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会津若松市が「Green Destinations Top100」に選出。伝統文化×森林保全×観光による会津漆器継承の取り組みとは?

2026 3/26
サステナブルツーリズム
Green Destinations Top 100 サステナブルツーリズム 伝統文化 各地の事例 持続可能な観光 森林保全
2026-3-31

福島県会津若松市は、Green Destinationが選ぶ「2025年の持続可能な観光地Top100」(Green Destinations Top 100 Stories 2025、以下GD Top100)に選出されました。評価の背景には会津漆器の継承に向けた取り組みがあります。

会津漆器は、一時期価格競争の激化によって海外からの漆を輸入していました。しかし現在では、持続可能性を重視する市場や顧客層が拡大しています。そのため、森林の保全とものづくりを結びつける価値の創出や、時代に合わせたコンテンツ開発求められるようになりました。

そこで会津若松市が行ったのは、伝統文化と観光を組み合わせることです。会津漆器の新たな市場を切り開きながら、地域が長く発展できる仕組みづくりを目指した取り組みを開始しました。

本記事では、会津若松市がどのようにしてGD Top100に選ばれるまで発展したかを解説します。

目次

Green Destinationsと持続可能な観光地Top100

画像出典:Green Destinations Foundation

Green Destinationsとは、持続可能な観光地、観光関連ビジネス、コミュニティを支える国際組織です。[1]

同団体は2014年より毎年、サステナブルツーリズムの優良事例を選出するGD Top100を開催しています。評価基準は、環境保全・地域経済への貢献・文化の継承・持続可能なマネジメント体制といった国際基準に基づいています。

会津若松市は、森林保全と観光を結びつけた持続可能な取り組みが認められ、2025年のGD Top100において、選出地域の1つに選ばれました。

7万本の植樹や樹液採取体験などを通じて、環境・経済・文化を横断的に結びつけている点が高く評価されました。さらに、行政・企業・地域住民が連携する体制を構築していることも大きなポイントです。

会津若松市の直面していた課題

画像出典:独立行政法人 森林総合研究所

今でこそGD Top100に選出され、会津漆器の継承に向けた取り組みが注目されている会津若松市ですが、以前は「伝統と持続可能性の両立」を課題としていました。

漆産業の衰退会津漆器はかつて日常の必需品でしたが、近年は高級品化が進み、日常的に使用される機会が減少しました。高級品化が進んだ背景には、主に2つの要因があります。

1つめは、国産漆の希少性です。漆とは、ウルシの木から採れる樹液を指します。樹液は6月〜10月までの暖かいシーズンしか採取ができず、1本のウルシの木から取れる量は、年間約200g程度です。

さらに、ウルシの木を植えてから漆が採れるようになるまでには約10〜15年かかるため、。短期間で増産することは難しい状況です。[2]

2つめは、時代変化による国内漆器の需要減少です。需要減少のきっかけとなったのは、高度経済成長期でした。

この時期、石油化学産業が発展し、大量生産が可能で安価なプラスチック製品が出回るようになりました。また、生活様式も洋風に変化し、磁器やステンレス製のテーブルや椅子を導入する家庭が増えました。食事内容も洋食の選択肢が増えたことによって、使用される食器が変化していったのです。[3]

その結果、国内の漆生産量は減少し、1980年には約6.6トンあった生産量が、2021年には2.0トンにまで落ち込みました。[4]

資金不足と林業従事者の減少

漆器産業は、1つの漆器を生産〜販売するまでのコストに対して、利益を生み出すのが難しいです。苗木の購入自体は1本数百円〜1,000円程度でも可能です。しかし漆を採取するまでには、雑草の除去・肥料代・手入れを行う人件費・病害対策などにコストが発生します。[5]

さらに、漆の採集には10〜15年の年月が必要なため、手間や時間がかかる上、国産漆は希少です。その結果、価格は高騰しやすく、資金不足に陥りやすい構造となっています。

