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気候変動の実行時代へ|NYC2025総括

2025 11/12
リジェネラティブツーリズム
アメリカ 持続可能な観光 気候変動
2025-9-292025-11-12
NYC

2025年9月21日~28日に米国ニューヨーク市で開催された「Climate Week NYC 2025」(以下、NYCW 2025)は、毎年の気候関連ウィークの中でも、特に「実行(Implementation)」への移行を強く打ち出した回となりました。

Climate Week NYCは、ニューヨークで毎年行われるチャリティー型の国際イベントで、ビジネスリーダー、政策決定者、地域の実務者、市民社会の代表者に働きかけ、気候変動対策を前進させることを目的とし、Climate Groupが運営しています。

主催者は今年のテーマを「Power On」とし、「議論から解決(Deploy Solutions at Scale)」への転換を明確に示しました。背景には、2025年11月にブラジル・ベレンで開催されるCOP30を見据え、各国・都市・企業・地域社会が、「約束(Commitment)」を「実行(Action)」へどう移していくかという焦点があります。

観光・旅という文脈では、移動・宿泊・体験を含む多様な要素が気候・地域・社会との接点を持っており、NYCW 2025で示されたトレンドや構造変化は、観光事業者にとって「次の5年、10年を見据えたビジネスモデル転換」の契機となります。

また、気候アクションの議論の中では「富裕層の責任」も強く問われました。とりわけ、高所得層向けサービスやラグジュアリー観光においては、相応の環境負担を内部化する仕組みが求められています。カーボンプライシングや環境寄付、再生プロジェクトへの直接投資といった形で、「負担ではなく貢献」としての支払い文化を育てることが、次の観光モデルの要となりつつあります。

目次

NYCW 2025で明らかになった流れ

キーワードは“実行”、実行フェーズへの明確な移行

  • United Nations Framework Convention on Climate Change(UNFCCC)事務局長 Simon Stiell 氏は基調演説で「この新しい時代の気候アクションは、約束から実体経済(real economy)へと近づけることだ」と述べています。
  • 各国が提出する国家決定貢献(NDCs:Nationally Determined Contributions)が“いつまでに何をどうするか”という実務的な細目に踏み込む段階に入っており、観光を含む産業・都市部門でもその動きが顕在化しました。

都市・部族・地域コミュニティの存在感増

NYCW 2025では、国家/政府レベルから、都市・先住民族・地域社会(部族)まで、ミクロからマクロにわたる多層的主体の登場が目立ちました。

  • 例:ニュージャージー州ホボーケン(Hoboken)のレジリエンス・パーク巡りや洪水・高潮対策・緑インフラの構築が紹介されました。
  • また、「ムチラオン(mutirão=ポルトガル語で“共同作業・協働”)」という言葉が、都市・地域・先住民族・民間企業を巻き込む集合的実装のキーワードとして引用されました。

参加規模・多様性の拡大

  • フォーブス紙によれば、1000件を超えるイベントが市内各地で行われたとされ、過去最大規模と報じられています。
  • 議論のテーマも、「従来のエネルギー・交通」から「食料システム」「生物多様性」「都市・インフラ」「気候ファイナンス」「デジタル・AI」まで拡張。ある報道では「Circularity(循環性)」が、ビジネス・産業領域で“インフラ化”しつつあると指摘されています。

観光・旅・移動分野の浮上

特筆すべきは、観光・都市観光・移動・宿泊・旅客の分野が“気候実装”の切り口として現れたことです。

  • 旅行・出張・空港・都市観光を巡る動きが、持続可能航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)や都市型低炭素観光の文脈で取り上げられました。 
  • また、都市観光地としてのニューヨークが「グリーン点灯」などの象徴的演出を実践し、観光・体験を通じた低炭素ストーリーの示唆となりました。 

観光事業者へのインパクト・示唆

NYCW 2025の流れから、観光事業・地域観光・宿泊・体験型旅行に関わる事業者が押さえておきたいポイントは以下の通りです。

1. 移動・交通:SAF・移動最適化

観光・出張需要を背景に、SAF(持続可能な航空燃料)導入の議論が拡大し、旅行会社やMICE(会議・イベント)手配、企業出張の現場では見積段階からSAF選択肢を提示する動きが加速しています。事業者は、SAFオプションの標準化、移動回数の削減、直行便の優先などを旅商品の設計に組み込む必要があります。

2. 都市・宿泊:低炭素観光・都市レジリエンス

都市観光地・宿泊施設・ベニュー(会場)では、脱炭素と適応/レジリエンスが新たな差別化軸です。宿泊施設の再生可能エネルギー比率、屋上緑化、地域循環(資源・経済)への接続、災害対応インフラなどを評価基準に、「低炭素MICE・観光ガイド」を整備することが求められます。

