MENU
  • リジェネラティブツーリズム
  • 社会
  • 環境
  • 経済
  • 用語集
  • English
お問合せ
リジェネ旅
  • リジェネラティブツーリズム
  • 社会
  • 環境
  • 経済
  • 用語集
  • English
お問合せ
リジェネ旅
  • リジェネラティブツーリズム
  • 社会
  • 環境
  • 経済
  • 用語集
  • English
  1. ホーム
  2. 社会(ヘルス、まちづくり、ジェンダー)
  3. 強制労働とは何か?観光産業が無自覚に加担しないために

強制労働とは何か?観光産業が無自覚に加担しないために

2025 12/04
社会(ヘルス、まちづくり、ジェンダー)
人権
2025-12-26

強制労働とは、本人の自由な意思に基づかず、身体的・精神的な強制や威圧のもとで行われる労働を指します。かつては奴隷制度と密接に結びついていましたが、現代でも形を変えて存在し続けており、観光産業も例外ではありません。

国際社会ではこの問題を重大な人権課題として捉えており、観光産業に携わる事業者や旅行者にも、その実態を知り、関与しない行動が求められています。

持続可能な観光を実現するためには、強制労働の排除は避けて通れないテーマです。

目次

強制労働の多様な形態

強制労働というと、昔の奴隷貿易や捕虜の労働を思い浮かべるかもしれません。しかし現代の観光産業でも、さまざまな形で存在しています。

たとえばホテル建設や清掃、観光施設の管理、土産物や食品の製造などの裏側では、低賃金や過酷な環境で、本人の意思に反して働かされている場合があります。

観光産業がつながる世界的なサプライチェーンの中で、強制労働は見えにくい形で潜んでおり、事業者や旅行者も知らないうちに関わってしまう危険があります。

人身売買

暴力や脅し、だましなどによって人を連れ去り、強制的に働かせることです。観光産業でも例外ではなく、性産業や農業、ホテル建設や清掃、さらには家庭内での労働など、さまざまな場面で起きています。

旅行者が利用する宿泊施設や観光地の裏側でも、人身売買による労働が関わっている可能性があります。

児童労働

観光産業の現場でも、子どもが学校に通えず、危険で不当な条件のもとで働かされることがあります。

例えば、観光客向けの土産物を作る工場や農園、観光地での物売りなどに子どもが関わっているケースです。

貧困や家族の借金のために、子ども自身がその返済を背負わされることもあり、教育を受ける機会を奪われてしまいます。

国家による強制労働

一部の国では、政治犯や少数民族などが「刑罰」や「再教育」の名目で強制的に働かされることがあります。観光産業とも無関係ではなく、こうした労働力が観光施設の建設やインフラ整備、輸出される土産物や衣料品の生産に使われる場合があります。

旅行者が訪れる場所や手に取る商品にも、国家による強制労働が関わっている可能性があるのです。

借金漬けによる搾取

観光産業では、多くの移民労働者がホテル建設や清掃、レストラン、農園などで働いています。しかしその裏側では、渡航費や斡旋料を理由に多額の借金を背負わされ、返済を口実に低賃金や劣悪な環境で働かされるケースがあります。

