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Much Better Adventures|観光産業を変えるサステナブルアドベンチャーツアー

2025 10/29
リジェネラティブツーリズム
B Corp認証 CO2削減 サステナブルツーリズム 企業事例 持続可能な観光
2025-11-11
画像出典:Much Better Adventures

旅行業界にとって「持続可能性」は避けて通れないテーマになっています。観光は地域経済を潤す一方で、自然破壊や温室効果ガスの増加を引き起こすという矛盾を抱えてきました。そんな課題に正面から挑むのが、英国発のサステナブル旅行会社、 Much Better Adventures (マッチ・ベター・アドベンチャー)です。[1]同社は「地域に利益を還元し、環境を守る」新しい観光モデルを実践。旅行代金の76%を現地に届ける仕組みや、2030年までに一人一泊あたりの炭素排出量を17kgに削減する目標を掲げています。

本記事では、同社が注力している取り組みや実際に行なっているプロジェクトを紹介します。

目次

Much Better Adventures(マッチ・ベター・アドベンチャー)とは?

画像出典:Much Better Adventures

Much Better Adventuresとは、2012年に英国で創業されたサステナブル旅行会社です。同社は「世界で最もポジティブなインパクトを与える旅行会社を築く」という明確なミッションを掲げ、50カ国以上で小規模グループ向けのアウトドアアドベンチャーツアーを展開しています。

設立の背景には、従来の大量消費型・画一的な観光がもたらす課題への危機感がありました。大量のツアー客が押し寄せることによる自然環境の破壊や、地域経済からの資金流出といった問題を是正し、「地域に利益を還元しながら自然を守る新しい観光モデルを築く」ことが目的だったのです。

そのため、Much Better Adventuresは地元の専門ガイドや独立系事業者と直接提携し、旅行者が支払う代金の大部分が現地に還元される仕組みを確立しました。さらに、脱炭素の推進や地域社会への貢献を事業の中心に据え、環境保護と地域経済の循環を両立させる新しい旅のスタイルを提案しています。

Much Better Adventuresが注力している取り組み

画像出典:Much Better Adventures

Much Better Adventuresは、持続可能な旅行に向けて、戦略的かつ実効性の高い取り組みを展開しています。同社は「世界で最もポジティブな影響を与える旅行会社を目指す」という明確なミッションのもと、以下の3つの柱を軸に事業を推進しています。

  1. 脱炭素に向けた取り組み
  2. 社会的責任を示すB Corp認証の取得・運用
  3. 地域経済への直接的な利益還元

これらの活動は、単なる企業の社会的責任(CSR)を超え、事業の根幹に組み込まれたものです。また、観光産業全体のモデルチェンジを牽引する先進的なケースといえるでしょう。

脱炭素への取り組み

Much Better Adventuresは、脱炭素に向けて明確な数値目標と仕組みを整えています。すべてのツアーにおける炭素排出量を算出し、移動・宿泊・食事などで発生する温室効果ガスを「見える化」。その上で削減と補償を徹底し、透明性の高い情報を提供しています。自社での努力にとどまらず、現地パートナーの選定や活動支援を通じて、幅広い形で脱炭素に取り組んでいるのが特徴です。

同社は旅行業界における気候変動対策の先駆者として、2020年に「気候非常事態宣言」を発表。以降、定量的かつ継続的な排出削減を実施してきました。

2030年までに「旅行者一人・一泊あたりの炭素排出量を17kgに抑える」という明確な目標を掲げ、2023年には33kgまで低減。

年ごとの変動はあるものの、着実に改善へと進んでいます。

脱炭素の推進は、次の4つのステップに基づいて行われています。

  • 測定:各ツアーの排出量を正確に把握
  • 削減:移動手段や宿泊施設の見直しによる直接的な削減
  • 除去:World Land Trustを通じた自然由来カーボンクレジットの購入で相殺
  • 周知:取り組みを公開し、広く情報発信と啓発を行う

