親子参加型環境再生ツアーの効果 | 「楽しい」が参加を生む仕組みを解説

親子で参加できるビーチクリーンや植林ツアーをテーマに、環境再生イベントにおける集客の課題やポイントを解説。具体例や企業がスポンサーとなる価値にも触れながら「楽しい」が参加を生む仕組みを学びましょう。
環境再生イベントの参加者を増やすには、環境保全という目的に「楽しさ」を組み合わせることが重要です。「参加したくなる魅力」を企画に組み込むことで、イベントは単なる社会活動にとどまらず、進んで参加したい楽しい体験へと変わります。
本記事では、親子参加型環境再生イベントの具体的な事例を紹介しながら、参加者を惹きつける仕組みづくりのポイントを詳しく解説します。
環境再生イベントにおける集客の課題
ビーチクリーンや植林活動は環境再生に欠かせない取り組みです。しかし善意に訴えるだけの集客方法では、参加者を集めることは難しいのが現実です。
環境再生イベントの集客を成功させるには、参加者が「楽しい」と感じられる体験設計が欠かせません。目的は同じでも、体験としての楽しさや魅力があれば、参加へのハードルを大きく下げることが可能です。
たとえば、親子で一緒に取り組める清掃活動などは、家族の思い出づくりという価値につながります。また、拾ったごみの量を競い合うなどのゲーム要素を取り入れると、レジャー感覚が生まれます。
その結果「良いことだから参加する」のではなく「楽しそうだから参加する」という動機が育ち、積極的な姿勢での参加を促すことができるのです。
企業が親子参加型環境再生イベントのスポンサーとなるメリット

画像出典:秩父地域おもてなし観光公社
企業は、親子参加型の環境再生イベントのスポンサーとなることで、環境保全への取り組みを社会に示せるだけでなく、イベントを通じた新たな交流やビジネスチャンスにもつながります。
CSR(企業の社会的責任)のアピールになる
企業は、親子参加型環境再生イベントのスポンサーになることで、環境保全への取り組みを効果的にアピールできます。
イベントのスポンサードは単なる寄付とは異なり、地域住民や参加者と直接関われます。取り組みの背景や思いをその場で伝えられるため、地域にも理解されやすくなります。
さらに、参加者がSNSでイベントの様子を発信すれば、企業名やロゴが自然な形で拡散されます。その結果、広告とは異なる信頼性の高い情報として活動をアピールでき、企業全体のブランドイメージ向上にもつながります。
新たなビジネス機会や関係の創出につながる
環境再生イベントのスポンサードは、新たなビジネス機会や関係を得る機会にもなります。イベント運営を通じて、同じ価値観を持つ企業や地域団体とのネットワークが自然に構築されるためです。
たとえば、飲食店が環境イベントに参加すれば、地元農家や環境配慮型の包材メーカーとつながるきっかけになります。こうした出会いから、地産地消メニューの開発や環境に優しい容器への切り替えといった、新たな取り組みが生まれる可能性もあります。
また、イベント参加者との直接的な対話も、貴重な機会です。環境意識の高い家族層の生の声を聞ける場は、そう多くありません。そのため、、顧客ニーズの把握や商品開発のヒントとして活用でき、質の高いマーケティングにもつながります。
親子で参加できるビーチクリーン・植林ツアーの事例5選
全国各地で、親子が一緒に楽しみながら環境保全に取り組めるイベントが開催されています。集客に成功している例の多くは、単なる清掃活動や植林活動にとどまらず、参加者が楽しく学べるような工夫を取り入れている点が特徴です。
宮城県海岸清掃体験バスツアー(宮城県東松島市)

宮城県東松島市では、2025年10月25日(土)と11月1日(土)に親子参加型のビーチクリーンツアーが開催されました。本ツアーは、海岸清掃やリサイクル施設見学を通じて、循環型社会の大切さを楽しく学べる内容になっています。[1]
ツアーの具体的な活動内容は、以下の通りです。
- ブルーフラッグ認証ビーチで海岸清掃体験
- ごみ拾いSNS「ピリカ」体験
- リサイクル施設「仙台港資源化センター」の見学
- 七ヶ浜町のカフェレストラン「SEA SAW」の特製お弁当でランチ
- ツアー限定のオリジナルノベルティをプレゼント
環境再生の取り組みと学びを軸にしつつ、SNSの利用体験や、地元の飲食店で地元食材を使った料理が味わえるなど、随所に楽しさを盛り込んでいます。
また、ツアー終了後には、実際にリサイクルされた資源が使われたオリジナルノベルティをプレゼント。「学んで終わり」ではなく「持ち帰れる学び」も用意されています。
緑と青の共創ビーチクリーン(神奈川県平塚市)

