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サンゴ礁を守る|養殖で世界を救うNPOと企業の取り組みを紹介

2024 10/08
サステナブルツーリズム 環境(水、森林、海洋、エネルギー資源)
CO2削減 SDGs 企業事例 地球温暖化 気候変動 温室効果ガス
2022-6-162024-10-8
養殖サンゴは、地球を救う? 海の生態系を死守せよ

サンゴ礁は、海の熱帯雨林と呼ばれるほど多くの生物が暮らしており、また光合成によって二酸化炭素を吸収することで地球温暖化の抑制にも貢献しています。しかし、世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えることができたとしても、海水面の上昇や海水温の上昇により、70-90%のサンゴ礁が死滅すると言われています。このままでは海の生態系が失われるだけでなく、私たち人間も魚が食べられなくなるなど深刻な影響を受けることになります。今回はこのサンゴ礁の保全に向けて取り組んでいるNPOや企業の取り組みについてご紹介します。

目次

サンゴ礁は生物多様性と人々の生活を支える重要な生態系

サンゴ礁は、生物多様性の保護において非常に重要な生態系です。世界のサンゴ礁の総面積は60万平方キロメートルで、地球表面のわずか0.1%に過ぎませんが、確認されている生物種は9万種以上に達します。

サンゴ礁は、サンゴを中心とした生物たちが長い時間をかけて作り上げた地形で、周辺では古くから漁業が行われ、人々の暮らしとも深い結びつきを持っています。

サンゴ礁の役割

1. 多様な生物が共存できる機能

サンゴ礁は、地球上で最も多様な生物が生息する場所のひとつです。サンゴ自体が造る複雑な地形は、多くの生物に隠れ家や繁殖の場を提供し、魚類、甲殻類、軟体動物など多種多様な生物が共存しています。

サンゴ礁は「海の熱帯雨林」とも呼ばれ、世界中の海洋生物の約25%がサンゴ礁に依存しています。この豊かな生態系は、海洋の食物連鎖においても重要な役割を果たしており、地域の漁業にも大きな恩恵をもたらします。特に漁業資源として利用される多くの魚が、サンゴ礁を幼魚期の成長場所として利用するため、持続的な漁業にも不可欠な存在です。

2. 防災機能

サンゴ礁は自然の防波堤としての機能も持っています。沿岸部に位置するサンゴ礁は、波や風、嵐などの自然災害から陸地を守る役割を果たします。特に高潮や津波の際には、サンゴ礁が波のエネルギーを吸収・分散することで、被害を軽減します。これにより、沿岸に住む人々の家屋やインフラが守られ、地域経済に与える損害も最小限に抑えられます。

サンゴ礁による防災効果は特に熱帯地域の低地で顕著であり、気候変動による極端な気象現象が増加する中で、その重要性はますます高まっています。

3. 二酸化炭素の循環機能

サンゴ礁は、二酸化炭素の循環においても重要な役割を果たしています。サンゴは、石灰質の骨格を形成する過程で二酸化炭素を固定化します。これは、地球規模での炭素循環に貢献し、大気中の二酸化炭素濃度を抑制する効果があります。

さらに、サンゴ礁は植物プランクトンや海草類が豊富であり、これらの植物が光合成を通じて二酸化炭素を吸収することで、地球の温暖化を抑制する役割も担っています。特に現在、気候変動が進む中で、サンゴ礁が果たす炭素固定機能は、地球環境の安定化にとって欠かせない要素となっています。

 4. レクリエーションや教育の場

サンゴ礁は観光やレクリエーションの場としても大きな価値を持っています。シュノーケリングやダイビングなどの海洋アクティビティは、サンゴ礁の美しい景観や豊かな生物多様性を楽しむために多くの観光客を惹きつけます。これにより、地域経済に観光収入がもたらされ、雇用も生まれます。

さらに、サンゴ礁は環境教育の場としても重要です。多様な生態系を直接観察することは、海洋保護の重要性を学び、環境意識を高める機会となります。また、研究者にとっては、生態系のメカニズムや気候変動の影響を研究する貴重なフィールドでもあります。

