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持続と再生へ、リジェネラティブツーリズムが描く観光の未来

2024 12/23
リジェネラティブツーリズム
サステナブルツーリズム リジェネラティブ・ツーリズム 持続可能な観光 気候変動
2025-1-8
持続と再生へ、リジェネラティブ・ツーリズムが描く観光の未来

気候変動・気候危機が叫ばれる中、観光を楽しむ旅行者たちの間にも、環境へのインパクトを意識したサスティナブルな旅の在り方を求める声が高まりつつあります。

この数年で、「持続可能」からさらに一歩踏み込んで、環境や地域コミュニティの再生も目指すリジェネラティブツーリズムが注目されています。

バルト海に沿った北欧の国々では、こうしたツーリズムのトレンドの波に乗り、協力し合ってリジェネラティブツーリズムを推進する動きが活発になっています。

目次

「持続」と「再生」

「持続」と「再生」

サステナブルツーリズムとは、持続可能な環境の維持・保全を目的とし、自然や社会・文化へのインパクトを最小限に抑えるよう努めながら観光資源にする取り組みのことを指します。

一方、リジェネラティブツーリズムは、さらに一歩先を行く概念です。リジェネラティブが英語で「再生させる」という意味を持つ言葉であるとおり、観光資源を利用しながらも、積極的に修復・強化を目指し、地球環境によりポジティブな影響を及ぼす観光のあり方といえます。

サスティナブルツーリズムが、前向きな第一歩を踏み出すものであれば、リジェネラティブツーリズムは、旅の未来を形作る革命的な取り組みを目指す観光のあり方だといえるでしょう。

リジェネラティブツーリズムが北欧で求められる背景

リジェネラティブ・ツーリズムが北欧で求められる背景

欧州全体では、2019年には年間7億4,000万人もの観光客を受け入れていましたが、コロナ禍以降その数は激減。ようやく回復してきた2022年は、5億9,000万人が欧州を訪れています。

この数字は、2019年と比較しても、19%減にとどまっていることが分かります。

一方、欧州の中でも北欧諸国ではコロナ禍以降、順調に観光客が戻りつつあるのです。

2023年のデータによれば,最も高かったのはデンマークで、国際観光客数の平均を9%も上回っていました。続いてノルウェー、スウェーデン、フィンランドと続き、エストニア、ラトビア、リトアニアも順調な回復ぶりを見せています。

また、コロナ禍以前の少し古いデータにはなりますが、2017年のバルト海域では8,600万人もの観光客が訪れており、2014年に比べて15%以上も数値がアップしていました。

もうひとつのツーリズム・トレンド「セット・ジェティング」

また、テレビ番組やSNSからインスピレーションを得る「セット・ジェティング」も観光のトレンドになっていることが、北欧のみならず世界全体でリジェネラティブツーリズムを押し上げる背景になっています。

セット・ジェティング(Set jetting)とは、映画やドラマの撮影に抜擢されたロケ地を、旅行者が巡る行為を指します。スクリーンの中で登場人物が優雅に過ごす自然豊かな光景に憧れ、多くの旅行者がロケ地を旅行の目的地として検索する傾向が数年前から高まっているのです。

こうした現象により、旅行者は画面を通してすでに世界各地の観光地や自然の景色を数多く見てきており、目が肥えています。

そのため旅先となる観光地では、これまでのサービスに加え、より「質」を重視した観光のあり方が求められているというわけです。

バルト海エリアに訪れるツーリストの客層とは

海岸エリアを訪れる観光客の多くは、近隣国から来ることが多いといわれています。

例えば、ドイツの旅行者はポーランドやデンマーク訪れることが多く、フィンランドの観光源はエストニアからのツーリストに頼っています。

バルト海へ旅行する人々には、いくつかの特徴が見られます。ひとつは、カップルが多く、全体の30%以上は家族や恋人、もう30%は友人や同僚と訪れていることです。

次に、全体の80%以上が一度の旅行で複数の町・地域を訪れており、都市部と地方の両方に行く傾向がある点です。さらに、通常の旅行者に比べて滞在期間が1週間以上も長いことも指摘されています。

バルト海沿岸をを訪れる観光客は、100%滞在先の土地で外食をしているというデータもあります。そのため外食産業が今後より注目されていく可能性があり、ここでもリジェネラティブを意識した地産地消のモデルが、観光業をさらに促進させる可能性を秘めています。

こうした客層や傾向を踏まえ、バルト海エリアでは、単なる自然のアクティビティだけでなく、文化を通した経験も同様に求められていることから、リジェネラティブツーリズムの必要性が高まっています。

リジェネラティブツーリズムに乗り出したバルト海域の国々が抱える課題

リジェネラティブ・ツーリズムに乗り出したバルト海域の国々が抱える課題

バルト海には、特にセンシティブで多様な生態系が存在するからこそ、国を超えて協力する必要があります。

そこで3つの目標を掲げて連携し、リジェネラティブツーリズムに取り組むことが求められます。

  • 海を守る
  • 地域を繋げる
  • 繁栄を発展させる

こうした目標をもとに、スウェーデンやドイツ・ポーランド・リトアニアなどバルト海に接する国々が協力し、リジェネラティブ・ツーリズムを推進する計画が進んでいます。

しかしここには、いくつかの課題が挙げられます。

最も大きな課題として、旅行者のニーズとして「環境にやさしい」「サスティナブルである」といった条件が高まりつつある今の時代こそ、観光資源としての自然に影響を与える可能性がある要素を、観光業界は実施前によく吟味する必要がある点です。

