を好み、39.8%が部屋探しの課題を挙げていることから、質の高い生活環境への需要が高いことがわかります。

目的地選択において、ポルトガルが27.1%で最も人気が高く、これは生活費の手頃さと質の高い生活環境のバランスが評価されていることを示しています。

43.4%が単独行動を好む一方、23.9%がパートナーと移動、17.5%が家族連れであることから、多様なライフスタイルに対応した受け入れ体制の必要性が浮き彫りになっています。

1都市の滞在期間は1〜2ヶ月が29.1%、3〜4ヶ月が26%と中期滞在が主流となっています。

新世代「スロマド」の登場

従来のデジタルノマドとは異なる新しい層として「スロマド(Slowmad)」が注目を集めています。

スロマドとは、頻繁な移動よりも特定の場所により長期滞在し、地域文化に深く浸ることを重視するデジタルノマドの新しいスタイルです。

ロンリープラネットとFiverrの調査によると、スロマドの3分の1が1〜3ヶ月ごとに移動し、55%が1つの場所で3ヶ月以上働いています。[6]

この層の特徴は、地域コミュニティとの深い関わりを重視することにあります。男女比はほぼ半々で、男性が56%、女性が44%です。年齢層は24〜44歳が中心(約70%)で、45%が既婚者、70%が家族連れという特徴があります。

地域密着型の働き方

スロマドは従来のデジタルノマドと比較して、より「ネイティブライク」な生活を送ることを目指しています。6ヶ月から1年程度の長期間、特定の場所に滞在し、ホテルを転々とするのではなく、半永久的な拠点として計画を立てます。

これにより、地域住民との交流が深まり、単なる一時的な訪問者ではなく、コミュニティの一員として機能することが可能になります。

職業については、IT、エンジニア、コンサルティング、建築やインテリアデザイン、デジタルマーケティングなど多様な分野にわたっています。

月収については、アメリカの回答者の50%以上が2,000ドル(約30万円)以上を稼いでおり、経済的にも安定した層であることがわかります。

地域文化体験のために長く滞在することを重視し、地域コミュニティとの関わりを深めることで、相互利益をもたらす関係性を構築しています。

持続可能性への貢献

スロマドの最大の特徴は、持続可能性と地域再生への積極的な貢献姿勢にあります。彼らは単なる消費者ではなく、地域の課題解決に参加し、長期的な価値創造を目指しています。

例えば、スペインの過疎化が進む村では、スロマド団体が自治体や企業、地域コミュニティと協定を結び、信頼関係を構築しながら地域活性化に貢献する事例が報告されています。[7]

環境への配慮も重要な要素で、持続可能な宿泊施設に滞在し、グリーンプロジェクトに投資する傾向があります。

また、地域の伝統文化や技術の保全に関心を示し、地元の職人や企業との協働プロジェクトに参加することも多いです。このような姿勢は、地域にとって長期的な発展パートナーとしての価値を持ち、持続可能な観光の新しいモデルを提示しています。

データから見える本音と課題

4つの調査データを総合すると、デジタルノマドが直面している共通の課題と本音が見えてきます。

最も深刻な問題は孤独感で、多くのノマドが「深い孤独」を経験し、地域コミュニティとのつながりを強く求めていることが明らかになっています。

この孤独感は単なる個人的な問題ではなく、地域の受け入れ戦略において重要な要素となります。

移住動機としては「気候の良さ」「生活費の改善」「文化体験」が上位を占める一方、離脱理由として「孤独感」「家族とのつながりへの希求」「安定した拠点への憧れ」が挙げられています。

興味深いのは、高収入を得ているノマドでも精神的な充実感を求めており、経済的成功だけでは満足していないことです。これは地域が提供すべき価値が、単なるインフラ整備を超えたコミュニティ形成支援にあることを示唆しています。

孤独感解決への取り組み

デジタルノマドの孤独感解決には、戦略的なアプローチが必要です。効果的な解決策として、コワーキングスペースの月額メンバーシップ、Nomad Listなどのオンラインコミュニティへの参加、現地のミートアップイベントへの参加が挙げられています。

特に重要なのは「継続的な接点」の創出で、単発のイベントではなく、定期的な交流機会を提供することです。

バンコクの「The Hive」では月額のメンバーシップで、単なる作業場所ではなくコミュニティの入り口としての機能を果たしており、週末のヨガクラスや屋上バーベキューパーティーを通じて自然な交流が生まれています。[8]

