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LNG搭載クルーズ船「サン・プリンセス」に見るサステナブルツーリズムの広がり

2024 12/13
サステナブルツーリズム
サステナブルツーリズム 企業事例 持続可能な観光 気候変動
2024-12-17

さまざまな旅のスタイルの中で、豪華な客船に乗り、クルージングで海の旅を楽しむ旅行者が増えています。最近、そのクルーズ船にも環境保全の意識から、燃料を重油から炭素係数が小さいLNG(液化天然ガス)へ切り替え、CO2排出量を減らそうという動きが始まっています。

クルーズライン国際協会(CLIA)によると、世界で運航するクルーズ客船のうち約6%がLNGを搭載し始め[1]、2024年1月から2028年12月までに発注された54隻の船のうち、63%がLNGを燃料とする見込みだといいます。

2025年には郵船クルーズ株式会社でもLNG搭載の船を就航予定と、日本国内でも低炭素化に向けた動きが見えてきています。[2]

本記事では中でも2024年2月に就航した、革新的な施設を多く備えるLNGを燃料とするエンジン搭載船「サン・プリンセス」についてや、LNGの特徴やメリット・デメリットについても解説します。

記事を読み終わる頃には、クルーズ船を通したサステナブルツーリズムについて理解を深めることができるでしょう。

目次

次世代型クルーズ客船「サン・プリンセス」

世界最大の国際的なプレミアムクルーズライン「プリンセス・クルーズ」から2024年2月に就航したのが「サン・プリンセス」です。大きさは約17.8万トン、乗客定員4300人(最小時)でプリンセス・クルーズで最大となります。

「サン・プリンセス」は2006年からISO14001環境管理システム基準を取得し、施設にも以下のような革新的な取り組みをしています。

サン・プリンセスの革新的な施設

①食品廃棄物の削減パワーノット社製装置で1トンの食品廃棄物を24時間以内に約1キロに減量し、処理後の排水は安全基準を満たすように浄化
②ブッフェの改良セルフサービスを廃止し、スタッフが料理を提供する方式に変更。これにより、食品廃棄量の削減に成功
③防音技術最新の防音技術を導入し、イベント音漏れを防止。乗客が快適に過ごせる静かな空間を確保
④ダイニングの混雑分散3階構造のメインダイニングを導入し、異なるサービス(事前予約制、2回制トラディショナル、自由利用のエニタイム)で混雑を分散
⑤ウェアラブルデバイス「メダリオン」乗客の動向データを分析し、実際の利用状況に基づいてサービスや運行内容を改良

このような革新的なテクノロジーや取り組みを導入するサン・プリンセスですが、プリンセス・クルーズで初めてとなるLNG(液化天然ガス)を燃料とする次世代型クルーズ客船としても更に注目を集めています。

次にプリンセス・クルーズのサステナブルな取り組みについてみていきましょう。

フィンカンティエリ社 

サン・プリンセスを造船しているのはイタリア・トリエステに本社を置くフィンカンティエリ社です。総合造船企業であるフィンカンティエリ社では、クルーズ船、軍艦、フェリー、メガヨットなど多様な船舶の設計・建造を手掛けています。

また、持続可能な成長を目指し、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する取り組みを積極的に推進しています。

フィンカンティエリ社のサステナブルな取り組み

①環境責任 

エネルギー効率の向上や廃棄物管理の最適化を通じて、環境への影響を最小限に抑える努力をしています。 

②サステナビリティ計画

2023-2027年のサステナビリティ計画を策定し、技術開発によるエネルギー効率の向上や業務の効率化による労働環境の改善などの具体的な目標と行動計画を設定しています。 

③サプライチェーンの持続可能性

サプライヤーと協力し、持続可能な供給網の構築を推進しています。 

④サステナビリティ報告

毎年、サステナビリティ報告書を発行し、経済、社会、環境に関する成果と取り組みを透明性高く公開しています。 2023年の報告では複数のESG評価機関から高い評価を受け、企業の持続可能性に対する取り組みが認められています。

これらの取り組みを通じて、フィンカンティエリは持続可能な海運業界の実現に向けて積極的に貢献している造船企業です。 

まずは低炭素なエネルギー源のLNGに

まずは低炭素なエネルギー源のLNGに

次世代型クルーズ客船と言われるサン・プリンセスが燃料としているLNG(液化天然ガス)は、天然ガスを約-162°Cまで冷却して液体化したものです。

液化することで体積が約600分の1に縮小され、貯蔵や輸送が容易になります。主成分はメタンで、燃焼時に排出される二酸化炭素(CO₂)や有害物質が比較的少ないのが特徴です。[3]

他の燃料とどう違うのか

LNGは天然ガスを冷却して液化させたもので、他の化石燃料と比べて燃焼時のCO2排出量が少なく、クリーンなエネルギーとして注目されています。

比較するもの
石油(ディーゼル・重油)LNGの方が燃焼時のCO2排出量が約20-30%少なく、有害な硫黄酸化物(SOx)や微粒子(PM)をほぼ含まない。燃焼したときに出る窒素酸化物(NOx)の排出量も低く大気汚染物質の削減に貢献
再生可能エネルギー(風力、太陽光など)再生可能エネルギーは燃焼過程がないため、CO₂や有害物質の排出がゼロではあるが、LNGは再生可能エネルギーが利用できない場面(長距離輸送や高エネルギー需要)での現実的な代替エネルギーとして注目されている

