環境意識の高い海外インフルエンサーの日本旅特集|「見慣れた日本」を「宝の山」に変える視点

インバウンド需要が急速に回復する中、単なる観光地巡りではない、新たな潮流が生まれています。サステナビリティ(持続可能性)を重視する「環境意識の高い旅行者」が増え、私たちが見過ごしがちな日本の地方や文化に、驚くべき価値を見出しています。
本記事では、有力な海外エコ系インフルエンサーはなぜその場所を選び、どこにお金を使ったのかを分析し、明日から使える具体的なアクションプランを提案します。
環境意識の高い海外インフルエンサーが魅了される「日本のサステナブル資産」

環境意識の高いインフルエンサーたちは、東京や京都といった定番観光地、いわゆる「ゴールデンルート」をあえて外す傾向があります。彼らが求めているのは、観光地化された名所ではなく、その土地の日常が息づく「ありのままの日本」です。
たとえば、多くのフォロワーを持つクリスティーナ・ミナミ氏は、混雑を避ける「アンチ・オーバーツーリズム」を掲げ、外国人旅行者が少ない農村や里山に足を運びます。
そこには、観光用のアトラクションではなく、精進料理に代表される素朴な食文化や伝統工芸、資源を無駄にしない暮らしなど、「本物の暮らし」が残っています。[1]
人混みを避ける選択は、快適さだけでなく、環境負荷の分散や持続可能な地域への応援という倫理的な行動でもあります。「有名観光地ではない」という立地は、むしろこうした価値観を持つ層を引きつける強みになり得ます。
精進料理=世界最先端ヴィーガンフードとしての再評価
日本人にとって「お寺の食事」である精進料理は、海外の環境意識層から「世界最古かつ最先端のサステナブルフード」として熱く支持されています。
肉や魚を使わず、野菜の皮まで使い切る精神は、フードロス削減やヴィーガンの考え方と一致します。彼らは精進料理を「ヘルシーな食事」ではなく、1000年以上続く「哲学的な食体験」として捉えています。
日本の事業者は、精進料理や郷土料理を単なる「メニュー」としてではなく、「命をいただく」感謝の心や環境配慮など、その背景にあるストーリーごとに伝える必要があります。
伝統工芸に息づく“循環”と“時間”の価値
大量生産・大量消費に疑問を持つ彼らにとって、日本の伝統工芸品は「一生モノ」のサステナブルな製品です。
富山県の鋳物や木彫り、各地の陶芸や漆器など、職人が時間をかけて手作りした品には、壊れても修理して使い続ける文化が宿っています。インフルエンサーたちは、製品の美しさだけでなく、職人の技や背景のストーリーに価値を感じます。安価な土産物を大量に買うより、高くても長く使える「本物」を一つ選ぶのが彼らのスタイルです。
これは「消費」というより、職人の技術や地域文化を守る「投資」に近い感覚です。工芸品の販売では、機能説明だけでなく、作り手の想いや持続可能な製造プロセスを伝えることが重要になります。
ゼロ・ウェイスト地域に学ぶ持続可能モデル
徳島県上勝町は、80%のリサイクル率を達成した日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言地」として、世界のサステナビリティ志向の旅行者が目指す場所になっています。[2]
注目される理由は、単なるゴミ削減の成功例だからではありません。43の細かな分別カテゴリーを通じて、町民が「資源を大切にする暮らし」を実践している点そのものが、インフルエンサーたちを惹きつけています。彼らはここでの体験を通じて、「消費社会のあり方」を根本から問い直しています。
取り組みを紹介するコンテンツは世界中で共有され、地域の知名度向上に大きく貢献しています。こうした先進的な環境施策を持つ地域は、今後、欧米の高所得層を対象にした「学習型観光地」として成長する可能性があります。
海外インフルエンサーは日本で何を選び、どう発信しているのか
彼らの環境意識の高いインフルエンサーが発信するのは、美しい風景だけではありません。その土地でどんな「サステナブルな選択」ができるかを、具体的な行動や体験を通じて示しています。
投稿には、地域社会への貢献や環境保護への明確なスタンスが表れています。それがフォロワーの共感を生み、「行くべきスポット」ではなく「その場所を選ぶ理由」や「そこで過ごすことの社会的意義」を伝える重要な要素になっています。
食とローカル飲食店の国際化|ジゼム・サカマキ

