AIが旅行の計画から予約までをサポートするツール「Operator」とは

オープンAIが2025年1月に発表したAI搭載ツール「Operator」が観光産業に新たな検索とマーケティング手法の可能性を投げかけています。宿泊、食事、移動など旅行に関するさまざまなサービスを、AIを活用して検索から予約または購入までをサポートするツールです。
Tripadvisor、Hipcamp、Priceline、Booking.comといった大手旅行各社が「Operator」を支援しています。ライドシェア大手のUberもそこに名を連ねています。いずれも伝統的な店舗型ビジネスではなく、オンラインでのサービスに特化していることが共通点と言えるでしょう。
たとえばPricelineはすでに自社の生成型AIチャットボット「Penny」の機能を大幅に強化しています。航空チケット、レンタカー、ホテル、そしてパッケージツアーなど、すべてのサービスにおいて、ユーザーがAIと直接やり取りをすることで、個人の好みや予算に応じた旅行計画を立て、また予約プロセスを簡略化できるものです。
オープンAIがYoutube上で公開している「Operator」のデモンストレーション動画 では、ユーザーが自身の好み(返金可能、無料朝食付きなど)をあらかじめ登録しておき、「10月にニューヨークへ行くから、ホテルを探して。ベッドのサイズはどれでもいいから」とリクエストする様子が紹介されています。「Operator」はユーザー情報に応じたホテルを選択し、ユーザーに表示します。ユーザーはさらにそこから「Operator」に予約を依頼することもできるということです。
「Operator」が従来のオンライン予約と決定的に異なる点は、ユーザーの情報もリクエスト内容もウェブサイト上にあらかじめ用意された質問に答える形ではなく、まるで会話をするように自由に入力できることです。生成AIはそうしたやり取りを学習し、使えば使うほどユーザーに適した選択肢を提供できるようになります。
「Operator」は研究段階にあり、現在のところは限られたユーザーしか利用できません。一般の利用が可能になれば、旅行の計画から予約に到るまでのプロセスにAIが活用されることで、ユーザーはより一層の個別化と効率化されたサービスを期待できます。
AIはすでに社会のさまざまな分野で革新をもたらしています。観光産業もその例外ではありえないようです。「Operator」が注目される背景には、AIをサービス向上に活用していこうとする観光産業のトレンドと密接な関連があります。ユーザーは検索にかける時間を大幅に短縮できるメリットがあり、サービスを提供する側がビジネス上の競争力を得るためには、SEO(検索エンジンでウェブサイトが上位に表示されるようにするための対策)を中心とした従来のオンラインマーケティング手法からの根本的な転換が迫られるでしょう。