サンゴ礁の種類

サンゴ礁はその形状や立地により、3つのタイプに大別されます。

1.裾礁(きょしょう)

 海岸に沿って発達し、浅い礁池を持つことが多い。日本のサンゴ礁の多くがこのタイプ。

2. 堡礁(ほしょう)

 陸地とサンゴ礁の間に礁湖(ラグーン)を挟んだ沖合に発達。

3.環礁(かんしょう)

 大洋にリング状に広がり、内部に深い礁湖を持つ。

サンゴ礁の現状

近年、サンゴ礁を取り巻く状況は急激に悪化しています。人間の活動(沿岸開発、生物資源の過剰利用、海洋汚染など)が原因で、世界のサンゴ礁の約58%が脅かされています。また、気候変動による海水温の上昇が、サンゴの白化現象や台風、食害動物による被害を引き起こし、サンゴ礁は存続の危機に瀕しています。

白化現象

サンゴの白化は、サンゴ礁衰退の主な原因の一つです。

白化現象とは、サンゴに共生する褐虫藻が失われ、サンゴの白い骨格が透けて見える現象を指します。これが続くと、サンゴは共生藻からの栄養を得られず死滅します。温暖化による海水温の上昇が白化現象の主因とされています。

オニヒトデによる被害

オニヒトデはサンゴを食べることで知られる棘皮動物で、サンゴ礁に甚大な被害を与えます。特に1950年代後半から1990年代中頃にかけて、沖縄や宮古島、八重山諸島で大量発生し、多くのサンゴ礁が被害を受けました。

サンゴが重要視されている理由

サンゴ礁は海洋全体のたった0.2%しか占めていませんが、海洋生物の25%に住処を提供しています。また、私たち人間の暮らしにも重要な役割を果たしてくれています。海をカラフルに彩る観光資源としてはもちろん、豊かな漁場を提供する産業資源であり、台風や津波などの洪水被害から私たちを守ってくれる自然の防波堤としても活躍しています。

さらに、サンゴは共生する褐虫藻の働きにより木と同様に光合成を行い、海水中の二酸化炭素濃度の調整役も担っています。その量は熱帯雨林に匹敵するほどの二酸化炭素を体内に留めているといわれており、地球温暖化の抑止にも大きな役割を果たしています。

サンゴ礁の危機的状況

しかしそのサンゴ礁は現在、地球温暖化による海水温の上昇や海水面の上昇、海の酸性化などで危機的な状況に陥っています。世界全体で気温上昇を1.5度未満に抑えられたとしても70-90%が死滅し、2度上昇すると99%が死滅すると言われています。

気温上昇によるサンゴへの影響
出典:気温上昇によるサンゴへの影響 climate council – INFOGRAPHIC: THE DIFFERENCE BETWEEN 1.5 AND 2 DEGREES WARMING

この数値をみると手立てがないように感じてしまいますが、世界にはサンゴ礁の保全や養殖に取り組んでいる企業やNPOがあります。

Coral Vita

coralvita
引用:Coral vita

Coral Vitaは、陸上でサンゴを育て、海に植え直すことで瀕死のサンゴ礁を活性化させる活動をしている企業です。2017年に設立し、カリブ海・バハマ島を拠点とする世界初である商業用の陸上サンゴ養殖場をつくりました。

Coral Vitaでは海ではなく陸に養殖場をつくることにより、災害や水質汚染などのトラブルを受けずに成長条件を完全に制御することで、より大規模な修復活動と生息海域外の貴重で絶滅の危機に瀕しているサンゴ礁の生態系を多く復活させる取り組みを行っています。

その手法は、世界中の海洋研究所で開発された最先端の技術を使用しており、サンゴの生存を脅かす温暖化と酸性化の海に対する回復力を高めながら、自然界の50倍の速さでサンゴを成長させ、可能な限り最も効果的な方法でサンゴ礁を復元しています。

そして、Coral Vitaではウェブサイトを通じてサンゴの養子縁組を実施しており、個人でサンゴを購入することができます。もちろん家族や友人などにプレゼントすることも可能です。購入後は証明書が送付され、サンゴの成長過程やさらに熟成したサンゴを礁に植え付けた後の海の中での状況もメンバーポータルから確認することができます。