神奈川県平塚市では、2023年から毎年「緑と青の共創ビーチクリーン」というビーチクリーンイベントが行われています。2025年6月14日(土)には、第三回目のイベントが開催されました。[2]
本イベントは、プロサッカークラブである湘南ベルマーレの運営会社「株式会社湘南ベルマーレ」と、オフィシャルクラブパートナーである「KPMGコンサルティング株式会社」が共催しています。
地元サッカークラブが主催することで、サッカーが好きな子どもやその家族へ訴求しやすい点も強みです。
イベントではごみ拾いに加えて、回収したごみを使ったたアート作品づくりや、清掃した砂浜での綱引き大会も実施。参加者からは以下のような声が多く寄せられています。[3]
- 毎年楽しく参加しています。今後もぜひ続けてほしいです。
- みんなでコミュニケーションを取りながら楽しく取り組めました。
- 思った以上にごみが多くて驚きました。今後はごみを見つけたら率先して拾いたいと思います。
参加者アンケートでは、総合満足度84%、継続参加意向82%という高い評価を獲得。楽しさと学びを両立させたイベント設計の成功例といえます。
海を想うサステナブルツアー(沖縄県那覇市)

沖縄県恩納村で開催されている「海を想うサステナブルツアー」は、サンゴ保全と環境学習を組み合わせた体験型プログラムです。
恩納村は沖縄本島のほぼ中央西海岸に位置する村。リゾートホテルが軒を連ねる日本屈指のリゾート地です。224種もの多様なサンゴが生息し、豊かな自然と人の営みが共存する村として知られています。
恩納村は2018年7月に、世界一サンゴにやさしい村づくりを目指して「サンゴの村宣言」を行いました。その活動の一環として実施されているのが「海を想うサステナブルツアー」です。[4][5]
ツアーでは以下のような活動を行っています。
- サンゴの苗作り
- シュノーケリング体験を通したサンゴについての学習
- 海岸でのごみ拾い
- 漂着ごみに関するワークショップ
- 参加者同士の交流・議論を行うワーク
- ホエールウォッチング
座学だけでなく、実際の体験を通して楽しくリアルに学べる点が特徴です。参加者は実際に海に入ったり、海洋生物を間近で見たりすることで、海洋環境の問題や大切さを楽しみながら学べます。
サザエさん森へ行く植樹ツアー(埼玉県秩父市)

埼玉県秩父市では、国民的アニメのサザエさんをシンボルにした植林ツアー「サザエさん森へ行く植樹ツアー」が行われています。子どもから大人まで、森や木について楽しく学べるツアーです。[6]
主なプログラムは以下のとおりです。
- 植樹体験
- 森の中で小さな苗を探すアクティビティ
- 枝葉を使った芳香水作り体験
- 映像やクイズを通しての「森の循環を考える 森林セミナー」
- 木材加工のデモンストレーション見学
- サザエさん一家とのふれあい
本ツアーでは、木を「伐って、使って、植えて、育てる」という森の循環の大切さをさまざまな形で学ぶことが可能です。植樹体験や成長を見守るアクティビティ、加工体験などを通し、森の循環を実感できるよう設計されています。
国民的アニメという入口を作ることでイベント参加へのハードルを下げ、子どもから大人まで、幅広い年齢層へのアピールに成功している事例です。
ちゅうでん森きっず(愛知県岡崎市、静岡県掛川市など)