パスポートを取り上げられて移動の自由を奪われることもあり、これは典型的な強制労働の形態とされています。

旅行と強制労働の関係性|観光産業に求められる人権配慮と持続可能性

出典:厚労省資料 技能実習制度の現状
出典:平成30年度「帰国後技能実習生フォローアップ調査」

観光産業における強制労働問題は、外国人労働者やサプライチェーンに深く関わっています。

特に日本では、技能実習生や留学生がホテル清掃、飲食、土産物販売、農泊やスキーリゾートなどで低賃金・長時間労働に従事している事例が報告されています。

名目上は「実習」や「学業補助」とされていますが、実態は労働力不足を補う単純労働であり、強制労働に近い状況と国際機関や人権団体から指摘されています。

また、パスポートや在留カードを預かり返さない行為は「移動の自由を制限するもの」とされ、強制労働の典型例とみなされます。

さらに、観光土産や地域特産品の生産過程においても、海外の衣料や食品加工で強制労働が関与しているリスクがあります。

欧州を中心に「人権デューデリジェンス法」の導入が進む(3)中、日本の観光事業者にもサプライチェーンの透明性が求められる可能性が高まっています。

旅行者や事業者は、このリスクを理解し、持続可能で人権を尊重する観光の仕組みを支えることが不可欠です。

強制労働がもたらす影響

強制労働は、個人の自由や尊厳を著しく侵害する重大な人権問題です。自らの意思に反して働かされることで、身体的・精神的な健康を損ない、教育や成長の機会も奪われます。

しかしその影響は個人にとどまらず、社会全体にも深刻な問題を引き起こします。

例えば、劣悪な労働環境を放置することで公正な雇用機会が失われ、地域経済の健全な発展が妨げられます。

また、観光産業においては、強制労働に依存した商品やサービスが提供されることで、産業全体の信頼性が損なわれ、持続可能な観光の実現を遠ざける要因にもなりかねません。

人権侵害

自由を奪い、尊厳を踏みにじる行為であり、基本的人権の最も重大な侵害の一つです。

貧困の再生産

強制労働の被害者は、多くの場合、教育や技能習得の機会を奪われ、貧困から抜け出すことが困難になります。

経済への悪影響

強制労働は、公正な競争を阻害し、労働市場を歪めます。また、国際的なサプライチェーン全体に影響を与えます。

社会の不安定化

不法な労働慣行は、規範を壊し、犯罪組織の温床となる恐れもあります。

国際社会の取り組み

国際社会では、児童労働や強制労働の根絶に向けて、ILO(国際労働機関)が1999年に「最悪の形態の児童労働条約(IPEC条約)」を採択し、加盟国が条約第182号に基づき、即時行動を求める枠組みを共有しています。

また、OECD、UNICEF、IOMと連携した「アライアンス8・7」などの枠組みにより、観光を含むグローバルサプライチェーン上の児童・強制労働を可視化して対策を促進しています。特に旅客輸送・ホテル・レストランなどが含まれる産業は調査対象とされ、産業全体で改善取り組みが求められています。

ECPATのサイト
出典:ECPAT/STOP JAPAN | 子ども買春・子どもポルノをなくすために私たちができること。

観光産業向けには、国際NGO・ECPAT(エクパット)が1998年から「旅行・観光業における児童性的搾取防止行動基準(The Code)」を策定し、世界約42ヵ国・1000以上の企業が署名。

業界として性的搾取を含む最悪の形態の児童搾取を防止する枠組みを運用しています。

「観光産業における児童性的搾取防止行動基準(The Code)」は、18歳未満の子どもを性的搾取から守るため、観光業界(旅行会社、ホテル等)が具体的行動を定め、世界的に調印を進める6項目からなる規範です。

規範は、

  • 倫理方針の確立
  • 従業員教育
  • 供給業者との契約条項導入
  • 旅行者への情報提供
  • 現地関係者への情報提供
  • 年次報告実施

を求めています。

1998年にECPATスウェーデンやWTOが支援して開始され、2005年までに世界約25か国・254社、さらに日本でも2005年3月に約60社が調印、その後国内では83社・団体が正式に取り組みを表明しています。

日本では、日本旅行業協会(JATA)やJTB、ECPAT/ストップ子ども買春の会、日本ユニセフ協会などが連携して「コード・プロジェクト」を形成し、業務の中での実践、研修、啓発ツール作成、ロゴの共有、調印企業の年次報告など、規範の具体的実施が進められています。

国連人権機関も、観光が子どもを危険にさらす構造を正し、「測り直された観光」を提唱し、観光地における児童保護意識の向上を求めています。

日本社会の取り組み

日本では、政府がILO条約の締結や、違法就労・人身取引防止を目的とする「対人身取引行動計画(Action Plan)」を策定し、犯罪化や被害者支援体制、国境管理の強化を進めています。

また、経済産業省が発出する「日本企業のためのビジネスと人権指針(通称ジャパンガイドライン)」では、児童労働や強制労働に対する尊重義務を明示し、人的サプライチェーンの透明性を求めています。

国内では大企業の約65%が人権方針を策定し、約30%が人権デューデリジェンスを実施しており、今後中小企業まで拡大が期待されています。

これら国際・日本の取り組みを踏まえ、観光産業においては以下のような具体策が推奨されます:

  • ECPATの「The Code」に署名し、従業員研修や警戒サインの共有などを実施
  • サプライチェーン調査によって児童・強制労働のリスクがある業者や地域の調達を排除
  • ホテルや旅行業が、購買・土産物・サービスの提供先を透明化し、人権尊重方針を採用
  • NGOや国際機関と協力し、現地コミュニティ支援や観光客向け啓発活動を展開

こうした連携と対策を通じ、観光産業が児童・強制労働と無縁な持続可能な産業へと転換することが求められています。

国際社会は、国際労働機関(ILO)を中心に強制労働の撲滅に向けて取り組んでいます。

ILOは「強制労働に関する条約(第29号)」や「強制労働の廃止に関する条約(第105号)」などを採択し、加盟国に強制労働の禁止と撲滅を求めています。

日本もこれらの国際条約を批准しており、国内法でも労働基準法などにより強制労働は禁止されています。しかし観光産業においては、ホテルで使用されるリネンやアメニティ、土産品、レストランの食材など、

