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オーストラリアの環境問題への取り組みとサステナブルツーリズム

2025 6/01
サステナブルツーリズム
SDGs サステナブルツーリズム 持続可能な観光
2024-10-22025-6-1
オーストラリアの写真

広大な大自然、コアラやカンガルーなどの野生動物、世界最大のサンゴ礁であるグレートバリアリーフなどで世界的に有名なオーストラリアは、環境問題にも積極的に取り組んでいます。

オーストラリアは、国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN:Sustainable Development Solutions Network)による世界各国のSDGsの達成度を評価した「Sustainable Development Report」(サステナブル・ディベロップメント・レポート、持続可能な開発報告書)*のランキングで第6位になりました。ちなみに、日本は18位です。(2024年6月17日時点)

*サステナブル・ディベロップメント・レポート:各国のSDGsの取り組みを100点満点で点数化したSDGs達成度(SDG Index)を公表し、ランクづけしている

オーストラリアがSDGs達成度のランキングで上位に位置する理由には、気候変動による環境問題への対応が大きな原動力になったことが挙げられます。

本記事では、環境問題を抱えるオーストラリアがどのようにして改善へ取り組み、サステナブルツーリズムを実践しているのかについて解説します。

目次

オーストラリアで起きている環境問題

近年、オーストラリアでは森林火災、水不足、海洋汚染などの環境問題が発生しています。過去の事例を含めて見ていきましょう。

森林火災

オーストラリアでは、過去に(1939年、1983年、2009年)大規模な森林火災が発生し、数十名の死亡者が出ました。

オーストラリア政府は深刻な森林火災を未然に防ぐため、森林管理を実施してきましたが、2019年9月から2020年2月にかけて大規模な森林火災が発生しました。この大規模な森林火災により約30名が死亡し、約3,000件の住宅およびビルが焼失しました。

また、野生動物にも甚大な被害をもたらし、最大で8000頭のコアラが犠牲になり、ニューサウスウェールズ州のマクリー川では灰や汚物による汚染が原因で多数の魚が死滅しました。

さらに、この森林火災では、過去20年のオーストラリアで最大となる火災起源の二酸化炭素を放出しました。

水不足

オーストラリアでは、水不足も大きな問題となっています。

乾いた大陸として有名なオーストラリアは、古い大陸で平坦な地形であるため、ごく一部の地域では年間降水量が 4,000mm 以上ありますが、国土の 8 割が平均年間降水量600mm未満であり、5割は300mm未満です。国全体での平均年間降水量の平均値は534mmであり、 年間平均降水量が1,718mmである日本と比べると日本の約3分の1程度です。

このような水不足の状況により、オーストラリアでは干ばつが深刻化しています。

このまま地球温暖化が進み、干ばつの規模が拡大していけば、牧草の減少で食肉や羊毛の輸出も落ち込むなど農業にも大きな影響を与えることになるでしょう。

海洋汚染

オーストラリアでは、年間250万トンのプラスチックが廃棄されています。

リサイクル率は約2割で、残り約8割はプラスチックゴミとして埋め立て処理されており、年間約13万トンのプラスチック廃棄物が海や河川などに流出しています。

数多くの野生動物が生息するオーストラリアにおいて、プラスチックゴミの問題は非常に深刻です。ウミガメや海鳥などの海洋生物がプラスチックゴミをえさと間違え飲み込んでしまい死亡する事例もあり、生態系にも大きな影響を与えています。

オーストラリアの環境問題対策

オーストラリアは深刻な環境問題を解決するために積極的な取り組みを進めています。いくつか具体的にご紹介していきます。

気候変動の影響とその対策

オーストラリアでは、気候変動による異常気象や干ばつ、森林火災が頻発し、自然生態系と生活環境に大きな影響を与えています。これを受けて、政府は2050年カーボンニュートラルの実現を掲げ[1]、再生可能エネルギーの導入を強化。特に太陽光や風力発電の普及が進んでおり、一般家庭にも屋根置き太陽光パネルが広く浸透しています。また、グリーン水素など新エネルギー産業の育成も推進されており、脱炭素社会への移行は本格的です。