ジゼム・サカマキ氏は、地域に根差した小さな飲食店の魅力を世界に伝えるインフルエンサーです。日本の食文化や旅行情報を発信するトラベルガイド兼フードツアー会社「FoodieAdventureJapan」の創設者であり、ドイツ生まれのトルコ系という多様なバックグラウンドを持つ食の専門家でもあります。[3]
彼女が案内するのは、大手チェーンや観光客向けレストランではなく、家族経営の食堂や地元食材を大切に扱う職人の店など、地域にお金が循環する店です。参加費がそのまま地域の収入につながるようツアー設計にも配慮しています。
さらにSNSでは、料理の味や見た目だけでなく、店主の人柄や料理に込められた想い、店が地域で果たす役割まで紹介します。その結果、言葉の壁がある小さな店でも、外国人旅行者が「この人を応援したい」と感じて訪れるようになります。ストーリー発信が集客の最大の武器になり得る好例といえるでしょう。[4]
農村部の再生と地域ガイド育成|キラ・ベラ

キラ・ベラ氏の取り組みは、地域住民を観光の主役にすることに重点を置いています。彼女が運営するプラットフォーム「Kirameki」は、日本の農村部が抱える人口減少や産業衰退といった課題に向き合いながら、持続可能な観光のあり方を模索しています。[5]
自分たちの暮らしや歴史を誇らしげに語る住民の姿は、訪れる人々に深い感動を与えます。この活動は観光客を呼び込むだけでなく、地域コミュニティに自信と活力を取り戻すことにもつながっています。[6]
オーバーツーリズム回避と良質な体験の訴求|クリスティーナ・ミナミ

クリスティーナ・ミナミ氏は、混雑を避けた静かな旅を提案し、観光需要を地方へ分散させています。インスタグラムで約31.5万人のフォロワーを持つ彼女は、有名観光地ではなく、まだ知られていない地方を積極的に訪れています。
発信の軸は「アンチ・オーバーツーリズム(過剰な観光の回避)」です。人混みで疲れるより、富山県や広島県の山間部などで、自然や文化にゆったり触れる時間こそが真の贅沢だと伝えています。誰もいない静かな風景写真とともに、その場所への行き方や滞在マナーまで丁寧に紹介している点も特徴です。
このアプローチは、「有名な場所に行かなければならない」という固定観念をほぐし、地方に眠る隠れた名所へ、環境意識が高く質の良い旅行者を呼び込むことに成功しています。
精進料理体験の国際的ブランド化

仏教の伝統食である精進料理は、現代的なヴィーガン体験として再定義した先進的な事例です。海外向けの体験プラットフォーム「byFood」ではヴィーガン対応のハイキングツアーとして特集され国際的な認知が着実に広がっています。[7][8]
「すべての命を大切にする」という仏教の教えは、環境保護や動物愛護への関心が高い層に強く響きます。
食事の前に僧侶の話を聞き、静かな空間で感謝とともに味わう一連の流れ自体が、かけがえのない体験になります。こうした伝統的な習慣の意味を言語化して伝えることで、古くからの文化が「最先端のサステナブル体験」として国際的なブランドへと生まれ変わるのです。[9]
ゼロ・ウェイスト体験ツーリズム|徳島県上勝町