グローバルなサプライチェーンを通じて調達される多くの製品において、海外での強制労働が関与している可能性が指摘されています。そのため、観光事業者は、人権リスクを的確に理解・特定した上で、人権デューデリジェンスの実施や調達先の透明性確保といった対応が強く求められています。

参考

(1)厚労省資料 技能実習制度の現状

(2)技能実習制度適正化に向けた調査研究事業報告書

(3)EU人権・環境デューディリジェンス法制化の最新概要(2025年5月) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ




社会(ヘルス、まちづくり、ジェンダー)
人権
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

メルマガ登録




New Posts
  • 強制労働とは何か?観光産業が無自覚に加担しないために
    2025年12月26日
  • 旅と地域循環経済:ローカル調達が生み出す新しい観光の形
    2025年12月25日
  • 遊んで、食べて、学ぶ。エシカルおもちゃと地元食材からはじまるやさしい循環
    2025年12月24日
  • 旅が地域を“再生”する——リジェネラティブな旅のためのエシカル消費チェックリスト
    2025年12月23日
  • 森のようちえんの魅力と教育効果 | 自然と共に育つ新しい教育のかたち
    2025年12月22日
  • ナラティブとは?意味・使い方・ビジネスでの活用をわかりやすく解説
    2025年12月19日
  • 湿地
    【2026年版】リジェネラティブツーリズム最前線 |世界と日本でいま何が起きているのか。そして2026年に何が終わり、何が始まるのか。
    2025年12月18日
  • ウォーカブルシティとは?都市の健康・交流・環境を育む新しいまちづくり
    2025年12月18日
  • Travel by B Corpとは?観光産業の間で注目されている新しい旅行のかたち
    2025年12月17日
  • スコットランド・ハイランド地方 – 観光客が創るリワイルディング(再野生化)
    2025年12月16日
Ranking
  • 環境評価システム EPEAT(イーピート)とは?認証を取得している企業事例もご紹介
    EPEAT(イーピート)認証とは?重要性と国内外の事例を紹介
    2022年2月17日
  • オーストラリアの写真
    オーストラリアの環境問題への取り組みとサステナブルツーリズム
    2024年10月2日
  • イタリア・ベネチア、歴史遺産を守るためのオーバーツーリズム対策とは
    イタリア・ベネチア、歴史遺産を守るためのオーバーツーリズム対策とは
    2025年2月5日
  • サステナブルツーリズムとは?持続可能な観光業の最新動向(2025年)
    2022年3月4日
  • 観光税は持続可能な観光につながる?
    観光税は持続可能な観光につながる?世界と日本の導入事例を解説
    2024年8月6日
  • スウェーデンの持続可能な開発目標達成へ向けた取り組み
    スウェーデンの持続可能な開発目標達成へ向けた取り組みと成功要因を解説
    2024年7月2日
  • 省エネにも積極的。ニュージーランドのエネルギー事情
    ニュージーランドのエネルギー事情と水力発電
    2023年9月29日
  • バルセロナのオーバーツーリズムの実態とは?原因や対策を紹介
    バルセロナのオーバーツーリズムの実態とは?原因や対策を紹介
    2025年2月12日
  • オランダの運河に浮かぶ!サステナブルな水上住宅 Schoonschip
    オランダ・アムステルダムの運河に浮かぶサステナブルな水上住宅 Schoonschip
    2023年7月21日
  • カナダのSDGs取り組みとサステナブルツーリズム
    カナダのSDGsに対する取り組みとサステナブルツーリズム
    2024年10月29日
Category
  • サステナブルツーリズム
  • SDGs・ESG基礎
  • 環境(水、森林、海洋、エネルギー資源)
  • 社会(ヘルス、まちづくり、ジェンダー)
  • 経済(働き方、生産・消費、産業・技術)
  • その他
    • ドバイ万博
Tag
CO2削減ESGESG投資SDGsアメリカウェルビーイングオランダオーバーツーリズムカーボンニュートラルサステナブルツーリズムサーキュラーエコノミーステークホルダーデジタルノマドドイツドバイドバイ万博ニュースビジネスと人権ファッションフードロスプラスチックマイクロプラスチックリサイクルリジェネラティブツーリズムリジェネラティブ農業人権人権デューデリジェンス企業事例再生可能エネルギー北欧取り組み事例取材各国の事例地域の事例持続可能な社会持続可能な観光日本気候変動海洋プラスチック問題温室効果ガス生物多様性畜産業脱炭素観光業界認証
Pick Up
  • サステナブルツーリズムとは?持続可能な観光業の最新動向(2025年)

    CO2削減SDGsサステナブルツーリズム気候変動脱炭素観光業界
    記事を読む
  • リジェネラティブツーリズム(再生型観光)で実現する持続可能な旅

    サステナブルツーリズムリジェネラティブ・ツーリズム持続可能な観光気候変動観光業界
    記事を読む

メルマガ登録

PR問い合わせバナー

目次