水資源の保全と農業の持続可能化

乾燥した気候にあるオーストラリアでは、水資源の管理が重要課題です。マレー・ダーリング流域計画などにより、水の公平な配分や環境保全が図られています[2]。農業分野では、水利用効率の高い栽培技術や再生型農業が注目されており、気候変動に強い農業システムへの転換が進んでいます。

生物多様性の保全と森林火災対策

オーストラリアには多くの固有種が生息していますが、環境破壊や森林火災により多くの動植物が絶滅の危機に瀕しているのが問題です。政府は保護区域の設置や先住民の知恵を活かした土地管理を進めています。たとえば、「クールバーニング」という伝統的な焼却方法の導入により、大規模な山火事のリスクを減らすという取り組みが効果的です[3]。

海用プラスチックゴミ回収装置「Seabin(シービン)」の開発

出典:Seabin公式

シービンは、バケツ型の海洋プラスチックゴミ回収装置です。湖など他の水面に浮遊するゴミも回収できます。

世界各地の海でマリンスポーツを楽しんできたオーストラリア出身の2人が、「陸にはゴミ箱があるのに、なぜ海にはないの?」と疑問を抱いたことをきっかけに、海用プラスチックゴミ回収装置を開発しました。

2014年からプロジェクトが始まり、ヨーロッパで試行錯誤を重ね、2017年1月に正式に製造・販売され、39の国と地域で860台のシービンが稼働しています。(2020年1月時点)

シービンは次のようにゴミを収集します。

  • 浮き桟橋にシービンを取り付ける
  • 吸い込み口が水面を上下に稼働することにより浮遊しているゴミが吸い寄せられる
  • 水と一緒に集まったゴミが水面から吸い込まれ、キャッチバック(ゴミ回収袋)に回収される
  • 吸い込んだ水のみを水中ポンプから排出する
シービンの画像
出典:株式会社平泉洋行

シービンの吸い込み口は直径50㎝、重量は40kgで、ビニール袋やタバコの吸殻、表層油やプラスチックが小さくなったマイクロプラスチックなども回収できます。定期的にキャッチバッグのゴミを回収するだけで清潔な水辺環境が維持できます。

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国家プラスチック戦略

プラスチック製品は私たちの暮らしに必要不可欠ですが、石油由来のプラスチックは製造や処分の際に、大量の二酸化炭素を排出します。

オーストラリア政府は、プラスチックによる環境汚染への対応をさらに推進するため、2021年に「国家プラスチック戦略(National Plastics Plan)」を発表しました。

この戦略は、プラスチックの利用防止、リサイクル、消費者教育、河川・海洋保護、研究開発の5つの項目で構成されています。「利用防止」の項目では「プラスチック廃棄物を減らすための最も簡単な方法は、不要な使い捨てプラスチックを使用しないこと」と記載されており、産業界に対して各種プラスチックの段階的な使用廃止を求めています。

オーストラリアのクイーンズランド州政府は、使い捨てプラスチック製品を2021年9月から禁止としました。レストランやカフェ、スーパーマーケットに対して、ストローやフォーク、スプーンなどのカトラリー、ボウルや皿、飲料をかき混ぜるマドラーなど使い捨てプラスチック製品の提供を禁止としました。

流通・卸売業者に対しては、病院や介護施設向けなどの例外を除き、使い捨てプラスチック製品の供給を禁止としました。違反した場合は、最大6,672.5オーストラリア・ドル(約66万円、1オーストラリアドル99.57円)の罰金が科される場合があります。

オーストラリアのサステナブルツーリズム

オーストラリアでは、自然や世界遺産、多彩な生態系と先住民の文化を生かしたサステナブルツーリズムを実践しています。

自然とのつながりを深める―クレイドル・マウンテン・ハッツ・ウォーク

クリイドル・マウンテン

島全体が一つの州になっているタスマニア。オーストラリアの中でも特に自然のままの環境が残されているエリアです。

クレイドル・マウンテン・ハッツ・ウォークは、クレイドル・バレーのワルダイムからセント・クレア湖までの65kmを6日間かけてトレッキングしながら、オーストラリアの多様な風景を楽しむことができます。

太古の雨林、ボタングラスの平原や素晴らしい景色を眺めながらのトレッキングで、自然との一体化を再認識できます。観光客が自然とのつながりを深めることで、自然保全への意識が高まります。

