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釧路市の二拠点居住モデルに学ぶ移住支援から住環境整備までの実践事例

2025 6/06
サステナブルツーリズム
サステナブルツーリズム
2025-6-6
2つの家

釧路市の二拠点居住モデルを徹底解説。多地域居住のメリット、住まい・仕事・子育て支援のまで、地方創生のヒントを紹介します。


定住人口が減少し続けるなか、地方自治体に求められるのは、移住一辺倒の戦略ではなく、「関わる人口」を増やす発想の転換です。釧路市は、二拠点居住を推進し、関係人口を育てる先進事例として注目を集めています。

本記事では、釧路市がどのようにして移住支援から住環境整備を行い、多地域居住のライフスタイルを提案しているのかを徹底解説します。他自治体が参考にできる実践のヒントも紹介するので、最後までチェックしてみてください。

目次

多地域居住とは?二拠点居住のメリットと関係人口の重要性

道路と車

多地域居住(または多拠点居住)は、都市と地方、あるいは複数の地域に生活の拠点を持ち、状況に応じて行き来するライフスタイルです。仕事、子育て、介護、リフレッシュなど、個人の事情や価値観に合わせて柔軟に地域と関わるこのスタイルは、「移住一択」だった従来の地域政策とは異なる方法です。

中でも注目されているのが「二拠点居住」[1]という形です。これは、自宅とは別に地方にもう一つの生活拠点を持ち、週末や季節ごとに行き来するスタイルで、「移住までは考えていないが、地域と関わりを持ちたい」という方にメリットがあります。

地域側にとっても、こうした“部分的な関わり”は、関係人口(移住や観光客ではなく、地域と多様に関わる人のこと)の拡大や地域活性化につながるチャンスとして期待されています。


政府もこの流れを後押ししており、総務省は「関係人口」[2]を作り出すことを政策として掲げており、観光庁では、長期滞在型観光との連携を推進[3]しています。そうした中、釧路市は独自の制度と地域資源を活かしながら、二拠点居住の受け入れに積極的に取り組む自治体のひとつとなっています。

釧路市の二拠点居住戦略とは?

パソコンを見て話あう2人

釧路市は「定住をゴールとしない」二拠点居住の促進を通じて、地域との多様な関わりを広げる独自の戦略を展開しています。

注目すべきは、“いきなりの移住”ではなく、段階的な関与を可能にする柔軟なスタンスです。

地域での暮らしに触れながら関係性を深めてもらうという方針が、観光でも移住でもない“第三の関わり方”を生み出しています。

こうした考え方は、次の章で紹介する具体的な施策や支援制度の土台となっています。

釧路市が拠点移住に選ばれる理由

北海道東部にある釧路市は、冷涼な気候と豊かな自然、そして整った都市機能を兼ね備えた“ハイブリッド型”の地方都市です[4]。夏の平均気温は21.5℃と涼しく、本州の猛暑を避ける「避暑型滞在」に適した環境です。加えて、釧路湿原や阿寒湖といった自然景観もあり、滞在者に非日常の癒やしを提供してくれる場所でもあります。

また、釧路空港と羽田空港を結ぶ直行便は所要時間約1時間半とアクセスも良好[5]。市内中心部には病院、商業施設、教育機関などが整っているので、地方に暮らすうえでの“安心感”も担保されています。

釧路市の二拠点居住の施策と支援内容

釧路市では、二拠点居住や移住希望者に向けて、生活のあらゆる側面に対応する支援策を段階的に整備しています。滞在のハードルを下げ、無理なく地域と関われるよう、「住まい」「相談」「交流」「仕事」「子育て」といった分野ごとにきめ細かな施策を展開しているのが特徴です。

1.住まいの支援:空き家活用と多様な滞在スタイル

釧路市は、移住前の「ちょっと暮らし」[6]や二拠点生活の実験的なステップとして、柔軟な住環境を提供しています。具体的には、空き家バンクを活用して地域の空き家情報を公開し、リフォーム済みの物件や短期賃貸対応の物件を紹介[7]しています。家具・家電付きの賃貸住宅や、長期滞在向けのホテルとも連携し、住まい探しに不安を抱える人でもスムーズに滞在できるよう配慮されています。

また、滞在者が公共施設などを市民と同じ条件で利用できる「くしろステイメンバーズカード」も発行されており、地域に“住んでいる感覚”を持てる環境づくりが進んでいます[8]。