加えて林業の従事者自体が減少傾向にあります。総務省の国勢調査によると、1980年に14.6万人いた 林業従事者の数は、2020年には約4.4万人にまで減少しました。

高齢化率も2020年のデータは全体の25%と高く、4人に1人が65歳以上という状況です。[6]

漆を支える森林・林業の衰退

森林・林業は従事者の減少だけでなく、産業全体の衰退も課題です。1964年に木材輸入自由化が始まって以降、日本の林業は厳しい状況が続いています。安価な外国産の材木が流入したことで、国産材木の価格が下落してしまったことが原因です。

1955年に9割以上あった木材自給率は、2024年には2〜3割にまで落ち込みました。[7]

職人の高齢化と後継者不足

会津若松市の漆器産業にかかわらず、伝統工芸品のを支える「伝統工芸士」は年々減少傾向にあります。

1998年〜2019年の約20年間で、4,500人以上いた伝統工芸士は、2019年には4,000人を下回りました。[8]

背景には、職人の高齢化と後継者不足が挙げられます。親族に後継者となりうる人材がいないことや、長い修業期間や収入面の不安定さから、職人を志す若者が集まりづらいことが要因として考えられます。

課題に対して取られた解決策

画像出典:独立行政法人 森林総合研究所

これらの課題に対して会津若松市が行ったのが、「デスティネーションモデル」の構築です。デスティネーションとは、旅行目的地・旅行先を指します。特定の地域をブランド化し、魅力的なコンテンツを用いて持続可能な集客と地域活性化を目指す考え方です。

地域を1つの商品としてパッケージ化する点が特徴です。行政や地域事業者が連携し、地域の価値向上を目指します。

漆産業の衰退は、日常で使われなくなったことによる需要の減少が背景にあります。また林業の衰退は、長期投資が必要にもかかわらず十分な収益が生まれにくい構造にあります。

そこで会津若松市は、漆や森林そのものを「観光資源」として再定義し、体験や学びを通じて価値を伝えることで、新たな需要と収益の循環を生み出す仕組みへと転換しました。

森林を守り、漆の土台を立て直す取り組み会津若松市はまず、漆産業を支える「森林そのもの」に目を向けました。漆はウルシ木から採れるため、森林が健全に維持されなければ産業そのものが成り立たないからです。

そこで会津若松市は、国産漆の伝統を守るため、民間企業と連携し7万本の植樹を実施しました。将来の漆資源を育てるための長期的な取り組みです。

また、福島トヨタが主催する清掃と登山を組み合わせたイベントも開催されました。標高1600mにある福島市浄土平から一切経山の頂上を目指し、ごみを拾うイベントに約80名が参加しました。[9]

さらに、山でのキャンプや食事体験の提供は、観光客に森林保全の意識を高める機会となりました。季節ごとのワークショップを通じて生物多様性への理解を深める活動も行われています。

これらの取り組みは、衰退しつつあった林業と漆産業の「土台」である森林環境を再生する動きにつながっています。植樹や清掃活動に観光客や企業を巻き込むことで、森林保全を地域全体の取り組みへと広げました。

結果、環境保全と地域経済を同時に動かす仕組みが生まれ、持続可能な観光地として基盤づくりが進みました。この点が世界基準で評価されたポイントでもあります。

漆文化を未来につなぐ体験づくり

画像出典:あいづまちなかアートプロジェクト

森林の再生と並行して、会津若松市は漆そのものの価値を伝える取り組みも進めています。漆産業の課題は、日常で使われる機会の減少による需要の縮小です。そこで会津若松市は、漆=「買うもの」から、漆=「体験するもの」へ位置づけをし直しました。

夏には漆器の素となるウルシの樹液採取体験を実施しています。参加者が漆の価値や漆の歴史的な意義を学ことで、漆を身近に感じてもらうことが狙いです。

漆の芽を⾷⽤の⼭菜として、地域の⾷⽂化に取り⼊れる計画も進められています。伝統産業を生活文化と結びつけることで、「買う」以外の漆の価値を最大限に伝えようとしています。

