MENU
  • リジェネラティブツーリズム
  • 社会
  • 環境
  • 経済
  • 用語集
  • English
お問合せ
リジェネ旅
  • リジェネラティブツーリズム
  • 社会
  • 環境
  • 経済
  • 用語集
  • English
お問合せ
リジェネ旅
  • リジェネラティブツーリズム
  • 社会
  • 環境
  • 経済
  • 用語集
  • English
  1. ホーム
  2. リジェネラティブツーリズム
  3. リジェネラティブツーリズムとは?観光の未来を変える最新イノベーション報告書『Unlocking Innovation for Regenerative Tourism』を解説

リジェネラティブツーリズムとは?観光の未来を変える最新イノベーション報告書『Unlocking Innovation for Regenerative Tourism』を解説

2025 11/12
リジェネラティブツーリズム
リジェネラティブツーリズム 各国の事例 持続可能な観光
2025-11-27
画像出典:Red Sea Global

気候変動や環境破壊が進む中、観光業にも“再生”を軸にした新たな発想が求められています。それが「リジェネラティブツーリズム(再生型観光)」です。

2025年、Red Sea Globalが発表した報告書『Unlocking Innovation for Regenerative Tourism』は、この新しい観光の形を具体的な事例とともに示し、世界の観光の未来を再定義する内容となっています。

目次

リジェネラティブツーリズムとは?

リジェネラティブツーリズム(再生型観光)とは、観光によって地域や自然環境、文化を「守る」だけでなく「再生」し、より良い状態に導くことを目指す新しい観光のあり方です。

従来のサステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)が悪影響の軽減を重視していたのに対し、リジェネラティブツーリズムは積極的に良い影響を生み出します。

地域住民や企業、行政と観光客が協働し、自然環境の回復、地域経済の強化、文化の継承を同時に進めることが特徴です。

たとえば、サンゴ礁の再生、再生可能エネルギーの活用、観光収益の地域還元など、行動の中心に「再生」と「共生」を置きます。観光が地域や自然に新しい息吹を与えることがリジェネラティブツーリズムの本質です。

なぜ今、報告書『Unlocking Innovation for Regenerative Tourism』が必要なのか?

画像出典:Red Sea Global

観光産業はコロナ禍を経て回復傾向にありますが、気候変動や生態系破壊、地域格差などの課題が再び顕在化しています。従来の大量消費型観光では持続性が確保できず、新たな観光モデルが求められています。

こうした背景で発表されたのが、Red Sea Globalの報告書『Unlocking Innovation for Regenerative Tourism(リジェネラティブツーリズムのためのイノベーション活用)』です。[1]

リジェネラティブツーリズムの理念を政策、技術、投資の観点から整理し、観光を「再生の力」として活用する具体的な道筋を示しています。

世界の旅行者の約8割が「訪れる地域に良い影響を与える旅行」を望む中、この報告書は理念を実践に落とし込む重要な指針となっています。

リジェネラティブツーリズム実現のためのアプローチと政策提言

リジェネラティブツーリズムを実現するには、理念だけでなく、具体的な行動と仕組みが必要です。報告書では重要なアプローチとして「自然資本への投資」「地域社会の共創」「テクノロジーによる再生促進」の3つを挙げています。

1. 自然資本への投資

森林、海洋、生態系といった自然そのものを“資産”として捉え、保全・再生に資金を循環させる考え方です。観光によって得られる収益を環境回復に再投資することで、観光が自然を消費するのではなく再生を支える仕組みが生まれます。

2. 地域社会との共創

地域の人々が観光開発の主体となり、文化や伝統を生かした持続的な体験づくりをすることが、真のリジェネラティブツーリズムのカギです。報告書では、地域住民の教育支援や雇用創出を通じた社会的価値の再分配も重要な要素として強調されています。

3. テクノロジーの活用

AIやIoT、リモートセンシング(遠隔探査)を用いた環境モニタリングは、自然の変化をリアルタイムで把握し、科学的根拠に基づいた再生計画を可能にします。また、デジタルツイン技術(現実空間をデジタル上に再現する技術)を用いることで、観光開発前に環境影響を可視化し、最適な設計をする試みも進められています。