2.暮らしの相談体制:移住・多拠点生活の不安を解消する多窓口支援

移住や多拠点生活を検討する際にネックとなるのが、情報の不足や地域への不安です。釧路市では相談窓口を設置し、住まい、仕事、子育て、医療など暮らし全般の相談を一括して受け付けています[9]。

市のホームページでも各種支援情報を発信しており、電話やメールでの問い合わせにも対応。釧路市市民協働推進課が窓口となり、個々の事情に応じた丁寧なサポートをする体制が整っているのも安心のポイントです。

3.地元との交流機会:地域とのつながりを育てる仕組み

短期滞在者が地域と自然に交流できるよう、釧路市では「くしろ長期滞在ビジネス研究会」[10]と連携し、地元住民と接点を持てる講座やイベントを開催しています。文化や歴史を学ぶプログラムのほか、地元サークルの紹介や交流会の実施などを通じて、地域との自然な関係づくりが図られています。

このような“人とのつながり”を重視した取り組みは、単なる滞在にとどまらず、関係人口の創出へとつながる重要なステップです。

4.子育て支援:家族ぐるみの二拠点生活を支える環境

釧路市は、子育て世代にも安心して滞在してもらえるよう、各種支援制度を整備しています。乳幼児医療費の助成、保育所の充実、子育て相談窓口の設置など、都市部と同様のサービスが提供されており、家族での二拠点生活にも対応可能です[11]。

また、自然豊かな環境を活かした地域活動や、親子向けの自然体験イベントなども用意されており、都市では味わえない子育て体験ができる点も大きな魅力です。

5.仕事の支援:地域の産業と個人ニーズをつなぐ

仕事面では、釧路市シルバー人材センターによる60歳以上向けの軽作業紹介や、農業・漁業・医療・製造・サービス業などの地域産業への就業支援が用意されています[12]。具体的な求人情報は、市のUIJターン支援ページやハローワークで随時公開されており、地域に根ざした働き方への橋渡しが行われています。

地域での“ちょっとした仕事”ができることは、副業やリモートワークとの両立を図る人にとっても、滞在を持続させる要素の一つになるでしょう。

釧路モデルの強みと課題

釧路市の二拠点居住は、「自然と都市機能のバランス」「段階的な関わりの設計」「関係人口の育成」において高い実践力を持つモデルです。いきなりの移住ではなく“試して暮らす”アプローチにより、多様な層が地域に関われる仕組みを整えています。

一方で、通年の気候や仕事の選択肢、地域との関係づくりといった課題も見えてきています。ここでは、釧路モデルの強みと今後の課題について具体的に見ていきましょう。

気候的なハードル

釧路は夏の快適さで高い評価を得ていますが、反面、冬季の寒さや積雪に不安を感じる人も多く、通年での居住や滞在には一定のハードルがあります。特に、雪に慣れていない都市部の人にとっては、冬の生活そのものが障壁となります。

こうした課題を克服するためには、冬季滞在に特化した体験プログラムの実施や、防寒・除雪対応が整った住宅の案内、積雪や悪天候で困った時のレクチャー、気候についてこまめな情報発信などの様々な工夫が必要です。

仕事の選択肢の限界

釧路市内には農業・漁業・製造業・医療などの仕事はあるものの、リモートワークを前提とした多拠点居住者や、若年層・子育て世代にとっては職の選択肢が限られていると感じられることがあります。

今後は、都市部とのハイブリッド就労が可能となる通信環境の整備や、地元企業との副業・兼業マッチング、起業支援の拡充など、地域内外での多様な働き方を支える基盤づくりが求められます。

地域との関係構築の持続性

滞在者と地元住民との交流機会は用意されているものの、それが一時的なもので終わらず、継続的な関係へと発展していくための仕組みの強化が課題です。特に、関係人口が増加するにつれて、受け入れる側の地域コミュニティにも一定の負担が生じる可能性があり、双方にとって無理のない関係構築をすることが大切です。

今後は、地元住民への理解促進や、交流の場を定期的に提供する地域団体との連携、個々の関係人口に合わせた“関わりの深め方”の多様化がカギとなります。

こうした課題を一つひとつ乗り越えていくことが、釧路モデルのさらなる進化と、他地域への応用可能性を高めるポイントとなります。モデルの強みを維持しながら、社会やライフスタイルの変化に合わせた柔軟な改善を重ねていくことが、持続可能な二拠点居住の実現には不可欠です。