中部電力は、2024年から森を守ることの大切さや、山と人との関わりなどを学べる「ちゅうでん森きっず」というプログラムを提供しています。「森であそぶ、森にまなぶ」をテーマに、五感で体感しながら森について学べる体験型プログラムです。[7]
2025年には、三重県菰野町や岐阜県恵那市、愛知県岡崎市などの地域で、自然体験ツアーが開催されました。[8]
ツアーでは、間伐体験や森林散策などをはじめとした、以下のような活動を行っています。[9]
- 間伐体験
- 森林散策
- 森で拾った材料での工作
- 焚き火体験
参加者は、森に入って珍しい植物や生き物を直接観察することで、森を守る大切さを自分ごととして実感。また、木の伐採から活用までを実際に体験することで、知識だけでは得にくい深い学びにつながります。
「楽しく参加」できる環境再生イベント設計のポイント
環境再生イベントを成功させるには、参加者が自然と楽しめる仕組みづくりが重要です。以下の3つのポイントを押さえ、参加者にとって魅力的なイベントを作りましょう。
- 親子で取り組める体験を提供する
- ゲーム性を取り入れる
- 体験を目に見える形で残す
親子で取り組める体験を提供する
家族で同じ目標に向かって協力する活動は、それ自体がレジャーであり、かけがえのない体験になります。親子で参加できるイベントは、特別な演出がなくても、「楽しさ」を生みやすい点が強みです。
また、親子で参加できるイベントは、休日の過ごし方として選ばれやすいというメリットもあります。環境保全イベントを、遊園地や映画館のように家族で行うレジャーとしてアピールできれば、参加へのハードルを大きく下げることが可能です。
ゲーム性を取り入れる
ゲーム性を取り入れれば、環境再生イベントは「やらなきゃ」ではなく「やってみたい」体験に変わります。
特定の活動にゲーム要素を取り入れ、ユーザーのモチベーションやエンゲージメントを高める手法を「ゲーミフィケーション」と呼びます。
ゲーミフィケーションを実践するには、以下の5つの要素を、自然な形で活動に取り入れることが重要です。[10]
- ゴール(目的):何のために行動するのかをユーザーに提示して行動に対する動機付けを行う
- ミッション(課題):ゴールにたどり着けるように、小さな課題を設定して行動を促す
- リワード(報酬):提示した条件をユーザーが達成した場合の報酬を設定することでモチベーションを向上させる
- ビジュアライズ(可視化):ミッションや目標に対する自身の位置づけを可視化する(バッジや称号、レベルやスコアなど)
- コミュニケーション(交流):掲示板やSNSなどを通じた交流・競争によって、ユーザーのモチベーション向上を図る
たとえば、ビーチクリーンなら「海岸500メートルをきれいにする」などのゴールを設定できます。加えて「ペットボトルを10本回収する」「ごみを1kg分回収する」といった小さなミッションを用意すれば、参加者は達成感が得られ、モチベーションを保ちながら取り組みやすくなります。
また、リワードとビジュアライズの仕組みも、参加者のモチベーションを高めるのに効果的です。集めたごみの量に応じてポイントを付与し、一定ポイントで「ビーチクリーンマスター」といった称号を与えるなど、楽しみながら続けられる仕掛けが作れます。
体験を目に見える形で残す
クラフト体験など、イベントでの体験を目に見える形で残す活動も、楽しいイベントづくりのポイントです。
イベントの終盤にモノづくりアクティビティを用意することで、学んだ内容を楽しく活かす場になります。具体的には以下のような活動が考えられます。
- 海岸で拾った貝殻や流木、漂着ごみなどを素材にしたアート作品の制作
- 伐採した木の枝を使ったキーホルダー作り
- 自分で拾った木の実を使った小物作り
また、参加証明書や活動中の写真の配布する方法も効果的です。
思い出として手元に残るものがあれば、帰宅後も家族でイベントを振り返るきっかけになり、継続的な参加につながりやすくなります。
まとめ | 親子参加型イベントで「楽しく」環境再生を推進
環境再生イベントの集客は簡単ではありません。参加者を増やすには、自然と参加したくなるような「楽しさ」を企画に組み込むことが重要です。
親子で取り組める体験やゲーミフィケーションを効果的に活用すれば、参加者を増やすだけでなく、意訳的で継続的な参加にもつながります。
参加者が増加すれば、環境に良いことはもちろん、スポンサーをしている企業や地域にもメリットがあります。
本記事で紹介した事例やポイントを参考に、楽しさと学びを両立させた環境再生イベントを企画し、持続可能な社会づくりにつなげていきましょう。
参考文献
[1] 親子で楽しく学ぼう! 宮城の海を守る「令和7年度宮城県海岸清掃体験バスツアー」参加者募集【参加無料】|特集|せんだいタウン情報machico
[2] 6月14日(土)Bell-Beingプロジェクト「第3回 緑と青の共創ビーチクリーン ー地球と海の未来のために今できることー」開催! « 湘南ベルマーレ公式サイト
[3] 【開催報告】KPMGコンサルティング主催「第3回緑と青の共創ビーチクリーン ~地球と海の未来のために今できること~」 « 湘南ベルマーレ公式サイト
[6] サザエさん森へ行く 植樹ツアー in 秩父2025 – 出会い旅ふれあいのちちぶ|一般社団法人秩父地域おもてなし観光公社
[7] 「ちゅうでん森きっず」プロジェクトとは? – ちゅうでん森きっず|中部電力
[8] ちゅうでん森きっず 自然体験ツアー – ちゅうでん森きっず|中部電力
[9] ちゅうでん森きっず親子自然体験ツアー in ダイダンの森 – 認定NPO法人「森林の風」|三重県の企業の森管理・林業