政策面では、各国政府や自治体がリジェネラティブツーリズムを促進するための枠組みづくりが求められます。

報告書では、再生型プロジェクトに対する税制優遇、自然資本に基づく評価基準の導入、地域主導型の観光計画の制度化などが提言されています。

世界のリジェネラティブツーリズム事例

リジェネラティブツーリズムは、すでに世界各地で具体的な形として動き始めています。その中でも、サウジアラビアのRed Sea Globalが手がける3つのプロジェクトは、再生型観光の最先端モデルとして注目されています。

プロジェクト① The Red Sea|自然再生を中心に据えた観光開発

画像出典:The Red Sea

The Red Sea Projectは、サウジアラビア西岸の紅海沿いに広がる壮大なリゾート開発計画です。従来の観光開発とは異なり、

ここでは自然環境の「保全」ではなく「再生」を最優先にしています。

開発区域の約75%が手つかずのまま保護され、残る25%の土地においてもサンゴ礁の再生や海洋生物の生息域拡大を目指す科学的プランが導入されています。また、エネルギーは100%再生可能エネルギーでまかない、廃棄物ゼロを目指すサーキュラー型(循環型)の仕組みを採用しています。

このプロジェクトは「観光が自然を損なう」という常識を覆し、「観光が自然を癒す」未来像を提示しています。

プロジェクト② AMAALA|“ウェルビーイング×再生”の新しい観光

画像出典:Visit Red Sea

AMAALAは、健康・ウェルビーイング・再生をテーマにした高級リゾート開発であり、リジェネラティブツーリズムの社会的側面を象徴するプロジェクトです。

ここでは、訪れる人々がリラックスや癒しを得るだけでなく、地域の文化や自然再生に直接貢献できるよう設計されています。

たとえば、観光客のが地元の再植林活動へのに参加や したり、再生素材を使用したアート作品を通して地域文化を学ぶ体験プログラムが展開されています。

また、AMAALAでは地域経済の循環も重視されており、施設建設や運営における人材の半数以上を地域住民から雇用する計画が進行中です。ウェルビーイング(心身の豊かさ)とリジェネレーション(再生)を融合した、次世代の観光モデルといえます。

プロジェクト③ Thuwal|伝統と科学を融合させた沿岸再生計画

画像出典:Thuwal

Thuwal(トゥワル)は、紅海沿岸に位置する漁村で、伝統的な生活文化と最先端の海洋科学が共存する地域です。ここでは、リジェネラティブツーリズムの理念を地域再生の文脈で実践しています。

Red Sea Globalは、地元漁師や科学者と連携し、劣化した沿岸生態系の修復やサンゴ礁の再生に取り組んでいます。また、観光客が研究活動や環境教育プログラムに参加できるようにすることで、旅行そのものが「学び」と「再生」の場になっています。

Thuwalの取り組みは、最先端技術と地域文化の知恵を融合させることで、観光が地域社会と自然環境を同時に再生する可能性を示しています。

リジェネラティブツーリズムがもたらす価値

リジェネラティブツーリズムが注目される理由は、単に環境を守るだけでなく、観光を通じて「多面的な価値」を創出できる点にあります。報告書では、この新しい観光モデルがもたらす価値を、環境的・社会的・経済的の3つの側面から整理しています。

1.環境的価値

リジェネラティブツーリズムでは、自然環境を利用するだけでなく再生することを目的としています。

たとえば、サンゴ礁やマングローブの回復プロジェクトを通じて、生態系が豊かになり、CO₂吸収能力の向上にもつながります。

観光客の活動そのものが環境再生に貢献することで、旅行が“地球を癒す行動”へと変わります。

2. 社会的価値

リジェネラティブツーリズムは地域社会との共創を前提としており、地域の文化や伝統を尊重しながら発展します。観光収益が地域教育や福祉に還元される仕組みや、地域住民の雇用・スキル向上を促す仕組みは、社会的な包摂(誰も取り残さない社会)を実現する基盤となります。

また、観光客にとっても、地域とつながる深い体験が得られる点が魅力です。

3. 経済的価値

持続可能性や再生を軸にした観光モデルは、長期的にみて地域経済の安定と成長を促します。再生型の投資は、環境リスクの低減やブランド価値の向上につながり、企業にとっても競争力を高める要素となります。