グレイドル・マウンテンの詳細はこちら:クレイドル・マウンテン ー セント・クレア湖国立公園ガイド – オーストラリア政府観光局

世界遺産を旅する―ポート・アーサー史跡

タスマニア州、西オーストラリア州、ニュー・サウス・ウェールズ州にはオーストラリアの囚人が住み働いていた、印象的な刑務所の建物、兵舎、広大な地所などの囚人遺跡群が散在しています。

なかでも19世紀半ばに囚人の労働で建てられたタスマニア州のポート・アーサー(Port Arthur)は、オーストラリアで最も保存状態の良い囚人遺跡群の一つです。ポート・アーサーからの脱出ウォーキング・ツアーは夜間のゴーストツアー。自由を求めて脱獄を試みた囚人たちの実話を聞いて、歴史が蘇る体験ができます。

オーストラリアには世界遺産に指定されている20の素晴らしい自然と文化遺産があります。これらの場所は、観光客が訪れるほどに世界遺産としての重要性が高まり、将来にわたる保護をより確実にします。

ポートアーサーゴーストツアーの詳細はこちら:Port Arthur Historic Site

野生動物を守る―カンガルー島の絶滅危惧種を保護する

南オーストラリア州にあるカンガルー島(Kangaroo Island)は2019年から2020年にかけての山火事で甚大な被害を受けました。その後、オーストラリアは再生に尽力していますが、ツアーに参加することで再生の一助となることができます。

エクセプショナル・カンガルー・アイランド(Exceptional Kangaroo Island)のツアーでは、オーストラリアの中でも特に希少なカンガルー島に生息する有袋類のスピントプシスやテリクロオウムなどの動物を見ることができます。

コアラやカモノハシなど、オーストラリアにはユニークな野生動物が多数存在しています。動物たちを保護し、生息地を守るツアーに参加することで、地球環境の保護に協力できます。

エクスセプショナル・カンガルー・アイランドの詳細はこちら:Exceptional Kangaroo Island

古代の文化に浸るー先住民のガイド付きウォーキングツアー

オーストラリア先住民の文化は、地球上で最古の部類に属しています。彼らの土地を徒歩で訪れるガイド付きツアーに参加することで、サステナブルな暮らし、マインドフルネス、スピリチュアリティなどを体験できます。

クイーンズランド州のポート・ダグラス(Port Dougla)地域に位置するデインツリー・レインフォレスト(Daintree Rainforest)は、見事な美しさを誇る世界遺産です。この土地には、本物の熱帯雨林の民であるクク・ヤランジ(Kuku Yalanji)族が住んでいます。ここでは、熱帯雨林は単なる木々やツル植物の集まりではなく、伝統的な薬や自然の食材の宝庫として扱われています。

1日または半日のガイド付きヌガディク・ドリームタイム・ウォーク(Ngadiku Dreamtime Walk)では、ガイドと一緒に土地を散策し、薬用植物の使用法から採集術、黄土色の絵画まで、古代の伝統について学ぶことができます。

ヌガディク・ドリームタイム・ウォークの詳細はこちら:Dreamtime Walks | Mossman Gorge Centre

最後に

環境問題を解決するためには、社会のあり方を従来とは大きく変えなければいけません。そのためには、政府だけでなく企業や個人も一体となって問題に取り組む姿勢が必要です。

気候変動による影響が大きいオーストラリアの場合、国民が強い危機感を抱いていたため、普段から気候変動に備える意識が高く、一致団結して取り組むことができました。結果として環境問題解決への取り組みが進み、他国よりも高く評価されることになったのでしょう。

気候変動は世界各国に影響します。国ごとではなく世界中で解決しなければならない問題なのです。日本でも気候変動による自然災害が後を絶ちません。現状を少しでも良くするために、まずは「プラスチック製品を購入する機会を減らす」など一人ひとりができることから始めるべきでしょう。

[1]2050年温室効果ガス排出量実質ゼロの目標に向けて

[2]https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0426pdf/ks042614.pdf

[3]カルチャー・バーニング |WWFオーストラリア |カルチャー・バーニング |WWFオーストラリア。




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