観光の最前線は“南信州”にあった?飯田市の戦略に注目

長野県飯田市は2025年2月25日、「いいだツーリズムビジョン」を策定し、メディア向けに発表しました。このビジョンは、Airbnb Japan株式会社および株式会社南信州観光公社と協働して作成され、飯田市が世界の観光客から選ばれる観光地となることを目指しています。持続可能な観光地域づくりを推進し、人との交流や地域の暮らしに触れる体験価値の高い観光を通じて関係人口を創出し、地域活性化につなげることが主な目的です。
飯田市は、南アルプスを望む雄大な自然や清らかな川、四季折々の美しい花々に恵まれた地域です。また、古い街並みや伝統的な祭りなど、歴史と文化が色濃く残る街でもあります。信州そばや五平餅、地元のフルーツを使ったスイーツなど、美食の宝庫としても知られています。これらの魅力を最大限に活かし、訪れる人々に忘れられない体験を提供することが「いいだツーリズムビジョン」の狙いです。
旅マエからワクワク!バーチャルで体験を先取り
具体的な取り組みとして、飯田市は観光スポットを360度のバーチャル空間で体験できる「ぐるっといいだ デジタル体験」を開始しました。この取り組みでは、天龍峡大橋や天竜ライン下り、よこね田んぼなど10カ所の観光スポットをバーチャル体験でき、旅行前のイメージ作りや現地での観光情報取得に役立てることができます。また、AR技術を用いた案内も提供しており、現地での観光体験をより豊かにする工夫がされています。
Airbnbとの連携による宿泊環境の整備も進められており、空き家を活用した観光客向けの新しい宿泊施設の展開が予定されています。地元住民との交流を重視した宿泊体験を提供し、持続可能な観光のモデルケースを構築することを目指しています。
また、地域の文化や産業を活かした体験型観光の拡充にも力を入れています。和菓子作り体験や森林セラピー体験、農業体験プログラムなど、訪れる人々が飯田市ならではの魅力を直接体感できる機会を増やしています。これらの取り組みは、観光客にとって新しい発見や感動を提供するとともに、地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。
このビジョンの策定にあたり、関係者からも期待の声が寄せられました。飯田市長の佐藤健氏は「地域資源を活かし、持続可能な観光地として発展していくための重要なビジョン」と述べ、Airbnb Japan株式会社の田邉泰之氏は「地域の人々との交流を促進し、魅力ある体験を提供することで、飯田市をより多くの人々に知ってもらいたい」とコメントしました。また、株式会社南信州観光公社の大島崇文氏は「観光を通じた地域活性化の推進に向けて、より多くのプレイヤーと協力しながら取り組みを進めていく」と意気込みを語りました。
飯田市は観光と地域住民の生活が調和する「持続可能な観光地」を目指し、地域に根ざした観光振興策を推進します。訪れる人々にとって「ただの観光地」ではなく、「忘れられない思い出を作れる場所」へと進化していくことを目指し、美しい自然、豊かな歴史と文化、美味しい食事が揃う飯田市は、訪れる人々の心に深く刻まれる特別な体験を提供することでしょう。
参考資料
https://www.city.iida.lg.jp/soshiki/25/iida-tourism-vision.html