他自治体に向けた実践のヒント

虫眼鏡をもつ手

釧路市の二拠点居住に関する取り組みは、「来てもらう仕組みづくり」から「空き家活用」「制度設計」「地元との接点構築」まで、多面的な実践が特徴です。

人口規模や財政状況にかかわらず、地域に合った形で導入できる工夫が随所に見られ、地方創生や関係人口創出に悩む多くの地域にとって有益なヒントとなるでしょう。以下に、特に実践的なポイントを紹介します。

1.まずは「来てもらう」仕組みをつくる

釧路市の特筆すべき点の一つは、「定住を前提にしない」関わり方の入り口を丁寧に用意しているところです。いきなりの移住ではなく、「まずは地域に来て、暮らしを体験してもらう」ことに重点を置いています。

これは観光とは異なるアプローチで、実際の生活に近い形で地域の空気や人、文化に触れてもらうことが目的です。「長期滞在(ちょっと暮らし)」や「くしろお試しワーキングホリデー」[13]といったプログラムは、地域への心理的距離を縮める最適な方法であり、こうした入り口づくりは、他の自治体でもすぐに実践できます。

2.空き家の流動化と相談支援の整備

釧路市では空き家バンクの運用に加え、不動産事業者や地域団体と連携した相談体制が整っており、利用者が「物件情報を見るだけ」で終わらない仕組みになっています。

これは、単に空き家を紹介するのではなく、「誰に、どんなふうに、どう活用してもらうか」までを見据えた支援であり、物件の管理状況や利用条件の明確化、リフォーム支援といった手厚いサポートが利用者の不安を取り除いています。

小規模自治体であっても、既存の空き家データの整備や、相談対応を担う“地域の案内役”の配置など、できることから始めることで大きな効果が期待できます。

3.二拠点居住を制度に組み込む発想

多くの自治体では、支援制度の対象が「転入者=完全移住者」に限られているケースが多く、二拠点居住や関係人口のような“中間的な関わり方”が制度の隙間に落ちやすい傾向があります。

釧路市は、こうした間の層を対象とする柔軟な制度設計をし、「市民ではないが地域に関わる人」をきちんと受け止める仕組みを築いています。これは、滞在者にとって安心感につながり、地域との関係継続のきっかけになります。

他の自治体でも、滞在者に対するカード発行や公共サービスの一部開放など、制度の見直しや制度外の運用で工夫できるでしょう。

4.地元住民との“接点”を設計する

滞在者や移住希望者が地域に馴染むうえで最も重要なのが「人との接点」です。釧路市では、講座や交流会、地元サークルの紹介などを通じて、滞在者と地域住民が無理なく交流できる機会を設けています。

このような“偶然の出会い”ではなく“意図されたつながり”の仕掛けは、双方の信頼関係づくりを加速し、滞在者を「また来たいと思う関係人口」へと育てていきます。小さなイベントや座談会など、地域ができる範囲での実践が、結果的に大きな効果を生むのです。

釧路市の二拠点居住モデルをチェックすると関係人口の創出や多拠点居住の推進は、大規模な予算や人員がなくても始められることがわかります。「すべてを揃えてから始める」のではなく、「できるところから始める」こと。それが釧路モデルの本質であり、全国の自治体にとっても再現可能な第一歩となるのです。

釧路の事例に学ぶ、多地域との関係を築くためのヒント

釧路市の二拠点居住戦略は、「地域と関わる人口を育てる」という考えを元にしています。住まい、制度、地域とのつながりの三要素を段階的に整備することで、“住む”と“通う”の中間にある柔軟な選択肢を実現しています。

定住を前提としない、持続可能な地域づくり。釧路のように、「まずは来てもらう」ことから始める関係性づくりこそが、今後の地方創生におけるキーワードとなるかもしれません。

【参考文献】

  • [1]地方振興:二地域居住の推進 – 国土交通省
  • [2]地域への新しい入り口『二地域居住・関係人口』ポータルサイト
  • [3]第2のふるさとづくりプロジェクト | 観光庁
  • [4]そもそもくしろってどんなまち?|釧路市ホームページ
  • [5]くしろ暮らしGUIDE BOOK
  • [6]北海道体験移住「ちょっと暮らし」令和5年度実績
  • [7]長期滞在施設 | 北海道涼しい釧路で避暑生活
  • [8]くしろステイメンバーズカード|釧路市ホームページ
  • [9]移住に関すること|釧路市ホームページ
  • [10]くしろ長期滞在ビジネス研究会
  • [11]子育て|釧路市ホームページ
  • [12]Q&A[13]移住体験に関すること|釧路市ホームページ




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