実際に、リジェネラティブツーリズムを導入した地域では、旅行者の滞在期間や支出額の増加が報告されています。

このように、リジェネラティブツーリズムは単なる観光形態の変化にとどまらず、環境保全・地域発展・経済成長を同時に実現する「再生型経済」の実践モデルと言えます。観光の目的が“消費”から“共生”へと移り変わる中で、この新しい価値の創造こそが次世代の観光のカギとなるのです。

注意すべき課題とリスク

リジェネラティブツーリズムは理想的な概念である一方、実践には多くの課題とリスクが伴います。報告書でも、再生型観光の実現には慎重な計画と継続的なコミットメントが必要であると指摘されています。

1.「グリーンウォッシング」への陥りやすさ

環境や再生を掲げながらも、実際には経済的利益を優先するケースが少なくありません。見かけだけの「エコ」や「再生」をうたうプロジェクトが増えれば、リジェネラティブツーリズムの信頼性が損なわれる危険があります。

真の再生を目指すには、データに基づく透明性と第三者による検証体制が不可欠です。

2. 地域との不均衡な関係

外部の投資や大規模開発が主導すると、地域住民の意見が十分に反映されず、文化や生活が観光に従属してしまうリスクがあります。リジェネラティブツーリズムは「地域主導」でなければ意味を失うため、住民の参加と意思決定を保障する制度的枠組みが必要です。

3. 経済的持続性の課題

再生型の観光施設や技術導入には高い初期投資が必要で、短期的な収益を求める企業には負担が大きいのが現実です。報告書では、公共と民間が連携し、長期的な視点で資金循環を設計する「レジリエントな投資モデル(回復力のある投資モデル)」の確立が求められています。

4. 観光客の意識変革

リジェネラティブツーリズムは、訪問者自身が“再生の一部”となることを前提としていますが、これまでの「消費する旅行」からの意識転換には時間がかかります。教育やコミュニケーションを通じて、旅行者が責任ある行動をとるための仕組みを整えることが必要です。

このように、リジェネラティブツーリズムの実践は、単なる観光開発ではなく、社会システム全体の変革を伴います。理念を実現するためには、経済・政策・文化の各領域での協働が欠かせません。

課題を正しく理解し、リスクを最小化しながら進めることが、真の「再生型観光」への第一歩なのです。

まとめ

リジェネラティブツーリズムは、観光のあり方を根本から変える新しいモデルです。自然や地域、文化を回復しながら、旅行者に深い体験価値を提供し、経済的にも持続可能な循環を生み出せる点が特徴です。

報告書『Unlocking Innovation for Regenerative Tourism』は、再生型観光の実践に向けて、自然資本への投資や地域共創、テクノロジー活用といった具体的手法を示しています。また、The Red SeaやAMAALA、Thuwalといった事例が、理念の実現可能性を裏付けています。

課題はありますが、透明性ある計画や地域参加、旅行者教育を徹底すれば、観光は地域や自然、社会全体に貢献する力となります。リジェネラティブツーリズムは、これからの観光が進むべき方向を示す指針であり、持続可能な未来への道筋となるでしょう。

あわせて読みたい
企業の成長を促す!リジェネラティブツーリズムを企業研修に取り入れる方法 気候変動や地域格差など、企業を取り巻く社会課題が複雑化する中で、社員には社会的な問題を解決するために、持続可能な方法で思考し、積極的に行動する能力が求められ...
あわせて読みたい
生物多様性とリジェネラティブツーリズムの未来を語り合う |Thursday Gathering 開催報告 2024年12月にVenture Café Tokyoが主催したイベント「Thursday Gathering」に登壇しました。 リジェネラティブツーリズムに携わる事業者と一緒に、長野県生坂村を題材に...