さらに、観光業界(ホテル・リゾートやエコツーリズム運営会社など)に対し、その土地に適した珊瑚を生育することによって海洋生態系を回復させると同時に、集客に貢献することにも取り組んでおり、サンゴ礁回復に関連した経済の活性化にも注目しています。

Coral Gardeners

coralgardeners
引用:coral gardeners

Coral Gardenersは、フランス領ポリネシアにあるタヒチの姉妹島であるモーレア島の若いサーファーと漁師のグループによって2017年に設立された非営利団体です。彼らは、モーレア島周辺のサンゴ礁の急速な劣化を目の当たりにし、サンゴ礁の危機を解決するために活動を始めました。

海に生命を取り戻すために、水温の上昇と海の白化現象に耐える耐性の高い「スーパーコーラル」を特定し、育て、植えることで、瀕死のサンゴ礁の復元をしています。現在までに、15,000を超えるサンゴの植え替えを行っており、AIとスマートセンサーを使用したReefOSでサンゴの苗床をリアルタイムで観察および監視して、サンゴ礁の回復に役立てています。

そして、この活動をソーシャルメディア、イベント、アンバサダーを通じて広めることで、世界中でサンゴの重要性についての認識を高めることに専念しています。 Coral Gardenersのウェブサイトでは、サンゴを25ユーロから購入でき、名前を付けて成長をサポートすることができます。また、植えられている場所や現在の状況をライブストリームで都度確認することも可能です。さらに、サンゴの園芸について学び、サンゴを直接植えに行く海の庭師になることができるエコツアーを通じて、海洋環境の保全に対する意識を高めることにもつなげています。

Coral Guardian

coralguardian
引用:coral guardian

Coral Guardianは、国際的に活動している2012年に設立されたフランスの非営利団体です。サンゴ礁に依存している地元の人々を巻き込むことで意識を高め、科学的発見に参加することでサンゴ礁の生態系を保護することを使命に活動しています。

参加型プロジェクトの一つでは、地域住民と協力し、ダイナマイト漁により損傷したサンゴ礁の復元をしています。地元住民の意識を高める意識向上プログラムを実施し、サンゴの回復を通じて持続可能な漁法の使用を促進するなど地域社会への教育も行っています。

同社の「サンゴの養子縁組」プログラムでは、30ユーロでサンゴに名前を付け、購入することで誰もが海の保護に貢献できます。この取り組みによって、Coral Guardianの創設以来、40,000を超えるサンゴが移植され、4年後に復元された場所には30倍近くの魚種が存在する生物多様性を取り戻すことができました。

その他にも、サンゴ礁の重要性と直面する危険性を人々に認識させるための意識向上キットの開発や、さまざまなイベントを通じて国際的に意識を高めています。 また、人気のある科学記事、科学研究への参加、およびそのデータの共有を通じて、海洋科学をより利用しやすくすることを目指しています。

まとめ

サンゴ礁は、海洋全体の二酸化炭素の濃度を調整したり、海の生態系の25%を占めており、私たち人間にも多くの恩恵をもたらしてくれています。

サンゴ礁の白化現象の原因は、地球温暖化だけではありません。海洋プラスチック問題や有害な化学物質なども原因となっています。実際、私が愛用している同じメーカーの日焼け止めを昨年と今年のもので比較してみると今年のパッケージには「ビーチフレンドリー処方」と記載されており、少しずつ変化していることを感じます。しかし、これはほんの一部に過ぎません。

サンゴ礁の養殖は、ひとつひとつを見れば小さな変化かもしれません。しかし、これらの活動を通じて海洋環境の保全に対する意識を広めることができれば、やがては大きな波となり、サンゴ礁を救うことができると思います。国内でもこれらの活動がより多くの人に認知されることを期待します!

参照:
Coral Gardeners
Conservation et protection des récifs coralliens avec Coral Guardian
Coral Vita
Impacts at 1.5 and 2 degrees of warming | Climate Council

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