こうした体験型プログラムは、「体験を通じた価値の再発見」という新しいアプローチを示しました。

漆をまずは知り、触れてもらうことで、文化への関心と将来的な需要の拡大を目指しています。

伝統産業に関わる点を生み出したことが、文化継承と経済循環の両立モデルとして世界基準で高く評価されました。

伝統⼯芸を進化させ、観光と結びつける取り組み次に会津若松市が取り組んだのは、伝統工芸を今の時代に合わせて進化させ、うまく観光と結びつける施策です。

漆をテーマとした展覧会で町を彩る「あいづまちなかアートプロジェクト」は、アーティストや漆職人、住民、学校間の交流を促し、次の世代の漆職人や地域文化に携わる人の育成に貢献する取り組みです。[10]

博物館や学校では、漆の加⼯体験や職⼈による専⾨講座も開始しました。観光客や学生が伝統技術を直接学ぶ機会をつくり、漆を身近なものとして感じてもらう狙いがあります。

漆を使った新たな商品開発にも注力しています。地元のスノーリゾートと仏壇メーカーがコラボレーションし、国産の漆を用いたオリジナルスノーギアを開発。漆器の新たな可能性を示しています。

こうした取り組みで、漆は限られた用途の伝統工芸品から、現代のライフスタイルや観光と結びつく素材へと再定義されました。若い世代や観光客との接点が増えたことで、担い手育成や新たな市場開拓にもつながっています。

伝統を守るだけでなく、時代に合わせて進化させている点が、持続可能な産業モデルとして世界基準で評価されています。

年中観光地として訪れてもらう取り組みの実施会津若松市は年間を通して観光客へ訪れてもらうための取り組みも強化しました。

漆を原料としたろうそくで城を彩る「会津絵ろうそくまつり」は、冬季の代表的なイベントです。観光客の滞在期間延長や地域経済への波及効果が期待されています。

また、漆に関する季節ごとのアクティビティプランを提供することで、観光客が集中しやすい冬季以外の来訪を促す狙いです。前のセクションで挙げた樹液採取体験もその一例といえるでしょう。

これらの施策は観光客の来訪時期分散につながり、季節に依存した経済的不安定さの緩和につながっています。年間を通じた収益構造を築くことで、地域事業者の安定経営にも寄与しています。

持続可能性を意識したマネジメントを実践している点が、世界基準に合致する取り組みとして評価されました。

まとめ

会津若松市では、地域にある資源を活かしながら、持続可能な観光の仕組みづくりを進めています。その土台にあるのが、行政・事業者・職人・住民などを巻き込んだ連携体制です。

漆産業や林業の衰退といった課題に対し、会津若松市は観光との結び付けました。7万本の植樹や森林清掃イベントを行い、漆を支える森づくりを進めています。さらに、ウルシの樹液採取体験やワークショップを通じて、漆の価値を直接伝えています。

こうした活動は森林保護と観光をつなげ、新たな需要と収益を生み出しています。地域資源を守りながら活用する仕組みは、文化継承と地域経済の循環を支えるモデルとして高く評価されています。

こうした取り組みが、国際基準に合致し、GD Top100に選出されました。会津若松市は、伝統と観光を両立させる地域モデルとして、さらなる進化を続けていくでしょう。

参考文献

[1]Top 100  COMPETITION

[2]漆の現状と課題 – ウルシネクストが取り組むテーマ

[3]業界レポート:漆器製造業

[4]「漆」の世界 – 農林水産省

[5]ウルシの健全な森を育て、良質な漆を生産する 独立行政法人 森林総合研修所

[6]林業労働者の動向 – 林野庁

[7]日本の林業の現状

[8] 経済産業省説明資料 令和4年7月 製造産業局 伝統的工芸品産業室

[9] 「自然に関していろんなことをお聞きできる」ゴミ拾いと登山で環境保全 自動車販売店が企画 福島

[10]あいづまちなかアートプロジェクト2025:Aizu Machinaka Art Project




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