3. 体験・地域再生:旅を通じた“貢献”体験へ

地域観光や体験型旅行では、単に訪れるだけでなく、自然・文化・コミュニティを再生(Regeneration)する視点が一層重要になっています。旅行商品に「現地での再生活動」、「自然・生物多様性保全への参加」、「地域住民との共創」を組み込むことで、差別化と持続可能性の両立が可能です。

4. ファイナンス・資本動員:混合金融・保証スキーム

観光インフラや地域レジリエンス、低炭素観光の実装には、公的資金に加えて民間資本・混合金融・保証スキームといった新たな資金調達モデルが不可欠です。観光事業者やDMO(Destination Management Organization)は、資金調達の設計としてグリーンボンド、保証付き債券、地域循環型ファンドなどの活用を検討すべきです。

注視すべきテーマ:観光×気候変動の交差点

NYCW 2025から、観光・旅分野で特に注目すべきテーマを整理します。

・持続可能航空燃料(SAF)および移動削減

航空分野におけるSAFの議論は加速しており、観光・出張需要が市場形成の契機となっています。さらに、「移動そのものを削減・最適化する旅」の設計が、気候アクションとして有効な選択肢になりつつあります。

・都市レジリエンス・観光地ストーリーテリング

都市が観光地として気候変動対応を打ち出す動きが強まり、観光地・宿泊施設・体験が「低炭素でレジリエントな都市・地域」のアンバサダーとしての役割を果たしています。 

・地域再生・自然・生物多様性

旅の文脈で「自然資本・生物多様性・地域文化」を守り・再生することが、気候実装と結びつく明確な軸となってきました。観光が自然・文化・地域を再生する力を持つ、という視点です。

・観光×ファイナンス・混合資本モデル

観光・旅プロジェクトも気候投資・混合金融・保証スキームなどの資金構造を取り込むフェーズに入っています。旅行者体験だけでなく、資金調達・プロジェクト設計・測定・報告が重要になります。

・気候正義・インクルージョン・多様な主体

BIPOC(有色人種)コミュニティ・都市貧困地区・先住民族といった“気候変動の影響をより受けやすい人々”を中心に据える気候正義の視点が、旅・観光・地域再生の文脈でも求められています。 

観光事業者向け:次の半年で取り組むべきチェックリスト

旅・観光・宿泊・地域観光を手がける観光事業者にとって、今後6~12か月で取り組むべき実務レベルのアクションを以下に整理します。

  1. 移動・交通の見直し

・出張・団体旅行でSAFオプションの導入を標準化(見積もりテンプレート・契約条項に明記)
・移動回数削減・直行便優先・公共交通・シェア移動併用など「移動負荷削減」設計

  1. 宿泊・観光地・会場の低炭素設定

・宿泊・会場選定時に再生可能エネルギー率・節水・廃棄物回収・地域連携KPIを明示

・宿泊施設・観光地での「低炭素MICE・観光ガイド」を自治体・DMOと共同整備

・災害・気候適応(レジリエンス)設計を宿泊・観光地体験に組み込む

  1. 体験・地域再生型商品への転換

・旅商品/体験の中に「地域再生活動」「自然・文化保全体験」「地域住民協働セッション」を組み込む

・参加者が“旅を通じて地域・環境に貢献できた”というストーリーを提供

  1. 資金・パートナー構築

・観光インフラ・地域体験型プロジェクトにおいて、グリーンボンド・混合金融・保証枠・公民連携モデルを検討

・データ測定・報告体制(CO₂排出、適応インパクト、地域雇用・文化指標)を整備

  1. コミュニケーション・ブランド化

・旅・宿泊・観光施設・旅行商品の訴求ポイントとして「低炭素」「地域再生」「気候正義」を明確化
・グリーンウォッシュに陥らない。 レポートや数値、第三者認証(例:GSTC)を用いて信頼性を担保する
・デジタル/SNSで“旅を通じた変化”ストーリーを伝え、意識の高い旅行者セグメントに訴求

リジェネ旅としての観光の使命

NYCW 2025は、観光・旅というフィールドにとっても“変革の転換点”と言えます。旅はもはや単なる“消費”ではなく、「地域と環境を再生し、未来を育む場」へと進化しています。観光事業者にとって問われているのは、地域・宿泊・移動・体験の全体を「低炭素・レジリエント・地域再生型ビジネスモデル」へと転換すること。

ぜひこの機会を捉え、「旅=再生(リジェネ)」の視点からビジネスをアップデートしていきましょう。

この記事を、観光事業者の皆さまの次なるアクションを形にする土台としてお役立ていただければ幸いです。

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参考: https://www.theclimategroup.org/our-work/events/climate-week-nyc-2025

https://www.nyctourism.com/events/climate-week-nyc




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