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VOGUE記事から読み取る「リジェネラティブツーリズム」の最新トレンドと日本の可能性

2025 11/06
リジェネラティブツーリズム
2025-11-20
リゾートホテルのプール

近年、ラグジュアリーの価値観は「派手さ」から「自然と調和した豊かさ」へと変化しています。静けさや土地とのつながりを重視するこの新しい旅のスタイルを体現するのが「リジェネラティブツーリズム(再生型観光)」です。

VOGUEが特集した“再生する旅”をもとに、世界の最新動向と日本での可能性を解説します。

目次

リジェネラティブツーリズムとは何か

“リジェネラティブ(regenerative)”という言葉は近年、「持続可能(sustainable)」を超えた概念として観光分野にも広がっています。

従来の観光が「環境への負荷を最小限に抑える」ことに主眼を置いていたのに対し、リジェネラティブツーリズムとは「むしろ訪問によってその地域・環境・コミュニティが再生(regenerate)される」ことを目指すものです。

つまり、観光が“影響を与えた先”の環境・文化・社会が、以前よりも良い状態で残されるようにする観点が加わるのです。

たとえば、ニュージーランドでは、“観光により地域社会・環境・文化が豊かになる”モデルを「Regenerative Tourism」として制度的に推進しています。[1]


こうした流れの中で、ファッション・ライフスタイルのトレンドをリードするメディア「VOGUE(英語版)」もこのテーマに注目しています。

同誌は、世界中の感度の高い読者層、特にサステナビリティやウェルネスに関心を持つ富裕層・エシカル志向の女性層を主要ターゲットとしています。

そのVOGUEが、農業体験やファームステイといった“土に根を張る旅”を「ウェルネス旅行」「ラグジュアリー旅行」の新たな潮流として紹介しているのは象徴的です。

つまり、ラグジュアリーやファッションの世界でも、“再生”“つながり”“地域との共生”が新しい価値として受け止められ始めているのです。[2]

観光の「訪れる」から「共に再生する」へ。その言葉の背景には、旅行者側の価値観変化(たとえば “意味ある滞在” を求める動き)と、受け入れ先地域の多様な課題(人口減、環境劣化、地域活性)があります。

このような概念を整理すると、主なポイントとして以下が挙げられます。

  • 「観光地・宿泊施設・旅程」が、環境・社会・文化・経済の4分野でプラスの価値を生むこと。
  • 観光客が単に“受け身”で滞在するのではなく、「体験」「関わり」「学び」の場を伴うこと。
  • 地域・土地・人・文化が“受け手”から“共創者・再生者”としての役割を持つこと。
  • “ラグジュアリー”観光と“再生/サステナビリティ”が共存する潮流が生まれていること。

このように、リジェネラティブツーリズムとは単なる環境配慮型ではなく、むしろ“プラス・インパクト”を生み出す観光のあり方と言えます。

VOGUEが描く「再生する旅」の新しいラグジュアリー

リジェネラティブツーリズムは、環境や地域への配慮を超え、心の豊かさを再発見する旅として注目されています。

VOGUEの記事では、“再生する旅”を通じて、ラグジュアリーの新しい定義を提示しています。それは「モノの贅沢」から「時間と体験の贅沢」への転換です。

体験と滞在の融合

先述のVOGUEの記事「Why Regenerative Farming Is the Latest Wellness Travel Trend」では、「農場ホスピタリティ(farm hospitality)」という言葉を用い、農と宿泊を統合した次世代ラグジュアリー旅行の形を紹介しています。

たとえば、英国の Heckfield Place はバイオダイナミック農法(自然の力を活かす農法)+宿泊施設+ガーデンを備えた滞在型施設として紹介されており、「土地に根ざしたライフスタイルの中で身体も心も整える」ことを宿泊体験として提供しています。

このように、ホテルや旅館という従来型の滞在に、“土地の営み(農業・自然・食)”を融合させることで、宿泊そのものが学び・体験・再生の場となっています。

静寂と自然の中の贅沢

記事ではまた、「豪華=派手」という従来の認識が変わりつつあり、「静寂」「自然の中でゆったり」「土地のリズムに合わせる」こと自体がラグジュアリーになっている、と分析しています。

