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ラーケーション ― 学びながら楽しむ新しい旅行スタイル

2025 10/15
経済(働き方、生産・消費、産業・技術)
ウェルビーイング サステナブルツーリズム ラーケーション 親子
2025-10-16

ラーケーションという言葉をご存じでしょうか?「Learning(学び)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、休暇を楽しみながら学びを得られる新しい旅行スタイルです。

いま教育の現場では、子どもが自ら問いを立て、課題を見いだし、体験を通じて学びを深める「探究学習」が重視されています。ラーケーションはまさにその流れと重なり、学校を離れた地域や自然のフィールドでの体験を、子どもの主体的な学びにつなげる仕組みといえます。

愛知県をはじめ全国で制度化の動きが進んでおり、観光や宿泊の現場にも新しいニーズを生み出しています。今回は、広がりつつある制度の現状と事例を紹介しながら、観光事業者にとっての可能性を探ります。

目次

1. ラーケーションとは?

引用元:一般社団法人 ツーリズムとよた

「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせたワーケーションは、コロナ禍を経て社会に浸透してきました。

これに対して、「Learning(学び)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた ラーケーション は、子どもの学びを対象とした新しい取り組みとして注目を集めています。

その先駆けとなったのが、2023年に愛知県で始まった 「ラーケーションの日」 です。

愛知県が定める「ラーケーションの日」

○ 愛知県全体の「休み方改革」プロジェクトの中で生まれた「ラーケーションの日」は、子供が保護者等とともに、平日に、校外(家庭や地域)で、体験や探究の学び・活動を、自ら考え、企画し、実行することができる日です。

○ 校外での自主学習活動であるため、子供は学校に登校しなくても欠席とはならず、「出席停止・忌引等」と同じ扱いとなります。

○ 保護者等の休暇に合わせて届け出て、年に3日まで取ることができます。

引用元:愛知県

愛知県で始まったこの制度は、翌年には 茨城県、大分県別府市、栃木県日光市、沖縄県座間味村 などへ広がりを見せています。自治体ごとに名称は異なりますが、方向性はいずれも「休暇と学びを結びつける」ものです。

教育旅行やワーケーションの流れとも重なり、今後は 観光と教育をつなぐ新しいキーワード として、観光業にとっても重要な動きになりそうです。

2. なぜ注目されているのか

ラーケーションが広がる背景には、教育の変化だけでなく、保護者の働き方や地域経済の事情も重なっています。子どもの学びを広げ、家族の時間を守り、観光と地域を元気にするなど、多面的な効果が期待されています。

  • 注目が集まる探究志向の学習

    文部科学省は「探究」を、実社会や実生活の中から問いを見いだし、自ら課題を立て、情報を集め、整理・分析し、まとめ・表現する学習活動と定義しています。

    知識を教え込むだけでなく、子ども自身が問いを立てて学ぶ姿勢を育むことが、いまの教育で重視されています。

その具体的な取り組みを後押しするのがラーケーションです。JEEF(日本環境教育フォーラム)は、子どもが学校を休んで家族と地域へ出かけ、自然や文化に触れる仕組みを紹介。教室を離れて体験することで、子どもたちは「なぜ?」「どうして?」という問いを自分で見いだし、主体的に学ぶ力を養っています。

茨城県のように大学や専門学校の見学など、平日ならではの学びを推奨する自治体もあり、探究的な学びを支える動きは各地に広がりつつあります。

  • 休み方改革

    週末に働く保護者が多いため、平日に家族と過ごせる制度は歓迎されています。

    観光業が主要産業の大分県別府市や沖縄県座間味村では、祝休日に忙しい宿泊・飲食業従事者の家族時間を確保するねらいもあり、ワークライフバランスの改善につながっています。


