神戸のおすすめサステナブルホテル5選|港町で出会う新しい旅の形

旅を計画するとき、まず気になるのは「どこに泊まるか」ではないでしょうか。せっかくなら、その土地ならではの魅力を味わいながら、環境にも配慮できる“サステナブルなホテル”を選んでみませんか?
本記事では、神戸でサステナブルな旅を叶えてくれるおすすめのホテルを5つ厳選し、その特徴や取り組みをご紹介します。
「神戸らしい旅がしたい」「環境にやさしい選択をしたい」そんなあなたのために、見どころや選び方のヒントもあわせてお届けします。
サステナブルな旅先として、神戸が注目される3つの理由
神戸は、観光都市としての魅力を持ちながらも、サステナブルツーリズムの実践に積極的な地域です。その理由は、以下のような神戸ならではの特色にあります。
- 文化・伝統を尊重する観光資源
- 地域経済を活性化する食と人との出会い
- 誰もが利用できる地域と共生する宿泊施設が増加
文化・伝統を尊重する観光資源

神戸は、異文化と自然が共存する都市として、他にはない魅力を持っています。明治期の開港以来、海外との交流によって育まれた文化は、北野異人館街や南京町、中華街の街並みに息づいています。
これらは単なる観光スポットではなく、「歴史的建築物の保存」「自然景観の保全」といった形で地域に守られ続けてきた資産です。
つまり、訪れること自体が文化や伝統を尊重し、その価値を未来へつなぐサステナブルな観光体験につながります。
地域経済を活性化する食と人との出会い
神戸では、食や人との出会いを通じて地域を身近に感じられます。
地元飲食店やショップでは兵庫県産の野菜や神戸ビーフを使った料理が提供され、観光客は地元の味覚を楽しむと同時に生産者を支えることができます。
また、ギャラリーやカフェでは地域アーティストの作品展示が行われ、文化と経済の循環が自然に生まれています。
これらは単なる「観光体験」にとどまらず、地元の農業やものづくりを支える仕組みです。観光客の選択がそのまま地域経済の活性化につながり、持続可能なまちづくりを後押ししています。
誰もが利用できる地域と共生する宿泊施設が増加
神戸では、地域循環を意識した宿泊施設の拡大が、サステナブルツーリズム推進の大きな要因になっています。
その具体例のひとつが、兵庫県が推進する「ひょうごユニバーサルなお宿」制度。[1] この制度は、高齢者や障害のある方を含むすべての人が快適に滞在できるよう配慮された宿泊施設を認定・公開する仕組みです。

バリアフリー対応にとどまらず、地域資源の活用や多様性への配慮、スタッフ教育なども評価の対象となり、宿泊施設が地域に根ざした取り組みを始める契機になっています。
旅行者にとっても安心して宿泊先を選べるだけでなく、地域の魅力や社会的価値に触れるきっかけとなります。
神戸のおすすめサステナブルホテル
ここからは、実際に神戸市内でサステナブルな取り組みを行っているホテルを5つご紹介します。いずれも地域や環境への配慮を重視しながら、快適な滞在体験を提供している宿泊施設です。
ホテルごとの特色を知ることで、自分の旅のスタイルに合った1軒がきっと見つかるはずです。
神戸ポートピアホテル

神戸ポートピアホテルは、大規模ホテルでありながらも“人と環境にやさしいホテル”を目指しています。[2] 館内全体にサステナブルの意識が根づいており、日々の運営においても多角的な工夫がなされています。[3]
食品ロス削減への取り組み「mottECO(モッテコ)」導入

レストランでは、食べ残しを持ち帰ることができる「mottECO(モッテコ)」を導入しています。
まだ食べられる料理を捨てずに済むこの取り組みは、容器1箱あたり約250グラムのゴミ削減につながっているとされており、効果の見えるサステナブルアクションとして注目されています。[4]
養蜂や菜園など、ホテル敷地内での都市型「食」循環

