第20回エコツーリズム大賞 支笏湖のガイドハウス・かのあが大賞受賞

環境省が実施する第20回エコツーリズム大賞が発表され、最優秀賞にあたる大賞は北海道・支笏湖のガイドハウス「かのあ」が受賞しました。かのあはカヌーを用いたエコツアー事業のほか、自治体や地域の関係機関などとの連携や、環境保全活動に取り組んでいます。今回の受賞は、こうした多様な活動と役割、さらにはまちづくりの牽引役としての期待が評価されたものです。
エコツーリズム大賞は、エコツーリズムに取り組む事業者、団体、自治体などを対象として、優れた取り組みを表彰する制度です。受賞事例を広く周知することで、全国のエコツーリズム関係者の意欲を高め、活動の質と量の向上、さらには情報交換を通じた連携強化を目指します。
支笏湖の魅力的なアドベンチャーツーリズム
支笏湖は北海道千歳市にあり、新千歳空港から車で約40分の場所に位置します。全体が支笏洞爺国立公園に含まれ、湖の最大深度は約360mで全国2位を誇ります。また透明度の高さも国内屈指で、環境省の公共用水域水質測定結果ではこれまで1位を20回獲得しています。[1]
豊かな自然に恵まれた支笏湖では、環境を活かした観光が積極的に行われています。その中心を担っているのが支笏ガイドハウス「かのあ」です。かのあでは、支笏湖の環境やアクティビティを活かして複数のプログラムが用意されていますが、主要なプログラムはカヌーを用いたネイチャークルージングです。不凍湖である支笏湖では、1年を通してカヌーを漕ぐことができます。四季折々の雄大なパノラマや支笏湖特有の生態系を湖上から満喫できるのです。
ガイドハウス「かのあ」のネイチャークルージング

かのあのカヌーは一般的なものと異なり、2つのカヌーを横につなげた仕様となっています。これによりツアーに参加できる人数を増やすと同時に、同行するスタッフの数も増やすことができます。保護者や介助者の付き添いも可能で、子どもからお年寄りまで幅広い年齢の人々、体に障害や病気を抱えている人など、誰もがツアーに参加できるよう工夫されています。かのあのネイチャークルージングは、「自然にも人にも優しいツーリズム」を具現化していると言えます。
環境保全への取り組み
かのあでは事業開始以降、定期的に湖周辺の清掃活動を行っています。コロナ禍では「今できることをしよう!支笏湖クリーンアッププロジェクト」と銘打ち、クラウドファンディングを立ち上げ湖一周の清掃を行いました。こうした清掃活動はこれまでに約50回実施されています。
ほかにも、「北海道自然保護監視員」や「環境省自然公園指導員」といった制度を活用し、フィールドパトロールを実施しています。パトロールを通して得た情報は、関係機関へ報告されるほか、問題解決へ向けた提案へとつなげています。さらに林野庁と「多様な活動の森」と称した協定を結び、湖周辺の国有林の保全・活用を行っています。
かのあは、こうした取り組みを通し、支笏湖周辺の自然環境の保全に一役買っているのです。
広がる関係機関との連携
2024年には環境省と共に「環境保全協力金制度」を策定しています。環境保全協力金制度は支笏湖でレジャーを楽しむ人々が自然環境を守るための協力金を支払うという制度です。受益者負担の仕組みを作ることで、支笏湖を持続可能なエリアとして整備することを目標としています。
環境をより高いレベルで意識した観光を
かのあはカヌーなどを利用し、自然を満喫する「アドベンチャーツーリズム」に積極的に取り組んでいます。特に「誰もが参加できる」ツアーの催行という点は、大きな特長です。そして同時に、将来にわたってこうしたツーリズムを続けていけるよう、環境問題に対し、先進的な取り組みも行っています。かのあの活動はサステナブルツーリズムという概念を超えた取り組みと捉えることができるでしょう。
「リジェネラティブツーリズム」という概念があります。これは「観光客が観光地に着いたときよりも、去るときに、よりよい状態になっている」というものです。かのあの活動を参考に、訪れる人々も自然や環境への意識を、より高めた旅行に出かけてみてはいかがでしょうか。そうした意識を持つことで、次にその場所を訪れた時、そこはより魅力的な場所になっているでしょう。

参考資料