  • 地域活性化の視点

    観光需要の増加や平準化への貢献も期待されています。

    地域資源を活かした教育プログラムなど、観光と教育を結ぶことで、新しいマーケットを開く可能性もあるでしょう。

3. 制度化が進む自治体

すでに複数の自治体がラーケーション制度を導入しています。

自治体名名称開始時期特記事項
愛知県ラーケーションの日2023年9月名古屋市を除く
大分県別府市たびスタ休暇2023年9月
茨城県ラーケーション2024年4月
熊本県くまなびの日2024年4月
栃木県日光市ちょこっとスタバケ日光2024年4月
沖縄県座間味村ざまやすみ2024年4月
山口県家族でやま学の日2024年6月
静岡県磐田市いえたん磐田2024年9月実証実験中
滋賀県長浜市ラーケーションの日2024年9月
徳島県ラーケーションの日2025年4月
愛媛県新居浜市あかがね ラーケーション2025年4月試行・検証中
群馬県草津町家族体験学びの日2025年4月
三重県志摩市しま・家族と過ごす学びの休日2025年9月
静岡県2025年9月県立高校の中等部2校が対象
熊本県熊本市2025年9月
奈良県桜井市ラーケーション制度2025年10月
沖縄県2025年下半期試験導入

一方で、名古屋市のように「家庭環境や地域による差が広がるのでは」という理由で導入を見送る自治体も多くあります。制度が全国一律ではないからこそ、地域によって取り組みやすさに差が出ています。

4. ラーケーションがもたらす変化と事業者への示唆

ラーケーション制度の広がりによって、観光需要は「週末集中型」から「平日分散型」へと緩やかにシフトする可能性があります。これまで稼働率が低かった平日に家族旅行という新しい動きが生まれることで、宿泊・交通・観光施設を取り巻く環境も変化していくでしょう。

さらに、学びを前提とした旅行であるため、従来の「遊ぶ・泊まる」だけでは選ばれにくくなり、「教育的価値のある体験」を提供できるかどうかが競争力の分かれ目になりそうです。

こうした変化に備えるために、事業者は以下の2つに今からでも取り組めるのではないでしょうか。

  • 学びの要素の棚卸し

    自然体験や文化体験を「探究学習」として捉え直す工夫が求められます。例えばスキー体験を雪や気候変動の学びと結びつけたり、地元の産業見学をキャリア教育として売り出したりすることが可能です。

    スポーツツーリズムとも相性がよく、家族でスポーツを楽しみながら地域文化に触れるプログラムは、旅行全体を学びの機会に変えていきます。いまある観光資源を「学びの視点」で棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。
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  • 平日市場の開拓

    「ラーケーションプラン」を打ち出すことで、これまで閑散日だった平日に家族を呼び込むことができます。既にいくつかの事業者がラーケーションプランを販売しています。

    例えば茨城県のアクアワールド大洗水族館では「ラーケーション特割」としてラーケーション制度を応援する割引プランを用意しています。

ラーケーションは、観光事業者にとって「旅行の意味が変わる」転換点です。教育的な視点やスポーツとの連携をいまのうちから取り入れることで、制度の追い風を味方にし、新しい顧客層との接点を築くことができるでしょう。

5. まとめ

ラーケーションは始まったばかりの制度ですが、全国の自治体で着実に広がりを見せています。その背景には、子どもの学び方の変化、保護者の働き方改革、地域観光の活性化といった社会全体のニーズがあります。

つまりラーケーションは、教育施策や観光プログラムではなく、「地域・家庭・教育・観光」をつなぐ新しい制度となりつつあるのです。

観光事業者にとって、これは大きなチャンスでもあります。

  • 「泊まる・遊ぶ」から「学ぶ・探究する」へと旅行の意味が拡張すること
  • 平日の集客や新しい顧客層の開拓につながること
  • 自治体や教育機関と連携しやすくなること

こうしたメリットを踏まえると、ラーケーション対応は「やるか・やらないか」ではなく、「どのように取り入れるか」が問われる段階に入っているとも言えます。

「楽しかった」だけで終わらず、「学び」や「成長」につながる体験があれば、観光の魅力はさらに広がっていきそうです。ラーケーションは、その変化を先取りする格好のきっかけになるのではないでしょうか。




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