具体的には、外食用の食材を本土から諸島へ調達するといった場面で求められる、経済と環境・文化のバランスの確率が重要です。

これまでの観光業では、経済が潤うのとは裏腹に、環境や文化が破壊される例も少なくありませんでしたが、リジェネラティブツーリズムではむしろ環境・文化を守ることが最優先になります。

しかし同時に、観光業として成り立たせるためには、経済的な利益もなくてはならない要素です。これらのバランスを上手に取るために、お金ありきにならないツーリズムの形を熟考しなければなりません。

自然とサービス、両方の「質」が求められるリジェネラティブツーリズム

また自然の保護・保全だけでなく、サービス自体の質も考慮すべきことを証明する例として、フィンランド、ドイツ、ラトビアで行われた「バルト海域の自然環境と観光の関係」についての調査結果が分かりやすいでしょう。

この調査によれば、水質のレベルが下がると大幅に観光客が減少するうえ、一度下がった水質のレベルを改善しても、すぐに観光客が戻ってくるわけではないことが分かっています。

具体的には、水の透明度の低下や、藻・植物プランクトンの大量発生によるアオコ(青く濁ったような水質になること)といった現象が、観光客を遠ざけており、水質の管理が観光を大きく左右することが明白です。

一方、ドイツとラトビアでは、沿岸地域の施設でのアメニティを減らすことによっても、観光客が減少したという報告があり、自然だけでなくサービスの質もまた重要であることが伺えます。

また自然のエリアの中で観光客が最も多く足を踏み入れるのは「トイレ」と「駐車場」というデータもあり、船乗りなど現地で観光業を営む当事者たちからは、小さな港における「機能的な浄化槽の設置」といった、より適切なインフラの整備が強調されています。

以上のことから、自然の保護や保全といった意味だけでなく、観光資源という観点からも自然環境の維持や向上が必要であり、かつ観光客に満足してもらうためのサービス、インフラの整備など、リジェネラティブツーリズムを実施するには多くの課題が山積みなのです。

北欧におけるリジェネラティブツーリズムの例

北欧におけるリジェネラティブ・ツーリズムの例

ここで、実際に北欧で見られるリジェネラティブツーリズムの取り組みについて見ていきましょう。

「群島における防衛の足跡」プロジェクト(”DefenceArch”)

例えば、Interreg Central Baltic 2014-2020プログラムの助成を受けた「群島における防衛の足跡」プロジェクト(”DefenceArch”)は、フィンランドのトゥルク、オーランド諸島、スウェーデン・ストックホルムの群島の”防衛”(defence)をテーマとした観光開発を目的としています。

ゴーロ(Gålö)アザラシ基地、ボマルスンド(Bomarsund)要塞地区、群島センター・コルポストレム(Korpoström)、要塞島エーロ(Örö)南端エリアを対象とし、ほとんど手つかずの歴史的資源を、ツーリストの認識と体験価値を高めることによって、魅力的で持続可能な観光地に発展させることを目指したプロジェクトです。

例えば、オーランド諸島のボマルスンド要塞では、プロジェクトが開発した観光地向けのモバイルアプリケーション「Coastal Past」を通じ、情報、ナビゲーション、ガイダンスの両方を提供。分かりやすい操作と案内によって、より豊かな観光を体験できます。

アプリは、観光客にとって有益な情報を使いやすい形式で提供できるよう設計されています。 観光客に十分な情報と詳細を提供するだけでなく、正しいルートを案内し誘導することで、自然の価値を損なうことなく観光地を体験できます。

最先端の技術を通して、旅行者がその地の歴史や自然を学びながら探訪できる、リジェネラティブツーリズムの興味深い一例です。

魚の生態系を復活させ、釣り観光を促す「RETROUT」プロジェクト

バルト海に接する国々(エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スウェーデン)の沿岸を対象に行われた、スウェーデンの生物学者による「RETROUT(リ・トラウト)」プロジェクトでは、サケ科の一種・シートラウトの個体数の現象に着目し、環境の保全活動を通して生態系の回復と、釣りによるツーリズムのビジネスチャンス獲得を目指しています。

シートラウトは、2年ほど川で暮らしたあと海へ渡りますが、産卵の際には再び川へ戻る習性があります。

しかし、主に河川地域で行われている人間の活動によって、シートラウトの産卵活動・成長が阻害され、固体の減少につながっていることが分かりました。

本プロジェクトでは、シートラウトの生態活動を阻害する「ダムや水力発電の建設」「河道の整備」といった人的要因を特定し、魚道の整備、ビオトープの復元、水質改善、密猟防止キャンペーン、ダム撤去計画の介入など、シートラウトと周辺環境の保全・修復に取り組んでいます。

こうした活動が功を奏し、シートラウトの個体数の回復や、河川と海の環境が改善すれば、節度ある釣り観光を通したビジネスの機会にもなることが見込まれます。

「環境への投資は観光ビジネスへの投資です」と、RETROUTを主導した生物学者ホーカン・ハッグストロムが述べるとおり、自然環境に優先的に投資を行うことで、その土地の伝統文化が存続・復活する可能性もあり、さらに観光資源となる可能性を秘めていることが伺える一例です。

まとめ

異常気象の激増によって気候危機が大きく叫ばれるようになった今、観光の面でもサスティナブルに留まらずリジェネラティブに踏み切ることの重要さは言うまでもありません。

リジェネラティブツーリズムは、その地の文化を守るという意味でも、自然環境を守ることが第一に求められ、同時に経済面でのパフォーマンスを最大化させるため、さまざまな課題解決に向けた工夫が必要です。

言葉を換えれば、これまでの観光のあり方が、いかに自然・文化と経済的な利益のバランスを欠いたものであったかを、リジェネラティブツーリズムの取り組みを通して見せつけられているともいえるでしょう。




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