たとえば、以下のような体験が挙げられます。

  • 「5つ星のサービスを備えながらも、テレビやネットのない時間」
  • 「朝は鶏の鳴き声で目覚める」
  • 「収穫した食材をその日の夕食に」

これは、情報過多・日常のスピードが速い現代人が“根源的なゆったり”や“土地とのつながり”を求めていることが背景にあります。

地域ならではの魅力を大切に

土地の特性・農法・気候・文化をしっかりと捉えた体験であることも、VOGUEが強調する要素です。

たとえばスペインの La Donaira(アンダルシア)では、「自社製造のオリーブオイル・ワイン・手作り石鹸」「農場に暮らす動物たちとの触れ合い」などが、宿泊体験と重層的に結びついています。

このように「ここでしか感じられない土地の物語」が滞在そのものの価値となっており、観光客が“地域の魅力を受け取るだけでなく目撃し・体験する”場が求められています。

“訪れる”から“共に再生する”へ

最も核心的な視点として、「旅人が ‘訪問者’ で終わらず、土地・人・自然とともに再生プロセスを担う一員となる」という方向性が示されています。

VOGUE記事では「人はただ滞在するのではなく、土地に根ざし、関わり、癒え、変わる」という表現が使われています。

つまり、旅とは “観る/過ごす” から “参加する/育む” へと転換しており、これがラグジュアリー旅の新しい潮流というわけです。

この流れを捉えるなら、宿泊施設・旅先が「体験を提供する」だけでなく「場として・プロセスとして再生をデザインする」必要があることが明らかです。

海外事例に学ぶリジェネラティブツーリズム

世界各地では、観光によって地域や自然を「再生」する取り組みが進んでいます。単なるエコツーリズムを超え、経済・文化・環境を同時に豊かにするモデルとして、各国が独自のアプローチを展開しています。

ニュージーランド:都市と自然の共生を目指す再生型観光

画像出典:Nau Mai, Haere Mai

クイーンズタウン・レイクス(Queenstown Lakes)地区において、「Travel to a Thriving Future」という目的を掲げ、観光が地域・環境・文化の再生につながるモデルが策定されています。[3]

同地区では、観光収益が地域に還元される仕組み、二酸化炭素削減・環境保護の目標、マオリ文化の価値を観光と結びつける取り組みなどを行っており、リジェネラティブツーリズムの3つの柱(コミュニティの豊かさ・環境再生・経済的回復力(レジリエンス))を戦略的に構築しています。[4]

これは、観光を“持続”するだけではなく“再生”につなげるモデルケースと言えるでしょう。

サウジアラビア・レッドシー:島の自然を守る取り組みとリゾート開発の融合

画像出典:Red Sea Global

The Red Sea Project(サウジアラビア西海岸)では、90を超える島々・サンゴ礁・砂漠・山岳地帯が開発対象になりつつも、「観光開発により自然環境を再生・強化する」ことを目指しています。[5]

プロジェクトの特徴
  • 再生型宿泊施設
  • 再生エネルギー・エコ交通
  • 訪問者数の上限規制(自然保護を前提とした観光設計)サンゴ礁保護への大規模な植林・保全活動
  • 再生可能エネルギー100%での運営[6]

豪華リゾートと自然再生という、一見矛盾しそうな価値を両立するモデルとして注目されており、ラグジュアリー旅行市場においてリジェネラティブツーリズムの先端を示しています。

フィリピン:地域文化と自然保全を両立させる観光モデル

フィリピンでも“再生観光(regenerative tourism)”の意識が高まっており、特にミレニアル世代を対象に「地域文化体験+自然環境保全+地域経済」などを統合する旅の価値が研究されています。[7]