このような事例は、地域が提供すべきサービスの方向性を示しています。

真のニーズと期待値のギャップ

データ分析から見えてくるのは、デジタルノマドの真のニーズと、受け入れ側が想定するニーズとの間に大きなギャップがあることです。

多くの地域がWi-Fi環境や宿泊施設などのハード面の整備に注力していますが、ノマドが最も求めているのは精神的なつながりとコミュニティへの帰属感です。

また、コスト重視と思われがちですが、実際には生活の質や持続可能性への配慮が重要な選択要因となっています。

Flatioの調査では、81.9%が地域住民への影響を考慮しており、これは責任感の高さを示していますが、受け入れ側がこの意識を理解し、適切な関わり方を提示できているかは疑問です。

また、家族連れのノマドが存在するにもかかわらず、多くの地域の受け入れ施策は単身者向けに偏っています。

このようなギャップを埋めることが、効果的な誘致戦略の鍵となるでしょう。

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地域が選ぶべきターゲット層の見極め方

地域は自らの資源や特性に合わせて、最適なノマド層をターゲットに設定することが重要です。下記の表を参考に、地域ごとに戦略的なターゲット選定を行いましょう。

地域タイプターゲットとすべきノマド層主な特徴・ニーズ例
山間部・自然豊かな地域アウトドア志向のノマド自然体験
アクティビティ
静かな作業環境
都市部高収入のビジネス系ノマド交通利便性
ビジネスネットワーク
快適なワークスペース
文化資源が豊富な地域文化体験重視の「スロマド」地域文化交流
長期滞在
ワークライフバランス

各地域の特性と狙うべきノマド層を整理することで、自地域の強みと受け入れ体制の方向性が明確になります。

例えば、自然豊かな山間部ではアウトドアを好むノマド、都市部では高収入を目指すビジネス系ノマド、文化資源が豊かな地域では体験重視のスロマドをターゲットにすることができます。

このように、地域の強みを活かしたターゲット設定が、ノマド誘致の成功につながります。

資源と目標に基づく戦略立案

地域の資源と目標に基づいたターゲット設定には、体系的なアプローチが必要です。

例えば、古民家や空き家が多い地域では、長期滞在を好むFlatioコミュニティやスロマドが適切なターゲットとなります。

これらの層は質の高い生活環境を求めており、改修された古民家での滞在に価値を見出す可能性が高いからです。

一方、最先端のデジタルインフラを整備している都市部では、高収入で技術志向の強いNomad Listコミュニティが最適でしょう。彼らは高速インターネット環境や最新の設備を重視し、相応の対価を支払う能力も持っています。

また、文化的資源が豊富で持続可能性を重視する地域では、スロマドとの長期的なパートナーシップが地域再生に大きく貢献する可能性があります。

成功指標の設定と評価方法

ターゲット設定後は、適切な成功指標の設定が重要です。短期的な経済効果と長期的な地域発展、それぞれの目的に応じて重視すべき指標は異なります。

目的主な指標・測定項目指標の特徴・活用例
短期的な経済効果を重視滞在日数×消費額×人数(従来型指標)観光や短期滞在による直接的な経済インパクトを把握
長期的な地域発展を目指す地域住民との交流頻度
地域プロジェクトへの参加数
リピート率・紹介による新規誘致数
地域との関係性の深さや持続的な発展への貢献度を評価

各指標を総合的に比較することで、短期的・長期的な目的に合った最適な評価基準が明確になります。

観光や即時的な経済効果を重視する場合は、「滞在日数×消費額×人数」を指標として短期滞在者をターゲットにし、地域住民との交流頻度やプロジェクト参加数、リピート率・紹介数などを重視する場合は、長期滞在者やスロマド層をターゲットにすることが効果的です。

このように、目的に応じて指標を使い分けることで、自地域が狙うべきノマド層と、整備すべき受け入れ体制の方向性が明確になります。

まとめ

デジタルノマドの人物像は従来の「若い独身IT技術者」というステレオタイプを大きく超えて多様化しています。4つのコミュニティ分析から明らかになったのは、高収入で安定したNomad List層、多様性豊かな英語圏コミュニティ、長期滞在志向のFlatio利用者、そして地域貢献を重視するスロマドという異なる特性を持つ層の存在です。

地域が成功するためには、自らの資源と目標を明確にし、最適なパートナーとなるノマド層を戦略的に選択することが不可欠となります。

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参考文献
[1]トラベルボイス株式会社|デジタルノマド 2024 ~その変遷から、市場性、世界の事例まで~2024年4月

[2]2025 State of Digital Nomads

[3]Flatio|Digital nomad report 2023

[4]63 Surprising Digital Nomad Statistics [updated for 2025]

[5]Remote work has introduced a new digital nomad: the anywhere worker – Lonely Planet

[6]Remote work has introduced a new digital nomad: the anywhere worker – Lonely Planet

[7]https://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/international/spw/report/0903_spain.pdf

[8]the Hive Thonglor公式ホームページ




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