サステナブルの視点からの比較

サステナブルの視点からの比較

LNGをサステナブルな視点から比較してみましょう。

環境負荷LNGは化石燃料の中では炭素係数が小さく、特に海運業界ではLNGを燃料とすることで大気汚染物質の排出が大幅に削減される。しかし、完全に排出ゼロとはいかないため、長期的には再生可能エネルギーへの移行が求められる。
エネルギー効率LNGは燃焼効率が高く、エネルギーを効率的に利用できますが、冷却や輸送にエネルギーが必要で、その過程でも温室効果ガスが排出される
持続可能性LNGは短期・中期的には石油や石炭に代わる「移行期の燃料」として有望視されている

LNGのメリット

CO2排出量が少なかったり、エネルギー効率が高かったりと、環境への負荷が少ないメリットがあります。

1. 排出ガスの削減

燃焼時にCO₂排出量が石油や石炭に比べて少なく、有害物質(SOx、PM、NOx)の排出も大幅に低減できます。これにより大気汚染の抑制に貢献します。

2. 高いエネルギー効率

 LNGはエネルギー効率が高く、同量の燃料でより多くのエネルギーを生み出すことが可能です。これにより、燃料消費量が削減され、環境負荷も軽減されます。

3. 輸送・貯蔵の利便性

 液化によって体積が大幅に縮小するため、大量輸送や長距離輸送が可能です。貯蔵も効率的で、安定したエネルギー供給が期待できます。

LNGのデメリット 

輸送のエネルギーコストやメタンの漏出リスクなどのデメリットもあります。

1. 冷却と輸送にエネルギーが必要

 LNGは-162°Cまで冷却する必要があり、その過程で多くのエネルギーを消費します。また、輸送中も低温を維持する必要があり、エネルギーコストがかかります。

2. 温室効果ガスの漏出リスク

 LNGの主成分であるメタンは、CO₂よりも強力な温室効果ガスです。液化、輸送、貯蔵の過程でメタンが漏出すると、気候変動への悪影響が大きくなります。

3.化石燃料であることに変わりはない

 LNGは石油や石炭よりも環境負荷が低いとはいえ、依然として化石燃料の一種であり、燃焼時にCO₂を排出します。再生可能エネルギーに比べると、持続可能性の観点で劣ります。

LNGが注目される理由

LNGが注目される理由

LNG(液化天然ガス)は、環境負荷を抑える側面に加え、LNGを燃料とする「サン・プリンセス」のようなクルーズ船が誕生したように、サステナブルツーリズムという観点からも以下のような理由で注目されています。

温室効果ガスの削減

 LNGは石炭や石油に比べて、燃焼時に排出される二酸化炭素(CO2)の量が少なく、低炭素なエネルギー源として位置づけられています。サステナブルツーリズムでは観光地の環境保護が重要な要素です。観光産業のエネルギー供給にLNGを活用することで、観光地の炭素排出を減らし、持続可能な観光の実現に貢献します。

大気汚染の抑制 

 LNGは燃焼時に硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、微粒子状物質(PM)の排出も少ないため、大気汚染の防止に役立ちます。

観光客が訪れる自然地域や都市での空気の質向上に貢献することで、健康的で快適な観光環境の提供が可能です。

水素エネルギーへの移行の架け橋 

LNGは環境負荷が少ない水素エネルギーが十分に普及するまでの架け橋としての役割も果たします。

サステナブルツーリズムでは、長期的なエネルギー転換計画が重要ですが、LNGの使用は、脱炭素化の道筋を実現しながらも観光インフラへの影響を最小限に抑えることができます。

観光地でのエネルギーの安定供給

 LNGは運搬が容易で、エネルギー源としての安定供給が可能です。観光地では、特にアクセスが限られた地域においてエネルギー供給が重要です。

LNGはそのニーズを満たしつつ、環境負荷を軽減する手段として役立ちます。

観光客の意識の変化

観光客の意識の変化

ブッキング・ドットコムが2024年6月に発表した調査結果から、多くの観光客がサステナブルな旅行に対する意識を高めていることが明らかになりました。

世界の旅行者の75%(日本の旅行者の53%)が今後よりサステナブルな旅行をしたいと考えており、71%(日本の旅行者の56%)は「訪れた場所をより良い状態で後にしたい」と積極的に環境保護を意識しています。

さらに、67%(日本の旅行者の42%)が旅行中のサステナブルな体験をきっかけに日常生活でも持続可能なライフスタイルを意識するようになっていることから、サステナブル志向が旅行体験を通じて広がっていることがわかります。

サステナブルツーリズムを推進するのに必要なのは、観光産業全体が環境への影響を最小限に抑えるエネルギーを選ぶことです。LNGの活用は、持続可能な観光地の保護と共生に貢献する、注目すべき手段です。

最後に

革新的な施設を備えた「サン・プリンセス」について、またLNGの特徴やメリット・デメリット、注目される理由についてお伝えしました。

LNGは次世代のクルーズ事業を支えるクリーンな燃料として、これからもっと注目され広がっていくでしょう。サステナブルツーリズムが当たり前になる時代はすぐそこまできています。クルーズをする観光客は皆、雄大な海と地球を守りながら旅を楽しめることができるようになることを願います。

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サステナブルツーリズムとは?持続可能な観光業の最新動向(2024年) サステナブルツーリズムとは、環境、経済、社会に対して配慮した旅行を意味します。観光地の自然環境や文化を保護しつつ、地元の経済発展に寄与し、持続可能な形で旅行を楽しむことを目指しています。

参照

豪華客船で行くクルーズ旅行|プリンセス・クルーズ

https://www.princesscruises.jp/environmental-responsibility

https://cruising.org/en/sustainability-data

https://www.gas.or.jp/tokucho

https://www.fincantieri.com/en




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