たとえば、コミュニティ主導の観光プログラムや保全活動を含む滞在が、訪問者に“癒し”と“意味あるインパクト”を与えているという報告があります。

こうした動きは、日本においても“地域振興+自然保護”という観点から非常に参考になります。

日本に広がるリジェネラティブ・ツーリズムの可能性

日本では、人口減少・地方過疎・自然環境の劣化などの課題を抱える地域が数多くあります。こうした中で、リジェネラティブツーリズムはひとつの可能性となり得ます。

地域資源を活かす

たとえば、日本の地方には農業・林業・漁業・伝統文化・温泉・里山など、世界に誇れる「土地ならではの資源」があります。

これを単に観光消費の対象にするのではなく、「再生=息を吹き返す」ような体験として捉えることで、地域の魅力を再定義できます。

また、地域住民・自治体・観光事業者が協働しつつ、「訪問者が地域再生の一助となる旅」をデザインすることで、観光が“外部から来て支える”だけではなく“共に育てる”構図を築けます。

新しいラグジュアリー市場との接点

上記の海外事例でも分かる通り、リジェネラティブツーリズムは“ラグジュアリー旅行”の文脈とも親和性を持っています。

日本でも高付加価値な滞在型観光(たとえば、農場ステイ、里山ヴィラ、伝統建築リノベーション宿、食・クラフト体験を伴う宿泊)にこの視点を組み込めば、国内外の旅人に対して新たな価値を訴求できます。

言い換えれば、「単に泊まる」から「土地と関わる/地域と関わる」体験型の贅沢を提供できる可能性があります。

地域間連携・持続可能な収益構造

地方観光が抱えがちな課題として、「観光シーズン」「訪問者数依存」「環境劣化」「一次的消費で終わる観光」があります。リジェネラティブ型に転換することで、訪問者の滞在や体験が地域にもたらす“プラス価値”として循環させることが可能です。

たとえば、滞在料金の一部を地域の自然保全・伝統文化継承に充てるモデル、宿泊+体験+地域産品購入+地元労働参加といった“来訪者を含む循環型設計”などです。

この観点から言うと、日本におけるリジェネラティブツーリズムには、今後の観光戦略としての大きな伸びしろがあります。

チャレンジの際の注意点

ただし、以下のような点にも注意が必要です。

  • “再生”と言っても、表面的な演出に留まらず、地域・環境・文化への実質的な貢献が伴うことが求められます(グリーンウォッシング/ラベルだけの“再生”が批判される可能性あり)。
  • 地域住民・文化・自然環境の“当事者性”を損なわず、訪問者がその一部として機能できるような仕組みづくりがカギです。
  • 観光と地域再生のバランス(受け入れキャパシティ、環境負荷、土地利用)を丁寧に設計する必要があります。
  • マーケティング的にも、「再生」をキーワードにした旅の魅力・物語を丁寧に伝えることが重要です。

まとめ

本記事では、VOGUEが注目する“農場ホスピタリティ”を起点に、リジェネラティブツーリズム(再生型観光)の意義と最新トレンドを整理し、海外事例から学びつつ、日本における可能性を探りました。


キーポイントを改めて整理すると、

  • リジェネラティブツーリズムとは、観光によって地域・環境・文化・経済が回復・発展することを目指す新たな旅の概念。
  • VOGUEの記事が示すように、「滞在を体験する」「土地に根ざす」「地域と連携する」ラグジュアリー旅が、一つのブルーオーシャンとして浮上している。
  • 海外では、ニュージーランド、サウジアラビアのレッドシー、フィリピンなどで先進的なモデルが展開されており、それぞれ「自然・文化・地域連携」を中核に据えている。
  • 日本においても、こうした観点を取り入れることで、地方観光の新しい価値創造・高付加価値化・地域再生化の可能性がある。
  • ただし、「見せかけの再生」に終わらず、地域・環境・文化と本気で関わる構造設計・言語化・体験設計が不可欠である。

観光における「訪れる」から「共に育てる」「共に再生する」という視点は、これからの旅の風景を大きく変えていくものと考えられます。

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参考文献:

[1]Transitioning to a regenerative tourism model

[2]Why Regenerative Farming Is the Latest Wellness Travel Trend

[3]Nau Mai, Haere Mai

[4]Here’s where we are going

[5]Red Sea Global

[6]A Look Inside the Red Sea Global Project in Saudi Arabia – The Future of Sustainable Travel




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