屋上では都市型養蜂を行っており、そこで採れたハチミツは朝食などに使用されています。
また、敷地内には菜園も整備されており、一部の料理にホテル自家製の野菜やハーブが使われることも。都市にありながら自然と共にあるホテルの姿勢が、ここに表れています。
資源の再利用
古紙や段ボール、廃食油などの再資源化を進め、ホテル全体で循環型社会の実現を意識した取り組みを行っています。
さらに、生ごみ処理機の導入により、調理現場で出る残渣も肥料などに活用されるようになりました。
ホテルオークラ神戸

神戸のウォーターフロントに佇むホテルオークラ神戸は、長い歴史と格式を持ちながらも、サステナブルな取り組みに積極的に取り組んでいます。[5]
「ホテルらしい上質さ」を保ちつつ、環境や社会への配慮を運営に丁寧に組み込んでいるのが特徴です。[6]
脱プラスチックへのシフト

館内ではプラスチック製品の削減を目指し、アメニティやカトラリーを環境配慮型に順次切り替えています。客室内の歯ブラシやヘアブラシなどは、再生プラスチックや紙素材の製品に変更されており、レストランでも木製カトラリーや紙ストローを使用。
さらに、包装資材や清掃用品の簡素化も進められており、「使い捨てを減らすこと」を従業員全体で共有する文化が根づいています。
ゲストも参加できる「エコ宿泊プラン」
環境への負荷を減らす宿泊スタイルを提案するために、「エコ宿泊プラン」も用意されています。
このプランでは、連泊時のリネン・タオル類の交換を控えるなど、ゲスト自身が環境配慮に協力できる仕組みを整備。
また、客室内の節電・節水につながる行動を案内したリーフレットも用意されています。
“ただ泊まる”だけではなく“選ぶことで社会に貢献する”体験を提供しています。高級ホテルに泊まりながらも、自分にできる小さなサステナブルアクションを見つけられる点が魅力です。
地域と連携した取り組み

ホテルオークラ神戸では、「まちと共に育つホテル」として、神戸の食・文化・防災・景観保全に多面的に関わる下記のような取り組みを行っています。
- 地産地消フェアの開催
- 地元事業者との商品開発
- メリケンパーク周辺の清掃活動
こうした取り組みは、ホテルが地域社会に根ざし、まちづくり・文化継承など多方面で信頼される存在であることを示しています。
ホテルプラザ神戸

六甲アイランドに位置するホテルプラザ神戸は、地域とともに歩むことを大切にしながら、環境・防災・社会貢献の視点からサステナブルな運営を行っています。[7][8]
地産地消を生かした食の体験

ホテルプラザ神戸では、地域の生産者と連携し、地元食材を活かした料理やスイーツを提供しています。
館内レストラン「KARIN」では、新潟県柏崎市の高柳じょんのび村と協力し、特産物を使ったスイーツを開発。さらに朝食やランチでは兵庫県内の契約農家から仕入れた新鮮な食材を使用し、生産者の応援と地域の魅力発信につなげています。
災害時に頼れる“地域の拠点”としての役割
ホテルプラザ神戸は、神戸市と「災害時協力事業者協定」を締結し、2021年9月から帰宅困難者の一時滞在場所として受け入れ体制を整備しています。
これにより、万が一の災害時でも安心して滞在できる「地域の避難拠点」としての機能を果たしています。
災害に強い構造と、防災マニュアルの整備、スタッフへの定期的な訓練が行われており「ホテル=まちのインフラ」としての信頼が厚い一軒です。

地域行事や社会活動にも積極的に参加
ホテルプラザ神戸では、周辺エリアで開催される地域イベントや清掃活動などにもスタッフが積極的に参加しています。とくに、以下のような活動を通じて、地域とのつながりを深めています。
- 六甲アイランド地域の防災・清掃活動への参加
- 近隣小学校・中学校との職場体験プログラム受け入れ
- 地域のボランティア団体との連携
- 福祉施設との物資支援や交流会の実施
泊まるだけでなく、まちの安心やつながりを実感できる宿として、多くのリピーターにも支持されています。
ホテル北野プラザ六甲荘