さらに、毎年炭素排出レポートを公表し、各ツアーに排出量ラベルを表示。こうした取り組みにより、業界でも屈指の高い透明性を示しています。

B Corp認証の取得

2022年、Much Better AdventuresはB Corp認証を取得しました。

B Corpは、企業活動において株主利益の追求だけでなく、社会や環境への配慮を法的に組み込む仕組みを持つ認証制度です。

同社はこの評価において117.1点という高スコアを獲得しており、基準値である80点や一般企業の平均である50.9点を大きく上回っています。

創業者は「私たちはB Corpという言葉を知る前から、その理念をすでに実践していた」と語っており、この認証は同社の既存の価値観と取り組みを公式に証明するものといえます。

B Corp認証の取得により、Much Better AdventuresはPatagoniaやBen & Jerry’sといった世界的に知られるエシカルブランド(人と環境に優しい方法で製品を生産・販売するブランド)と並び、「ビジネスを善の力に変える」国際的なコミュニティの一員として活動することになりました。

地域経済への貢献

Much Better Adventuresの大きな特徴のひとつは、旅行収益の“76%”を現地経済に直接還元している点です。

これは、一般的な観光で地域に残る割合はわずか5%未満とされていることと比べても、圧倒底に高い数値だと言えます。(国連環境計画「UNEP」の調査より)

同社は中間業者を介さず、地域の小規模事業者と直接契約する仕組みを導入。旅行者が支払う100ドルのうち、平均76ドルが現地に還元される仕組みを作っています。

さらに、売上の5%を自然保護団体に寄付している点も特徴です。

利益ではなく売上ベースでの拠出であり、その多くはWorld Land Trust*を通じて自然生息地の購入や保全、地域住民の持続可能な生計づくりに役立てられています。

これまでに同社が還元した資金は数千万ドル規模にのぼり、荒野地域での雇用創出や地域経済の活性化に直結しています。数値に裏付けられたこうした実績は、観光による地域貢献の新しいモデルとして業界全体に大きな影響を与えているのです。

※World Land Trust(WLT)とは、イギリスに拠点を置く国際的な自然保護チャリティ団体。主な目的は、生物多様性が豊かで絶滅の危機にある生息地を買い取り、恒久的に保護すること。

実証ベースの取り組み事例

Much Better Adventuresは、自社が掲げるサステナビリティの理念を、具体的かつ測定可能なプロジェクトとして形にしてきました。これらの活動は単なる方針の表明ではなく、観光産業における持続可能性のモデルケースとして注目を集めています。

同社が重点分野として取り組んでいるのは、次の4つです。

  • World Land Trustとのパートナーシップによる環境保全
  • Tourism Declares(観光宣言)運動の共同創設
  • パートナーシップを通じた地域文化・経済資源の活性化
  • 脱炭素化に向けた明確な数値目標

これらのプロジェクトは、理念を具体的な行動に落とし込むだけでなく、透明性と再現性を備えた事業モデルとして築かれています。そのため、他の観光事業者にとっても導入しやすい実践的な手本となるでしょう。

World Land Trustとのパートナーシップによる環境保全

2022年に始まったMuch Better AdventuresとWorld Land Trust(WLT)の連携は、同社の環境保全戦略の中心です。利益ではなく「売上」の5%を拠出して設立された「Much Better Fund」を通じ、以下の2つの主要プログラムを支援しています。

Buy an Acreプログラム
地域住民が自然生息地を恒久的に保護できるよう支援。ケニアのダカッチャ森林、南アフリカのレノスターフェルド、アルゼンチン・パタゴニアなどで保護活動を展開。[2]

Carbon Balancedプログラム
エクアドル、メキシコ、ベトナムを中心に、森林を守る仕組みであるREDD+(レッドプラス)を使って「炭素クレジット」を購入。これによりツアーで排出された二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を全てゼロにできるように実現。

