ブリスベン、都市型エコツーリズムの新拠点へ|再生型観光の最前線

ブリスベンが誇るマウント・クーサはなぜ今、世界的な注目を集めるのか?
ブリスベン市民の憩いの場であり、クイーンズランド州を代表する自然景観の一つであるマウント・クーサ。この地が、2032年のオリンピック・パラリンピック開催を目前に控え、かつてない大規模な変革の時を迎えています。
ブリスベン市議会は、持続可能な観光、豊かな自然体験、採石場跡地の再生を柱とする壮大なプロジェクトを、都市レベルの持続可能性施策を推進する専門機関のBrisbane Sustainability Agencyに託しました。
年間100万人を超える訪問者をすでに惹きつけているマウント・クーサは、シンガポールのガーデンズ・バイ・ザ・ベイに代表されるような、世界をリードする都市型エコツーリズム拠点へと生まれ変わろうとしています。
この変革は、単なる観光地の刷新にとどまらず、訪問者が長く滞在し、地域経済と環境回復に貢献する「リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)」の新たなモデルになるとして、国際的にも大きな期待が寄せられています。
自然とつながるアトラクションを計画中
Brisbane Sustainability Agencyが推進するこのプロジェクトは、マウント・クーサが持つ手つかずの自然環境を最大限に活用しつつ、最先端の技術とデザインを融合させることで、自然とつながる体験型施設を作る予定です。具体的には、下記のような案があります。
- 170キロメートルの荒野のトレイル
- エコ宿泊施設
- 再設計されたトロピカルドーム
- 植物園での没入型の夜間ライト体験
ブリスベンは世界のグリーン・ツーリズム先進都市を目指す

このプロジェクトでは、シンガポールのガーデンズ・バイ・ザ・ベイやカナダのブッチャート・ガーデンといった、世界的に成功を収めているグリーン・ツーリズムのモデルケースから深くインスピレーションを得ています。
これにより、ブリスベンのマウント・クーサは単にブリスベンのローカルな観光地としてだけでなく、その豊かな生態学的・文化的な価値を尊重しつつ、国際的に認知されるトップクラスの観光スポットへと飛躍することを目指しています。
これは2032年のオリンピックを機に、ブリスベンが持続可能な都市としての国際的な地位を確立するために重要になります。
ブリスベンの未来への自信と期待
ブリスベン市長のエイドリアン・シュリナー氏は、「マウント・クーサはまさにブリスベンの至宝ですが、2032年以降はさらにその輝きを増すでしょう」と述べ、世界からの注目度が高まる中で、マウント・クーサがブリスベンの観光産業において中心的な役割を果たすことへの強い期待を表明しています。
Brisbane Sustainability Agencyの議長を務めるナイジェル・シャミエAM氏(2032年ゴールドコースト・コモンウェルスゲームズの元責任者という実績も持つ)は、このプロジェクトを「真っ白なキャンバス」と表現し、「マウント・クーサは計り知れない可能性を秘めた地域であり、手つかずの自然が広がっています。アクセスを容易にすれば、非常に素晴らしい場所になるでしょう」と語っています。市長は、訪問者がブリスベンに長く滞在する理由を増やすことが、地域経済や環境回復に良い影響をもたらすと強調しています。
マウント・クーサの今後の展望

マウント・クーサの壮大な計画は、地域住民との対話と協働を通じて進められています。670名以上の住民が参加した地域協議の結果、自然環境の改善、新たな観光アトラクションの導入、そして屋外レクリエーション施設の充実に対する強い支持が寄せられました。
ブリスベン市議会はすでに、ブラッシュボックス・ピクニックエリアへの新しいピクニックシェルターの設置や熱帯ドーム改修の詳細設計など、初期段階の工事に2025~2026年度予算を充てることを決定しています。
マウント・クーサの大規模な変革は、ブリスベンが2032年のオリンピック・パラリンピックという世界的イベントに向けて、都市の魅力を最大限に引き出し、持続可能な発展を遂げるための極めて重要な一歩となるでしょう。このプロジェクトがどのように生まれ変わり、世界中の人々を魅了するのか、その進化から目が離せません。