神戸・北野の静かな高台に佇むホテル北野プラザ六甲荘は、歴史ある異人館街にほど近く、自然と調和した空間で訪れる人を迎えます。[9]
華美な演出よりも、“使いすぎない・捨てすぎない”宿づくりを大切にしており、環境にも地域にもやさしいホテルとして注目されています。[10]
アメニティバーの設置でごみ削減
客室に使い捨てアメニティを常備するのではなく、ロビーに「アメニティバー」を設置しています。
ゲストが歯ブラシやカミソリなどを必要な分だけ選ぶ方式で、プラスチックごみの削減と無駄のない利用につながっています。
食品ロス削減
館内レストランでは、ビュッフェ形式でも料理の小分け提供を徹底し、食べ残しを防ぐ工夫が施されています。
また、宴会時には「最初の30分・最後の10分はしっかり食べる」を促す「3010運動」に参加。
こうした取り組みは、厨房・ホールスタッフ一丸となって行われており、食品廃棄の削減と同時にゲストへの啓発にもつながります。
地元食材を取り入れたこだわりの朝食

ホテル北野プラザ六甲荘では、兵庫県産の食材を積極的に取り入れた料理を提供しています。
朝食では丹波の神戸ビーフベーコンや淡路島の玉ねぎ、播磨の温泉卵など、「ひょうご五国」(摂津・播磨・但馬・丹波・淡路)の食材を活かした手作りメニューが並び、宿泊者に地元ならではの味覚を届けています。
さらに、館内の売店では安全・安心にこだわって県が認証した「兵庫県認証食品」や、地域の特色を活かした優れた商品に与えられるブランド「五つ星ひょうご」選定商品も販売されており、地元の味をお土産として持ち帰ることもできます。
神戸ポートタワーホテル

神戸の観光の中心地にある神戸ポートタワーホテルは、都市型ホテルの特性を活かしながら、日常に近いところから始めるサステナブルな取り組みを実践しています。[11][12]
ペットボトル削減とアメニティバーで「ごみを出さないしくみ」をつくる
館内では客室へのペットボトル設置を廃止し、各フロアにウォーターサーバーを導入しています。
また、使い捨てアメニティはロビー階の「アメニティバー」から必要な分だけ選ぶ方式を採用。“便利さ”と“環境配慮”の両立が、自然にできる仕組みとして定着しています。

フードロス削減の取り組み
朝食ビュッフェでは、「食べきれる量を取るように」との案内を掲示し、食べ残しの削減を呼びかけています。
また、朝食で使用しなかった未提供メニューは、従業員向けの「健康弁当」に活用。食品ロスを減らしながら、ホテル内部でも循環を生み出す仕組みとなっています。
廃油を“持続可能な航空燃料”へ再活用
レストランで使用された廃食油は、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)として再利用される仕組みに協力しています。
SAFとは、植物油や廃食油などを原料に製造される次世代の航空燃料で、従来の化石燃料に比べて二酸化炭素排出量を大幅に抑えられるのが特徴です。まさに「廃棄物を資源に変える」取り組みといえるでしょう。
まとめ
神戸には、地域や環境に配慮しながら快適な滞在を提供するホテルが数多くあります。利用者が地元の食を楽しみ、環境に配慮に参加できることは、サステナブルホテルならではの魅力。
今回ご紹介したホテルはいずれも、地元食材の活用やフードロス削減、循環型の取り組みなどを通じて、サステナブルツーリズムを実現しています。
「神戸でサステナブルなホテルに泊まりたい」と考えている方にとって、この記事が自分に合った1軒を見つけるきっかけになれば幸いです。


参考文献