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ペットショップがなくなる?アニマルウェルフェアの普及がもたらす変革

2024 8/01
社会(ヘルス、まちづくり、ジェンダー)
動物倫理 動物福祉
2023-2-202024-8-1
アニマルウェルフェアの普及による、ペットショップの現状と今後

動物たちがストレスフリーな環境で飼育される、アニマルウェルフェア(動物倫理)が注目されています。アニマルウェルフェア先進地域では、「命」の観点から、ペットショップでの売買を禁止する流れも見られるようになりました。本記事では、国内外のペット事情を中心に、ペットショップの現状と今後を解説します。

目次

アニマルウェルフェアとは

アニマルウェルフェア

アニマルウェルフェアとは、動物が生命を授かってから死に至るまでの間、可能な限りストレスを小さくし、心身ともに健やか、かつ行動要求が満たされる飼育方法を指します。

アニマルウェルフェアの一例を挙げるなら、犬や猫をペットショップで販売しないことです。イギリス(イングランド)では、2018年に子犬や子猫の販売を禁止する「ルーシー法」が制定されました。悪質業者がペットを繁殖させないよう、生後半年以下の子犬や子猫の販売を禁止しています。

また、イギリスやアメリカでは、犬や猫が保護されている施設、シェルターがあります。ブリーダー経由でなく、シェルター内の犬や猫を引き取り、飼い始める動きが出ています。

アニマルウェルフェアの5つの原則

アニマルウェルフェアの5つの原則は以下の通りです。

  1. 飢え、渇き及び栄養不良からの自由:
    動物が十分な食事と水を得られる環境を確保すること。

  2. 恐怖及び苦悩からの自由:
    動物が不安やストレスを感じない環境を提供すること。

  3. 物理的、熱の不快さからの自由:
    動物が適切な温度と快適な物理的環境で過ごせるようにすること。

  4. 苦痛、傷害及び疾病からの自由:
    動物が怪我や病気から守られ、必要な医療ケアを受けられるようにすること。

  5. 通常の行動様式を発現する自由:
    動物が自然な行動を取れる環境を提供すること。

これらの原則は、動物福祉政策の基準として国際的に共通認識されており、OIE(国際獣疫事務局)が科学的知見に基づいて定めています。

日本のペットビジネスの問題

日本のペットショップビジネス

日本のペット市場は、2011年には1兆4,000億円、2020年には1兆5,000億円を超え、ますます成長を続けています。

令和3年の調査によると、日本の総世帯数の9.78%が犬を、8.94%が猫を飼っているとされます。飼育頭数の推計は次の通りです。

  • 犬:約710万6,000匹(減少傾向)
  • 猫:約894万6,000匹(増加傾向)

日本のペット流通ルートでは、年間40〜50万匹の犬が取り引きされており、その70%がペットショップに送られます。これらの多くはまだ小さな子犬や子猫であり、幼少期に親から離されて人間の家庭で飼われることになります。

しかし、すべてのペットが買い取られるわけではなく、売れ残ってしまう犬猫も多いのです。

売れ残ったペットはどうなる?

ペットショップで売れ残った犬や猫は、以下のような対応が取られます。

値下げ販売
最も一般的な方法で、売れるまで価格を下げ続けます。

社内でのケア
売れ残った場合、ショップの社員が引き取る、または自社運営の老犬ホームやケアセンターで世話をします。

譲渡会や里親募集
動物愛護施設に譲渡し、譲渡会で新しい飼い主を探す場合もありますが、これは一度飼われた犬猫が多く、ペットショップからの売れ残りは少ないのが現状です。

殺処分
過去には保健所での殺処分もありましたが、2012年の動物愛護法改正により、現在は売れ残りが保健所に持ち込まれることは基本的にありません。行政による殺処分も大幅に減少しています。

ただし、このような対応は大手ペットショップだからできることであり、規模の小さいペットショップでは値下げやケア施設の限界があり、行政にも持ち込めないため「引き取り屋」に頼るケースが多いと言われます。

引き取り屋の問題

「引き取り屋」と呼ばれる業者は、売れ残りや繁殖能力の衰えた犬猫を引き取り、転売や繁殖に利用します。一方で、売り物にならず繁殖にも使えない犬猫は劣悪な環境で放置され、病気で死ぬのを待たれることもあります。さらに、非道な業者は密かに殺処分することさえあると言われています。

日本のペットビジネスが抱える構造的な問題

日本のペットビジネスが抱える構造的な問題は、犬猫の大量生産・大量消費を促す流通システムと衝動買いを促す生体販売にあります。

大量生産・大量消費の問題

  • 競り市(オークション)制度
    ブリーダーが子犬や子猫を競りに出品し、ペットショップが落札して販売します。これにより、多様な犬種や猫種に対応できる一方、大量生産と大量販売が助長されています。

  • 悪質ブリーダー
    利益を優先し、限界まで繁殖させたり、繁殖できなくなった犬猫を遺棄するなどの問題があります。劣悪な飼育環境や近親交配による健康問題も深刻です。

生体販売の問題

  • 衝動買いの助長
    ペットショップでの生体販売は、安易な衝動買いを促し、動物の健康や衛生環境に悪影響を与えます。結果として、飼育放棄や保健所への持ち込みが増加します。

