Z世代の旅行トレンドがもたらす新たな観光の形

Z世代(1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代)の旅行に対する価値観が、観光産業に大きな影響を与えつつあります。JTB総合研究所は、Z世代のライフスタイルと旅行に関する調査結果を発表しました。
調査結果によれば、旅行に関して、男性は「ひとりだけの時間を楽しみたい」、女性は「普段の生活から離れてリフレッシュしたい」と考える人が多いことが明らかになりました。また、男女共通で「SNS映えをする場所を巡る」ことを重視する傾向が見られ、特に女性は「友人や家族と特別な体験を共有したい」と考える割合が高いことが分かりました。
また、Z世代の男性は自分の趣味や得意分野の追求に強い意欲を持ち、時間やお金を趣味に費やす傾向が強く、一方、女性はありのままの自分を認め、自己実現を求める傾向があり、自身の体験を記録し残すことを重視しています。
Z世代の価値観と旅行観が変える観光産業の未来
旅を表す一言として、男性は「趣味」「自然」「非現実な体験」、女性は「思い出づくり」「ご褒美」といったキーワードが全体と比較して高い傾向を示しました。これらの結果から、Z世代男性を旅へと誘うには、「趣味」と「旅」をリンクさせることが重要であり、特定の趣味に特化した誘客や、ゲームやスポーツといった若い男性に人気の分野と旅行を結びつけることが効果的と分析されています。また、一人旅のニーズが高い一方で、同行者を見つけにくいという課題も考えられるため、旅先でのイベントやツアーを通じて、一人旅同士のマッチングを図ることも一案とされています。
一方、Z世代女性は、時間の使い方の傾向として「好きなことをする時間のために、他のことは時短したい」や「2つの行動を同時にすることが多い」といったタイムパフォーマンス(タイパ)を重視する行動が顕著です。そのため、旅行先での情報収集や体験においても効率性が求められます。情報提供や体験の場面では、簡単かつシームレスに情報が得られ、体験できることが重要となります。
Z世代の旅行スタイルは従来の世代とは異なり、個人の価値観やライフスタイルに深く根付いています。「行くこと」そのものよりも、「何を体験できるか」「どのように自分を表現できるか」といった点が重視され、特に「自分らしい体験」や「シェアできる体験」に価値を見出していることが特徴です。
また、Z世代は環境意識が高く、旅行においてもサステナブルな選択をする傾向があります。例えば、「環境負荷の少ない交通手段を選ぶ」「地元の文化や人々との交流を大切にする」「食品ロス削減やエコフレンドリーなホテルを選択する」などの行動が見られます。これは、気候変動や社会的課題への意識が高まっていることとも関連しており、今後の旅行産業においても、より環境に配慮したプランや持続可能な観光の推進が求められるでしょう。
今回の調査で見えてきたZ世代の旅行に対する考え方は、単なる観光や娯楽としての旅行ではなく、自己成長や社会とのつながりを意識したものでありました。このような考え方は、観光の新たなビジネスチャンスを生み出す要素となっています。SNSを活用した情報発信や、サステナブルな観光資源の活用、体験型観光の充実などが、これからの旅行市場において重要なテーマとなるでしょう。今後、観光産業がZ世代の価値観をどのように取り入れ、より魅力的な旅行体験を提供できるかが、観光産業の成長の鍵を握ることになりそうです。

参考資料
https://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2025/03/life-travel-generation-z