徳島県上勝町(かみかつちょう)は、「ごみをゼロに近づける」という挑戦自体を観光資源とし、世界中から視察や旅行者を集めています。人口約1400人の小さな町ながら、リサイクル率80%の「ゼロ・ウェイスト」先進地として知られています。
観光の特徴は、住民と同じルールでごみを43種類に分別する体験ができることです。旅行者は、自分の出したごみがどのように仕分けられ、どんな素材として生まれ変わるのかを間近で見ることができ、便利さに慣れた現代人が消費と廃棄の関係を考え直すきっかけになります。
インフルエンサーたちは、この「手間はかかるが学びの大きい体験」を前向きに評価しています。環境意識の高い層にとって、上勝町を訪れることは、これからの暮らし方を学ぶための「巡礼」のような意味を持つと言えるでしょう。[10][11][12]
環境意識の高い旅行者の消費行動の特徴
環境意識の高い旅行者は、一般的な観光客とは異なる基準でお金を使います。彼らにとって重要なのは「安さ」や「豪華さ」ではなく、「支出が誰を支え、どんな未来につながるか」です。
巨大チェーンではなく、地元の飲食店や宿、職人の工房など、地域コミュニティにお金が“直接投資”される選択を好みます。また、農業体験や伝統工芸のワークショップなど、自分の学びや気づきにつながる体験には、高額でも積極的に支払います。
お金の行き先が見えること、そこで得られる学びや心の充足感が、消費判断の軸です。
日本の事業者が強化すべき4つの戦略
環境意識の高い旅行者に選ばれるには、以下の4つの戦略が必要です。
- 「なぜ」を語るストーリーテリングへの転換
- 「おもてなし」として前向きにヴィーガン・プラスチックフリーを用意
- 地域コミュニティと一体になったツーリズム設計
- 多言語情報発信とデジタルプラットフォーム戦略
「良いものを作れば伝わる」だけでは不十分です。高い品質に加え、その背景にある想いや地域への貢献、環境への配慮をわかりやすく言語化して届けることが求められています。
「なぜ」を語るストーリーテリングへの転換
日本の製品やサービスは品質が高い一方、その魅力を伝える際に「機能説明」で終わりがちです。しかし環境意識の高い旅行者の心に響くのは、「なぜそれを作っているのか」という想いや哲学です。
たとえば、ある食材を使う理由を「美味しいから」ではなく、「地域の水源を守る農法で育てられた野菜だから」と伝えるだけで、その料理の価値は大きく変わります。実際、インフルエンサーは常に背景のストーリーを語っています。
英語で情報発信する際も、直訳にとどまらず、自社の理念や環境への取り組み、地域への愛着といった情緒的な要素を盛り込むことが重要です。そうした物語こそが、彼らにとっての「選ぶ理由」になります。[13]
ヴィーガン・プラスチックフリーは「おもてなし」
食事においても、ヴィーガン対応を「除去食」として消極的に用意するのではなく、誰もが楽しめる「おいしい選択肢」として前向きにメニュー化することが重要です。アメニティのプラスチック削減や、マイボトルに給水できるスポットの設置も、彼らから高く評価されています。
これらの取り組みはコスト削減にもつながり、「私たちはあなたと同じ価値観を持っています」という強いメッセージにもなります。まずは、小さくても具体的なアクションを積み重ねることが、信頼を得る第一歩です。
地域コミュニティと一体になったツーリズム設計
インフルエンサーが心を動かされ、発信したくなるのは、その土地に「本物の人間関係」が見える瞬間です。ツアーオペレーターや宿のスタッフが、単なる「サービス提供者」ではなく、地域と訪問者をつなぐ「文化の仲介者」になれているかが鍵になります。
そのために重要なのは、地元住民をガイドやコーディネーターとして育成し、自分たちの文化や取り組みを自分の言葉で語ってもらうことです。そうすることで、訪問者は「消費者」ではなく「学習者」「共感者」として関わるようになり、その体験が自然とSNSで共有されます。
小規模な地方事業者にとって、「地元人材の育成」への投資は、長期的には最も大きなマーケティング資産になりえるでしょう。
多言語情報発信とデジタルプラットフォーム戦略

環境意識の高い旅行者は、一般的な観光客より事前リサーチに時間をかけ、細かな情報を求めます。また、ヴィーガンレストラン検索アプリ「HappyCow」など、ニーズ特化型プラットフォームを積極的に利用します。[14]
事業者は、こうしたプラットフォームに登録し、英語・簡体字中国語・韓国語などで正確な情報を発信することが重要です。とくに「なぜ環境配慮をしているのか」という理念までオンラインで伝える工夫が求められます。
単なる機械翻訳ではなく、文化的背景や価値観を踏まえた「ローカライズ」によってこそ、世界の旅行者から共感と信頼が生まれます。
まとめ
環境意識の高い海外インフルエンサーは、私たちが見過ごしてきた日本の地方の魅力を掘り起こしています。
彼らを惹きつけるのに必要なのは、大規模投資ではありません。自社のサービスや商品の背景にあるストーリーを丁寧に伝え、地域や環境への配慮を見える形で示すことです。
これは、日本の観光が「数」を追う消耗戦から抜け出し、地域の豊かさを守りながら経済を循環させる「質」の観光へ転換する大きなチャンスでもあります。
本記事をきっかけに、貴社の取り組みにサステナブルな視点を取り入れ、世界の旅行者と深く長くつながる未来を描いていきましょう。
参考文献
[1]KristinaMinami|JapanTravel&Stories(@sugalenin)•Instagramphotosandvideos
[4]foodieadventurejapan•Instagramphotosandvideos
[6](@kirameki.earth)•Instagramphotosandvideos
[7]ShojinRyoriinTokyo:VegetarianBuddhistCuisine
[8]Mt.TakaoHikingTour&VeganZenFood(ShojinRyori)
[9]https://curiositysavestravel.com/vegetarian-vegan-food-japan-tips-for-plant-based-travel/
[10]TheLittleTownwithBigDreamsofZero-WastePerformance|ExperiencesinJapan
[11]instagramThisisJapan’sfirstzerowastetown!
[12]Kamikatsu’sZeroWasteInitiatives:RedefiningSustainabilityinJapan|KleanIndustries