これらの問題は、ペット業界全体の倫理的な取り組みとアニマルウェルフェアの普及が求められる理由となっています。

ペットブームの裏側で飼い主が直面する問題

飼い主が直面する問題

ペットブームの影響で多くの家庭が犬や猫を飼い始めましたが、その裏では飼育に関する深刻な問題が発生しています。以下では、主な問題点を掘り下げて詳しく説明します。

軽い気持ちで飼い始め、飼育放棄する

新型コロナウイルスの感染拡大により、自宅で過ごす時間が増え、多くの人が犬や猫を飼い始めました。しかし、外出や旅行が再開されると、生活スタイルが再び変化し、以下のような問題が発生しています。

  • お世話の時間の減少
    外出や通勤が増えることで、ペットの世話に割く時間が減少し、適切なケアが難しくなるケース。
  • 社会的活動の増加
    友人や家族との外出が増え、ペットに対する注意が行き届かなくなるケース。
  • 飼育放棄の増加
    新たな生活リズムにペットの飼育が合わず、結果としてペットを手放すケースが増加。

飼い主の経済困窮

中には、失業や減給、物価高の影響が重なり経済困窮に直面した飼い主もいます。これにより、以下のような問題が発生しています。

  • 餌代の負担
    ペットの餌代が支払えなくなり、栄養不足や健康問題が発生するケース。
  • 動物病院の費用
    診療代や予防接種代を支払えず、健康管理が行き届かなくなるケース。
  • 緊急の医療費
    突然の病気や怪我に対する緊急医療費が負担できず、適切な治療を受けさせられないケース。

適切な飼育知識の欠如

ペットの飼育には専門的な知識が必要です。しかし、多くの新規飼い主はその知識を持たずにペットを飼い始めることが多く、以下のような問題が生じます。

  • 誤った食事管理
    適切な食事や栄養管理が行われず、健康問題が発生するケース。
  • 不適切な住環境
    ペットにとって安全で快適な住環境が整えられていないケース。
  • 問題行動の放置
    ペットの問題行動(例えば吠え癖やトイレの問題)に対処できず、ストレスが溜まるケース。

このように、飼い主側の問題もアニマルウェルフェアの実現が難しい現状を示しています。

海外のペット事情

フランスでは、「動物愛護法」が2024年1月より施行されました。この法律により、ペットショップでの犬や猫の店頭販売が禁止されています。他にも、動物のショーケースでの展示や、一般人がインターネットで犬や猫を販売することも禁止されています。

フランスで「動物愛護法」が施行される背景には、バカンス期間の飼育放棄問題があります。動物愛護団体30ミリオン・ダミ(30 millions d’amis)によると、フランス全体で捨てられるペット10万匹のうち、約6万匹が夏のバカンス前に捨てられています。

また、アメリカのニューヨーク州では、2022年6月の州議会で「パピーミルパイプライン法案」が上院で可決されました。これにより、犬や猫だけでなくウサギの生体販売も禁止される予定です(※2022年12月時点ではまだ施行されていません)。

このように欧米では、ペットを「売らない、買わない」という動きが広がっているほか、ドイツでは犬の飼育環境を法律で規定し、飼い主だけでなく売り主にも罰則を適用しています。

日本の現状

日本では、人と動物が共生できるように「愛護管理法」という法律が1973年に制定されました。愛護管理法は、家庭用や展示用、産業動物、実験用を含むすべての動物の健康・安全の確保、そして人の手による虐待や迷惑行為を防止することを目的としています。

また、日本では、2024年6月1日以降、ブリーダーおよびペットショップなどで販売される犬や猫のマイクロチップの装着が義務化されます。家族として犬や猫を迎え入れる際、飼い主の氏名と住所を登録することが必須です。これにより、飼育放棄を防止する効果も期待できます。

国内でも、ペットを含む動物に対する制度が整ってきたものの、飼い主のキャパシティーを超えた数のペットの飼育、ペットの飼育が困難な状況に陥る「多頭飼育崩壊」など、解決すべき問題が残っています。今後、国がどのような動きをするか注目です。

ペットショップ廃止の動きとその背景

ペットを守ろう

ペットショップに対する規制強化の流れを受け、近年、業界の変革を求める声が高まっています。

俳優の杉本彩さんが代表理事を務める公益財団法人動物環境・福祉協会Evaは、ペットショップでの生体販売の廃止を訴えています。岡山市のペットショップ「ChouChou」も2015年に店頭での生体販売を中止し、保護犬の引き取りと里親探しを行うなど、新たな取り組みを進めています。

これらの取り組みは、業界における変革を促進し、問題解決に向けた期待を集めています。ペットショップが完全に無くなる可能性はまだ不透明ですが、業界の変化と新たな方向性が見られることは確かです。

最後に

飼い主にとっては、ペットの愛らしい表情や動きは愛おしいものです。ただし、ペットを軽い気持ちで飼い始め、「飽きたから手放す」という行動は、実に自分ファーストな行動です。

ペットにも尊い命があります。これまで犬や猫、鳥といったペットが、ペットショップやホームセンターの一角で販売されていることは当たり前だったかもしれません。しかし今後は、ペットの殺処分やペットショップが抱える問題に対する知識を深めることが重要です。

実際にペットを迎えた時に、快適な環境を提供し、愛情を持って最後まで彼らの人生に寄り添うことができるのか、私たち消費者が一人一人考える必要があるでしょう。

参照:
Nos combats
フランス 犬と猫がペットショップから消える?いったいなぜ? | NHK
ペットショップで売れ残った犬はどうなるの?救う方法はある?
環境省_統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理](env.go.jp)
環境省_動物愛護管理法 [動物の愛護と適切な管理] (env.go.jp)

公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

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