シンガポール政府観光局、大阪万博での展示の全体像を発表

シンガポール政府観光局は、2025年4月13日から10月13日まで大阪・関西万博に出展するシンガポール・パビリオンの概要を発表しました。パビリオンのテーマは「ゆめ・つなぐ・みらい」で、独立以来60年の間にシンガポールの人々が紡いできた夢、自然との調和、多様な人々を受け入れる都市国家の夢を表現します。
パビリオンの展示内容
パビリオンの構造物は「ドリーム・スフィア」と名付けられています。球の形をしており、これはシンガポールの愛称である「Little Red Dot (小さな赤い点)」からインスピレーションを得たデザインです。「ドリーム・スフィア」は、リサイクル素材で作られた何千枚ものドリーム・ディスクに覆われており、大きな志の集合体を表現しています。
「ドリーム・スフィア」の内部は「夢」をテーマに、没入感のある体験ができる空間が広がっています。シンガポールの人々がどのように夢を現実のものに変えているのかが3つの章にわたってストーリー仕立てで紹介されています。
またパビリオン内には、カフェやバー、グッズショップも設置される予定です。特にカフェではシンガポール料理に舌鼓を打つこともでき、味覚でもシンガポールを訪れた気分にさせてくれるでしょう。
自然との共生
特に注目すべきなのは「自然との共生」というポイントです。シンガポールの人々は、動植物と調和して共存する都市づくりを追求してきました。シンガポールは都市国家でありながら、自然を活かした観光スポットも多数存在し、豊かな自然を楽しめる観光が展開されています。
例えば、スンガイ・ブロー湿地保護区のガイドツアーが例として挙げられます。シンガポール初の湿地保護区であるスンガイ・ブロー湿地保護区は、マングローブ林や湿地、干潟など多様な生態系を持ち、渡り鳥やカワウソなど多様な生物が生息しています。ガイドツアーでは、これらの生態系や生物について詳しく学ぶことが可能です。
またセントーサ島にはサイクリングコースが設定されていたり、トレッキングやバードウォッチングを楽しめる場所もあります。古くからシンガポールでは人々が動植物と調和して共存してきたのです。
こうしたことから、今回の万博のパビリオンでの展示でも、「自然との共生」や「自然との調和」という点が強調されています。パビリオン内の展示の2章では「すべてを受け入れる未来の家づくり」をテーマとして、シンガポールの人々がどのように繁栄する島国を築き、住まいを新たに想像し、可能性に満ちた新しい都市を追い求めているのかが紹介されています。
パビリオンの建設・運営でも自然や環境を意識
またパビリオン自体や運営面においても自然への配慮がなされています。パビリオンは、経済成長、環境保護、社会的包摂のバランスを重視するシンガポールの価値観と方向性を色濃く反映しており、その設計にも表れています。そのため、パビリオンの建設にはリサイクル可能な素材が使われています。また、プラスチックの使用や食品廃棄物を最小限に抑えるなどの取り組みも行われています。こうした面からもシンガポールの「自然との共生」が現れているでしょう。
自然との共生・調和を活かしたツーリズムを日本でも
都市において「自然との調和」や「自然との共生」は、相反する概念ように思われがちですが、都市に住む人々、訪れる人々にとってはとても重要な意味を持ちます。自然は人々に癒しを与えます。都市だからこそ、そうした自然との共生は重要であり、その自然を無理なく、賢く活用する。そうしたワイズユースという考えやツーリズムの形態が日本の都市や観光地にも必要なのかもしれません。