その成果として、2024年3月時点でロンドンオリンピック公園の約2倍に相当する累計1,200エーカーの土地の保護に成功しています。

Tourism Declares(観光宣言)運動の共同創設

Much Better Adventuresは2020年、気候非常事態を宣言し、観光分野における脱炭素の枠組みを構築するため、Tourism Declares(観光宣言)運動の共同創設者となりました。

このプラットフォームは、2030年までに観光産業全体の炭素排出量を半減させるという科学的根拠に基づく目標を掲げ、加盟組織に対し次の行動を求めています。

  • 12か月以内の気候行動計画の策定
  • 年次進捗報告の公開
  • 「測定・削減・再生・協働・資金調達」という5本柱に基づいた一貫性ある取り組み
  • 他組織との積極的な情報共有と協働

この運動は2021年のCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)で大きな転機を迎え、国連環境計画(UNEP)や国連世界観光機関(UNWTO)などの国際機関と連携。

その結果、「グラスゴー宣言」として公式に採用され、観光業界における国際的な気候行動の中核的枠組みの一つとなりました。

パートナーシップを通じた地域文化・経済資源の活性化

Much Better Adventuresの地域パートナーシップは、観光を通じて伝統文化を守り地域に雇用を生み出すモデルであり、経済的利益の創出と文化的価値の保全を同時に実現しています。その効果はすでに各国で以下のように実証されています。

インドネシア・フローレス島 ワエ・レボ村
観光収入を活用し、マンガライ族の伝統的な円錐形住居を保存。さらに村独自の資金で診療所や学校を整備し、観光が文化継承と生活基盤の強化に貢献しています。

コロンビア・サマナ流域
かつて、国内最大の勢力を保有していた極左過激組織「コロンビア革命軍」(FARC)の拠点だった地域を冒険観光地へ転換。住民は水力発電所への土地売却ではなく、エコツーリズムを選び、持続可能な経済活動によって地域に新たな未来を築いています。

これらの取り組みはいずれも、現地の独立系事業者との直接契約に基づいており、その仕組みにより旅行者が支払う費用の平均76%が現地経済に還元されているのです。

現在、Much Better Adventuresは50カ国以上で地域ガイドや団体と提携し、文化保全と雇用創出を両立する観光モデルを広げています。

脱炭素化に向けた明確な数値目標

Much Better Adventuresは、2030年までにツアー参加者一人・一泊あたりの炭素排出量を17kg(約37ポンド)まで削減するという明確な目標を掲げています。その進捗は毎年公開され、透明性の高い管理が行われています。

排出量の推移

  • 2021年:35kg
  • 2022年:40kg
  • 2023年:33kg

変動はあるものの、2023年には前年比で7kg/顧客/泊の削減を達成しました。

主な施策

  • 欧州域内で鉄道アクセスが可能なツアーを26本に拡大
  • 長期滞在型プログラム「Big Adventures」を全体の70%に引き上げ

一方で削減が難しい排出については、World Land TrustのCarbon Balancedプログラムを通じ、REDD+方式の自然由来カーボンクレジットを購入。これにより、すべてのツアーでネットゼロ排出(排出量を実質ゼロにする)を実現しています。

さらに、これらのデータは毎年レポートとして公開され、第三者が検証可能な形で提供されており、業界でも屈指の透明性を誇ります。

まとめ

Much Better Adventuresは、自然を守りながら地域に収益を還元する新しい旅行のかたちを実践しています。2012年の創業以来、脱炭素目標を掲げ、毎年その進捗を公開することで信頼を築いてきました。

2022年にはB Corp認証を取得し、国際的にも責任ある企業として評価されています。旅行代金の約76%が現地に届く仕組みは、観光産業の中でも際立った特徴です。さらに売上の5%を自然保護に充て、環境と地域の未来を支える活動を継続しています。

各国での事例では、文化の継承や雇用の創出にもつながっており、これらの取り組みはCSRにとどまらず、事業の競争力を高める要素となっています。サステナビリティを事業戦略に組み込む際の参考例として、注目すべき企業といえるでしょう。

参考文献

[1]Much Better Adventures 公式ホームページ

[2]World Land Trust|Buy an acre




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