参考文献:

[1]Global Report Urges Investment in Regenerative Tourism Innovation to Meet Surging Public Demand




リジェネラティブツーリズム
リジェネラティブツーリズム 各国の事例 持続可能な観光
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

メルマガ登録




New Posts
  • COP30 ベレン会議が示した未来──観光産業が直面する転換点と、今動くべき理由
    2025年11月27日
  • リジェネラティブツーリズムとは?観光の未来を変える最新イノベーション報告書『Unlocking Innovation for Regenerative Tourism』を解説
    2025年11月27日
  • MACq01(マックキュー01)|物語で紡(つむ)ぐ、次世代サステナブルツーリズムの実践モデル
    2025年11月26日
  • バルト海沿岸地域の「Land -Sea Act project」が示す、沿岸地域の魅力と課題解決のヒント
    2025年11月26日
  • Mana Earthly Paradise|地球再生を目指すリジェネラティブホテルの挑戦
    2025年11月25日
  • サステナブルツーリズムの新たなモデル|Shinta Mani Wild(シンタ・マニ・ワイルド)が示す保護・雇用・体験の革新的融合
    2025年11月24日
  • 特区民泊とは?制度の内容や実情と影響、大阪市での新規受付停止について解説
    2025年11月21日
  • 隠岐島
    旅人さえも「島の未来」に巻き込む力。AMA Holdings が描く、海士町「みんなで、しゃばる」という挑戦。
    2025年11月20日
  • リゾートホテルのプール
    VOGUE記事から読み取る「リジェネラティブツーリズム」の最新トレンドと日本の可能性
    2025年11月20日
  • 海外のオーバーツーリズム対策事例から学ぶ持続可能な観光戦略
    2025年11月19日
Ranking
  • 環境評価システム EPEAT(イーピート)とは?認証を取得している企業事例もご紹介
    EPEAT(イーピート)認証とは?重要性と国内外の事例を紹介
    2022年2月17日
  • オーストラリアの写真
    オーストラリアの環境問題への取り組みとサステナブルツーリズム
    2024年10月2日
  • サステナブルツーリズムとは?持続可能な観光業の最新動向(2025年)
    2022年3月4日
  • イタリア・ベネチア、歴史遺産を守るためのオーバーツーリズム対策とは
    イタリア・ベネチア、歴史遺産を守るためのオーバーツーリズム対策とは
    2025年2月5日
  • 観光税は持続可能な観光につながる?
    観光税は持続可能な観光につながる?世界と日本の導入事例を解説
    2024年8月6日
  • スウェーデンの持続可能な開発目標達成へ向けた取り組み
    スウェーデンの持続可能な開発目標達成へ向けた取り組みと成功要因を解説
    2024年7月2日
  • オランダの運河に浮かぶ!サステナブルな水上住宅 Schoonschip
    オランダ・アムステルダムの運河に浮かぶサステナブルな水上住宅 Schoonschip
    2023年7月21日
  • 省エネにも積極的。ニュージーランドのエネルギー事情
    ニュージーランドのエネルギー事情と水力発電
    2023年9月29日
  • カナダのSDGs取り組みとサステナブルツーリズム
    カナダのSDGsに対する取り組みとサステナブルツーリズム
    2024年10月29日
  • バルセロナのオーバーツーリズムの実態とは?原因や対策を紹介
    バルセロナのオーバーツーリズムの実態とは?原因や対策を紹介
    2025年2月12日
Category
  • サステナブルツーリズム
  • SDGs・ESG基礎
  • 環境(水、森林、海洋、エネルギー資源)
  • 社会(ヘルス、まちづくり、ジェンダー)
  • 経済(働き方、生産・消費、産業・技術)
  • その他
    • ドバイ万博
Tag
CO2削減ESGESG投資SDGsアメリカウェルビーイングオランダオーバーツーリズムカーボンニュートラルサステナブルツーリズムサーキュラーエコノミーステークホルダーデジタルノマドドイツドバイドバイ万博ニュースビジネスと人権ファッションフードロスプラスチックマイクロプラスチックリサイクルリジェネラティブツーリズムリジェネラティブ農業人権人権デューデリジェンス代替タンパク質企業事例再生可能エネルギー北欧取り組み事例取材各国の事例持続可能な社会持続可能な観光日本気候変動海洋プラスチック問題温室効果ガス生物多様性畜産業脱炭素観光業界認証
Pick Up
  • サステナブルツーリズムとは?持続可能な観光業の最新動向(2025年)

    CO2削減SDGsサステナブルツーリズム気候変動脱炭素観光業界
    記事を読む
  • リジェネラティブツーリズム(再生型観光)で実現する持続可能な旅

    サステナブルツーリズムリジェネラティブ・ツーリズム持続可能な観光気候変動観光業界
    記事を読む

メルマガ登録

PR問い合わせバナー

目次